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「キラキラしている人を見ると落ち込む」そんな人に伝えたい"劣等感"との正しい付き合い方

プレジデントオンライン / 2021年12月21日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SimonSkafar

他人と自分を比べて劣等感に苛まれてしまうとき、どうすればいいか。動画クリエイターのライフハックアニメーション氏は「精神科医アルフレッド・アドラーは、劣等感を2つにわけた。比べるべき対象は、他人ではなく、理想の自分自身。そうすれば『健全な劣等感』を抱けるようになる」という——。

※本稿は、ライフハックアニメーション『天才はみんな「鈍感」さん ありのままの私を大切にした偉人の話』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■あらゆる悩みは人間関係に由来する

アドラーは、人間の心というのは意識と無意識の領域といったように簡単に分割できるものではなく、もっと総合的なものであると捉えていました。

「あらゆる悩みは人間関係に由来する」と断言するなど、私たちの日常的な心理に寄り添い提唱されるアドラーの考え方は現代社会が抱える問題に通じる部分が多く、より実践的に役立つ心理学として評価されています。

そんなアドラー心理学の考え方の一つに「課題の分離」というものがあります。

これは、他者の課題と自分の課題とを切り分け、他者の課題に自分から入り込まないこと、そして自分の課題には他者を入り込ませないようにするという考え方です。

「課題」という言葉が使われていますが、この言葉が意味する範囲は広く、「宿題をするかどうか」といった意思決定レベルのものから、「相手のことをどう思うか」といった人間関係レベルまで、その他にも広く当てはめて考えることができます。

■他者の問題に介入しすぎてはいけない

ここで重要になってくるのは「誰の課題か」という点です。

例えば「宿題をするかどうか」については、宿題を与えられた人(例えば子供)の課題であり、その他の人(例えば親)の課題ではありません。また、「相手のことをどう思うか」については、思う側の課題であって、思われる側の課題ではありません。

親と、うつむいている子供
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

いったいどちらの課題なのかを判断する基準は、「最終的に決定を下すのは誰か」で決まります。宿題をするかどうかを最終的に決めるのは、宿題を与えられた人ですし、相手をどう思うかを最終的に決めるのは、思う側です。

「課題の分離」では、他者の課題なのか自分の課題なのかを見極め、他者の課題なら踏み込まないし不用意に考えない、そして自分の課題なら他者に決定させないという態度を重要視します。

■他者の判断に一喜一憂してもつらいだけ

「陰口を言われても嫌われても、あなたが気にすることはない。相手があなたをどう感じるかは相手の課題なのだから」

これはアドラー自身の言葉ですが、「課題の分離」の考え方が反映されています。他の人が自分をどう評価するか、というのはその他者の課題です。なぜならば、最終的に自分についてその人がどのような評価を下すかを決めるのはその人自身だからです。

もしその人が自分に対して良い評価を下したのなら気分が良いでしょう。

もしその人が自分に対して悪い評価を下したのなら気分が悪いことでしょう。

しかし、気分が良くなろうが悪くなろうが、最終的な決断を下す他者の評価に対して、一喜一憂したり、はたまた評価を訂正するように迫ることは、そもそも不可能なことであるばかりか他者の課題に踏み込むことになってしまいます。

■自分をどう評価するのは自分だけの課題

アドラー心理学では、そのように他者の課題に踏み込むことを良しとしません。

一方で自分が自分をどう評価するかというのは、自分の課題です。なぜならば、最終的に自分をどう評価するか決定を下すのは自分自身に他ならないからです。そのため、他者が自分自身をどのように思おうと、自分が自分自身をどのように思うかに対しては一切の影響を持ち得ないのです。

アドラーが生きた時代と現在とでは、コミュニケーションのあり方が大きく異なっています。私たちは、インターネット上でどんな時でも他者とつながっている社会の中に生きています。その社会は、SNSなどを通じて他者の視線に常に晒(さら)されていると心理的に感じてしまいやすい構造になっています。

いつでもつながれるのは便利ではある一方で、必要以上に人間関係の悩みを抱えやすくなってしまっています。そんな社会の中にいると、他者の目線を必要以上に気にしてしまうものです。

しかし、アドラーが提唱する「課題の分離」の考え方は、そんなしがらみの中から私たちを解放してくれます。

他人が自分をどう思うかというのは、結局のところ自分にはどうすることもできないのだから、そのことについて一喜一憂する必要はない。自分自身をどう評価するかを最終的に決めるのは自分なのだから、他人からの評価で傷つかなくてもいいのだと、アドラーは教えてくれます。

■劣等感は理想の自分とのギャップから生まれる

さて、そんなアドラーですが、幼少期は辛い思いも多くしたようです。

アドラーは1870年2月7日に、オーストリアの首都ウィーンにて、ハンガリー系ユダヤ人の父とチェコスロヴァキア系ユダヤ人の母との間に生まれました。家庭は裕福で6人の兄弟がおり、アドラーは次男でした。

しかし、アドラーは幼い頃から兄弟の中でも体が弱く病弱で、くる病という骨が曲がってしまう病気が原因で体を思うように動かすことができませんでした。4歳の時には肺炎を患い、生死を彷徨う経験もしました。成人しても身長は154cmと小柄でした。

そのような過去もあり、アドラーは他者と自分とを比較し劣等感を感じていました。

その後、アドラーはウィーン大学の医学部を卒業し眼科医、のちに内科医として活動します。

診療所の近くには遊園地があり、アドラーのもとを訪れる患者は大道芸人など、自らの身体能力で生計を立てている人が多くいました。患者の中には幼少期には体が弱かったものの、努力によってそれを乗り越えたり逆に活かしている人が多くいることを知ります。

そうした経験からアドラーは、身体的なハンディキャップは必ずしも劣等感につながるものではないのだと気づきます。

アドラーは、私たちが感じる劣等感というものは主観的なものであり、他者との比較によってだけではなく、理想の自分との比較によっても感じるものであると考えます。

■他者との競争意識の中に自分を置くのは危ない

ただし、「劣等感」それ自体の否定はしません。また、人間には誰しも「優越性の追求」という性質があるとします。これは、向上したいと願い理想の状態を追求することです。

こう言うと競争によって他者より抜きん出ようとすることと思われがちですが、アドラーの真意は理想の自分に近づこうとする意志のことです。

他者との比較を通じて感じる劣等感は、他者との競争をもたらしてしまいます。競争には勝ち負けがつきものであり、競争の中で他者と自分を比べ続けていると、他者より上にいることが安心で、他者より下にいることが恐怖という状況から抜け出せなくなります。だからこそアドラーは、他者との競争意識の中に自分を置き続けてしまうことに警告を発しているのです。

■目標がある限り誰でも劣等感を感じている

「人の成功=自分の負け」になってしまう状態から抜け出すためにも、あくまでも比較は自分の理想と行うべきであるとしています。そうした理想の自分自身との比較を通して生まれる劣等感というのは「健全な劣等感」であり、それは健康で正常な努力と成長への良い刺激であると言います。

ライフハックアニメーション『天才はみんな「鈍感」さん ありのままの私を大切にした偉人の話』(KADOKAWA)
ライフハックアニメーション『天才はみんな「鈍感」さん ありのままの私を大切にした偉人の話』(KADOKAWA)

私たちは知らず知らずのうちに、他者との比較の中で自分の価値というものを見出してしまいがちです。しかし、そのような方法でしか自分の価値を見出せないでいると、長い目で見た時に必ずいつか敗者になってしまいます。

「あなたが劣っているから劣等感があるのではない。どんなに優秀に見える人にも劣等感は存在する。目標がある限り、劣等感があるのは当然のことだ」

他者との比較の中で自分の価値を過小評価してしまい、不当に自信を失ってしまっている自分自身を助け出してくれる考え方です。

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ライフハックアニメーション(らいふはっくあにめーしょん)
動画クリエイター
東京大学経済学部卒。YouTubeチャンネル「ライフハックアニメーション」の運営者。過去に起業するも挫折し、燃え尽きた末、心身ともにどん底へ。数年の沈黙を経てライフハックに目覚め、心身の健康を取り戻し、社会復帰を果たす。その復活の過程で得た知識を実体験に基づき編集し、アニメーション動画で発信。「心と体の健康」をテーマにした動画コンテンツは200を超え、チャンネル登録者数は16万人(2021年10月現在)を突破。ホームページ:ライフハックアニメーション

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(動画クリエイター ライフハックアニメーション)

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