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周囲から「わがままな人」「面倒な人」と思われている50代がこっそりやっていること

プレジデントオンライン / 2021年12月29日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fabrycs

50代になると「仕事で何かを成し遂げなければ」という焦りを感じる人がいる。営業コンサルタントの大塚寿さんは「焦りの正体は『何をやっていいかわからない』という迷いだ。それを断ち切るためには、まず会社に尽くすことをやめるといい」という——。

※本稿は、大塚寿『50歳からは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■ビジネス人生の最終盤で感じる焦りの原因

多くの50代ビジネスパーソンと接してきて、つくづく感じることがあります。それは、50代になると誰もがみんな「焦り」に似た感情を持つようになる、ということです。

私自身もそうでした。50歳を迎えたあたりから、なぜかモヤモヤしたものをずっと抱えていました。それが「焦り」であることに気づいたのは、しばらくたってからのことです。

その「焦り」の根っこにあるのはおそらく、もうビジネス人生も最終盤だというのに「何も成し遂げていないのではないか」「もっとやるべきことがあったのではないか」という感情があるからではないでしょうか。

50代でそういった感情を持つのは、一つはもちろん残された時間の終わりが近づいている実感があるからでしょう。それに加えて、40代の頃は中間管理職として大量の仕事に忙殺されつつ、プライベートでも忙しい時期で、あまり考える余裕がなかった。50代になり、プライベートがひと段落し、役職的にもある意味「上がり」の状況に近づいたことで、ふと「自分の会社員人生はなんだったんだろう」と考える時間ができた。それが、焦りの原因なのではないでしょうか。

■「仕事に打ち込む」では悩みは消えない

では、今以上に目の前の仕事に注力すればこの「焦り」から逃れられるかというと、少々疑問です。仕事には基本、終わりがありません。売上100億円を達成したら、次は200億円を目指したくなります。新製品の開発が成功したら、今度はそれをどう改良するかを考えるようになります。

私から見ればもう十分すぎるくらいに実績を上げているような人ですら、この「焦り」からは逃れられないようです。多くの経営者がなかなか後進に道を譲れないのも、これが原因と言えるでしょう。

■学生時代以来の「人生の選択」を迫られるのが50代

しかし、ここで考えてみてください。なぜ焦るのかといえば、「まだ、何かをやり遂げる時間がある」からに他なりません。

もう取り返しがつかないのなら、後悔はしても「焦る」という感情は持ち得ません。何かができるのに、何をやっていいかわからない。つまり、50代の「焦り」の正体は「迷い」なのです。

悩んでいる様子
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

実際、50代に与えられた選択肢は数多くあります。定年後再雇用で65歳までずっと今の会社にいることもできれば、早期退職に手を挙げて別の会社に移ることも可能。定年後はすっぱり仕事を辞めて趣味に生きることも(お金さえあれば)可能ですし、起業して個人事務所を作り、80歳以上になっても働いている人もいます。

おそらく、これほどまでに多くの人生の選択肢が与えられるのは、学生時代以来ではないでしょうか。行きたい学校や勉強したいことを選び、やりたい仕事や入りたい会社を選ぶ。そのとき以来の人生の選択を、50代は突きつけられているのです。

ですが、焦りの正体が迷いであるとわかった以上、そのワクチンは明確です。それは「すべきことを決めること」。つまり、自分は50代で「これしかやらない」と決めることに他なりません。

すべきことが決まれば迷いが消え、そして、焦りも消えていきます。

■会社に忠誠を誓っても、それは結局片思いに

「50代でやることを決める」ために、大前提としてお伝えしておきたいことがあります。

それは、会社勤めが長いビジネスパーソンは、「会社人間から脱却する」という意識を持つべきだということです。「何事も会社優先」から脱却する、と言い換えてもいいかもしれません。

思えばサラリーマンの人生というのは、会社に振り回される人生でもあります。辞令一つで時には海外にまで転勤を命じられ、「人事評価」というあいまいなものに振り回され、いくら自分が頑張ったところで、会社の業績が悪化すればボーナスの減額を余儀なくされる……。

そうした組織の酸いも甘いも経験しながら、50代になればある程度の地位に就き、定年になれば十分な退職金がもらえる。それが昭和の時代の「会社人間」のゴールでした。

しかし、今は違います。役職定年の名のもとに管理職から引きずりおろされ、出向で別の会社にやっかい払いされることもしばしば。退職金も年金も、今のままでは十分とは言えない時代になっています。ならばと定年後再雇用で働き続けても、給与は大幅ダウン……。

つまり、いくら「会社第一」と忠誠を誓ったところで、会社はもうあなたを守ってくれないのです。それでも40代までは会社に尽くすことで出世の道も開けていましたが、50代になればその芽もなくなります。にもかかわらず、会社に滅私奉公し続けても、それは悲しい片思いに終わるだけです。

■「部下の下で働きたくない」と一人部門を立ち上げた55歳

こうなった以上、私たちもその環境変化に適応するために、「会社人間」という“組織人”から「自分」という“私人”としての人生を取り戻す必要があると思うのです。

大塚寿『50歳からは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)
大塚寿『50歳からは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)

そもそも定年になったら、上司もいませんし、会社からの指示・命令もなくなり、自分の判断のみで生きていく生活が始まります。「会社の言う通りに動く」という指示待ちの姿勢では、後手後手に回りがちです。

ある企業にて製造畑一本で歩んできたA氏は、55歳の役職定年を前に、会社に提言し「品質アドバイス部」なる部門(一人部門)を立ち上げてしまいました。「自分の部下の下で働くなんてまっぴらごめん」という理由もあったそうですが、ベテランの知恵を借りたい現場からの要請が引きも切らないそうです。

食品会社勤務のOさんは、55歳で関連会社に出向。しかし、「どう考えてもこの仕事では自分の力は活かせない」と考え、会社に直談判して本社に戻してもらいました。その後はストレスなく働けているそうです。

■「本当にこれはやるべき仕事か」を考える

こうした行動を「わがまま」だと思う人もいるかもしれませんが、私はむしろ、ある意味「わがままになる」ことこそが、50代に求められることだと思います。自分にとって意味のないと思う仕事は断ってしまえばいいのです。

会社から命じられたことを疑いもなくこなそうとするのではなく、一歩引いた立場で、「本当にこれはやるべきか」を考えてみる。そうして、自分で取捨選択し、自分にとっても会社にとっても最善の道を探る。それが定年後に「一人で考え、一人で決める」ためのリハビリになるはずです。

その結果、「わがままな人」「面倒な人」のレッテルを貼られたところで、どうせ会社員人生はあと10年弱。そう割り切ってしまえばいいのではないでしょうか。

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大塚 寿(おおつか・ひさし)
営業コンサルタント
1962年群馬県生まれ。リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修、営業コンサルティングを展開するエマメイコーポレーション代表。著書に、『リクルート流 「最強の営業力」のすべて』『法人営業バイブル 明日から使える実践的ノウハウ』『50歳からは、「これ」しかやらない 1万人に聞いてわかった「会社人生」の正しい終わらせ方』(以上、PHP研究所)や、『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)など多数。

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(営業コンサルタント 大塚 寿)

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