「今や御三家&早慶GMARCH付属と肩を並べる」中学受験で注目の"男女共学校"はどこか
プレジデントオンライン / 2021年12月26日 11時15分
※本稿は、『プレジデントFamily2022年冬号』の一部を再編集したものです。
■Q 21年度のコロナ禍による影響は、22年度はどうなる?
A 「コロナ禍で迎えた2021年度入試は、異例ずくめでした。受験会場での感染防止策として時差入場・退場、試験時間の短縮を行った学校も多く、直前期に対応に追われる家庭を数多く見かけました」
そう語るのは、見守る子育て研究所所長の小川大介さんだ。
「ただ、21年度に行われた出題範囲や受験日程の変更といった対応については、前回限りという学校が多いです。22年度入試については、よほどのことがない限り、大幅な変更は発生しないでしょう」(小川さん)
一方で影響として残るのが、出願傾向だ。中学受験「スーパー過去問」シリーズを発行している声の教育社の後藤和浩さんはこう語る。
「21年度の受験者は遠方の学校の受験を控える傾向にあったため、従来は前受け校として多くの受験生を集めていた千葉や埼玉の学校の受験者数が減少しました。各種データを見る限り、こうした出願傾向は22年度も続く見込みです」
ここ数年、中学受験者数は増加しており、合格難易度はどの学校も上昇傾向だ。
「以前は2月1日に本命を受け、2日以降に安全校という出願パターンが多かったのですが、2月1日に安全校を押さえ、それ以降で上位校に挑戦するという家庭が増えてきています」
また、コロナのもう一つの影響として、受験者数のさらなる増加が挙げられる。
「休校時の公立校の対応に不満を持った家庭が受験を決める動きがあり、受験者総数がさらに増加すると見込まれています。その結果、中堅校への出願が増え、最難関校への出願は減るという傾向が続くと予想されます。前回同様、従来の出願データを当てにしづらい受験になりそうです」(後藤さん)
■Q 倍率が上がりそうな学校、難化しそうな学校は?
A 21年度の受験では、新設された広尾学園小石川をはじめ、一部の学校に受験生が集中する結果になった。
「広尾学園、三田国際学園といった共学進学校グループは、以前は国際系ブームという扱いでしたが、今や“御三家”“難関大付属”といったような中学受験トップ校の一つとして定着したと言えます。22年度から校名を変えて募集が始まるサレジアン国際学園や千代田国際にも、注目が集まっています」
そう語るのは、進学塾「VAMOS」代表の富永雄輔さんだ。
「もう一つ、人気が高止まりになっているのが大学付属校です。早慶付属だけでなく、GMARCHの付属も偏差値が高止まり。手厚く進学指導をしてくれる日大付属も偏差値が上がってきています」(富永さん)
男子では日大豊山、獨協、女子では実践女子学園、山脇学園といった伝統校も人気が高まっている。
「面倒見の良い教育をしているわりに、比較的入りやすかったこれらの学校に、近年注目が集まっています。2年ほど前から倍率が上昇傾向にあります」(後藤さん)
倍率が上がると、偏差値通りの結果が出るとは限らないのが、中学受験の怖いところだ。
「2月3日以降で定員が少ない学校は、倍率が突発的に上がりやすい傾向にあります。21年の2月4日入試の実践女子学園は7.7倍、獨協は6.2倍でした。大きく倍率が上がると、当日に極めて調子が良かった子しか合格できなくなります。偏差値が低いからといって、安全校に設定するのは危険です。2月2日までに1校は合格を取っておける受験スケジュールを心掛けてください。2月6日以降に受けられる学校も、念のため調べておくことをおすすめします」(後藤さん)
■Q 今から受験校を追加する場合のコツを教えて。
A 新型コロナの影響で、対面の学校説明会やオープンスクールなどを控える学校が多かったこともあり、学校の様子を十分に知ることができなかった受験生家庭も多いだろう。
「直前になって受験校を追加したい場合、①ホームページをはじめ、学校が発信している情報などをよく見て、校風や教育方針などをチェック、②希望の部活の有無、通学時間、留学制度の有無など、絶対に譲れない条件を確認し満たさない学校はリストから外していくという手順がおすすめです」(小川さん)
富永さんは、過去問との相性と試験日程を考慮してほしいと語る。
「学校の向き不向きを知るには、まず過去問を解くこと。特に国語の問題は相性をはかりやすいです。何度か解いているうちに点が上がってくるようなら、相性が良い学校と言えるでしょう。また、午後入試の積極的な活用も視野に入れてください。午後は安全校ととらえがちですが、実はちょっと難しい学校にチャレンジするいい機会でもあります」
■Q やる気が出ないわが子にハッパをかけたい。どうしたらいい?
A 本番まであと少しなのに、なかなか勉強の手を進めてくれない。そんなわが子に、イライラをぶつけるのは不毛だと富永さんは言う。
「直前期であっても、勉強に対して高いモチベーションで臨む子はごく一部にすぎません。なかなか勉強しない子には、やることを明確に指示して、作業として行わせるしかありません。“ちゃんと勉強をしなさい”ではなく“午前中にこのテキストを○ページから○ページまでやろうね”と言われれば、自発性がない子でも手を動かしてくれます」
小川さんは直前期に、子供のやる気を無理に引き出そうとすることの危険性について次のように語る。
「子供は2週間以上先のことはイメージできません。そこを大人が無理に引っ張っていこうとするのは逆効果です。無理をさせて直前期に心が折れてしまうと、回復前に本番を迎えてしまいかねない。直前期は毎日の生活リズムをできるだけ崩さないことが大事。塾の自習室で周囲の子の雰囲気に引っ張ってもらうなど、環境面を工夫しながら本番へと導いてやる視点を持ちましょう」
気乗りのしないときにおすすめの勉強法として、後藤さんは「国語の読解問題の素読み」を挙げてくれた。
「問題は解かなくていいので、ただ、素材文を読んでください。いい気分転換にもなりますし、読むスピードを落とさない訓練にもなります。長文読解は2日読まないだけで感覚が鈍り、読解力や読むスピードが落ちてしまいます。使わない過去問の国語の文章を毎日読みましょう」
また、近年は理科と社会で資料を基にした出題が増加傾向にある。
「資料集の表や図版を斜め読みするだけでも力がつきます。気分転換がてら、ざっくり眺めるだけでも効果がありますよ」(後藤さん)
■Q 体力やメンタル面で注意すべき点は?
A 直前期は親子ともに心身が不安定になりがちだ。この時期にケンカなどをしてしまうと、本番で致命傷になりかねない。
「この時期に特に暴走しがちなのが、お父さんです。子供がかわいいのはわかりますが、データや数値を基にもっともらしいアドバイスをしていないか振り返りましょう。この時期の“正論”は妻や子供を追い詰めるだけ。受験生の父の役割は、妻を精神的に支えることだと意識しましょう」(小川さん)
何か困りごとがあれば、塾に相談するのが一番だそうだ。
「塾に悩みを相談するうちに、自分は頑張っているなと実感できるはず。不安があっても、正しい努力ができていると自覚できるだけで、精神は安定します。親の不安は子供に伝わりますから、まずは親が心を安定させることが大事です」(小川さん)
もう一つ気になるのが、感染症や風邪などに対する体調管理だ。
「新型コロナ対策もあり、学校側も中学受験生に対して休むことを認めている場合があります。ただ、休めばたくさん勉強ができると考えて安易に学校を休ませるのは、あまりおすすめしません。休ませることで生活リズムが狂ってしまう恐れや、時間を持て余してしまいメリハリがなくなる危険性があります。休むのであれば、一日の過ごし方をどうすべきか、日中子供だけの時間に何をやり、親が帰宅したらどう過ごすかなどを綿密に決めてからにしましょう。塾や家庭教師などにタイムスケジュールを相談するのも手です」(富永さん)
受験本番については、同日に午前・午後入試を行う場合、午後まで気力や体力を温存しておく必要がある。
「午後入試への移動方法や時間配分、食事をとるタイミングなど、親がどれだけ無理なく子供をサポートできるかが大事です」(富永さん)
「体力はもっても、不合格が続くと気力が続かない子が多いです。本当に子供の心が折れそうなときは、試験を1校休ませるぐらいの覚悟をもってサポートしてほしいですね」(小川さん)
(プレジデントFamily編集部 文=相川いずみ)
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