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3位は竹野内豊、2位は段田安則、1位は…国内ドラマ「2021年俳優ランキング」男性部門ベスト10

プレジデントオンライン / 2021年12月25日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock/vzphotos

2021年に日本国内で放送・配信されたドラマで、評価するべき俳優はだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんは「2021年俳優ランキング」を作成した。第1回は男性部門ベスト10――。(第1回/全3回)

■脱・定番に力を入れた印象のある2021年のドラマ

コロナに五輪に衆議院選挙。ドラマ枠が案外あおりをくらった1年だが、各局が「脱・定番」に力を入れた印象がある。そんな2021年の国内ドラマ(地上波、BS、WOWOW、Netflix、アマゾンプライム)を視聴した中で、俳優の演技を勝手にランキングにしてみた(暴挙)。

男性部門ベスト10、女性部門ベスト10、さらには男女混合のワースト10を全3回でお届けする。

若手で出演数が少なくても、ハッとさせて心奪う芝居をみせた俳優には「新人賞」を。ランキング外だが、演じた役≒本人という残像と強烈な印象を残した俳優には「特別功労賞」を。男女それぞれで選定している。

数字や数値の根拠は一切ナシ。すべては観たときの興奮と感動の度合いで、偏向はなはだしく超主観的であるため、あしからず。まずは男性部門から。

10位 染谷将太『麒麟がくる』(NHK)

「マザコン」という要素で新たな織田信長像を築いた功績を称えたい。

母に愛されたいという承認欲求から横暴な行為を敢行、母の寵愛を受けていた弟に毒を盛ったりしてね。どこか寂しげな印象も強い。

「儂は~」を「ぅわしぅわ~」と発音するのも精一杯の強がりのように見えて。自害シーンも含め、新鮮な信長像を堪能。

9位 山田孝之『全裸監督2』(Netflix)

シーズン1では昭和末期、アダルト業界全盛期の狂乱を描き、山田は村西とおるの破天荒な魅力、つまり「光」を演じきった。

シーズン2は一転して「陰」。メンタル強靭な狂人っぷりは変わらないが、玉山鉄二・満島真之介・森田望智ら、共に走ってきた仲間たちから愛想をつかされ唾棄される存在へと、舵を切った。切りまくった。視聴者も辟易するほどの身勝手さに徹した。主演の引き算は功を奏した。

■「二枚目俳優はコメディ不利」を覆した7位、8位

8位 市原隼人『おいしい給食 season2』(テレビ神奈川など)

すでにプレジデントオンラインでも書いたが、突き抜けた変人っぷり、全身全霊で給食のみ愛する教師・甘利田幸男になりきった。市原が生まれもった外連味をこんな形で昇華させる日がくるなんて。

出典=『おいしい給食season2』公式サイトより
7位 岡田将生『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ系)

欠如が魅力的な人物しか登場しない名作の中で、光ったのは「しんしん」こと岡田だ。

「それって、いる?」で場の空気を凍らせたり不快にさせるのが特技。容姿端麗のメリットをすべてデメリットに。

でも、視聴者は誰一人ムカついていない。むしろ、とわ子への愛がどんどん深まるのを応援する気持ちにさせたし、劇中で最も変貌を遂げた(精神的成熟)人物だ。二枚目が不利なコメディでの健闘を称える。

■物語の背景を下支えするバイプレーヤーたち

主演、あるいはメインクラスの俳優陣が目に焼き付くのは当然と言えば当然のこと。

出番も見せ場も多い。ポスターなどのメインビジュアルを飾るため、作品と一緒に記憶にも残る。一般的にドラマに関する記事は、メインの人物もしくは制作陣を書くことが多い。

各局ドラマのホームページにはたいてい、キャストあるいは登場人物、さらには相関図が掲載されているが、そこに載らないような人物もいることを忘れてはならない。

物語の背景を下支えする俳優がいて、もっと評価されるべき演技がある。

ということで、6位は……。

6位 酒向芳『リコカツ』『最愛』(TBS系)、『青天を衝け』(NHK)

『リコカツ』では瑛太の父親役。夫唱婦随が当然という思考の元自衛官役もしっくりきた。上背のある親子DNAも完璧だったし、「是非におよばず!」なんて言葉使いと言い方も、「この親にしてこの子!」と思わせた。

一方、『最愛』では失踪した息子(朝井大智)を15年間探し続けた父親を演じた。息子は白骨遺体で見つかり、真相を追うも10日後に殺される役だ。苦悩の年月と無念を瞬間で見せつけた。

また、『青天を衝け』では百姓を見下し、威張り散らして年貢を取り立てる憎たらしい代官(岡部藩代官・利根吉春)役。

どの役も難あり人物だが、物語の根幹や主人公の背景を担う、重要な役だ。酒向は密かに大役をまっとうした、と思っている。

5位 迫田孝也『天国と地獄』(TBS系)

綾瀬はるかと高橋一生の入れ替わりが話題になったが、キーパーソンとして驚かせたのは迫田。

軽妙な世捨て人と思いきや、ことごとく不遇な人生。猟奇的ではなく切なさとやりきれなさを前面に出した迫田には、つい思いを寄せてしまった。

4位 細田佳央太『ドラゴン桜』(TBS系)、『恋です!』(日本テレビ系)

両作品ともハンディキャップのある人物を丁寧に演じた。

演じるときの「目線って大事」と改めて思わせてくれた。真面目さと繊細さが必要な役作りに、かなり時間をかけたに違いない。若手だが、イケメン売りだけではない技量に脱帽。

■役柄を超え、視聴者に訴えかける名演を見せた

さあ、いよいよベスト3。胸キュンだとか上腕二頭筋にときめいたのではなく、胸の奥にずしっと響いた演技だ。やりきれない悲しみや悔しさで、鼻の奥をつんとさせた、珠玉の名演技を紹介したい。

3位 竹野内豊『さまよう刃』(WOWOW)

『イチケイのカラス』(フジ)でも破天荒な裁判官を演じて高評価だったが、『さまよう刃』の鬼気迫る表情にはすっかり魅了された。娘が酷い目に遭わされて殺された父親の役だ。未成年犯罪の刑の軽さに絶望し、共犯者だった少年を殺害、逃亡した主犯格の少年を追う。

出典=WOWOW公式サイトより

すべてを捨てて、娘の復讐を遂げようとする執念。いつものこぎれいな竹野内ではない。怒りは人相を変える。悲しみは人間を変える。憎しみは人生を変える。

復讐の鬼と化しているのに正当性を感じる熱演。もちろん殺人に正当性などない。でも、ないと言い切れるか? と訴えてくる演技だった。

2位 段田安則『六畳間のピアノマン』(NHK)
段田安則
写真=時事通信フォト
テレビ朝日「ドクターX~外科医・大門未知子~」第5シリーズ製作発表会見。東京都港区/2017年10月3日 - 写真=時事通信フォト

『桜の塔』(テレビ朝日系)で身内の不正で失墜する警視総監役や、『和田家の男たち』(テレビ朝日系)では一見傲慢だが愛らしい新聞社元社長の祖父役などを演じたが、イチオシは『六畳間のピアノマン』の父親役だ。

息子(古館佑太郎)が上司から理不尽なパワハラを受け続け、過労の末に交通事故で亡くなる。定年退職し、時間ができたことで息子の死に対する悲しみや憤りがよみがえるという役どころ。

2015年の『64(ロクヨン)』(NHK)では殺害された娘の父親役だったが、無念と執念の演技が記憶に色濃く残っている。

年月が経過した感情はより複雑だ。憎悪も自責も諦観も時が変質させる。そんな苦悩を段田は魅せてくれた。

■鳥肌が立つ演技を見せた俳優が1位に

1位 玉置玲央『ひきこもり先生』(NHK)

ひきこもり歴21年の依田浩二(ヨーダくん)を演じたのだが、ダントツ素晴らしかった。もちろん、主演の佐藤二朗もコミュ障を演じさせたら俳優界で右に出る者はいない。が、玉置がスンッと右に出て並んだ感。

玉置玲央
提供=有限会社ゴーチ・ブラザーズ

激昂して他人を見下す発言をしたかと思えば、社会に不慣れで「うぶ」な一面や繊細さをのぞかせる。言葉がうまく出せないもどかしさや凍結した心を見事に体現した。

回想シーンがなくとも、玉置は言葉と表情でヨーダくんの背景を浮かび上がらせた。父親との確執や自問自答を繰り返した21年間が見える瞬間が何度もあった。

しかも、余命宣告を受ける切ない役だ。怒りと絶望をぶちまける場面もあったが、その矛先は社会や世間だけでなく自身にも向いている、という複雑な感情表現。心奪われたよね。

記憶に残る演技のひとつに、「背景の可視化」があると思っている。

映像で見せていないのに、その演技で人となりや歩んできた人生、背負っているものが一瞬見える(気がする)。私自身、年に1回体験できるかできないか、というレアな感覚なのだが、遭遇できたときは本当に鳥肌が立つ。今年は玉置からいただきました。

■特別功労賞は47歳でブレークした北村有起哉

さて、ベスト10とは別に、今後の活躍を大いに期待する若手に新人賞を授けるならば、山脇辰哉『きれいのくに』(NHK)に。あまりにも自然体で、とてつもなくうまかった。お調子者の男子高校生役だったが、汎用性は高く、さらにいろいろな顔(役)を観てみたいなと思った。

特別功労賞は北村有起哉『ムショぼけ』(朝日放送系)に。14年間刑務所にいた元極道の悲哀と不穏な精神状態を面白おかしく切なく演じた北村。

笑って泣けて驚いた。遅ればせながらNetflixの配信で一気見したのだが、北村の表情七変化とテンポのいい掛け合いは絶品。良質の社会派エンターテインメントだったと断言しておく。

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吉田 潮(よしだ・うしお)
ライター
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News イット!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。

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(ライター 吉田 潮)

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