「ラーメンをステーキに変えた」2カ月で約30kgやせた男が実践した"断糖高脂質食"の中身
プレジデントオンライン / 2022年1月7日 12時15分
※本稿は、金森重樹『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ&健康長寿術』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
■糖質を絶つことで脂肪燃焼につながる
断糖高脂質食は、脂肪を燃やし短期間で痩せることから、メタボに悩む中年の減量に最適だと自負しています。実際、僕も48歳の時に90kg以上の超メタボ体型から、2カ月で約30kgも減量。今でもリバウンドすることなく体重をキープし続けています。
それは、お笑いコンビ・かまいたちの山内さんをはじめ、拙著『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ&健康長寿術』(扶桑社)の担当編集者、ライター、多くのフォロワーさんも同じです。
ここで改めて、「断糖高脂質食」をおさらいしておきましょう。
食事について説明するならば、その名の通り「糖質を可能な限り排除し、主食として良質な脂質をたっぷりと摂る食事」です。糖をエネルギーとする産生経路(解糖系)から、脂をエネルギーとする産生経路に変化させることが目的です。
断糖でインスリンを抑制すると脂質代謝のスイッチが入り、体内でケトン体(βヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトンの総称)が作られます。脂質燃焼にはこれが重要。ケトン体がきちんと出ているかどうかをチェックするガジェットなども容易に手に入ります。
インスリンはケトン体の生成を阻害するので、「断糖高脂質食」ではインスリンの追加分泌を極力ゼロに抑えることを目指します。そのためには、食材だけでなく、醤油を魚醤にかえるなど、調味料から見直す必要がある。インスリンの過剰分泌に晒されている食生活こそが肥満の元凶であり、糖尿病のもと。タンパク質を摂った場合ですら、糖質ほどではありませんがインスリンが分泌されます。
インスリンはもともと、恒常的に分泌されています。しかし、基礎分泌を超えた追加分泌を食べ物で誘発してしまうことが一番の問題なのです。インスリンが常にだらだらと出続けている状況が肥満の最たる原因であり、健康長寿を損なう大きな要因なのだと僕は考えている。つまりインスリンを制御する食習慣こそ、すべての土台になると言っても過言ではありません。
■肥満は「命に関わる大病」のもと
とはいえ、断糖高脂質食を徹底しようとすると、穀物はもちろん、調味料レベルまで見直しが必要。それまで糖質まみれの生活を送ってきた人には厳しく見えるのかもしれません。
「食べられるものがない!」「食の楽しみを放棄して豊かな人生と言えるのか!」など、随分批判もされました。確かに、厳格に取り組むには手間がかからないとは言えません。
しかし、多くの疾患の原因を招く不健康な状態でい続けるデメリットと秤にかけたら、僕はこの食生活が現時点での最適解だと確信しています。ここに、『ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)でも紹介したメタボリックドミノの図(図表1)を改めて紹介しましょう。
肥満を起点に、あらゆる症状がドミノ倒しのように悪化して起き、病気に至る様が分かると思います。肥満、インスリン抵抗症、高血圧や脂肪肝と進んで糖尿病となり、やがて脳卒中や認知症、心不全といった命に関わる大病にたどり着いてしまう。この流れは肝に銘じておくべきです。
■同じ摂取カロリーでも、食べる時間帯で身体への影響が違う
僕の食生活についてお話ししましょう。一日のルーティーンですが、朝は、温かい紅茶やルイボスティーにたっぷりとMCTオイルを入れたものを飲みます。「MCT」とは、中鎖脂肪酸の略です。中鎖脂肪酸は小腸から門脈を経由して肝臓に入り、すぐにエネルギーに変わるので、お昼すぎまで空腹を感じることはありません。
一日のうち、卵や牛脂たっぷりのステーキ、焼き魚、刺身などタンパク質を適正量食べるのは、なるべく昼食と心がけています。脂肪を蓄える元凶であるインスリンは、糖質だけでなくタンパク質を食べた際にも出てしまうからです。
同じ摂取カロリーでも朝食べるか、昼食べるか、夜食べるかで、身体の代謝に与える影響はまったく違います。これを時間栄養学といいます。何をどれだけ食べるかに加えて、「いつ食べるか」が重要であり、昨今注目されている健康分野のひとつです。基本的にはこうした1日1.5食をかれこれ5年間続けていますが、慣れてしまえば辛いと感じることはなく、むしろこれまでいかに自分が暴飲暴食を繰り返していたかを実感してゾッとします。
逆に、断糖高脂質食を中途半端にやると、痩せられないばかりか身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。たとえ痩せても血管は太っていた時のままですので、「体重が減ったから今日はラーメンを食べよう」なんて行為は急激に血管に負担がかかるため非常に危険です。「中途半端にやるくらいなら、初めからやらないほうがいい」と断言したい。
#金森式はあまりにもスピーディーに痩せられるため、とかく減量の側面ばかりが注目されていますが、僕が続ける理由は、ヒト本来の機能回復につながり、これこそが健康長寿の基本だと思うからです。
僕は元気なままで長生きがしたい。人生の最後の10年が病院のベッドの上で体中に管がつながれている状態では、「生きている」というより「生かされている」だけ。そんな老後は絶対に回避したいのです。
■食事制限が健康に与える影響
食事制限が代謝に与える影響のパスウェイは、大雑把に言うと図表3のようになります。
食事制限(Dietary restriction)の最上流にあるのは間欠的断食(IF=Intermittent fasting)です。これはタンパク質を24時間に1回摂ることで、インスリン抵抗性を遮断することが大きな意味を持つ。3段目左端のインスリン感受性の上昇(insulin sensitivity)は、インスリンが効き易くなるという意味で、肥満に与える効果が大きい。僕は断糖高脂質食の1日1.5食という形で対応しています。
4段目右端の炎症抑制(inflammation)は直接的に肥満に関係します。これを落とし込みするならば、例えば虫歯の治療をしなければ、あるいは金属の詰め物を外さなければ体内で起きている慢性炎症がインスリン抵抗性を引き起こしてしまうということ。
僕が常日頃から「どんなに断糖高脂質食を徹底し、サプリを摂っても、歯周病などの慢性炎症があるとインスリン抵抗性を引き起こすほか、体内で炎症を抑えることに機能や栄養が使われてしまい、痩せられない」と説いていたのは、こうしたパスウェイが前提になっています。また、これはあくまでも食事の方法ですが、食事の改善だけではヒトの失われた機能の回復にはなりません。これ以外にも、
○寒冷負荷によるベージュ脂肪細胞の誘導
○睡眠の最適化
○解毒(有害金属・細菌・化学物質など)
○ストレス抑制(アダプトゲン=非特異的にストレスに対応する機能をもつ植物)
など多数の要因が複雑に絡み合っています。これらを最適化してはじめて肥満、病気、不調から脱却できます。
■断糖高脂質食は「安くつく」
断糖高脂質食が減量だけでなく、健康長寿をもたらす食生活ということが理解できたとしても、「食費がかかる」と言う人がいます。しかし、食事回数が1日1回で、野菜、果物、加工食品、お菓子などを食べないため、肉や魚のグレードを上げても食費はむしろ下がるのではないでしょうか。
また、人生100年時代と言われる昨今、健康長寿ではなく不健康長寿では、人生の後半になって医療費や介護費などがかさみ、むしろどれだけお金があっても足りない状態になってしまうことを想像してみてください。
2011年と少し古い調査ですが、厚労省の推計によれば、日本人の生涯医療費は、平均2500万円だそうです。日本の医療保険制度が破綻するのは目に見えていますが、今のところその恩恵に預かることで自己負担額は500万円ほどになる計算です。
注目すべきは、その約半分を70歳以降の時期に支払っているという点です。目先の食費を削り、ほぼ添加物とトランス脂肪酸と炭水化物(=糖質)のみで構成されたコンビニ弁当や、ファストフードばかりを食べ各種の慢性疾患になれば、結果として一生涯、余計な医療費を支払うことになってしまいます。
多くの人が健康を望んでいながら、断糖高脂質食にはなぜかお金を出し惜しみ、大病や手術で高額な医療費を支払うことになるかもしれない生活を続ける。僕はこれが不思議で仕方がありません。長い目で見て断糖高脂質食ほど有益な自己投資はないのです。
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行政書士・不動産投資顧問
東大法学部卒。25歳の時に1億2000万円の借金を負う。マーケティングの技術を活用して35歳で借金を完済。行政書士として脱サラ。不動産、建設、ホテルチェーン、医療法人、福祉事業などグループ年商100億円の企業グループのオーナー。個人で日本最大2メガワットのメガソーラー発電所を宮古島で開設。著書に『2015年改訂版 100%得をするふるさと納税生活完全ガイド』『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(ともに扶桑社)など。
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(行政書士・不動産投資顧問 金森 重樹)
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