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肝心な中身がぜんぜん伝わらない…最初に使うと一発で「話が下手」と認定される"ある言葉"

プレジデントオンライン / 2022年1月3日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PrathanChorruangsak

相手に話をよく聞いてもらうにはどうすればいいのか。明治大学文学部の齋藤孝教授は「最初に『えーっと』と言うのはやめたほうがいい。続く話がきちんとした内容でも、考えがまとまっていないという印象を与えてしまう」という。セブン‐イレブン限定書籍『人生を変える「超」会話力』からお届けする――。

※本稿は、齋藤孝『人生を変える「超」会話力』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■理由や要点は後から付け足せばいい

話がわかりやすい人の特長は、なんといっても結論から話す人です。

最初に「結論は◯◯です」と提示し、「それはなぜか?」「ポイントはなにか」という順番で話をすると、話の構造がすっきりとして、基本的に聞き手は「わかりやすい」と感じます。

例えば、1枚の象の写真を思い浮かべてみてください。象の全体像を写した1枚の写真を最初に見せれば、「これから象の話をするんだな」とわかりやすくなるでしょう。

でも、先に象のしっぽの写真や脚の写真など、部分部分で出していくと話がわかりにくくなります。しっぽや脚だけを見ても象とわかるかもしれませんが、よりわかりづらいテーマであれば、部分だけを先に見せられても(話されても)よくわかりません。

つまり、特にみんなが知らないような話をするときは、ブロックのように部分を積み重ねるようにして話してはいけないのです。聞き手は「いったいなんの話だろう?」「結論はなんだろう?」と思いながら聞くことになり、結局「わかりにくい話」になってしまいます。

そうではなく、大雑把でもいいので、まず「結論はこうです」と全体像を提示することが大切です。

そのうえで、「理由(なぜそういえるのか)」や「要点(ポイントはなにか)」や「例示(例えばどんなものか)」を説明していけば、話は一気にわかりやすくなります。

■ひとつの話題は「15秒」でまとめる

手短に話すことも、わかりやすい話し方のポイントです。具体的には、ひとつの話題を15秒でまとめるように意識してみましょう。

15秒といえばCM1本分の長さ。練習さえすれば、誰でも15秒で相当な情報を伝えられるようになります。

わたしはこの15秒方式を、学生たちに徹底的に練習してもらいます。4人1組でストップウォッチを片手に、おすすめの本や趣味について話すのです。

例えば、各々が本を3冊決めて、最初の15秒でひとり目が話し、続いてふたり目、3人目と進んで、1分で全員が話します。これを3分間やると12冊分。1秒もずらさないように話すわけです。

最初のうちは、「えーと、内容が充実している本です」「あのー、結構勉強になります」などと、ほとんど意味のないことをいっているうちに15秒が終わり、まるで具体性に欠けた話になってしまいます。

また、本質的な意味を伝えようとして、かえって抽象的になる傾向もあります。大事なことをいおうとしているのに、なぜかぼんやりした言葉が出てきてしまう。「人生でいちばん大切なことを伝えている本です」といわれても、聞き手はその大切ななにかを知りたいので、「それは○○です」と、具体的に伝えなければなりません。

このとき、「ポイントを具体的に話す」ことを意識していくと、少しずつ無駄な言葉が省かれていき、端的かつ具体的に話を伝えられるようになっていきます。まず15秒でまとめて伝えて、もし話し足りなければ、のちに情報を加えていけばいいのです。

15秒方式に慣れると、密度が高いのにすっきりした話し方になります。

「ひとつの話題は15秒で手短にまとめる」と、ぜひ意識してみてください。

■「えー」「あのー」「まあ」をなくして話にキレを出す

多くの人は、話すときに自分では意識しない言葉を発しているものです。話題にはまったく関係がない口癖をいつも口にしているのです。

これも、15秒方式を身につけるなかで改善する必要があるでしょう。

典型的なのは、「えー」や「えーっと」。

話の冒頭で「えー」をつけるのは、聞き手に「これから話がはじまりますよ」と注意をうながす面もありますが、たくさん使っていると、あまり聞き心地のいいものではありません。

注意したいのは、「えーっと」です。続く話がきちんとした内容でも、これを最初につけると、「考えがまとまっていない」印象を与えてしまいます。

ほかにも、「あのー」「まあ」など、つけるとマイナスの印象になる口癖をたくさん使っている場合があります。

■自分の話し方をスマホで録音して、口癖に気付く

わたしはよく学生にプレゼンテーションをさせるのですが、短い時間のなかでもこれらの言葉を使う学生がとても多く、結局いいたいことがいえない場合がたくさんあります。

口癖は無意識に生じるので直すのは少し難しいかもしれませんが、いちど自分の話し方をスマホで録音して聞いてみてください。あまりに無駄な言葉を発していることに、きっと驚くはずです。

逆にいえば、これらの無駄な言葉を会話からなくすだけで、話にキレが出て、とてもわかりやすくなるでしょう。

■相手のニーズを察知して話に優先順位をつける

ひとつの話題を15秒で話せるようになるには、そもそもまず「15秒で話す」と強く意識することが大切です。

「15秒しか与えられていないのだ」「15秒のCM枠を買ったようなものだ」と意識すればするほど、時間に対する感度が上がります。

実際に15秒しか話せないとなると、どんな変化が起こるでしょうか?

どうしても「大事な情報を絞り込むようになる」のです。そうして話の優先順位をつけられる人が、話がわかりやすい人なのです。

例えば、病院に電話をかけて「今日行けますか?」と聞いているのに、「どんな症状ですか?」「いつからですか?」などと聞かれたあげく、最後に「今日は予約がいっぱいです」といわれるようなことがままあります。

「ダメなら最初にいってよ……」となるのですが、これが優先順位をつけていない話し方の典型例です。

まず、相手の期待や求めることに応えてあげられるかどうか。これは、相手のニーズを察知する力でもあります。

台所でお茶を飲む若い日本のカップル
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

会話の優先順位をつけられるようになったら、15秒を30秒に延ばしてみましょう。15秒でテキパキと話す訓練ができていれば、「30秒って長い!」「いろいろなものごとが話せる」という感覚になるはずです。

ましてや、1分もあれば、「とんでもなく長い時間をもらえるんだ!」と驚くような感じになります。

ほとんどの人は、ひとつの話題を15秒で話す訓練をやった経験がありません。

逆にいえば、練習しさえすれば、短い期間で誰でもわかりやすい話し方ができるようになるのです。

■話が長い人は厄介者扱いされる時代

いまは多くの人が「時間がない」と感じて日常を過ごしているので、聞き手の時間がないなかで、相手にどう端的に伝えるかが、現代における「話のわかりやすさ」になります。

齋藤孝『人生を変える「超」会話力』(プレジデント社)
齋藤孝『人生を変える「超」会話力』(プレジデント社)

民俗学者である宮本常一さんの『忘れられた日本人』(岩波書店)にも記されていますが、かつての村の寄り合いなどでは、同じメンバーで一晩中話し合い、翌晩も翌々晩も集まって話すことがあたりまえでした。

毎晩ゆっくり話す時間があるわけですから、当然、話を端的にしたり、わかりやすくまとめたりする必要もありませんでした。

でも、いまの時代は出会う人の数が多いうえに、SNSなどを含めれば、いろいろなかたちで他人とかかわっています。そんな「時間がない」時代には、相手にとって的確な話を手短に伝えなければなりません。

この力を鍛えていないと、相手にとってストレスを与えてしまう、少々「具合の悪い」人になりかねません。

話が長くて止まらない人は、もうそれだけでちょっとやっかいな人だとみなされてしまう時代なのです。

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齋藤 孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。著書に『ネット断ち』(青春新書インテリジェンス)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)『新しい学力』(岩波新書)『日本語力と英語力』(中公新書ラクレ)『からだを揺さぶる英語入門』(角川書店)等がある。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務める。

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(明治大学文学部教授 齋藤 孝)

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