デジタルじゃダメ…「8割超の東大生の家にあった」意外なアナログ製品
プレジデントオンライン / 2022年1月4日 11時15分
※本稿は、『プレジデントFamily2022冬号』の記事の一部を再編集したものです。
■8割超の「東大生の家」にあったモノとは何か?
頭のいい子の代表的存在である東大生は、小学生時代どんな環境で勉強をしていたのだろうか? 現役東大生にアンケートを実施(※)し、「小学生時代どこで勉強していたか」や「勉強部屋にあった知育グッズ」「集中するためにしていた勉強スペースの工夫」を聞いた。※2021年3月に現役の東京大学の学生、大学院生249人にWEB形式のアンケートを実施。学部や学年は回答当時のもの。
その結果、東大生の半数以上が、自分の個室ではなくリビングで勉強していたことがわかった。リビング学習派が54.2%で、自室派は39.4%。リビングで勉強していた人は「親がいつも目の前にいたので、集中せざるをえなかった」と“親の目”が効果的だったと振り返る。
長男は東大に、次男は京大に現役合格、長女は高校からイギリスに留学した母学アカデミー学長の河村京子さんの家もリビング学習派だった。
「リビング学習には緊張感と安心感があります。親に見られているから、ちゃんとしなきゃと思うと同時に、見守られていることで心が落ち着くのです。息子たちが中学受験したときも、ダイニングテーブルで勉強していました。その隣で、親が新聞を読んだり、自分の勉強をしたりする姿も見せられるメリットがあります」
また、アンケートの回答に「食事用のテーブルには自分のものがなく気が散らなかった」とあったが、河村さんも「オモチャなどがないので、やるべきことに集中できる」とリビング学習のメリットをつけ加える。
勉強部屋にあったものを聞くと、勉強道具以外に地図や地球儀、国語辞典、百科事典などが多い。
河村さんが注目したのは、83.5%の東大生の自宅にはアナログ時計があったこと。「小学校低学年のうちはデジタル時計ではなく、アナログ時計を置くといい」と考えている。
「デジタル表示の時刻では『時間』の感覚がつかめない。子供が時計の針を見ながら、『あと10分でこの宿題を終わらせよう』などと意識して時間の感覚を身につけることが大事です。また、時計は15分をひとかたまりと考えると、4分の1が4つ集まると1になるというように、分数の勉強にも役立ちます」
同じように東大生の86.8%が飾っていたカレンダーも必需品だと河村さんは言う。
「子供は目先のことしか見えないもの。明日のことや1週間後のことなど先のことを考える力を養うためにも、月別のカレンダーを張っておくといいですよ」
もちろん、飾るだけではなく、時計やカレンダーを見ながら時間や月日について親子で会話することも効果的だ。
■雑音があるからこそ集中できる
現役東大生は小学生のとき、勉強部屋のインテリアをどう工夫していたのか? フリーアンサーをまとめたのが後述のリストだ。
最も多かった「スッキリ派」はものの配置にこだわり、「美しいと思えるように置く」「できる限り、机の上は何も置かない」などと徹底していた。
「収納工夫派」はテストやプリントをきれいにファイリング。「きちんと分類することが物事を俯瞰(ふかん)する能力にもつながるかもしれない」と自己分析している。
しかし、河村さんは自身の子育て経験から整理整頓には向き不向きがあるという。
「子供たちを見ていると整理整頓が好きなタイプとそうでないタイプがいるように思います。片付けが苦手な子に無理やりさせると、不要なストレスを与えかねません」と注意喚起する。
「環境整備派」の「机に向かったとき背後が気にならないようにする」という工夫は、河村家でも心がけていたこと。
「背後に人がいると落ち着かないですよね。ダイニングテーブルで勉強する際は必ず後ろが壁になるようにし、親が見えるようにしていました」
また、「人の目派」は、「リビングに机を置かせてもらい、人がいる中で勉強することで逆に集中できた」「いつでも(家族に)質問できるように」と自らリビング学習を希望していた。河村さんは前述のメリット以外にも、あえて人がいるところで勉強することには意味があるという。
「リビングはほかの家族の生活音がすると思いますが、雑音こそ大事なんです。入試本番の会場でも他の受験生が鉛筆を走らせる音などが響くので、普段から雑音があっても集中できるよう鍛えておいたほうがいいと思います」
リビング学習のデメリットを挙げるとするなら、子供が集中している横で大声で話したり、大きな音を立てて家事をしたりはしにくく、家族が気を使うという点。しかし、「マイナス面もありますが、小学生のうちは、リビング学習のメリットのほうが大きい」と河村さんは話す。
いずれにせよ「学習スペースづくりは、親が主導権を握れる低学年のうちに始めるといい」と河村さんは言う。高学年になったら、将来を見据えて何のために勉強するのか話し合い、子供自身が納得する形で環境をつくっていくことが重要だと河村さんは考える。
「そうでなければ“自立”の前に“自律”ができません。自分の目標を達成するため、勉強する環境も自分が心地いいようにコントロールできる子になってほしいですね」
■【東大生は小学生時代にどうやって部屋の工夫をしたのか】
頭のよくなる「8タイプの部屋」を全公開
(249人へのアンケートのフリーアンサーから抜粋)
▼色を統一したり 家具の位置を移動したり……環境整備派
・「青は集中力を上げると聞いたことがあったので文房具は青系のものにしていた」(経済学部2年生・県立金沢泉丘・男)
・「本を読んでサボらないよう本棚に布をかけていた」(法学部4年生・私立桜蔭・女)
・「ゲーム機などの遊び道具は視界に入れないこと。一度集中すれば何かの要因で切れない限りは集中力は持続する」(理科二類入学予定者・県立加治木・男)
・「動線上に勉強机を置き、ベッドに直行しないように配置を工夫していた」(法学部3年生・県立長岡・男)
・「机の背後にドアがあると背後が気になってしまいます。勉強への集中力をそぐ配置になっていないか確認しました。また広い空間が視野に入るようなレイアウトでした。背後を壁にして、部屋全体を見渡せるような配置にしたら、圧迫感がなく、勉強がはかどるようになりました」(法学部4年生・私立光塩女子学院・女)
▼最も多い意見でした……スッキリ派
・「できる限り、机の上は何も置かず、広々と教科書などが置けるようにしていた」(工学部4年生・県立旭丘・男)
・「本の配置。美しいと思えるように置く」(工学部2年生・都立青山・男)
▼ものの置き方を変えよう……収納工夫派
・「椅子を立たずにすべての勉強道具にありつけるようにしておいた」(文科二類1年生・県立土浦第一・男)
・「とにかく整理整頓が好きだったので、テストやプリントはきれいにファイリングして保管していました。見つけやすいし、きちんと分類することが物事を俯瞰する能力にもつながるかもしれません」(教育学部4年生・私立神戸女学院・女)
▼部屋の数に余裕があるなら……部屋2つ派
・「自分の部屋が2部屋あり、ひとつは本棚のある勉強部屋、もうひとつは遊ぶとき用の部屋でした。階も違うので勉強中に遊びたくなったりベッドで寝てしまったりしたことはありません」(経済学部4年生・私立光塩女子学院・女)
▼家族がいると緊張感あり……人の目派
・「リビングに机を置かせてもらい、人がいる中で勉強することで逆に集中できた」(理科一類2年生・私立女子学院・女)
・「いつでも質問できるように人がいるところで勉強していました」(法学部4年生・私立市川・女)
▼大事なものは張ってしまおう……掲示物派
・「勉強机の前に目標を大きく書いた紙を張って、椅子に座ったら必ず目に留まるようにしていた」(医学部2年生・私立洛南・女)
・「世界地図が壁に張ってあるといい」(文科一類1年生・テヘラン帰国子女学校・女)
▼便利な持ち物を取り入れる……アイテム派
・「A2サイズくらいで1cm厚くらいの板を用意して、書く必要があるものはそれを台にすることで、家のいろいろなところでゴロゴロしながら勉強していた」(理学部4年生・私立洛南・男)
・「長時間勉強しても苦にならないように、椅子の座面の座りやすさや、使用するシャーペンの持ちやすさや重みに気をつかっていた」(大学院・県立大和・女)
▼光の量で脳を活性化……採光重視派
・「太陽光がよく入る明るい部屋で勉強するのがいい」(文科二類1年生・県立大宮・男)
・「電気スタンドで手元を明るくしていた」(文科一類入学予定者・私立桜蔭・女)
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母学アカデミー学長
「20年後のリーダーを育てよう」をモットーにお母さんに子育てメソッドを伝授。学習塾も主宰し、幼稚園児から中学生までの指導も行っている。著書に『教えない子育て 正解のない時代に「実践できる子」を育てる』などがある。
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(母学アカデミー学長 河村 京子 文=小田慶子)
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