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株で資産3.6億円を築いたサラリーマンが教える「会社四季報」の正しい使い方

プレジデントオンライン / 2022年1月3日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/MangoStar_Studio

どうすれば株式投資で儲けられるのか。株式投資で3億円超の資産を築いたはっしゃんさんは「成長株を見きわめるには、決算書を読めばいい。ポイントを押さえれば1銘柄3分でジャッジできる」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、はっしゃん『株で資産3.6億円を築いたサラリーマン投資家が教える決算書「3分速読」からの“10倍株”の探し方』(KADOKAWA)の一部を再構成したものです。

■第6条「四季報予想と比べてどうか」

(第1回より続く)

前回(第1~5条まで)は、基礎編として決算短信1ページ目に記載されている数字の読み方を中心に見てきました。第6条からは応用編として、決算短信と関連して把握しておくべき情報を紹介します。

第5条で紹介した会社予想は保守的なことや楽観的なことも多いので、セカンドオピニオンとして他の予想もチェックすると参考になります。その代表が毎年4回発行される東洋経済新報社の『会社四季報』の二期予想です。

問題となるのは会社予想と四季報予想が違う場合ですが、四季報発売前後には織り込まれるため、株価にも影響を与えます。

ただし、必ずしも四季報の業績予想が当たるとは限らず、決算では逆の結果が出ることも少なくありません。どちらに転ぶか、自分で考えて判断することが大切です。

私の経験則では、自分が詳しく調べた銘柄ほど四季報予想より自分自身の予想が正しいことが多くなります。ただし、結果的に自分の予想が正しかった場合でも四季報予想が出ることで株価は(一時的にせよ)その方向へと動きます。

このように、四季報予想は株価にも影響を与えるため、発売時には多くの個人投資家がチェックする情報です。しかし、長期指向の成長株投資にとっては、決算短信ほど重要度が高いわけではありません。

■第7条「市場コンセンサスと比べてどうか」

市場のコンセンサス予想は、ネット証券の株式情報欄に例えば「レーザーテック」と打ち込んで、業績欄を確認すると、さまざまな株式アナリストの業績予想や目標株価の平均値(コンセンサス)を見ることができます。

これらはアナリストが評価を変えるたびに更新されるので、四季報のようなタイムラグはありませんが、銘柄によってカバー範囲がマチマチで、どちらかと言うと大手企業と比べ成長株はカバーされないことが多くなります。ただし、カバーされている場合は、四季報同様に影響を受けますので、チェックしておくとよいでしょう。

レーザーテックの2021 年6 月15 日時点のアナリストのコンセンサス予想は、会社予想を大きく上回っていました。会社予想とコンセンサス予想のかい離から、上方修正があるだろうなどと参考にすることもできますが、ほとんどの場合、開示されているコンセンサス予想は、発表直後に株価に織り込まれていて、サプライズとなるのはコンセンサス予想を超えた業績変化があった場合になります。

 トレーダー
写真=iStock.com/visualspace
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/visualspace

市場コンセンサスも四季報と同様に、会社予想の補足的な情報であり、長期指向の成長株投資では、決算短信ほど重要度が高いわけではありません。

■第8条「決算状況、差異事由などを確認」

ここまで、主に決算書の数字について解説してきましたが、成長株投資では、成長企業の特徴や強みを理解するための「定性分析」(数字ではなく業種・業態の有望性や経営者の資質、技術力、営業力など企業の質を分析すること)も重要になります。

決算短信には、会社の現状を知ることができる貴重な定性情報も掲載されています。

1~2ページ目の「サマリー(要約)」、3ページ目の目次に続き4ページ目に書かれている「当四半期決算に関する定性的情報」(本決算の場合は「経営成績等の概況」)がそれです。中でも「経営成績に関する説明(もしくは分析)」は、会社の経営状況が具体的に書かれていて、とても参考になります。

決算書の説明内容は、事実のみが記載されたシンプルなものであったり、強気で楽観的な見通しが書かれていたり、企業によって傾向が異なります。中には、株主にあまり情報開示しないスタンスの企業もありますが、情報開示姿勢と将来性、成長性は別物です。

実際、株主に媚びるような姿勢の企業が、結果で見ると背信的だったり、逆に株主など眼中にないような硬派な企業が実力で結果を示すこともあります。このような企業の傾向も把握しておくと役に立つでしょう。

■第9条「3年後の企業価値を予測する」

成長企業の基本的な考え方ですが、テンバガー候補の目安としては「3年で2倍」の伸びを基準とします。

ただし、3年で2倍、という数字はかなり厳しい基準ですので、該当する企業はわずかしかありません。3年で2倍ペースの成長を続ければ6年後に4倍、9年後には8倍となり、約10年後にテンバガーへ到達します。この「3年で2倍」基準を1年あたりで言うと、約25%の成長が必要となります。

成長株のテンバガー基準
●1年後 25%増
●3年後 2倍
●6年後 4倍
●9年後 8倍
●10年後 10倍

1年あたりの伸び率は、単純な直近の伸び率ではなく、時系列で考えます。例えば、

A社の伸び率:+40%→+35%→+30%→+25%
B社の伸び率:+5%→+10%→+15%→+20%

という2つの企業があれば、どちらが投資先として有望でしょうか。時系列に数字を見ると、たとえ現在の伸びが低くても、今後の伸びしろを考えた場合、B社のほうが有望だと考えられますよね。

現在より将来の伸びを重視するわけです。

■その成長銘柄はすでに割高ではないか

また、すでに25%成長に到達した企業の多くは成長企業として評価されており、市場でも人気化して割高であることが少なくありません。そこで、3年後の企業価値で考えて、

1.25%以上の売上・利益成長に到達していて、今後も成長持続が期待できる銘柄
2.25%以上に達していないが、これから成長が続けば到達が見込める銘柄

を時系列の流れも考慮して検討します。

 グラフ
写真=iStock.com/Paperkites
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Paperkites

1の銘柄には割高株が多く、成長倒れになったとき損失が大きくなるリスクがあり、2の銘柄は割安なものもありますが、成長が加速しなければ空振りに終わります。それぞれ一長一短がありますが、よい銘柄によいタイミングで投資できると、より大きなリターンが狙えるでしょう。

特に成長株投資で株価が高いところばかりで買って失敗している人は、ここを改めることで改善できると思います。

もう一つ将来の企業価値で考慮しておかないといけないのは、「絶対に約束された未来はない」という真理です。

分かりやすい例で言えば、2020年に「新型コロナショック」が発生していなければどうだったか。コロナさえなければと思う経営者もいるでしょうし、コロナのおかげで儲かったと内心思っている経営者もいるでしょう。

投資期間が長くなればなるほど、このようなパラダイムシフトが発生することも想定しなければなりません。「人事を尽くして天命を待つ」という割り切りも必要です。

■第10条「株価はどのように動いたか」

最終の第10条にあたるのが、株価がどのように動いたかです。決算結果がよかったとしても必ずしも株価が上昇するとは限りません。○を的中、×を外れとした場合、パターンはざっくり次の4通りになります。

 はっしゃん『株で資産3.6億円を築いたサラリーマン投資家が教える決算書「3分速読」からの“10倍株”の探し方』(KADOKAWA)
はっしゃん『株で資産3.6億円を築いたサラリーマン投資家が教える決算書「3分速読」からの“10倍株”の探し方』(KADOKAWA)
○業績予想 ○株価予想 最もよい

どちらも的中した場合が最もよいです。この勝ちパターンを高確率で再現できるように勝因を分析して、次につなげましょう。

○業績予想 ×株価予想 その次によい

株価予想だけ外れた場合は、なぜ市場評価が業績と連動していないのか、よく調べて考えてみましょう。

×業績予想 ×株価予想 よくないが反省すれば次につながる

どちらも外れた場合ですが、実はプロや中・上級レベルの投資家でも、企業経営者であっても普通にあることですから、恥じることはありません。失敗の要因を分析して、同じ失敗を繰り返さないように改善して次につなげましょう。

×業績予想 ○株価予想 運がよかっただけ

4つの組み合わせの中で、最も注意が必要なのが、業績予想だけ外れた「運がよかっただけ」というパターンです。一時的に資産を増やせても、投資スキルの向上をともなっていないと、いつか負けます。しかも、そのときに勘違いしてとったリスクに応じた負け方をしてしまいます。勝って慢心するのではなく「兜の緒を締めよ」ということです。

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はっしゃん 投資家、VTuber
サラリーマン時代に従業員持株会から投資を始め、投資歴は25年。決算分析・理論株価・四季報・月次情報などを武器に30代で資産1億円を達成。2019年、資産3億円を突破したあと、サラリーマンを卒業し、独立起業。「株ブログはっしゃんのスロートレード」や「成長株Watch」「月次Web」「理論株価Web」といった監修サイトは、数多くの個人投資家から愛用され累計PVは1億以上。また、近年ではTwitterやYouTubeなどのSNSでも投資に役立つ情報を発信中。

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(投資家、VTuber はっしゃん)

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