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日本の物価はじわじわ上がり続けている…「銀行預金だけの人」を襲う暗すぎる未来

プレジデントオンライン / 2022年1月12日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rattankun Thongbun

「お金は銀行に預けておけば安全」というのは本当だろうか。ファイナンシャルプランナーの大西真人さんは「今はかつてないほどの低金利が続いており、一方で物価はじわじわと上がっている。銀行預金が安全とはいえない」という――。

※本稿は、大西真人『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■普通預金が倍になるまで「7万2000年」かかる

率直に言いましょう。

銀行が安全だというのは全くの幻想です。皆さんもご存じかと思いますが、今、銀行にお金を預けてもちっとも増えません。

理由は「かつてないほどの低金利が続いているから」。2021年11月1日現在のみずほ銀行の普通預金金利は年0.001%。100万円を1年間預け入れしても10円しか利息がつきません。

普通預金よりは利率のいいスーパー定期に預け入れたとしても年0.002%です。

こう言われても今一つピンと来ないかもしれませんね。ご説明の仕方を変えましょう。

金利が高いか低いかを実感しやすい方法に、「72の法則」というものがあります。

72を利率で割ると、元金が倍になるまで何年かかるかがわかるというものです。実際に数字を入れて計算してみましょう。

①普通預金・金利0.001%の場合
72÷0.001=7万2000

②定期預金・金利0.002%の場合
72÷0.002=3万6000

普通預金だと100万円に利息がついて倍の200万円になるまでに7万2000年、定期預金ですら3万6000年という途方もない時間がかかるというわけです。

■金利が高い時代は預貯金だけでまとまったお金がつくれた

今でこそこんなですが、日本にも金利が高い時代はありました。例えば、郵便局の人気商品である10年もの定額貯金の利回りは、1980年度に最大12%の利回りでした。倍になるのに何年かかるのか、計算してみましょう。

定額貯金(10年もの)・金利12%の場合
72÷12=6

1980年以降、最も高い利率12%で運用できた時代には、預け入れた100万円が倍になるまでにたったの6年しかかからなかったのです!

現在の定期預金なら3万6000年かかるのですから、その差3万5994年。低金利に甘んじているのがいかにもったいないか、おわかりいただけたことでしょう。私たちはかつてないほど低金利の時代に生きているのです。

銀行預金の金利が高かった時代にはお金の増えるスピードが速かったので、預貯金だけでまとまったお金をつくることができました。でも今はもうそんな時代ではありません。

こんな時代にあってみすみす銀行にお金を寝かせておくのは、本当にもったいないことです。

もっと金利の高い金融商品を活用すれば、大きく増やせるかもしれないのです。わざわざ金利の低い銀行に預けっぱなしというのは、機会損失というリスクを自ら負いに行っているようなものです。

その意味で、銀行にお金を預けっぱなしにするのは、全く安全ではありません。

■「物価が上がらないのが普通」という思い込み

お金の価値は一定ではない、って知っていますか?

昭和30年代生まれの知り合いは、小学生のときそれを身をもって感じたそうです。

なんでもそのころ、おばあちゃんに300円もらって、100円のお菓子を3つ買うのを楽しみにしていたそうなんです。ところがあるとき、100円のお菓子が150円に値上がりしていて、2つしか買えなくなったのだとか。

皆さんも聞いたことがあるかもしれません。1973年に起こった第一次オイルショック(第四次中東戦争をきっかけに原油の供給がひっ迫して原油価格が高騰したことによる混乱)が全世界を襲い、ものの価格が一気に上がったときのことです。

100円で買えたものが150円出さないと買えなくなったのですから、ものの価値が上がってお金の価値が下がった、ということになります。

このように物価が上がりお金の価値が下がる現象をインフレといいます。日本ではバブル経済の崩壊以降、長く経済が低迷しインフレが起こっていませんでした。物価も30年くらい上がっていなかったんです。だから私たちはどこかで「物価が上がらないのが普通」と思い込んでしまっています。

■日本の物価はじわじわ上がり続けている

でもこれ、大間違いなんです。実は、物価は上がるのが「普通」。物価が上がらない方が「異常」なのです。

長いこと日本で物価が上がらなかったのは、経済成長をしていなかったからです。実際、日本以外の先進国は、毎年、スーパーの値札が変わっています。例えばアメリカは毎年2%以上の経済成長をしているので、毎年、ものの値段が上がっていますよ。

インフレ
写真=iStock.com/Bet_Noire
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Bet_Noire

「でも、日本ではインフレは起こらないでしょ?」と思っていませんか?

物価の上がらなかった日本ですが、実はここ数年、じわじわと上がってきています。

例えば大手製菓メーカーのお菓子の中には、値段は以前と変わらないけれども、原材料の価格上昇により中身の量が減っているものが多くあります。

小麦粉やバターなども同様です。金額自体があまり変わらないので気づきにくいですが、同じ価格で量が減っているのですから、実質的な値上げが行われているわけです。

皆さんも実感としてあるのではないでしょうか。25年くらい前はコンビニのカップアイスが1つ100円くらいで買えていたのに、現在では同じアイスが130円くらいかかり1.3倍になっています。

■銀行預金はインフレになると価値が下がる

また、今のところ一番はっきりとわかるのは不動産の取引価格の上昇でしょう。不動産関係者に聞いて驚いたのですが、2020年のコロナ禍以降、不動産のような高額なものは売れないだろうと思いきや、都心のタワーマンションの売れ行きは絶好調でどんどん値上がりしているそうです。

大西真人『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』(SBクリエイティブ)
大西真人『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』(SBクリエイティブ)

首都圏近郊の土地の価格も同様です。知り合いに都心から1時間近く離れた住宅地を相続した人がいるのですが、2021年に売却したところ、2019年に査定してもらったときの価格の1.5倍の価格で売れたそうです。

さて、銀行に預け入れたお金は、減ることはありませんが、微々たる利息がプラスされる以外、増えることもありません。

つまり、銀行預金はインフレになると価値が下がるということなんです。これが銀行預金が安全とはいえない2つ目の理由です。あなたの大切なお金を銀行に預けっぱなしにしていたら、本当にそのお金が必要になったときに価値が下がっているかもしれないのです。

たとえ2000万円の預貯金がつくれたとしても、30年後に「さあ、使おう」と思ったときにものの値段が上がっていて、実質的な価値は2分の1とか3分の1、あるいはそれ以下になっているかもしれません。

どうですか? それでも「銀行預金が安全」と言えますか?

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大西 真人(おおにし・まさと)
ファイナンシャルプランナー
クレジットカードアドバイザー。赤坂ファイナンシャル代表取締役社長。プルデンシャル生命保険株式会社から独立し現職。大きなリスクを取らず着実な資産運用(長期投資)により資金問題解決を目指す。これまで3000人以上をコンサルティングしてきた。テレビ朝日「グッドモーニング」など各種メディアへの執筆・講演も多数。「金融を日本一分かりやすく身近に」がモットーの資産運用初心者向けYouTubeチャンネル「まさとFP」は現在登録者6.4万人を超える。

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(ファイナンシャルプランナー 大西 真人)

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