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「何が何でもわが子を医学部へ」"会社員家庭"が最大学費4000万台の私大に進ませるために飲む"絶対条件"

プレジデントオンライン / 2022年1月12日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

「会社員家庭」の子供が医学部へ進学するケースは最近珍しくない。ただ、合格を目指す子供も大変だが、お金を工面する親も大変だ。国公立大の学費は6年間で計324万円だが、地方の大学の場合、家賃や仕送りがかかる。一方、首都圏中心の私大は学費が2000万~4000万円台。予備校代も、高校3年間で200万円、浪人生なら年100万~400万円かかる。「プレデントFamily」編集部がFPの藤川太氏にお金の捻出法を聞いた――。

※本稿は、『プレジデントFamilyムック 医学部進学大百科 2022完全保存版』の一部を再編集したものです。

■大きな出費は学費だけじゃない! 予備校代は高校3年間で200万円

2020年から、医学部の人気が復活の兆しを見せている。それに伴い、わが子を医学部に進学させるにあたっての相談も増加傾向にあるそうだ。

「家計の見直し相談センター」の代表である藤川太氏は医学部への進学費用について次のように語る。

「わが子の医学部受験に関する相談には、大きく分けて2パターンあります。一つは開業医の家庭で、子供が小さいうちから“この子の進学費用を用意したい”というパターン。もう一つは、子供が高校生くらいになって、医学部に行きたいと言い出したパターンです。後者の場合、貯める期間が短いため、資金準備が大変になります」

藤川氏によると、医学部を目指す場合、必要となる費用が多岐にわたるという。

「まず、入るまでにかかるお金です。私立中高に通っていれば、年間100万円近くの学費がかかります。そこに加えて予備校代が上乗せになります。大手予備校に通い、現役で受かってくれれば高校3年間で200万円程度で済みますが、浪人をした場合、さらに年間100万円かかります」

医学部専門予備校に通えば、現役で年間200万円以上、浪人なら年間400万円以上の学費が必要だ。

「予備校は“一年でも早く合格すれば、医師として働く年数が1年長くなる。トータルで見れば、浪人でお金を使ってもプラスになる”といった言い方をするかもしれません。確かに数十年単位の長い目で見れば回収できるかもしれませんが、親が現時点で高額な予備校代を負担するという大変さは変わりません」

■国公立大医学部の学費は年54万円だが、地方なら家賃や仕送り費負担

次に医学部入学後のお金だ。

「国公立大の場合、授業料は一律で年間約54万円です。これだけだと大きな負担には見えないかもしれませんが、地元の大学に進学できない可能性も考えられます。その場合、家賃や生活費などを仕送りしなくてはなりません」

全国大学生活協同組合連合会の調査によると、1人暮らしの学生への平均仕送り額は月額約7万円。実習でアルバイトなどができないといった状況になれば、さらに必要になる。

近年は国公立大と私立大を併願するパターンも増えている。地方の私立大でも東京や大阪などの都心部で受験できるほか、学費の値下げなども影響しているようだ。

「以前は子供を私立に通わせるご家庭というのは、開業医の方や、よほど生活に余裕のある方ばかりでした。しかし、最近は会社員家庭の方が増えてきているという印象です」

一口に私立大といっても、学費に大きな差がある。会社員家庭が学費を工面して通わせられるのは、学費2000万円台の大学までだという。

「一番安い国際医療福祉大、順天堂大、慶應義塾大などであれば、6年間で2000万円程度。それ以外にも、地域枠など奨学金制度を使えば、年間200万円ほどで通える大学はいくつかあります。仕送りをしながら地方の国公立大に通わせるくらいなら、自宅から2000万円程度の私立大に通わせるという選択をする家庭もあります」

『プレジデントFamilyムック 医学部進学大百科 2022完全保存版』
『プレジデントFamilyムック 医学部進学大百科 2022完全保存版』。本稿では省略した、「医学部入学後にかかるお金」「お金を捻出しやすい4手法」「借りておくべき3つのお金」「格安、無償で卒業できる公設大学」「格安で私立医大に行ける奨学金」などのリストを掲載

一方、学費が高い東京女子医科大や川崎医科大は4500万円以上となっている。

「学費が3000万円ほどの大学に通わせる場合、世帯年収で1500万円程度が必要でしょう。額面1500万円から税金等が引かれ、手取り1100万円。そこから500万円の学費を払い、残った600万円で生活をするというイメージです。苦しい生活というわけではありませんが、受け取った年収の半分以下で生活することになります」

3000万円以上の学費がかかる学校に通わせるのは、開業医であっても苦しいと藤川氏は言う。

「子供が2人以上いる場合、全員を私立大に行かせるのは辛い。“できれば国公立大に行け”と言わざるをえません。開業医の方はそのあたりの事情をよく知っているため、子供が小さいうちから相談に来ますね」

■低家賃物件へ引っ越し、保険・家計見直し…聖域なき資金準備づくり

わが子がすでに高校生で進学費用が足りないという場合、聖域を設けずに支出を削るべきだと藤川氏。

「お子さんが18歳だと、親御さんは50歳くらいでしょう。この年代は住宅ローンを払い、教育費もかけて、老後の備えも必要という状況ですから、そもそも貯蓄が少ないのです。お子さんを医学部に行かせたいと思うのであれば、家計の見直しは早ければ早いに越したことはありません」

まず、見直すべきは額の大きい住宅費だ。

「賃貸であれば家賃が低い物件に引っ越す、持ち家であれば、安い物件に買い替えるというくらい大胆な判断が必要です。学費を用意するには、何より手元に現金を持っておくことが大事になってきます。住宅ローンの繰り上げ返済なども避けましょう」

引っ越しの段ボールを運ぶ男性の手元
写真=iStock.com/Ridofranz
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ridofranz

また、保険の見直しも優先度が高い。特に所得が高いほど貯蓄性の高い保険に多額のお金をかけているケースが多いそうだ。

「多くの場合、途中で解約すると元本割れをしてしまうので、できれば入りすぎないこと。学費を捻出するためには、解約のほか、解約返戻金を担保にお金を借りる契約者貸付の活用も検討してください」

そのほか、車や時計、宝飾品などのぜいたく品も手放す覚悟が必要になるそうだ。

■使える制度はすべて使う、最後は祖父母に頭を下げる

「学費捻出のために、母親が専業主婦であれば共働きをするのも効果が大きいですね。パートでも年間100万円程度の収入になります」(藤川氏、以下同)

これでも足りない場合活用したいのが、大学や自治体などの奨学金や教育ローンだ。

「奨学金は、日本学生支援機構による貸与型の奨学金がもっとも一般的です。それに加え、私立大医学部では大学独自の特待制度や奨学金制度を設けているので、ぜひ上手に活用してほしいですね。ただ、大学独自の奨学金は成績優秀者限定で枠が非常に少ない。毎年医学部内の成績優秀者で居続けるのは、かなり難しいため、最初から当てにするのはリスクが大きいかもしれません」

また、「地域枠」と呼ばれる、学校や地域を限定した奨学金の制度もある。自治体や大学によって詳細は異なるが、卒業後に一定期間(初期臨床研修を含む9年間)の従事義務を全うすることで、返還の義務が免除されるものもある。

「6年間にわたり月額10万〜30万円貸与されます。国公立大であれば、仕送りなしで卒業できることもあります。私立大医学部の学費を工面するにも、ありがたい制度だと言えます」

奨学金以外の資金としては、金融機関などの教育ローンもある。

「奨学金は子供が借りるものですが、教育ローンは親の借金です。老後資金を準備する前に、負債を負うということなので、利用については慎重に検討してください」

だるまに目を入れる
※写真はイメージです(写真=iStock.com/show999)

教育ローンには、国が行っている日本政策金融公庫のほか、各金融機関の教育ローンがある。特に、国の教育ローンは大学入学前に借りることができ、医学部の場合は450万円が上限となるため、いちばん物入りとなる入学資金に充てることも可能だ。返済期間も15年と長く、金利も低め。収入や子供の数といった家庭環境に応じた優遇措置もあるため、ローンの中でも利用しやすい。

「これらの方法に加えて検討してほしいのが、祖父母からの援助です。祖父母は自分の孫を積極的に援助したいと考える傾向にあります」

援助をお願いする際に、もっとも大切なのは「医師になりたい」という子供の強い気持ちだという。

「子供自身がきちんとした身なりをして、直接出向いて“医師になるためにお金を出してほしい”と頭を下げることが大事です」

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藤川 太(ふじかわ・ふとし)
ファイナンシャルプランナー
生活デザイン代表取締役社長。2001年に家計の見直し相談センターを設立以来、3万世帯を超える家計診断を行ってきた。『やっぱりサラリーマンは2度破産する』など著書多数。

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(ファイナンシャルプランナー 藤川 太 文=相川いずみ)

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