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「ツイッター民には理解できない」若者がTikTokにハマってしまう本当の理由

プレジデントオンライン / 2022年1月13日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wachiwit

世界で30億ダウンロードを突破したTikTok。なぜこれほど人気を集めているのか。インフルエンサー・マーケティングを行う若井映亮氏は「TikTokの本当のすごさは、フォロワー数が少なくてもバズが生まれるレコメンドシステムにある。TwitterやInstagramにはない、“おすすめ”フィードは革命的だ」という――。

※本稿は、若井映亮『ショートムービー・マーケティング TikTokが変えた打ち手の新常識』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■フォロワー0でもバズが起きるレコメンドシステム

TwitterやInstagramを見るとき、多くの人はフォローしている人の投稿を主にチェックしています。また、それ以外の投稿を見るときも、Twitterでは気になるトピックを検索してフォローしたり、フォローしている人が「いいね!」「リツイート」した投稿を見ますし、Instagamでも基本的には検索して表示されたものを見るのが一般的です。Instagramにはトレンドページ、YouTubeには関連動画や急上昇等のレコメンドもありますが、それがメインのユーザー体験には据えられていません。

それに対して2017年にリリースされたTikTokは、革命的なレコメンドシステムを浸透させました。それが「おすすめ」フィードです。

AIによって視聴者ごとに完全にパーソナライズされたフィードが、世界を一歩前進させました。

■AIによって「選ぶ」行程が極端に減っていく

僕はTORIHADA(トリハダ)を創業する前、サイバーエージェントでアドテクノロジーを学びましたが、そのときよく話されていたことが、「スマホのホームはAIによって日々パーソナライズされたレコメンドになる」ということでした。

つまり、AIは私たちの「選ぶ」という工程を極めて減らしていくはずで、TikTokはそれを動画プラットフォームとして実現しました。

これは、「ソーシャルネットワーク2.0」と言ってもいい変化だと考えています。フォロワーがいなくても、バズが生めるようになったのです。

SNSの概念
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

■TikTokのメリットは圧倒的な「拡散力」

TikTokのレコメンドシステムはフォローの有無に関わらず、プラットフォーム独自のレコメンドシステムやAIによってさまざまな投稿がユーザーごとに最適化され、「おすすめ」フィードに表示されます。それを縦にスワイプしていくと、レコメンドされた動画が自動再生される仕組みになっています。

確かに、「フォロー」しているユーザーのコンテンツが見られるフィードもありますが、ほとんどのコンテンツが、「おすすめ」フィードからの視聴となっています。

例えば、Instagramの場合、フォロワーが10万人いたとしたら、そのおよそ半分の5万〜6万人の人に投稿が見られると言われています。拡散するためにハッシュタグをたくさんつけて検索にかかりやすくしても、フォロワー数以上の人に見られることは実は滅多にありません。

ですが、TikTokはフォロワーが同じ10万人だったとしても、レコメンドシステムで高く評価される動画であったら「おすすめ」フィードに載って拡散され、フォロワー数以上の100万回再生以上されることもあります。

確かにTwitterには、リツイートすることでフォロー外の人にも投稿が拡散される機能があり、稀に予想を超えるバズり方をするものもありますが、TikTokの場合はリツイートという他者の協力がなくても「おすすめ」フィードで常に広まっていくので、他のプラットフォームに比べて非常に拡散率が高いと言えます。

また、「認知」に影響を与えるために、ユーザーの態度がテレビを視聴しているときのように、受動的であるということもポイントです。

主体的に情報を取りに行っているときに新しいコンテンツや広告などの情報を見ても、目的があるため素通りすることが多くなりますが、多用なコンテンツを受動的に視聴しているTikTokユーザーはさまざまな情報に前向きであると言えます。

にもかかわらず、インターネット広告予算やインフルエンサーマーケティングの市場規模におけるTikTokのマーケットシェアはまだまだ小さく、伸びしろの大きいマーケットとなっています。

■今から始めるのに適したプラットフォーム

さらに、拡散率が高いということは、フォロワーが少ない段階からでも一定の効果が見込めるということになります。

現在、自社のTwitterアカウントやInstagramアカウントを持っている企業は多く、その中で他社との差別化を図りながらフォロワーを増やすのは、至難の業だと言ってもいいでしょう。

一方、TikTokはまだまだアカウントを持っている企業が少ないブルーオーシャンです。しかも、ユーザーが面白いと感じるコンテンツ作りに注力できれば、「おすすめ」フィードによってフォロワー0からでも一気に伸ばせる可能性もあるため、これからSNSマーケティングを始めるには、非常に適したプラットフォームと言えるのです。

ちなみに、Instagramも通常フィードを「おすすめ」フィードに変える検証を行っていると一部のメディアに報道されています。フォローや友達などのソーシャルグラフを中心とするフィードから、AIを活用した「おすすめ」フィードというのはもはやTikTokだけではなく、広い世の中のトレンドとなっていきそうな様相を呈しているのです。

■ダウンロード数に表れた驚異的な急成長

ではここで、改めてTikTokとは何かについてご紹介します。

TikTokとは、15秒〜3分のショートムービーを撮影・編集・投稿・閲覧できるショートムービープラットフォームで、ライブ配信にも対応しています。

日本では2018年から爆発的な流行を見せ、同年の新語・流行語大賞にノミネート。さらに、日本のApp Storeで配信されている無料アプリの2018年ダウンロード数ランキング第1位を獲得しました。

このTikTokの急激な成長は驚異的なスピードと言えます。

具体的な数字を示すと、1億人のユーザーに達するまでの期間がFacebookやInstagramなどほかのプラットフォームと比べておよそ半分でした。さらに、その勢いは止まることなく、現在ではFacebook社製のアプリ以外では初となる30億ダウンロードを突破、MAU(月間アクティブユーザー数)10億人を超えるサービスに成長しています。

■「おすすめ」フィードという革命

このようにTikTokが急成長を遂げた要因はいくつか考えられますが、最も大きな理由としては、やはり先ほど説明した「おすすめ」フィードの存在です。

この「おすすめ」フィードはフォローの有無に関わらずバラエティ豊かな動画が流れると先ほど説明しましたが、あまりにも自分の興味とかけ離れた内容のコンテンツばかりが流れたら、ユーザーは自然と離れていってしまうでしょう。

その点において、TikTokの「おすすめ」フィードに用いられているレコメンドシステムは非常に優秀で、ユーザーの視聴履歴などから、そのユーザーが興味のあるコンテンツをしっかりと予測し、その範囲を大きくずれることなくバラエティ豊かなコンテンツを見事にパーソナライズして配信します。

■ユーザーは新たなコンテンツに出会いシェアをする

この「おすすめ」フィードは、新しいコンテンツとの出会いを創出します。

かつてテレビで音楽番組を見ていたとき、お目当ての人とは違う歌手の楽曲に初めて触れて、「こんなにいい歌があったんだ」と驚いた経験はないでしょうか。人は予期せぬ出会いに喜びを感じるところがありますが、TikTokの「おすすめ」フィードは、まさにそうした出会いが生まれやすくなっています。

そして、予期せぬいい出会いはユーザーの興味を広げます。例えば、TwitterやInstagramでフォローしている人だけの投稿をずっと見ていたら、フォローしている人への理解度は深まるかもしれませんが、興味の幅が横に広がることはそう多くありません。ですが、TikTokなら一定のユーザーへの理解を深めつつ、興味範囲自体も拡大していくのです。

若井映亮『ショートムービー・マーケティング TikTokが変えた打ち手の新常識』(KADOKAWA)
若井映亮『ショートムービー・マーケティング TikTokが変えた打ち手の新常識』(KADOKAWA)

また、テレビの音楽番組で新たなアーティストを発見したとき、翌日の学校で「昨日のあれ見た? すごくいい歌見つけちゃった」という会話をしていたように、TikTokで面白いコンテンツを見つけたらそれを人に紹介したいと考える人も多いのではないでしょうか。

もっとも、今では翌日の学校まで待つ必要はなく、LINEで友達に連絡したり、その場でSNSに投稿すれば情報は一気に世界中に広がります。実際、TikTokコンテンツは他プラットフォームでシェアされやすいという特徴もあります。

そうした動きをもたらす「おすすめ」フィードがあるからこそ、TikTokの拡散力は非常に高くなっています。

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若井 映亮(わかい・えいすけ)
TORIHADA COO
1989年、東京都生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントでアドテク事業の責任者を経験。2017年10月にTORIHADAを取締役COOとして共同創業。TikTokでインフルエンサーマーケティングを推進する。2020年4月には、TikTok公認MCNのPPP STUDIOを設立。200名のクリエイターを抱える日本最大規模の事務所としてマネージメントを行う。自身もフォロワー5万人を超えるクリエイターの一人。

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(TORIHADA COO 若井 映亮)

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