「自分は眼も見える、手も動く」27歳で脳腫瘍再発し半身不随、闘病後に他界…慶應体育会出身会社員の生き様
プレジデントオンライン / 2022年1月24日 11時15分
※本稿は、松尾一也『50代から実る人、枯れる人』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
■80歳くらいの最終的な着地点にそう大きな差はない
枯れる人=焦ってレースをあきらめてしまう
50代にもなると、自分が人よりかなり置いて行かれていると感じる局面が増えてきます。
あの人と自分では評価がこんなにも違うのか。収入もかなり違う。住んでいるところもこれほど違う……。いわゆる周回遅れの状態です。焦る気持ちもわかります。そんな思いにとらわれた時は、深呼吸をしながら、アメリカの神学者ニーバーが作ったとされる「ニーバーの祈り」の言葉をたどってみましょう。
「神よ、変えることの出来ない事柄については、
それをそのまま受け入れる平静さを、
変えることの出来る事柄については、それを変える勇気を、
そして、この二つの違いを見定める叡智を、私にお与えください」
私達はつい自分で変えられることを放置して、実際は変えられない社会システムや他人の評価に絶望して人生レースを降りてしまいます。そろそろ自分の力で変えられるものと、変えられないものの区別ができる大人になりたいものです。
面白いことに、長~い目で見ると、学歴がスゴイ人、大手企業にいる人、デカイ家に住んでいる人、すごく本が売れた人、巨万の富を得ている人、それぞれ80歳くらいの最終的な着地点にそう大きな差はないようです。
私が仕事をご一緒した著名な講師も、晩年はみんな「チョボチョボ(失礼)」という印象です。焦らず、威張らず、腐らず、一歩一歩、前進していきましょう。
■25歳で脳腫瘍になった慶應大アメフト部出身の会社員の生き様
枯れる人=思考、感情、言葉、行動をマネジメントできない
私が講演や研修の最後にお伝えしているのが「リフレーミング」です。
元々は心理療法などで活用されていますが、まさにフレームを再設定(リ・フレーム)するイメージです。ものの見方や視点を変える重要なスキルです。
特に50歳を過ぎたら「リフレーミング」で平安な心を手にいれることをオススメします。本来、我々が自分で変えられるものは思考、感情、言葉、行動の4つです。
ある出来事が起これば、思考が働き、湧き上がる感情に左右され、使う言葉が口から飛び出し、それに伴った行動を起こすことになります。これを、認知を変え、意味づけを変えることで、思考と感情から整えてマネジメントするのです。
私自身も、先日こんなことがありました。
ある日、交通安全祈願で有名なお寺に参拝した帰り道のことです。自分の車を車庫に入れていると、普段はなにもない場所に誰かが看板を置いていて、気づかずに車をこすってしまったのです。
私の思考と感情は、
「なんてこと! 交通安全の祈願をしたのにすぐに車を傷つけるなんて……」
「誰がこんなところに看板を置いたんだ!」
と怒りの感情がわいて荒れ出します。
ところが、ここでリフレーミングを意識し、活用すると、
「交通安全祈願のお陰で最小限のトラブルで済んだのかもしれない」
「ここに看板を置いた人も悪気はないし、自分も不注意だったよ」
というように自分の心の中で整えられるのです。
「これで済んで良かった、良かった」と言葉にしてみると、夜になって風呂に入る頃にはすっかり忘れていました。日々、こんなリフレーミングの繰り返しです。
また、リフレーミングは、人に希望を与えることもあります。私が心から敬服しているある男性は、アメリカンフットボールの元選手で、慶應義塾大学理工学部を卒業後は社会人として活躍していました。
![アメリカンフットボール](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/b/670/img_0ba25b8d6860c70ad15750f86b25d57e1007648.jpg)
ところが25歳の時、脳腫瘍を発症。その後、治療して一度は完治し、しばらくは仕事を続けていたものの、27歳の冬の日、再発による痛みで転倒し、自分一人で救急車を呼んで入院しました。その日から半身不随となってしまいます。
しかし、そんな中でも彼は、
「失ったものより、今あるものを大切に」
「自分は眼も見える、手も動く」
と自分を励まし、また、年が明けた正月には、
「越えられない試練はない」
「今年を最も輝く年に!」と言っていたそうです。
彼は残念ながらその年の3月に家族に囲まれて亡くなりました。
しかし、常人ならば絶望に押しつぶされてしまう状況でも、一筋の光を見つめながら希望の中で強く生きたのです。
こんな素敵な青年が早世してしまった深い悲しみがこみあげてきます。人間はこんなに希望を見つけられる存在なのかと、ただただ畏敬の念を覚えるのみです。
リフレーミングが世界の景色を変えます。
「人はみな心のほどの世を渡る」といいます。すべての思考、感情、言葉、行動は自分が決める。50代は日々リフレーミング三昧で実をならせましょう。
■“エナジーギバー”から元気泥棒させてもらう
枯れる人=心の充電が苦手
だんだん飲み会やセミナーに出るのもおっくうになってくるものです。
できれば欠席したい、参加費もバカにならないし、面倒くさいという気分もわかります。しかし、よく見ると元気、健康的、いいエネルギーを発している人がその中に一人や二人はいるものです(ただ賑やかで、ガンガン、イケイケの人ではありませんよ。落ち着いているけどなにか温かい雰囲気を発している人です)。
![松尾一也『50代から実る人、枯れる人』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/4/200/img_24f10dda3b3608733e134da544b2376e224142.jpg)
そんな、「エナジーギバー」の人からまさに携帯電話の充電のように、見えないエネルギーを分けてもらいましょう。
私にも、会うと元気になる友人がいます。いつも明るく前向きでいい影響を与えられます。そして、色々なアイデアや面白い話を聞かせてくれて、会った後は、気がつけばなんとなく元気になっています。
この友人もさすがに落ち込んだり、悩んでいる時もあります。この時はこの時で「ああ、こんな人でも行き詰まるんだ」となぜか勇気をもらえるから不思議です。
また個人に限らず、音楽のライブや、歌舞伎、落語、お芝居なんかからも元気のモトを浴びることが多いですね。泥棒という表現はあまりよくないかもしれませんが、元気のモトをみつけたら迷わず、それに触れてチャージしてしまいましょう。
世界的デザイナーのコシノヒロコさんともお食事やカラオケをご一緒しますが、口ぐせの「これからやでぇ!」との言葉を聴くと勇気が湧いてきます。とにかく、我々はエネルギー体なのです。波動の交換をしています。エネルギーが枯渇した状態で生きていると、精神的にも肉体的にも病(や)んでしまいます。
植物が光合成をするように、光を見つけて、浴びて元気になりましょう。明るいオーラに人・金・情報は集まるものです。
■絶望の淵でも生きるエネルギー、小さな希望を見つける
枯れる人=フリーズしている
小さな元気があれば生きていけると知ることが50代を楽にさせます。人間学を34年間探求してきて、ひとつ処世術を答えなさいと問われたら「どんな時も、どんなところでも小さな希望を見つけられる能力を育むこと」と伝えます。
かのロシア文学の巨匠ドストエフスキーも、思想犯として死刑判決、その後シベリアへ流刑にされましたが、その獄中で「人は慣れる生き物である」と記しています。
つまりどんな絶望の淵においても、そこで生きるエネルギー、小さな希望を手にするということだと思います。
そんな過酷な世界には及びませんが、平和な日本に暮らす我々でも落ち込み、悩んだ時に小さな希望を見つける工夫は大事です。
幸い監獄にいるわけではない、自由な私たちが小さな元気を取り戻すのにオススメな習慣をいくつかご紹介します。
・カフェに一杯のコーヒーを飲みに行く
・評判の定食屋へサバ味噌定食を食べに行く
・近くの公園に散歩(ウォーキング)に行く
・野球場・サッカー場に贔屓チームを応援に行く
・センベロ(千円あればベロベロに酔える)エリアへもつ焼きを食べに行く
こんなささいなイベントが、枯れかけている心に水を与えてくれます。小さな種をまき続ける人が、やがて人生の実りを手にする人です。小さな行動変容の繰り返しが、自分再生につながっていきます。
![ホットコーヒーの入っているカップを持つ手](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/d/5/670/img_d56255692843db16604738771afefb74405661.jpg)
とにかく50代はマメに動いて、心の灯台を見つけましょう!
(ルネッサンス・アイズ代表取締役会長 松尾 一也)
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