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この20年で「離婚したい理由ベスト3」が激変…男たちが夫婦関係で悩んでいること

プレジデントオンライン / 2022年1月25日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

■離婚件数は減っても、離婚する割合は増えている

最新の2020年人口動態調査によれば、離婚数は19万3253件。1995年以来久しぶりに20万件を割り込みましたが、それはそもそも婚姻の絶対数が減っているからであり、決して離婚が減少基調にあるということではありません。離婚を婚姻数で割り戻した、いわゆる特殊離婚率は37%と、むしろ2019年より増えています。

特殊離婚率は指標として正しくないという論者もいますが、私はそうは思いません。2000年以降の累計で見ても、この20年間で約1432万組が結婚し、約511万組が離婚しています。実際、35.7%の結婚が壊れていることになります。まさに、「3組に1組は離婚している」のです。

では、離婚の原因とはなんでしょうか?

離婚の多くは協議離婚なので、正確な資料はありませんが、司法統計から、協議離婚以外の離婚申し立て理由を見てみると、男女合わせた総数では「性格の不一致」が1位になります。芸能人などの離婚会見でもよく使われる、いわゆる「あたりさわりのない理由」です。もちろん、本当に「性格の不一致」が原因の夫婦もいるかと思いますが、より詳細に見ていくとより実態が明らかになります。

司法統計では、離婚申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で集計しています。それに基づき、夫と妻それぞれの離婚理由を分類して作成したグラフを見てみましょう。経年の違いも見るために、2000年と2020年の実績を比べてみることにします。

まずは、20年前の2000年の状況をおさらいしておきましょう。

夫婦別離婚申し立て理由<2000年>

■妻の理由は「性格の不一致」から「金銭問題」へ

夫妻ともに1位は「性格の不一致」ですが、夫の63%に対し妻は46%と夫婦間では大きく差があります。しかも、夫側の離婚理由の2位は「異性関係(いわゆる不倫や浮気問題)」の19%、3位「家族との人間関係」の18%と、1位と比べて割合が少なくなっています。一方で妻側の理由は、2位が「金銭的問題」で39%もあり、1位の46%とほぼ差がありません。「金銭的問題」とは「夫が働かない・浪費する」といった問題です。3位には「身体的暴力」が31%となっています。

これを見ると、20年前は、夫の離婚理由は「性格の不一致」一極集中で、全体的にふわっとしていますが、妻の離婚原因は「金と暴力」という問題が大きかったことが分かります。

続いて、その20年後の2020年のデータを見てみましょう。20年前と大きく様変わりしています。夫の1位が「性格の不一致」である点は一緒ですが、妻側の離婚理由の1位は、「性格の不一致」の38%を逆転して「金銭問題」が40%と1位になっています。さらに、妻側理由の3位は「精神的虐待」が25%となり、20年前に3位だった「身体的暴力」の20%を上回りました。妻側の離婚理由である「金と暴力」という大枠は変わらないのですが、暴力の中身が、夫のモラハラなど精神的虐待の方向が多くなったということです。

夫婦別離婚申し立て理由<2020年>
自宅で議論をしている男女
写真=iStock.com/kieferpix
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kieferpix

■不倫離婚が減ったのは円満夫婦だからではなく…

しかし、それ以上に注目に値するのが、夫側の離婚理由の変化です。20年前は理由のほとんどが「性格の不一致」だけだったのに対し、2020年になると、2位に「妻からの精神的虐待」がきます。割合も12%から20%へと大幅に増え、3位も「妻の金銭的問題」が17%となっています。つまり、妻同様、夫にとっての離婚理由も「金と暴力」問題に切り替わってきているということです。

ちなみに、不倫や浮気による離婚は、2000年は夫19%、妻27%もあったのに対し、2020年になると夫14%、妻15%と減っており、特に、妻側の理由としてはほぼ半減しています。これは、最近の夫婦が浮気もしない円満夫婦が多いということではないでしょう。浮気をするということはある程度生活上のゆとりがあればこその話です。20年前と比べて、現代の夫婦は、浮気をするゆとりや元気もないほど経済的問題に直面しているからという見方もできます。夫側の離婚理由の3位に「金銭問題」がきているのも、「妻が働かないと家庭生活が成り立たない」という経済的要因を表しているかもしれません。

■「妻からのモラハラと暴力」が20年間で増えている

さらに、2000年と2020年とで、夫と妻それぞれの理由の割合の増減差分を見てみます。

夫婦ともに、20年前には割合の高かった「異性関係」や「家族との人間関係」が減少し、妻側で増えているのは「夫の精神的虐待」と「金銭問題」のみ。夫側で増えているのは「妻の精神的虐待」「妻の身体的暴力」と「金銭問題」ということになります。妻の理由では「夫の身体的暴力」がむしろ11ポイントも減少しているのです。

離婚申し立て理由 2020/2000年増減比較

家庭内での配偶者への暴力、いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス)問題といわれると、反射的に「夫から妻への暴力」と解釈しがちですが、実情は異なります。

内閣府が3年おきに実施している「男女間における暴力に関する調査」というものがあります。そちらの調査結果から、2005年と2020年とで年代別に配偶者からの「身体的暴力」と「心理的攻撃」をこれまで受けた経験があるかどうかを調べたものを比較してみましょう。

夫婦間の暴力 2005-2020年の実態比較

■小言、嫌味、皮肉も「精神的虐待」になりうる

これを見ると、2005年は、すべての年代において、身体的暴力も心理的攻撃も妻の被害率が夫のそれを上回っていますが、2020年になると、身体的暴力では20代で妻より夫のほうの被害率が高くなっています。心理的攻撃でも20代は夫の被害率が高く、30代でも同等となっています。これは、前述した離婚理由における、妻による夫への身体的暴力と精神的虐待が増えていることと符合します。妻の被害に関しても、身体的暴力被害は減っているのに対し、心理的攻撃が増えている点も一致しています。

「精神的虐待」または「心理的攻撃」とは、明らかな罵詈雑言や見下し発言だけではありません。小言、嫌味、皮肉であっても、または、本人的には加害意識がない論理的に筋の通った主張のつもりでも、それを日常的に繰り返すことで相手が精神的苦痛を感じたとすれば、それも十分離婚が認められる理由に該当するようです。

最近では、家計や子育てに対する相手の不備や責任を追及するような発言も、程度によっては「精神的虐待」に相当します。それこそ昭和の夫婦喧嘩なら、夫の言う「誰のおかげで飯を食えると思っているんだ」とか、それに対する妻の反論「ロクな稼ぎもないくせに。誰が飯を作っていると思っているんだ」という応酬がありました。

顔や目を手で覆う子供
写真=iStock.com/Kiwis
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kiwis

現代はそこまで喧嘩口調ではないにしろ、夫婦間のやりとりには注意が必要なようです。

■「なんでできないの?」「やらなくていい」…

例えば、会社で上司が部下に言って、部下を精神的に追い込み、潰してしまう代表的ハラスメント言葉というのがあります。

「前にも言ったよね」
「なんでできないのかな?」
「どうして分からないの?」
「どうしたらできるか教えて?」
「もういい。私がやるからやらなくていい」

夫にせよ、妻にせよ、無意識に相手に放っていたりしていないでしょうか?

夫婦とはいえ、所詮は他人。他人だからこそ相手は自分の所有物でも奴隷でもないわけです。感情的になった場合つい口にしてしまうこともあるかもしれませんが、互いに相手の尊厳を傷つけないという気配りは大切でしょう。言葉も心を傷つける暴力になります。

いずれにしても、3組に1組の夫婦の離婚は、最終的には「離婚できるなら理由なんてどうでもいい」と「性格の不一致」という理由でうやむやにしてしまうのかもしれませんが、その大きな元凶は、結局は「金と暴力」と言えるのかもしれません。結婚生活もハードボイルドなものですね。

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荒川 和久(あらかわ・かずひさ)
コラムニスト・独身研究家
ソロ社会論及び非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。海外からも注目を集めている。著書に『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会―「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)、『結婚しない男たち―増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)など。韓国、台湾などでも翻訳本が出版されている。新著に荒川和久・中野信子『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

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(コラムニスト・独身研究家 荒川 和久)

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