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「大統領候補は醜聞続き」韓国経済のアキレス腱…出生率が20年間で4割減の0.84はヤバすぎる

プレジデントオンライン / 2022年1月28日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/andriano_cz

「従軍慰安婦問題」と「徴用工問題」について韓国が国際法を無視した形で蒸し返し、日韓関係は戦後最悪と言われる。その韓国では3月9日に大統領選がある。与党と、最大野党の候補がともに醜聞続きで、1月に入り泡沫候補とみられていた別の野党代表が支持を拡大。選挙の行方は不透明だ。国際エコノミストの今井澂さんは「韓国のネックは、出生率が2000年1.47から2020年0.84へ低下していること。急激な少子化が経済を悪化させる」という――。

※本稿は、今井 澂『2022 日本のゆくえ』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■「戦後最悪」の日韓関係は、3月に誕生する新大統領で変わるのか

2017年5月に文在寅政権が発足して、「従軍慰安婦問題」と「徴用工問題」について国際法を無視した形で蒸し返したために日韓関係は戦後最悪になっています。

従軍慰安婦問題では、日韓の外相が2015年12月18日に共同記者会見を開いて、「慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」という日韓合意を発表しました。

徴用工問題は、日本と韓国が1965年の国交正常化時に日韓基本条約とともに結んだ日韓請求権協定において、「(徴用工の請求権問題は)完全かつ最終的に解決された」と明記されました。

ところが、文在寅大統領は2017年8月15日の光復節の式典で、日本統治下での従軍慰安婦と徴用工の問題を解決するために「被害者の名誉回復と補償、真相究明と再発防止の約束という原則を必ず守る」とし、「日本の指導者の勇気ある姿勢が必要だ」と述べたのです。

さらに、文在寅大統領は就任100日を迎えた8月17日の記者会見で徴用工について、日韓請求権協定では韓国人の個人請求権は消滅していないという見解を歴代政権で初めて示したのでした。

いずれも決着の付いた問題なので、日本側から解決案を出すという筋合いもないことから、安倍政権も菅政権も文在寅政権を相手にせず、日韓関係はどんどん冷えていったわけです。

岸田政権にも文在寅政権との間で関係改善をしようという動きはまったく見られません。そもそも2015年の日韓慰安婦合意文に署名したのは、当時外相だった岸田首相でした。

2022年3月の韓国の大統領選で新しい大統領が選ばれるまで日韓関係は悪化したまま何も変わらないでしょう。

■誰が大統領になり、対日政策はどうなるのか、日韓関係は改善するのか

では、誰が新しい韓国の大統領になるのでしょうか。

与党「共に民主党」は、大統領予備選を行って、京畿道(キョンギド)城南(ソンナム)市長と京畿道知事を歴任した李在明(イジェミョン)氏を2021年10月10日に大統領候補に選びました。李在明氏は予備選で50.29%という過半数を超える票を獲得して前代表の李洛淵(イナギョン)氏を破ったのです。

保守系の最大野党「国民の力」も予備選で11月5日に選んだのは、前検察総長の尹錫悦(ユンソギョル)氏でした。尹錫悦氏は47.854%の票を取って慶尚南道(キョンサンナムド)元知事の洪準杓氏に6.35ポイントの差で勝っています。

他に有力候補もいないことから、韓国の大統領選は共に民主党の李在明氏と国民の力の尹錫悦氏との一騎打ちになっているといえます。

しかし2人には弱みがあって、まず李在明氏には大庄洞スキャンダルが噴出しています。

これは李在明氏が城南市長時代に推進していた大庄洞地域の再開発事業の不動産スキャンダルです。大庄洞地域の再開発事業に参加した民間企業の関係者が投資額の1000倍という異常に高額の配当金を受け取っており、これに李在明氏も関与していたのではないかという疑いが出てきたのでした。

尹錫悦氏には検事総長を務めていた時期に、野党に対して与党の政治家らを告発するようにそそのかしたという疑惑が持ち上がっています。

今井 澂『2022 日本のゆくえ』(フォレスト出版)
今井 澂『2022 日本のゆくえ』(フォレスト出版)

どちらの疑惑も検察が捜査に乗り出しているものの、大統領選が終わるまでは逮捕にまでは踏み込まないといわれています。とすれば、李在明氏と尹錫悦氏のどちらかが大統領になるでしょう。

李在明氏は対日強硬派で、「日本を追い抜き、先進国に追い付き、世界をリードする国をつくっていく」と述べており、日本への対抗姿勢をアピールしています。尹錫悦氏は「大統領になったら、就任後直ちに韓日関係改善に乗り出す」と述べて日韓関係の立て直しに意欲を示しています。

とはいえ、李在明氏は現実主義者、尹錫悦氏は外交に疎(うと)いともいわれており、実際に大統領になってみなければ、対日政策がどうなるのかは判然としません。ただし、韓国にとって日本は重要な隣国なのですから、やはり大統領が代われば、対日関係が改善する可能性はあるでしょう。

■韓国経済のネック「ここ20年で出生率が4割減、00年1.47→20年0.84」

なお、韓国についてはもう1つ重要な問題を指摘しておきたいと思います。少子化が急激に進んでいるということです。

合計特殊出生率というのは1人の女性が一生の間に生む子どもの数ですが、日本の2020年の合計特殊出生率は1.34で、前年から0.02ポイント下がって5年連続のダウンとなりました。1.34は2007年以来の低水準でもあります。

この日本以上に少子化が深刻なのが韓国なのです。2020年の合計特殊出生率は0.84と過去最低を更新しました。2000年には韓国が1.47、日本が1.36だったのですが、日本は以後も1.4前後で推移し、2020年は1.3台を維持しました。

赤ちゃんの足
写真=iStock.com/PonyWang
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

韓国は2011年に1.24、2013年に1.19、2017年に1.05まで落ち、2018年にはついに1を割り込んで0.98となったのです。

少子化が急激に進んでいくと、経済もそれだけ悪化してしまいます。少子化が進んでいる隣国同士なのですから、お互いの経済の悪化を緩和するためにも日韓両国には関係を改善することが求められると思います。

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今井 澂(いまい・きよし)
国際エコノミスト/マネードクター
1935年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、山一證券入社。山一證券経済研究所、山一投資顧問を経て、日本債券信用銀行顧問に転職。その後、英国との合併会社である日債銀ガートモア会長、日債銀投資顧問専務、慶應義塾大学商学部講師、白鷗大学経営学部教授などを歴任。現在、講演を年間80回以上行うなど、活発に活動。公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構理事、NPO法人金融知力普及協会理事を務める。主な著書に『シェールガス革命で復活するアメリカと日本』(岩波出版サービスセンター)、『経済大動乱下! 定年後の生活を守る方法』(中経出版)、『米中の新冷戦時代 漁夫の利を得る日本株』『日経平均4万円時代 最強株に投資せよ!』(以上、フォレスト出版)などがある。

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(国際エコノミスト/マネードクター 今井 澂)

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