1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「怒ると免疫力が6時間下がる」イライラ回避に期待ができる昔なつかしい"あのお菓子"

プレジデントオンライン / 2022年2月9日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SetsukoN

コロナ禍に加え、煩雑な人間関係……ストレス過多でイライラを募らせ、周りに当たってしまう人は多い。明治大学教授の堀田秀吾さんと医師の木島豪さんは、科学的な調査を踏まえ「物や人に当たると怒りはかえって増幅し、体にも悪い。それを回避するためにはセルフコントロールする術を身に付けるといい」という――。

※本稿は、堀田秀吾・木島豪『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■「イライラして周りに当たってしまう」を科学的に回避する方法

カッと怒りの感情を覚えても、自分のなかに留めていられればいいのですが、周囲の物や人にぶつけてしまったことはありませんか? 頭ではダメだとわかっていても、ついついやってしまうこともありますよね……。こんなときこそ、セルフコントロールでどうにかしたいものです。

考察1:物や人に当たると怒りは増幅する

科学的な事実として抑えておきたいのは、イライラして物や人に当たるのは、メリットがないということです。物や人に当たることで怒りを発散したいという気持ちがあるかもしれませんが、残念ながらそのような効果はありません。ストレス解消効果があるどころか、マイナスの影響しかないのです。

<怒りを物や人にぶつけることの研究>
オハイオ州立大学のブッシュマンらの研究では、被験者たちに「怒りは人にぶつけるよりも、枕やパンチング・バッグのような物にぶつけると発散できる」という嘘の情報を与えました。そして、被験者が書いたエッセイをわざと第3者に酷評させて被験者をイライラさせたあと、リストのなかから行動したいことを選ばせました。

すると、ほとんどの人がパンチング・バッグを選びました。怒りを発散させるためにパンチング・バッグを殴った被験者たちは、怒りがおさまるどころか、攻撃的になって怒りが続く傾向がありました。しかも、怒りが増すだけではなく、関係のない人に怒りをぶつける被験者まででるという結果になったのです。

要するに、物や人に当たるとストレスが発散できるどころか、怒りが増幅し、周囲に八つ当たりして、より大きな迷惑がかかる可能性が高まるのです。

物に当たることで怒りが増幅し、人に当たらずにはいられなくなる。そこでまた怒りが大きくなり……という地獄の無限ループに陥ってしまうかもしれません。

考察2:怒りは体に悪い

怒りは、自己防衛の手段として怒ることが大切な場合もありますが、基本的に怒りは体に悪いものです。ストレスや不安に直結しやすい高血圧や血行不良、頭痛などの症状を引き起こすとされる科学的なデータがたくさんあります。そのなかでも面白い研究を紹介します。

<免疫力と怒りの研究>
ロンドン大学のレインらは、怒ると6時間以上免疫力が下がるという研究結果を示しています。さらに、その研究では、他者へのいたわり、慈しみといった感情を抱くと、24時間以上免疫力が高まるとのこと。人に優しくするとプラス効果があるのに対し、怒るとマイナス効果になるというわけです。

このように、怒りは心だけでなく体にも悪影響があります。なるべくポジティブな気持ちで日々を過ごしたいものです。

■砂糖原料ではなく、ブドウ糖と明記されているラムネがいい

セルフコントロール1:ラムネを食べる

イライラして物に当たらないようにするためには、そもそも「イライラしない」状態をキープすることが本質的な解決につながります。

オハイオ州立大学のブッシュマンらによる研究で、人間は血糖値が低くなるとイライラしやすくなることがわかっています。ですが、イライラしないように血糖値を高める糖分の多いお菓子を食べると、ついつい食べすぎてしまって、体重が増えるなどのデメリットがメリットを上回ってしまう可能性も否定できません。

そこでおすすめなのがラムネです。

ガラスの容器に入ったラムネ菓子
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gyro

ポイントは、砂糖原料ではなく、ブドウ糖と明記されているラムネを選ぶこと。糖類にはさまざまな種類がありますが、ブドウ糖は糖の最小単位「単糖類」に分類されています。

糖類について
出典=『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

なぜブドウ糖がいいかというと、効率的に脳のエネルギーに変換されるうえに、血糖値を上げることができるからです。

厳しい糖質制限をした状態や、糖尿病の人などは脂肪から生成される「ケトン体」もエネルギー源になりますが、これは非常用バッテリーのようなものです。

砂糖原料のお菓子を食べても脳のエネルギーにはなりますが、脳が実際に使っているのは砂糖を構成しているブドウ糖だけで、果糖はエネルギーになりません。ブドウ糖原料のラムネなら、糖の最小単位であるブドウ糖だけを摂れるので吸収効率がいいうえに、脂肪分もありません。実際に、ラムネの効果は研究で科学的に実証されています。

<ラムネと脳の働きの研究>
森永製菓研究所の稲垣らによると、ラムネ約一本分を摂取すると、ワーキングメモリーや注意力などの認知能力が高まることが実験によって示されています。つまり、脳の働きの改善を促すわけです。

この結果から、ラムネを食べると、ちゃんとブドウ糖が体内に摂取され、脳まで届いていることがわかります。

※森永製菓がラムネを摂取した後、短期の認知機能、課題処理能力や注意力などにどのような 影響が及ぶかについて、自治医科大学医学部の間藤卓教授監修の下、ヒト試験により検証した結果(2020年2月発表)

堀田秀吾・木島豪『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
堀田秀吾・木島豪『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

ちなみに、ラムネは食べすぎてもデメリットがあまりないので、定期的に摂取するのがおすすめです。「甘いものを食べたいのは体が欲しているから」とよくいうように、実際に甘いものに含まれている成分は生命維持に必須です。

ただ、脳が疲れてイライラしているときは、「体に悪いものを食べすぎないようにしよう」といった抑制機能が働かなくなっているので注意しましょう。そう考えると、脳がSOSをだす前にこまめにブドウ糖を補給しておくほうが、食べすぎてしまう確率が減るでしょう。

脳は1時間あたり、4~5gのブドウ糖を必要するといわれています。ラムネは一本あたり約29g入っていて、26g前後のブドウ糖が摂取できると考えられます。これを摂取量の目安にしてみてください。くれぐれも食べすぎにはご注意を!

■他人のネガティブな感情に影響されない思考法

セルフコントロール2:「捉え直し」によるアンガーマネジメント

ブドウ糖のパワーで怒らずにすむのが理想ですが、どうしても強い感情に流されてしまうことは誰にでもあります。

そのようなときは、アンガーマネジメントを実行して、せめて外部に怒りをぶつけることのないようにしたいものです。

そこでおすすめなのが、「捉え直し」です。スタンフォード大学のブレッチャートらが行った研究を紹介します。

<捉え直しの研究①>
被験者たちは、下の3つのグループにわけられていました。

① 普通の表情を見たグループ
② 怒っている表情を見たグループ
③ 怒っている表情を見て「捉え直し」をしたグループ

グループ②の被験者は、グループ①に比べてネガティブな感情が増えるという結果でしたが、グループ①とグループ③の被験者には差がでませんでした。

この実験でいう「捉え直し」とは、目の前にある現象を見つめ直し、見方や考え方を変えることで再定義することです。

たとえば、怒っている人を見て「ああ、この人、きっと嫌なことばかりあった日なんだろうな」とか「朝、奥さんとケンカしてきたんだな」のように捉え直しをすると、被験者の感情が変わったのです。

もう1つ、参考にしたい捉え直しに関する研究があります。

<捉え直しの研究②>
ミシガン州立大学のモーザーらは、被験者が嫌悪感を抱くような画像を見せたあと、以下の2つのグループにわけて実験を行いました。

① 「今“ 私”はどう感じているか」と自問自答するグループ
② 心のなかで「今“ 彼・彼女” はどう感じているか?」と三人称で語るグループ

この結果、一人称で語ったグループ①に比べて、グループ②は感情に関わる脳の扁桃体の活動が、急激に低下して、感情を抑えられたという結果がでたのです。

要するに、自分が怒っている状況において、客観視したふりをして「彼が怒っている」といい加減な捉え直しをするだけでも、怒りを抑制することができます。

本当に脳は、複雑怪奇でいながら、単純なところがあります。

怒りに捉われている状況下では、捉え直しも決して簡単なことではないかもしれません。ただ、これだけでいいなら、怒りを抑えることは不可能ではないはずです。

----------

堀田 秀吾(ほった・しゅうご)
明治大学法学部教授
1968年、熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程、ヨーク大学ロースクール修士課程修了、同博士課程単位取得満期退学。言語学博士。立命館大学准教授、明治大学准教授などを経て、2010年より現職。専門は司法におけるコミュニケーション分析。脳科学、言語学、法学、社会心理学などのさまざまな分野を横断した研究を展開している。『科学的に元気が出る方法集めました』(文響社)など著書多数。コメンテーターとしても活躍中で、メディア出演も多い。

----------

----------

木島 豪(きじま・ごう)
東京メディカルクリニック平和台駅前院 院長
東京医科大学卒業後、東京医科大学病院循環器内科へ入局。循環器専門医と内科認定医を取得後、平成20年より現職。老化防止と体質改善を行う治療法に着目し、内科、皮膚科などの一般診療を主に行いつつ、予防医療を目的としたアンチエイジング内科を併設。

----------

(明治大学法学部教授 堀田 秀吾、東京メディカルクリニック平和台駅前院 院長 木島 豪)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください