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「夫のような、時代遅れの大人になってほしくない」結婚13年の40代女性が密かに子連れ離婚を計画するワケ

プレジデントオンライン / 2022年2月18日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/MyImages_Micha

「性格の不一致」が原因で離婚する夫婦には、どんな事情があるのか。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「以前は表向きの理由として“性格の不一致”を挙げる夫婦が多かったが、最近は本当に価値観や意識の違いに限界を感じて離婚する夫婦が目立つ」という――。

■本当の意味での「性格の不一致」が目立つようになった

夫婦が離婚をする理由のトップは「性格の不一致」。その「性格の不一致」に、ここ数年変化が生じている印象だ。というのも、以前なら表向きは「性格の不一致」を掲げていても、実はその裏に別の理由が隠れていることも少なくなかった。

例えば、「パートナーの浮気や不倫」はその代表例。実際は、パートナーの浮気や不倫による泥沼なドラマがあったとしても、「性格の不一致」としておいたほうがスマートだし、それぞれの新しいスタートも踏み出しやすいからだ。

ところが、最近は本当の意味で「性格の不一致」が夫婦問題の原因になっている相談が目立ってきている。「価値観がまるで違うことがわかった」「意識の違いをどうしても埋められない」という「不一致」により夫婦間に埋められない溝ができた例として、こんなケースがある。

■家族と自分のためにはじめた「オーガニックな食生活」

【CASE1】愛妻弁当をこっそり捨てていた夫

「友人から事実を聞かされた時、言葉では言い表せないほどの怒りと恥ずかしさで、言葉も出なかった」と話すのはR美さん(37歳)。6年前、共通の友人の紹介が縁で3歳年下の現在の夫と交際がスタートし、半年後に結婚。現在は4歳になる子供と3人で暮らしている。

R美さんがオーガニック系の食生活に目覚めたのは3年前。乱れた食生活で太りはじめた夫が、会社で受診した健康診断でいくつかの項目で再検査になったことと、R美さん自身の体調不良が重なったタイミングで、「オーガニックな食生活をはじめたら体調がよくなり、ダイエットにも成功した」という記事をネットで見つけたのだった。

もともと几帳面で真面目なR美さんは、オーガニック食材を使って作る料理教室に通い、家族と自分のために栄養の知識を学び、調理の基本を習得していった。「基本的な調味料もすべて手作りするようになってからは、体だけでなく肌の調子も目に見えてよくなったのがうれしかった」。

■弁当は職場のゴミ箱に捨て、カップ麺を食べていた

料理の腕を上げたR美さんは、夫と子供の弁当も毎日オーガニック食材で作るようになったという。「主食は玄米で、おかずは大豆ミートとオーガニック野菜。もちろん化学調味料は使いません」。

R美さんが、夫と同じ職場で働く女友達から衝撃的な事実を打ち明けられたのは数カ月前のことだった。「言うべきかどうか迷ったけれど、R美のダンナ、毎日お弁当を捨てているみたいよ」。その友人いわく、R美さんの夫は、持参した愛妻弁当を休憩室のゴミ箱にこっそり捨てて、コンビニで買ってきたパンやカップラーメンを毎日おいしそうに食べていたのだとか。そのことを知ったR美さんは絶句したという。

インスタントラーメン
写真=iStock.com/Wako Megumi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wako Megumi

帰宅した夫に真実を問いただしたところ、「弁当は捨てはじめて1年以上になる。もともとジャンクフードが好きだし、玄米や大豆では物足りないし、働くモチベーションも上がらない。悪いとは思ったが、毎日張り切って作ってくれるのに、むげに断ることもできなかった」。その後、夫婦は本音で話し合いを重ねたものの、“添加物や農薬、加工食品の害を説く妻”と、“まるで興味を示さない夫”は、どこまでも平行線をたどったまま、とうとう決裂したとのこと。「もうお前の作る料理は食べない」「二度とあなたのために料理はしない」という2人は現在、家庭内別居中だ。

■コロナ前は「年2回海外旅行に行く」仲良し夫婦だった

【CASE2】「好きなことをして生きたい」と会社を辞めた夫

「コロナのせいで、私たち夫婦はすっかりボロボロです」とすっかり憔悴(しょうすい)した表情で打ち明けるN緒さん(47歳)は、2歳年上の夫と2人暮らしをしている。2人が結婚したのは5年前。お互いに旅行とワインを飲むことが趣味で、仕事の休みを合わせて年に2回は海外旅行に行くような“仲良し夫婦”。「子供はつくらずに、ずっと2人で暮らそう」という意見も一致していたという。

N緒さんの夫の様子に変化が見えはじめたのは約2年前、コロナ禍のはじまりの頃だった。「リモートワークで家にいる時間が増えた夫は、働く意味について考えるようになったようでした。『なんのために働かなくてはいけないのか?』が口グセになったかと思いきや、しばらくすると『生きる意味ってなんだろう?』に変わり、やがて黙り込む日が多くなっていきました」。

夫の異変が心配になったN緒さんは心療内科に行くことをすすめたが、その頃すでに夫の気持ちは「会社を辞めて、残りの人生は好きなことをして暮らしたい」という方向で固まっていたのだった。

■「私の稼ぎで生活しているのに…」

「マンションのローンが残っていたこともあり、私の本音はこれまでと同じように夫には普通に働いてほしかった。ただ、夫の荒んだ姿を見ていると反対もできなかった」とN緒さん。結局、会社を辞めた夫は、「昔から興味があった」という廃材を使ったアート作品を制作し、ネットで販売する道を選んだという。一方で、「夫の収入は当てにできない」とN緒さんは、社内で管理職の資格を得るための試験を受け、無事に合格し昇進を果たした。

階段を上るビジネスウーマン
写真=iStock.com/NoSystem images
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NoSystem images

こうして一見、なんとなくソフトランディングしたかのように見えた、ウィズコロナ時代の夫婦の新しい生活スタイルだったが、N緒さんが抱える夫への不満は日ごとに増すばかりだった。「私の稼ぎで生活しているにもかかわらず、『どうしてそんなにあくせく働くの?』『一度きりの人生、自分らしく生きなきゃ損だよ』などと言ってくる夫に腹が立つ。私だって、好きで働いているわけじゃない」。

N緒さんの不満はもうひとつあった。それは、作品の材料として夫が集めてくる廃材で、自宅が“ゴミ屋敷化”してしまったことだった。「汚れた車のバンパーやところどころ腐っている流木も、夫に言わせれば“お宝”。仕事から疲れて帰ってきて玄関を開けた途端、廃材の山に視界をふさがれると毎日本当にうんざりする」。現在N緒さんと夫は別居婚に向けて物件を探しているという。

■「ご飯は残さずに」と子供に教えたいのに…

【CASE3】「エコ妻」を理解できないSDGsに無関心な夫

「夫のすべてが受け入れられなくなった」と離婚の相談に訪れたY子さん(40歳)は、11歳年上の夫と2人の子供と暮らす4人家族。夫とのトラブルの理由は「価値観が違いすぎる」。地球環境に配慮して暮らす“エコ派”のY子さんに対し、妻のエコ活動をはじめとするSDGsには無関心の夫。朝起きてから夜寝るまで、Y子さんは夫の言動が全部気に入らず、まだ幼い2人の子供を引き取って離婚したいと考えている。

例えば家族で食事に出掛けても、フードロスを考えるY子さんは「出された料理はご飯粒ひとつも絶対に残さない」と決めている。ところが夫は「残してもいいから、食べたいものはどんどん注文しなさい」と子供たちにもすすめる。食べ切れないほどの料理がテーブルに並んだのを見て、「ケチケチしない大きな人間に成長してほしい」と満足そうにうなずく夫の横で、Y子さんはため息をつくのだという。

■「夫のような、時代に取り残された大人になってほしくない」

移動するのも、いつも夫は自分の車かタクシーを選択。自転車か歩くことを選ぶY子さんが、夫にガソリン車からエコカーへの買い替えをすすめた時は、「ガソリン車の音と匂いが好きなんだよ。男がガソリン車に乗らないでどうするんだ」とガハハと笑って一蹴された。

自宅でもエコには無関心を貫く夫は、入浴時には必ず浴槽のふちまでギリギリに湯をためるのが習慣になっている。「湯船に浸かる時、ザザーッと勢いよくお湯が浴槽からあふれるのがたまらなくいいんだよな」と言う夫に対し、Y子さんは節水しないことで浪費されるエネルギーのこと、二酸化炭素の排出量が増加することなどを説明するものの、一向に聞き入れようとはしないのだった。

浴槽に水がそそがれる風景
写真=iStock.com/kiattisakch
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kiattisakch

「衣食住、すべてのことで夫と私は考え方から行動まで正反対。とくに子供たちには、今私たちが真剣に取り組むべきSDGsについて熱心に教育をしているのに、夫と一緒に暮らしていると悪影響を及ぼしかねない。とにかく夫のような、時代に取り残された大人になってほしくない」と力強く語るY子さんは今、13年の結婚生活を共に歩んできた夫と別の道を進もうとしている。

■「別の人間だから仕方ない」と許し合えるか

夫婦間の価値観や意識の違いは、ひとたび表面化すると、なかなか元通りの関係には修復しにくいもの。なぜなら、それまで我慢を重ねてきたことが一気に噴出することで、以前と同じような愛情でパートナーを思いやることへのハードルが圧倒的に高くなるからだ。だからこそ、もしも元のサヤに収まることを望むなら、大きなトラブルに発展する前の段階で離婚を食い止める話し合いをするのが得策だろう。

「離婚するよりはマシ」という気持ちで臨めば、価値観や意識の違いがあっても「もともと別の人間だから仕方ない」と、その違いを理解し、許し合える関係を築くことも考えられるはず。

人生100年時代といわれる今、妥協して生きる道を選ぶのか、信念を曲げずに生きる道を選ぶのかは自分次第。先の長い話だけに、くれぐれも後悔しない選択をしたい。

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岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。

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(夫婦問題研究家 岡野 あつこ)

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