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「稼いでいるのにいっこうに貯まらない」貯金下手な人が無意識にやっている"NG習慣"

プレジデントオンライン / 2022年3月1日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sorrapong

着実にお金を貯めるにはどうしたらいいのか。ファイナンシャルプランナーの大竹のり子さんは「自動積立型の定期預金や財形貯蓄を利用して、給与から一定額を先取りして貯蓄するのがお勧めだ。残ったお金は自由に使えるし、ストレスなくお金を貯めることができる」という――。

■老後の不安も吹き飛ばせる“先取り貯蓄”

かれこれ20年以上、ファイナンシャルプランナーとして多くの家計を見てきましたが、その中で、ひしひしと感じていることがあります。それは、「収入と貯蓄額は必ずしも比例しない」ということ。

バリバリと働き、多くの収入があるのにほとんど貯蓄ができていない人もいれば、収入が決して多いとは言えなくても、老後2000万円問題なんて吹き飛んでしまうほどの貯蓄をしている人もいます。そして、そうした「貯まる人」に多く見られる共通点が、“先取り貯蓄”をやっている、ということなのです。

先取り貯蓄とは、毎月口座に残ったお金=貯蓄、というのではなく、給与が振り込まれたらまず、将来への備えとして一定額を先取りして貯蓄してしまう方法です。その逆とも言えるのが、給与が振り込まれたらそこから日々の生活を支出していき、余ったらそれを将来のための貯蓄に回す、という方法。これを私は“成り行き貯蓄”と呼んでいます。

■いつのまにか“成り行き貯蓄”になっていないか

“成り行き貯蓄”と聞くと、計画性がない人がやっているようなイメージを持つかもしれませんが、そんなことはありません。そもそも生活費というものは、予算を組んできちんと管理しようと思ったところでなかなか思い通りにはならないもの。「親知らずが急に痛くなって歯医者に言ったら思いの外、治療費がかかってしまった」「忘れていた頃に自動車保険のお知らせがきた」「急にエアコンが壊れて修理したら数万円かかった」といったことは、誰にとっても起こり得ること。

自分は無駄遣いしないから大丈夫、と思っても、“先取り貯蓄”をしていない限りは、結果的に“成り行き貯蓄”になってしまっている可能性は高いのです。

「貯まる人」の多くは、“先取り貯蓄”をやっており、「貯まらない人」の多くは“成り行き貯蓄”になってしまっている――さて、あなたはどちらでしょうか。

■やりたいことにお金を使えなければ本末転倒

先取り貯蓄のメリットは、毎月着実に一定額が貯まっていくことだけではありません。「貯蓄しなければ」と気にかけることなく、日々お金が使えるということも大きなメリットです。

先取り貯蓄をしていないと、毎月、生活費用の銀行口座に残った残高が貯蓄となるので、「少しでも多く残すために、なるべくお金を使わないようにしなければ」と常に節約のことが気になったり、お金を使うことに罪悪感を覚えたりしてしまいます。

もちろん節約自体は悪いことではありませんし、その心がけは大切です。でも、お金は本来、貯めるためにあるのではなく、使うことで日常を豊かにするためにあります。ネガティブな気持ちに囚われてしまうと、食べたいものややりたいことにお金を使うことを躊躇するようになり、本末転倒になってしまいかねません。

でも、極端な話、毎月一定額を先取りして貯蓄をし、あとは「残ったお金」の範囲でやりくりできれば、何の問題もないのです。家計管理が苦手な人であっても「今月は旅行に行く予定があるから、その分外食は控えよう」「今月は新しいバッグを買ったから、その分できるだけタクシーを使わずに電車を使おう」といった具合に、残ったお金の中で折り合いがつきさえすれば、あとは自由に使い切ってしまってよい、ということになります。

■自動的に先取りされる「仕組み」をつくる

先取り貯蓄は、当然ながら早く始めるに越したことはありません。来月から始めよう、今は仕事が忙しいから落ち着いたら始めようと思っていると、日々の忙しさに紛れてそのまま忘れてしまうかもしれません。まだやっていない、という人は、後回しにせずすぐに行動に移すのがおすすめです。

ただし、先取り貯蓄を成功させるには3つのポイントがあります。1つ目のポイントは、毎月、自分で引き出して貯蓄用の口座に移し替えるのではなく、自動的に一定額が先取りされていく「仕組み」をつくるということ。先取りの方法についてはあとで詳しく紹介しますが、財形貯蓄でも、自動積立型の定期預金でも、貯蓄型の保険でも、投資信託の積立でも何でもOKです。

とにかく自動的に先取りされる「仕組み」をつくることで、「今月は想定外の支出があったからやむを得ずスキップしよう」「今月は忙しくて銀行に行けそうにないから来月2カ月分まとめて先取りに回そう」といった“例外”を作らないようにするのです。

■「少し頑張れば確実にできそう」な額からスタート

2つ目のポイントは、無理のない金額から始めるということ。毎月一定額を先取りして貯蓄できていれば、あとは自由に使い切ってしまってよい、とは言っても、そもそも残ったお金がやりくり可能な範囲でないと成り立ちません。せっかく先取り貯蓄を始めても、生活費の補填のためにすぐに取り崩してしまってはあまり意味がありません。

先取り貯蓄は、残ったお金でやりくりすることに慣れるまでが最大の関門。設定金額はほとんどの金融商品で細かく刻むことができますので、「2万円なら余裕でできそうだけど、3万円となると自信がない」という場合であれば2万5,000円で設定するなど、千円単位で「少し頑張れば確実にできそう」というラインを見極めて始めることもポイントです。

そして3つ目のポイントが、収入が増えたら先取り金額も増やしていくということ。転職や昇給、あるいは副業などによって収入が増えたら、先取りする金額もこまめに増額していきましょう。

とはいっても、収入が増えたら全額を先取り貯蓄の増額にまわしましょうという話ではありません。1万円昇給したら5,000円、といった具合に収入が増えた分の半分を毎月の先取り貯蓄の金額に上乗せするのでもいいですし、貯蓄残高が増えることが楽しくて仕方がないなら全額でもかまいません。自分のモチベーションが保ちやすいルールを決めておくのがおすすめです。

いずれにしても、少しずつ先取り貯蓄の金額を増やすことで将来のために貯蓄を加速化していきましょう。

コインが右肩上がりに増える
写真=iStock.com/Ghing
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ghing

■手取り収入の2割が理想だが、無理は厳禁

先取り貯蓄の話をすると、よく質問されるのが、「毎月どのくらい先取り貯蓄に回せばいいのか」ということです。

答えは、収入の金額や生活状況などによっても異なりますが、あえて理想を示すとするならば、「手取り収入の2割」です。毎月の手取り収入が20万円であれば4万円、30万円であれば6万円を先取り貯蓄に回せるのが理想的。手取り収入の2割を先取り貯蓄していくと、おおよそ5年で手取り年収分が貯蓄できる計算になります。

しかし、これはあくまでも「理想」。例えば、手取り収入が18万円しかないけれど都心で一人暮らしなのでどうしても家賃が6万円かかる、といった場合には、3万6,000円を貯蓄に回してしまうと残りが8万4,000円しかありません。

もちろんこの中でやりくりできればそれに越したことはありませんが、それよりも大事なのは、“先取り貯蓄”という習慣をしっかり定着させること。無理をするのは厳禁です。2割が難しそうなら1割、それも難しければ0.5割からでもよいので、無理のない金額から始めましょう。

■手軽で定番なのは自動積立型の定期預金

では、実際に先取り貯蓄を始めるにはどのような方法があるのでしょうか。

先取り貯蓄の方法として一番手軽かつ定番なのは、自動積立型の定期預金です。

一度設定さえすれば、銀行が毎月決まった金額を普通預金から定期預金へと振り替えてくれるので、あとは放っておくだけ。毎月の振替日は給与の振込の直後に設定しましょう。あらかじめボーナス月だけ積立額を多く設定することも可能です。

申込みは、窓口でも受け付けてもらえますし、ネットバンキングを利用していればインターネット上から申込んだり、設定を変更したりすることもできます。

■財形貯蓄を活用すると無意識でお金が増えていく

また、勤め先に財形貯蓄制度がある場合は積極的に活用したいところです。

金利そのものは雀の涙の財形貯蓄ですが、なんといっても給与が振り込まれるより前に天引きされるのが最大の魅力。財形貯蓄で天引きされた分は「最初からなかったもの」として、手取り金額の中で生活することに慣れていければ、もはや無意識で貯蓄が増えていきます。

財形貯蓄には、「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3種類があります。

「財形年金貯蓄」と「財形住宅貯蓄」は、それぞれ5年以上積立した資金を、住宅の新築・購入・リフォーム資金、老後の資金として引き出す場合には、合わせて元利合計550万円まで非課税となります。これに対し、「一般財形貯蓄」の場合には、税金の優遇はありませんが、積立開始から1年経てば自由に引き出しが可能です。

■こつこつ貯めたお金が老後に受け取れる保険

貯蓄型の保険も先取り貯蓄の方法のひとつです。例えば個人年金保険であれば、毎月1万円ずつ自動引落で保険料を支払い、老後に自分年金として給付金が受け取れます。貯蓄型の保険も、特に円建ての商品の場合、定期預金や財形貯蓄と同様、積立した資金が大きく増えることは期待できません。

早期に解約をすると、元本割れしてしまうことにも注意が必要ですが、裏を返すと、この「解約のしにくさ」がメリットになる場合も。なぜなら、「お金が必要になるとつい定期預金を解約してしまう」という人にとっても「一度加入した保険を元本割れしてまで解約する」ということの心理的ハードルは高いもの。実際に「定期預金の積立は取り崩してしまっているが、貯蓄型の保険だけは続けられている」という人が多いのも事実です。

■貯めるだけでなくお金を増やしたい人は投資信託を

せっかく先取り貯蓄をするなら貯めるだけではなくて増やしたい、というのであれば、投資信託の積立がおすすめです。投資信託はもともと積立サービスが充実している金融商品ですが、それに加えて今はiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAといった非課税制度も充実しています。

iDeCoは60歳になるまで引き出すことができない点に注意が必要ですが、拠出した金額が全額所得控除の対象になるなど税金の優遇が大きいのが魅力。無理のない金額の範囲であれば、老後資金準備の大きな味方になってくれます。つみたてNISAは、一般のNISAに比べて非課税期間が20年と長いのが魅力。また、iDeCoとは異なりいつでも引き出しができます。

「お金が貯まる人」の多くがやっているのが、“先取り貯蓄”。まだやっていないという方はぜひ、今月からさっそく始めてみてください。

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大竹 のり子(おおたけ・のりこ)
ファイナンシャルプランナー
2005年、エフピーウーマンを設立し、人生に必要なお金の知識を身につける「お金の教養スクール」を展開するかたわら、各種メディアでも活躍中。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)など著書多数。

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(ファイナンシャルプランナー 大竹 のり子)

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