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「年齢とともに身体はどんどん錆びていく」緑黄色野菜が若返りに効くこれだけの理由

プレジデントオンライン / 2022年3月3日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Bojsha65

いつまでも若々しくいるためにはどうすればいいか。日本ユニバーサルカラー協会代表理事の南涼子さんは「野菜や果物の色素にはフィトケミカルという栄養素が含まれており、老化につながる酸化を防ぐ働きがある。この抗酸化成分は緑色の野菜類や赤色の魚介類に多く、食べることで若返り効果が期待できる」という――。

※本稿は、南涼子『一瞬で心が整う「色」の心理学』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

■植物だけがもつ栄養素「フィトケミカル」

私達の身体をつくり、エネルギー源になる大切な3大栄養素といえば、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」ですが、これに「ビタミン」と「ミネラル」が加わると5大栄養素になります。ビタミンとミネラルは身体の調子を整えるはたらきがあるため、意識して摂る必要があります。そこに第6の栄養素「食物繊維」と、第7の栄養素「フィトケミカル」が加わると、7大栄養素と呼ばれます。

なかでもフィトケミカルとは、ギリシャ語で植物を意味するフィトまたはファイト(phyto)と、科学のケミカル(chemical)を合わせた言葉で、「ファイトケミカル」とも呼ばれています。これは「植物だけが作り出すことができる化学物質」(植物化学物質)のことで、その成分には野菜や果物の色素や香り、アクや苦みも含まれています。野菜、果物以外では豆類、芋類、海藻類、お茶やハーブなどにも存在しています。

なぜ、主に植物にフィトケミカルがあるのでしょうか。

自ら動くことができない植物は、太陽の紫外線による酸化や虫などの外敵から身を守るために、色や香り、苦みを持ったオリジナルの化学物質を作り出してきました。そのなかでもよく知られているのが、フィトケミカルであるリコピンやポリフェノール、フラボノイド、クロロフィルなどです。

■積極的に摂取するとがんリスクが最大40%減少

野菜がカラフルな理由は、このフィトケミカルにあるのです。フィトケミカルの種類は数千種類以上と非常に多く、ひとつの野菜や果物に数種類のフィトケミカルが存在していることも少なくありません。

また、フィトケミカルには優れた「抗酸化作用」「抗菌作用」があり、老化防止や健康の維持、免疫力アップに役立つなど、化学物質ごとにそれぞれの効果があることが分かっています。

一部の研究では、このフィトケミカルを積極的に摂取することで、がんのリスクを最大40%減らすことができると述べており、がんにつながる損傷から細胞を保護するはたらきがあるとしています。

■高血圧や心臓病の予防にもなる「食べる薬」

実際にアメリカで、1940年から2014年までに承認された抗がん剤の約50%は、天然植物に由来する成分であることも明らかになっています[1]。

そうしたことから、フィトケミカルの色は「がんと闘う色」ともいわれています。

その他にはアレルギー、高血圧、心臓病、動脈硬化の予防、肝機能の保護、コレステロールの調整、視力低下の予防改善など、数多くの疾患に有効であることもいくつかの研究で判明しています。

こうしたことから、野菜と果物の色は健康と等しく、「食べる薬」といえるでしょう。

食べる色が多ければ多いほど全体的な健康により効果も期待できるので、お皿の半分以上を「虹のように、色とりどりの果物や野菜で満たす」ことを心掛けて欲しいと思います。

見た目的にもカラフルな食生活はきっと健康に導くことでしょう。

■若返り効果が最も高いのは「緑」の野菜

フィトケミカルのほとんどには、「抗酸化作用」があります。抗酸化作用とは、物質の酸化を防ぐはたらきがあるということです。

例えば、りんごの切り口が時間と共に茶色くなるのは「酸化」によるものです。私達にとって酸素は生きていく上で重要なものですが、実はこの酸素こそが身体を錆びさせる原因なのです。

若いうちは身体も抗酸化力を十分に備え持っていますが、年齢と共にこの物質は少なくなります。そして酸化するほど身体は老化し、生活習慣病、がん、その他疾患に見舞われやすくなるのです。

つまり、抗酸化力が強い食べ物を摂ることが、最も若返りへの近道であり、健康的に生きる秘訣なのです。

植物は太陽の光を浴びて、光合成を行います。この際に酸素が発生する訳ですが、この酸素こそが、生命体に害を及ぼす活性酸素となって酸化を引き起こし、植物自身にダメージを与えます。これを防ぐために植物は抗酸化物質である「色素」を作り出したのです。

植物は色素のない白の他、赤、オレンジ色、黄色、緑、紫、茶色、黒などの多種多様な色があります。これらの色素は、「ポリフェノール」や「カロテノイド」「クロロフィル」「ビタミンA・B・C・E」などと呼ばれる「抗酸化物質」によって作られたものです。

色素が多い色ほど抗酸化成分が多いので、「色が鮮やかで濃い」野菜や果物のほうが若返り効果はより強くなります。

なかでも若返り効果が最も高いのは、「緑」の野菜類です。

■エビ、カニ、鮭も若返りをもたらす

β―カロテンは緑色の野菜に豊富であり、肌や粘膜を丈夫にして肌荒れを防ぎ、髪の毛を美しくする効果があります。さらに、緑色のポリフェノールは、日本人の死亡原因の多くを占める「がん」、「心疾患」、「脳血管疾患」の全てのリスクを50%減少させるという研究結果もあります。

また、緑といえば日常的に緑茶を飲む人も多いと思いますが、これにはカテキンとビタミンCが豊富に含まれているため、1日5杯以上飲むことで脳梗塞の死亡リスクが50%減るという指摘もあります。

他にも若返りをもたらすのは赤の「アスタキサンチン」です。

アスタキサンチンが豊富な食品
写真=iStock.com/bit245
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bit245

この色素にはビタミンCの6000倍、ビタミンEの1000倍の抗酸化力と抗炎症作用があることがわかっています。またビタミンDが豊富であり、骨粗しょう症防止に役立ちます。

アスタキサンチンはカロテノイド色素で、えび、かになどの甲殻類や鮭、イクラなどの赤い色はそれによるものです。赤い見た目は、餌からこのアスタキサンチンを豊富に摂って体内に蓄積するため、そのような色になるのです。

鮭の卵であるイクラも赤い色をしていますが、浅瀬で生まれる卵は強い紫外線にさらされても、このアスタキサンチンによってダメージから身を守ることができるのです。

この栄養素を効率よく摂るには、やはりこれらのえび、かに、鮭、イクラを代表とする赤い色の魚介類、甲殻類を摂取することです。

特に鮭は1切れで1週間分のビタミンDを補えるだけでなく、手に入れやすく値段もお手頃なので、ぜひ食事のメニューに取り入れたいところです。

若返りと健康増進には「色の濃い野菜」を積極的に摂り、なかでも緑の野菜類の分量を多くする、そして赤い魚介や甲殻類を意識的に食卓に取り入れるようにしましょう。

■心の状態を上向きにするのは茶色の食べ物

うつや気分の落ち込みなどの精神的ダメージは、食べる色でも回復することができます。心の状態を上向きにするのに最も効果的なのは、予想外かもしれませんが、「茶色」の食べ物です。

具体的には、納豆、味噌、きなこなどの大豆製品、その他玄米、そば、ピーナッツ、ごま、かつお節などの茶色を主体とした食材です。

これらには、「トリプトファン」が多く含まれており、この成分が幸せな気分や精神の安定をもたらす「セロトニン」を生成します。トリプトファンは体内でつくることができないため、食事から摂る必要があります。セロトニンは夜になると睡眠を促すホルモン、「メラトニン」へと変わり、安眠をもたらします。

セロトニンが不足すると、イライラして攻撃的になったり、反対に気分が塞ぎ込みやすくなったり、意欲が低下してうつ症状が出ることもあります。

先述の食材以外では、肉や魚にもトリプトファンが含まれていますが、動物性たんぱく質には「BCAA」と呼ばれるアミノ酸が含まれており、トリプトファンを脳に送り込むのを阻害するので、動物性たんぱく質よりも魚や植物性たんぱく質から摂るようにしましょう。

■黒い食材を食べると身体はぽかぽかに

暖かい部屋にいても手足が冷たい、体温が上がりにくいなど、季節を問わず冷え性に悩まされている人は少なくありません。リンナイ株式会社が2016年に行った調査によると女性では8割、さらに男性でも4割以上の人は冷え性の自覚があるといいます。

冷え性を改善するには、筋肉量を増やし、不規則な生活習慣を改めることも重要ですが、食事で内側から身体を温めることも必要です。

特に意識して摂ると良いのは「黒い食材」です。黒砂糖、黒豆、黒ごま、黒酢、しいたけ、きくらげ、ひじき、わかめ、しょうゆなどがあります。

黒い食材に含まれる色素には、アントシアニンやルチンなど、ポリフェノールや栄養素が豊富に含まれており、血流を活発にして身体を温める作用があります。

■トマトは暖色系だが身体を冷やす食べ物

南涼子『一瞬で心が整う「色」の心理学』(青春出版社)
南涼子『一瞬で心が整う「色」の心理学』(青春出版社)

また、赤、黄色、オレンジ色などの暖色系や、色の濃い食べ物は身体を温めるものが多く、白、緑の食べ物は身体を冷やす傾向があります。

ただし、冬が旬で、寒冷地で育った野菜や果物は身体を温めます。一方、夏が旬、暖かい地域で育ったものは身体を冷やします。トマトのように暖色系の食べ物のなかにも身体を冷やすものもありますので注意してください。

また、肉、魚も赤身のものは身体を温め、白身や脂身の多いものも身体を冷やします。体温は1度違うだけで、身体の免疫力が大きく違ってきます。人間の身体は36度5分以上の体温で正常にはたらくようにできているので、冷えが気になる人は身体を温める色の食材を常日頃摂るようにしてください。

[1]Newman, D. J., Cragg, G. M., Snader, K. M. (2000). The influence of natural products upon drug discovery. Nat. Prod. Rep. 17 (3), 215–234. doi: 10.1039/a902202c

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南 涼子(みなみ・りょうこ)
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会代表理事
1972年生まれ。広告制作会社勤務後、色彩心理、配色理論、色彩計画、パーソナルカラー分析、色彩指導を学ぶ。2001年に日本で初となる「ユニバーサルカラー」を提唱し、2003年に日本ユニバーサルカラー協会を設立。現在は高齢者施設・医療施設の色彩コンサルティングのほか、「色彩心理」「色彩のユニバーサルデザイン」などをテーマとする全国各地での講演、執筆を行う。健康検定協会理事。著書に『介護力を高めるカラーコーディネート術』(中央法規出版)など。

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(一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会代表理事 南 涼子)

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