1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

現役時には明治大学にも落ちた僕が、浪人して東大合格するために絶対に守ったこと

プレジデントオンライン / 2022年3月10日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/DNY59

現役東大生の布施川天馬さんは、現役時に東大を含む4つの大学を受けて、すべてに落ちた。布施川さんは「浪人とは、自分勝手で苦しい選択肢。それでも浪人を選ぶのであれば、必ず守ってほしいことがある」という――。

■東大生の僕も1年目は明治大学さえ受からなかった

突然ですがみなさんに質問です。本日3月10日は重大な日です。いったいどのような日なのかご存じでしょうか。

正解は、「国公立大学の合格発表日が一通り出そろう日」です。私大の合格発表は大体3月頭までに出そろっているので、これでほとんどの受験生にとっての「受験戦争が終結する」と言い換えてもいいかもしれません。中期・後期日程にチャレンジする受験生もいるので、全員が終わりというわけではありませんが……。

しかし、誰にでもうれしい日となるわけではありません。極端なことを言えば、3月10日までに合格をもらえていなかった場合、「浪人がほぼ確定となる」ということ。特に、東大のような前期日程しか受験を受け付けていない大学を目指していた場合、セカンドチャンスもなくここで終了です。

とはいえ、東大を受験する人は多くが早慶やGMARCHなどの併願校を受験するもの。「東大を目指していたけど、大学全落ち」なんて人は、ほとんどいません。

実は、僕は世にも珍しい「併願校まで全落ちした東大志望の受験生」でした。現役時の受験では、東京大学文科二類、早稲田大学文学部、慶應義塾大学文学部、明治大学文学部を受験して、すべて不合格を食らいました。その後1年間の浪人生活を経て東京大学文科三類に合格しました。

全落ちとまではいかずとも、希望する大学に入れなかったから浪人するという人もいるでしょう。今回は、大学受験に完全に失敗してしまった僕がどのように考えて立ち直り、2年目の挑戦へ踏み切ることができたのか、実務的な面とメンタル的な面の両面からお伝えしたいと思います。

■夏休みを超えると現役生に逆転されるケースも…

まず、浪人すると決めたなら、絶対に守らなくてはいけないことがあります。それは、「志望校を変更しないこと」です。

浪人生は現役受験生よりも1年多く勉強をします。普通の受験生が1年ちょっとしか時間をかけられないところを、2年かけられるのです。しかも、たいていの場合4月・5月時点の模試は、それまでよりも良い結果が出やすい。それなら、現役生に負ける道理はないようにも思えるかもしれません。ですが、ここに落とし穴があります。

いったい、なぜ志望校を変更してはいけないのでしょうか。それは、浪人したからと言って実力が大きく伸びるわけではないし、浪人生が学力的に大きなアドバンテージを持っているわけでもないためです。

浪人生の受験戦争は、現役生の時の経験があるので、もともとある程度成績が伸びた状態から始まります。「“ちょっとだけ”強くてニューゲーム」(※)といったところで、確かに4~7月くらいまでの間は、浪人生の方が現役生よりも成績が良く出る傾向にあるといいます。

(※)強くてニューゲーム……RPGにおけるシステム。クリア時のアイテムやステータスなどを引き継いだまま2周目以降へ突入できる。

しかし、このアドバンテージも夏休みを超えると一気に縮まります。場合によっては現役生に完全に逆転されるケースもあります。

マークシート
写真=iStock.com/turk_stock_photographer
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/turk_stock_photographer

■春の模試で自分を過信するな

浪人生が勉強する内容は「1年目にどうしてもできなかったこと」や「1年目にやったけど忘れてしまったこと」などが中心となりますから、どうしても劇的な成長を遂げるのは難しくなります。

一方で、現役生は夏休みの間に「自分の弱点」を総ざらいして、一気に実力を伸ばしてきます。ですから、春の模試の結果で油断していると、一瞬で現役生に追い抜かれてしまうのです。

春の模試で出る実力は、まったく自分本来の実力ではありません。しかし、これらの事実をまったく理解せずに「1年余計にあるし、模試の結果も良かったし、志望校はもう少し難しいところにするか!」などと楽観的に考えてしまうと、地獄を見ることになるのです。

■落ちた要因をノートに書き出す

では次に、具体的に何を気にするべきか。浪人など失敗が確定したときに、必ずやらなくてはいけないことは、「自分がなぜ失敗したのかを分析すること」です。

意外かもしれませんが、受験において、一番まずいことは「難しい問題が解けないこと」ではありません。「みんなできることができないこと」です。

平均的な問題を取りこぼさず、あとは少しだけ得意な分野で差をつければ十分に勝てるのが入試です。つまり、「勝ち筋を増やす」よりも「負け筋を減らす」という考えで臨むべきですし、その戦いで負けてしまった以上は「自分の負け筋は何だったのか」を考えて、次回こそは同じ轍を踏まないように注意しなくてはいけません。

僕も経験があるのでわかりますが、不合格通知が届き、浪人が決まったばかりの方は、きっと信じがたい現実を目の前にして、呆然とされているかもしれません。

ですが、あまり時間は残されていません。自身の「負け」が確定した直後の「この瞬間」こそ、一番記憶が残っているベストタイミングです。1秒ごとに来年の合格確率がすごい勢いで減っていくと思ってください。

つらいかもしれませんが、「なぜ自分は落ちてしまったのか」考えられる要因を、どんなさまつなものでもよいので、すべてノートなどに書き出しましょう。

次に、書きだした要因を分類していきます。一口に「不合格の要因」といってもたくさんの理由が考えられますが、大きく分けるなら2種類があります。

■受験で勝つには細かい戦略も大事

一つは当日までの準備段階での不備です。これは「世界史の中国史について理解が浅かった」などの各教科・各分野における準備不足や、「過去問演習が足りず、問題を解き始める順番の戦略が練り切れなかった」などの戦略レベルでのミスを指します。

受験勉強というと、たくさんの知識を詰め込んで臨むというイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。もちろん知識も必要ですが、しかし、知識だけに頼らずとも、知恵と戦略でどうにかなるのが受験勉強の面白いところでもあります。

これは日本最難関の入試問題が出題される東大でも例外ではありません。むしろ東大は得点戦略が非常に重要。戦略なしでは太刀打ちできません。東大受験生はみんな「得点を稼ぐ問題」と「捨てる問題」を設定して独自の得点戦略を練ったうえで、受験に臨むのです。

例えば、僕は英語の文法問題が非常に苦手だったので、ここに関してはほとんど問題を見ずに勘でマークシートを塗りつぶしていました。その代わり、ここで浮いた時間を使って英文を要約する問題や、英作文などに全力投球して得点を稼ごうとしたのです。

これは別にふざけているわけではありません。どうせ考えてもわからない上に、得点期待値も低いであろう文法問題で貴重な5分を使うなら、文法は5秒で解き、余った4分55秒を別の問題に回したほうが効率的だろうという判断をするわけです。こうした判断の積み重ねが、得点戦略となります。

「せこい」と思われるかもしれませんが、まずは結果が全てです。試験に合格しなければ、また浪人の苦しみがやってきます。合格するために、戦略を立てて点をかき集めるというのは、非常に有効かつみんながやっている戦術です。こういった戦術レベルで、自分に問題はなかったかをしっかり確認します。

■今年起きたアクシデントは来年も起こる

もう一つは、当日に起きるアクシデントです。これは「試験会場の気温が著しく寒くて(暑くて)集中できなかった」「緊張のためおなかを壊してしまった」「当日になって風邪をひいてしまった」などの、当日になって初めて分かる事故的な環境要因です。

今年の試験当日に何か不便を感じたのなら、来年もそれを感じない道理はありません。先ほども言ったように、入試会場においては「負け筋を一つでも減らす」ことが勝利へ直結します。

仮に寒くて集中力を切らしてしまったのなら、来年は寒くないように重ね着用の服を持っていくとか、ブランケットを用意するとか、そういった対策を練る必要があります。なんてことないように聞こえるかもしれませんが、これもまた、受験戦略の一つとして必須事項にあるのです。

浪人生活では、ここまでで書きだした「敗因」をすべてつぶしていくことが目標となります。すべての敗因をつぶし切ったうえで、自分の強みを理解することができれば、きっと来年は望ましい結果が出るでしょうし、敗因をつぶし切ることができなければ、また同じような結果になるかもしれません。

敗因分析は、この一年間、自分がいかに怠惰であったか思い知らされるような苦痛を伴うものです。しかし、その痛みを甘んじて受け入れた先に合格があります。もし本気で浪人されるなら必ず行うといいでしょう。

■遊びの誘惑を断ち切る方法

浪人生の不合格要因で一番多いのは、やはり「途中で遊んでしまう」ということでしょう。4月の時点では僕よりもずっと勉強ができたはずなのに、気が付いたら教室から消えていたなんて人もいました。遊ぶのが楽しいあまり、勉強をさぼって遊びに行くようになってしまったのです。

ひとたびSNSを開けば、大学に進学していった同級生たちのキラキラした日常が嫌でも目に入ってくる時代です。特に楽しい情報であふれかえるゴールデンウィークや夏休みなどは、よほどのことがない限り、スマホを開くことすら避けた方がいいでしょう。

正直に言えば、僕自身、勉強をさぼって遊びに行きたいと思ったこともありました。でも実際にそうしようと思ったことはありませんでした。それは、浪人生という不安定な立場に置かれていることを強く自覚していたためです。

そもそも、浪人生とはとてもぜいたくな存在です。本来なら社会に出て働いている人も多い中で、自分の受験戦争は一度終わったのにもかかわらず、どうしても諦めがつかないから、「あえて」浪人生として勉強し続けるわけです。

誰も彼らに対して「勉強してくれ」なんて頼んではいません。むしろ、アルバイトでもなんでも、取りあえず社会に出て働いてくれた方が、働き手が増えて社会全体の貢献になるでしょう。

ですが、学費を稼ぐためにバイトしながら勉強している浪人生なんて、そう多くはありません。少なくとも、僕は自分以外でバイトしていた浪人生を知りません。そうなると、浪人生を浪人生たらしめるアイデンティティの中核は、ただ「勉強している」という1点に集約されます。

場合によっては家庭を持っている人もいる年齢なのにもかかわらず、あえて働かず勉強に集中するというところに、浪人生が浪人生である意義があると僕は思うのです。それなのに、勉強することをやめて遊び始めてしまったのなら、それは働く意欲も、勉強する意欲もない、真の意味でのニートになってしまいます。悲しいことです。

■浪人は「自分勝手で苦しい選択肢」だけど…

対処法としては大変味気ないですが、僕はそもそも遊びに行きたくなるきっかけをなくすために、浪人中の人との接触をほぼ完全に断っていました。僕が浪人していた予備校ではクラス制だったのですが、クラスの人とはほとんど話さず、接点を持たず、いつも一人で行動するようにしていたのです。

有名進学校から流れてきたクラスメートたちに対して、まったくの無名校からフラッとやってきたという僕の出自もあり、クラスメートからは、かなりの変人であるように映っていたと思います。しかし、この戦略をとったからこそ、僕は、浪人中の1年間という長い期間、自分をコントロール下に置くことができたのです。

浪人とは、自分勝手で苦しい選択肢です。リスクしかありません。

だからこそ、浪人すると決意するのであれば、その先に掲げる目標は、きっとそのリスクに見合うだけの価値があるものなのだと思います。

僕は「東大に合格することが人生を切り開くことにつながる」と固く信じていました。高卒で就職しても生涯年収はたかが知れている。それなら、一発逆転を狙って東大受験をしてみてもよいではないか、と考えたのです。

浪人の先に何を見いだすかは人それぞれかと思います。周りからはさまざまなことを言われるかもしれませんが、すべてはあなたの責任による、あなたの人生の選択肢です。

自分で浪人すると決めたのであれば、遊びほうけたりせず、自分の目標を貫き通してほしいと思います。きっとその先に待っているものは、浪人で消費した1年などとは比べ物にならないほど、素晴らしいものであると思います。きっと楽な旅路ではありませんが、最後まで歩ききられることを応援しています。頑張ってください!

----------

布施川 天馬(ふせがわ・てんま)
現役東大生ライター
世帯年収300万円台の家庭に生まれ、金銭的余裕がない中で東京大学文科三類に合格した経験を書いた『東大式節約勉強法 世帯年収300万円台で東大に合格できた理由』の著者。最新刊は『東大式時間術』。

----------

(現役東大生ライター 布施川 天馬)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください