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1人でも感染したら学級閉鎖…現役医師の訴え「子供たちを苦しめるコロナ対策はもうやめるべき」

プレジデントオンライン / 2022年3月13日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/paylessimages

新型コロナの感染拡大で、学校などでは休校や学級閉鎖が相次いでいる。医師の大和田潔氏は「40代以下の致死率は0%台なのに、1人でも感染者が出れば閉鎖、という対応はおかしい。過剰反応を招いたコロナ専門家の責任は大きい」という――。

■子供たちの不利益に無頓着な日本のコロナ対策

新型コロナウイルスの対策で、31都道府県に適用されていた「まん延防止等重点措置」は東京や大阪、愛知など18都道府県で延長(2022年3月21日まで)することが決まりました。ため息をつかれた方も多いでしょう。

一方、ロシアのウクライナ侵攻激化の報道が激増で、前のめりだったコロナ報道は極端に減っていきました。

福岡などの13県では3月6日に解除されましたが、大都市圏を中心に依然としてコロナへの警戒態勢がとられています。病床使用率の推移や医療提供体制の負荷軽減が主な理由です。オミクロン株は、確かにこれまで以上の陽性者数の拡大は観察されました(図表1)。

図表1 新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(報告日別新規陽性者数)
出典=厚生労働省

長期自粛の結果、私たちの社会はどうなったでしょうか。人流抑制や飲食店の休業や時短営業の要請。経済の冷え込みで多くの人たちの仕事や暮らしは傷つけられ続けています。さらに私が、今回最も深刻だと感じているのは、子供たちへの影響です。

各地で子供のコロナ陽性者が確認され、その結果として起きたことは「学級閉鎖」や「学校閉鎖」の乱発でした。原因はどこにあるのでしょうか。

文部科学省が全国の教育委員会などに通知した「ガイドライン」では、学級内で2~3人の感染者が確認された場合は5~7日程度を目安に学級閉鎖することなどを示しました。感染者が1人確認されただけでも、濃厚接触者が2~3人いる場合も学級閉鎖を実施する例として挙げています(注1)

その結果、暮らしは脅かされました。保育園の休園で仕事に行けない子育て世帯を直撃し、感染することより「陽性者」になることの社会的な影響を恐れる――。そんな本末転倒な状況が、今も私たちの身近なところで起きています。

最初から「さざ波」と言われていた日本の新型コロナへの社会の過剰反応による自滅がいまだに継続していると言えます。

■感染拡大しても「40代以下の致死率は0%台」という現実

前回記事でも指摘した通り、オミクロン株では陽性者数と死亡者数のリンク切れ、あるいはデカップリング(非連動)と呼ばれる状況が続いています。現在の新型コロナウイルスは、肺炎重症化するより感染により高齢者の体力が低下して誤嚥性肺炎などで入院していることが報告されています。

このことはECMO(extracorporeal membrane oxygenation、体外式膜型人工肺)装着者数からも明らかです(注2)。年初からの「第6波」と呼ばれる状況下で、3月半ばになっても東京都では0~4人、全国でも1人~30人ほどで推移しています。デルタ株の「第5波」(2021年秋)では、東京だけで最大33人、全国で164人が装着していました。陽性者数が多くても肺炎の重症化が非常に少ない株に変異したことは明確です。

子供たちの感染状況を見てみましょう。

新型コロナウイルス感染症の年齢階級別累計陽性者数と死亡数
出典=厚労省資料
陽性者数と死亡数、致死率
出典=厚労省資料

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向:2022年3月1日24時時点」によると、年代別の累積陽性者数は20代が最も多く、40代以下が全体の約75%を占めています。死者数を見ると10代未満はゼロです。10代は7人です。致死率を見れば、40代以下は0%台にとどまっています。

■学校の休校、保育園の閉鎖は本当に必要なのか

東京都医師会の定例記者会見(2月8日)で、小児科医の川上一恵理事は、子供の大多数は軽症にとどまると指摘。「学校という場について、特に公教育は、公立の小中学校と言うのは、親の経済状態にかかわらず全ての子供が通える場です。そこがいかに子供たちを、心身ともに豊かな子供として育っていく場にするか、やはり私たちは経済を回すのと同時に、子供の教育もしっかり回すことをそろそろ考えないといけない」と述べました(注3)

PCR検査による「犯人探し」は子育て中の人たちの収入にも暗い影を落とします(注4)。お子さんが無症状でも陽性になると濃厚接触となってしまい(注5)、欠勤せざるをえず死活問題につながります。こどもの「軽微なカゼの流行」で多くの家庭の生活が困窮しています。コロナに過敏すぎです。

冷静に考えてみましょう。重点措置や、学校・保育園の学級(あるいは学年、学校・園全体の)閉鎖は、何のための措置でしょうか。自粛や閉鎖は何を守るために行うのでしょう。「人々を守るため」だと多くの人が答えると思います。

つまり本来は命を守るための手段の1つだったはずです。一方、現在の変異株はさらに命を脅かすものではないものになりました。その理由は、先ほど厚労省などのデータでお示しした通りです。

命を脅かさないウイルスのために自粛と閉鎖で暮らしを脅かしつづけるのは、手段の目的化です。自滅としか言いようがありません。一貫して重点措置を要請しなかった県知事さんもいらっしゃいました。

私がこの「過剰反応」からの離脱を訴え続けている理由はまさにその点です。

マスクを着用して買い物をする親子
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

■過剰反応によって奪われた子供たちの可能性

私のクリニックでも、親子とも元気なのに「陽性者」や「濃厚接触者」ということで家から出られなくなった事例がたくさん発生しています。リモート診察などしたりして済ませましたが、ほとんど無症状あるいは一時的な微熱です。

そんな親子から聞く声は、共通して「なんで元気なのに会社や学校、保育園、幼稚園に行けないのですか?」というものです。私は「何らかの制限が必要なウイルスではすでになくなっているのに、悪しき制度だけが残されています」と答えました。親は、子供が休園になると家でお世話をしなくてはいけません。仮に子供が陽性になれば、親は陰性でも濃厚接触になってしまいます(注5)

親御さんが収入減とシフトの交代の連絡で心が折れている現状に、私は怒りを覚えました。もともと人々のためになるPCR検査の建前さえも崩れ、人々を苦しめる道具になっています。PCR陽性に過剰反応しつづけていけば、教育と社会は破壊されつづけます。

子供たちに被害を与えていないコロナウイルスによる学校機能の停止は、子供たちの成長を妨げる有害な措置です。教育機関は人間が健やかに成長するために必要な場所です。ひいては国や社会の存亡に関わる場所です。

社会で活躍するみなさんにも、大切な同級生や同窓生がいらっしゃることでしょう。弱毒コロナウイルスで、次世代の人々の大切な機会を奪うことは避けるべきです。

■子供にワクチン接種をさせるべきなのか

私は、コロナウイルスに感染してしまったほうが有益性が高いと思っています。パンデミック初期のコロナウイルス感染をするとその免疫が長期にわたって維持され、その後の変異株への再感染を防御するという報告が東大の研究グループからなされました(注6)

この点からも、私は感染を恐れず休園・休校などせず、普通の生活を続けることが重要だと考えています。具合が悪くなければ検査も不要です。陽性だったとしても健康に影響なければ「病気でなければ」放置すべきです。

陽性者を減らすことを目的とするワクチン接種は必要なのでしょうか。結論から言えば、子供たちにワクチン接種を強要するべきではありません。

「病気にならない」ウイルスの陽性者を減らすために、ワクチンを打つなんて愚の骨頂です。ワクチンは、発症すると健康被害が出る病気の予防のためにあるのであって、無症状の陽性者を減らすために接種するものではありません。

コロナウイルスワクチン接種のための予備検査フォームとボールペン
写真=iStock.com/tamaya
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tamaya

しかも現在の遺伝子RNAワクチンは、短期間で緊急承認され長期の有害事象観察の治験中のため将来の安全性が確認されておらず、厚労省が現時点では「小児における、オミクロン株に対するエビデンスは必ずしも十分ではありません」と明記しています(注7)

前述の川上医師は、基礎疾患のある子供などへのワクチン接種の意義を強調しつつも、「やりたくない子に同調圧力をかけてまでやる必要はないのではと多くの小児科医が考えていると思う」と述べています(注3)

また、「これから先も変異株が次々出てくる可能性を考えた時に、いつまで子供たちが行事もできず、マスクをしたままの状態で生活をし続けなければならないのか。どうしたら子供の健やかな育ちを保証してあげられるのかを大人は考えなければいけないと思う。そこが一番の課題だと思う」と指摘しました。

■同調圧力で打つのは間違っている

もう一歩踏み込んで、私は、コロナ被害のない子供へのワクチン接種はことさら有害でしかないと考えています。さらに「抗体の性能はワクチンではなく、新型コロナ感染後の方が優秀である」(Antibodies perform best after Covid infection, not vaccine)という報告もあります(注8)

人間は、実際に感染するとウイルスが持つさまざまなタンパク質に対してさまざまな免疫を作ります。多様かつ重層した免疫で、細胞性免疫も誘導されます。さらにウイルスには変異しても不変な部分が存在するので、ウイルスの変異に強い免疫になります。人類はそうやって数多くのウイルスが存在する中を生き延びてきました。

「感染によって誘導された免疫は長期にわたって維持」という前述の報告と組み合わせると、私は、子供たちには型落ちになった武漢型スパイクタンパク質へのRNAワクチンより、実際の感染の方の免疫に軍配が上がるだけでなく、長期的に見るとコロナにかかる人がいなくなり日本の安全につながると考えています。

こういった状況を受けて、イギリスでは1日に4万人の陽性者、100人以上の死亡者が出ているイギリスでは「このウイルスはなくならない」とPCR検査や隔離措置を含めすべてのコロナ規制を全廃しました(注9)

■専門家の退場が「コロナ騒動」の出口になる

コロナへの過剰反応が、私たちの暮らしを脅かしています。コロナウイルス自体によるものではなく、社会の仕組みによって生まれた過剰反応という点がポイントです。

この原因は何か。答えはシンプルです。「コロナ専門家」と呼ばれる人たちが、コロナウイルスの特性や状況に応じた対応を見誤り、新規感染者数を抑制する「自粛一辺倒」の方針を変えてこなかったからです。人々はそれに従ってきたにすぎません。

もともと「コロナ専門家」は当初未知のウイルスであった「新型」コロナウイルス対応のために2年前に政府に招聘(しょうへい)された方々に過ぎません。

現在は未知ではなく、ワクチンや治療薬も登場しました。弱毒化したコロナウイルスの性質も明確に報告されています。にもかかわらず専門家は、流行初期から他の医療者の提案を議論することなく閉鎖的で硬直化した対応を上意下達で運営を続けています。

一方で、きちんとコロナ患者さんを混乱なく治療し続けた医療機関もありました(注10)。初期治療していた先生もいらっしゃった(注11)ことを考えると、「人流抑制」や「自粛」一辺倒のマネジメントを続けた専門家たちは、現在も失敗しつづけています。

2020年4月26日、新型コロナ感染拡大防止のために臨時休業を知らせる張り紙
写真=iStock.com/Fiers
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Fiers

流行当初から日本の被害は少なかったのにそのアドバンテージを生かすことができませんでした。専門家の作った制限に国民が反対できないようにする法整備も急がされ、大きく全体主義に傾かされました。2021年8月の「ロックダウン法制化の議論も」など複数の記事に記録されています(注12)

私は、やはりこの辺りで「PCR検査、自粛の強化、RNAワクチン接種」の3点セットしかアドバイスしかしない専門家をいったん解散すべきだと思います。もうすぐ登場する国産ワクチンの適応や比較の議論も避けています。

カナダで承認を得た田辺三菱の植物由来ワクチンや(注13)、3月に承認申請されるシオノギ製の国産ワクチン(注14)、すでに昨年のうちに承認申請され数ヶ月経過している武田ノババックス製などに切り替える議論を進めてもよいでしょう。専門家が遺伝子を使わない優秀な国産品との比較をおこなって日本企業を応援しない理由も不明です。

■常在性ウイルスとして、コロナは消える

コロナシフトから早急な医療システムの正常化も急がれます。街の診療所がコロナを気にせず通常診療を行い、高齢介護施設では対策を簡素化して現場の人々の負担を減らしつつ経過を観察できるようにして、コロナ以外の患者さんが圧倒的に多い救急医療現場は通常の救命救急業務を主たるものにする本来の姿に戻るべきです。

大和田潔『コロナは消える!』(ビジネス社)
大和田潔『コロナは消える!』(ビジネス社)

ロシア軍のウクライナ侵攻で、国内のコロナ報道は激減しました。難民一時受け入れも必要かもしれません。経済危機や食糧難が来るかもしれません。次の危機に備え世界は、弱毒化したコロナを相手にしなくなりました。

土着化していくウイルスは、ゼロにはならずこの形が収束状態です。流行が去った沖縄(注15)や他国で観察されていることと同様です。それが「コロナが消える」ことになる終焉の姿です(注16)。積極的に終わらせることが、子供たちや教育、社会を守ることになります。

非効率的なコロナ対応をズルズル続けるのは有害無益です。私は、制限を撤廃して国内システムを早急に正常化し健全化する局面にすでに変化したと思っています。意味を失った規制で自滅することなく、社会情勢の変化に対応できるよう早急に対応すべきだと思っています。

参考
1.学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドラインの送付について 文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
2.NPO法人日本ECMOnet COVID-19 重症患者状況の集計
3.東京都医師会、定例記者会見(令和4年2月8日開催) ⑤ 子どもの新型コロナ(川上 一恵 東京都医師会理事)
4.感染者1人いればクラス全員にPCR検査→学級閉鎖や休校68校に 県教育庁が基準緩和 沖縄タイムス
5.学級閉鎖が起きても慌てないために、知っておくべきこととは 教育タイムス
6.パンデミック初期のSARS-CoV-2株感染によって誘導された免疫は、 長期にわたって維持され、デルタ株による再感染を防御する 東京大学医科学研究所
7.厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A
8.Antibodies perform best after Covid infection, not vaccine, Feb. 2022, Israel21c
9.英イングランド、コロナ規制を全廃へ 隔離措置は24日に廃止、BBC 2022年2月22日
10.「自分たちが診る病気じゃない」そう考える医師が大半のままではコロナ禍は絶対に終わらない 「断らない病院」の孤立無援の戦い
11.「在宅放置でコロナ死する人をもう増やしたくない」長尾医師が“5類引き下げ”を訴える本当の理由
12.尾身氏「ロックダウン法制化の議論も」感染爆発続けば 朝日新聞
13.植物由来COVID-19ワクチン「COVIFENZ©」(MT-2766)カナダにおいて承認を取得 田辺三菱製薬 2022年2月24日
14.新型コロナ 塩野義、国産初ワクチン 「3月にも承認申請」、毎日新聞 2022年2月3日
15.新型コロナウイルス特設サイト沖縄 NHK
16.『コロナは消える!』大和田潔、ビジネス社

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大和田 潔(おおわだ・きよし)
医師
1965年東京葛飾区生まれ、福島県立医科大学を卒業後、東京医科歯科大学神経内科にすすむ。厚労省の日本の医療システム研究に参加し救急病院、在宅診療に勤務の後、東京医科歯科大学大学院にて基礎医学研究を修める。東京医科歯科大学臨床教授を経て、あきはばら駅クリニック院長(現職)。頭痛専門医、神経内科専門医、総合内科専門医、米国内科学会会員、医学博士。著書に『知らずに飲んでいた薬の中身』(祥伝社新書)など。監修書に『のほほん解剖生理学』『ホントは看護が苦手だったかげさんの イラスト看護帖~かげ看~ 』『じにのみるだけ疾患 まとめイラスト』(いずれも永岡書店)などがある。

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(医師 大和田 潔)

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