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どんなに難しい仕事も計画通りに終えられるリーダーが「2つのカレンダー」を使っているワケ

プレジデントオンライン / 2022年3月14日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nuthawut Somsuk

難易度の高い仕事でも計画通りに終えられるリーダーは、どのように時間を管理しているのか。『プロジェクトのトラブル解決大全』(KADOKAWA)を書いた木部智之さんは「プロジェクトを俯瞰して、効果的な計画を立てることが重要だ。そのためには作業工程表と年間カレンダーを並べて使うといい」という――。

■「PDCA」を実践している組織は少ない

プロジェクトで必要となるのが、計画通りに進まなかったことを振り返り、次に生かすことです。

つまり、PDCAです。PDCAをこまめにできるかどうかで、プロジェクトが少しでも良くなるか否かが決まります。

特に炎上プロジェクトでは、計画通りに進まないことが乱発するので、PDCAが重要になります。

私は、さまざまなプロジェクト、職場で仕事をしてきたなかで、「PDCAが重要だ」「高速でPDCAを回そう」という掛け声をたくさん聞きました。しかし、本当にPDCAを実践している組織を見たことはほとんどありません。

■なぜ「掛け声」止まりになっているのか

PDCAが「掛け声」止まりになり、実践できないのはなぜでしょうか。それは、PDCA がサークルになっているからだと私は思っています。

一般的なPDCA
出典=『プロジェクトのトラブル解決大全』

仕事の現場では「PDCAを回せ!」とよくいわれます。このサークルのイメージだと、PDCAをぐるぐる回し、それを繰り返すというイメージはたしかに持ちやすいですが、このイメージでは「何に対してチェックするのか?」が明確になりません。

なんとなく「Do」が終わったところでチェックをする、という漠然としたチェックになりがちなのです。

■PDCAで重要なのは「C」

PDCAで重要なのは、PlanとDoに対してそれぞれCheckすることです。計画が良かったのか悪かったのか、その実行方法が良かったのか悪かったのか、ということです。

そのために、サークルではなく、マトリクスでPDCAを実践します。

マトリクス式PDCA
出典=『プロジェクトのトラブル解決大全』

こうすると、チェック対象が明確となり、振り返りもポイントを絞ることができ、次へのアクションも考えやすくなります。

ある程度の規模のプロジェクトや炎上プロジェクトでは、大小さまざまな作戦を立て続け、それを実行し続けます。

ですが、それらのすべての作戦や実行がうまくいくことはありません。だからこそ、作戦と実行を振り返り、マズかったことがあれば次に生かさなければいけないですし、うまくいったとしても、もっとうまく生かすためにはどうしたらいいだろう、とPDCAを行います。

■少しずつ軌道修正していく

PDCAの実行頻度は、フェーズの切れ目や、ちょっとしたタスクの完了タイミングごとに行います。

チームメンバーを集め、マトリクスをホワイトボードに書いてブレストすると、さまざまな意見が出て、次への大きな改善が生まれます。

また、チームでやるのとは別に、私は自分自身だけでのPDCAもしていました。これは毎月です。1カ月を振り返って、次の1カ月のプランを立てる、そして1カ月後にまた振り返る、という具合です。

PDCAを繰り返し、少しでも軌道修正をかけながら進めていくことが、プロジェクト完遂のために非常に大切です。

■カレンダーを見ながら「未来」を妄想する

先を読みながらプロジェクトを進めることは大切ですが、トラブルプロジェクトでは、どうしても目の前の仕事に追われ、先のことを考えようと思ってもなかなか考えることができません。

そして、先のことを予測して動いていないがために想定外のことが起きたり、段取りが悪かったりと、後手後手の対応となりがちです。

そこで私は、カレンダーとプロジェクトのマスタースケジュールを手に持って、未来を妄想する、ということをやっていました。

カレンダーとマスタースケジュールを「並べて見る」
出典=『プロジェクトのトラブル解決大全』

カレンダーは、卓上の三角カレンダーや手帳の「年間」カレンダーを見ます。そして、プロジェクトのマスタースケジュールも見ながら、プロジェクトの終わりから現時点までさかのぼります。

そうすると、この時期にはどんな準備ができていないといけない、とか、次のフェーズの開始にはこれが終わっていないといけない、といったことが自然とイメージできるのです。

そして現時点までさかのぼったら、今度はそのままプロジェクトの終わりまでを手前からイメージしていきます。

すると、さっきはこの準備が必要だ、とか、これが終わっていないといけない、と思っていたことに対して、今の計画では厳しいだろう、だからタスクを入れ替えて早く始めないといけない、などということが見えてきます。

■スケジュールを可視化する意味

両方向から妄想をすることで、これまで気づけていなかった作業に気づくこともあります。

細かいところでいうと、3カ月後に思わぬ連休があることに気づくこともあります。

仮想カレンダー上の赤いマーカーで日付をマークする
写真=iStock.com/Prostock-Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Prostock-Studio

また、2カ月後に迫ったサービスインに向けて、より具体的な作業のヌケモレをチェックしたり、ということもできます。

私は、多い時はこの作業を月曜日と金曜日の週2回やっていたこともあります。

大炎上していたプロジェクトでは、1週間で様子がかなり変わることが多かったので、月曜日に現状と未来を確認し、金曜日に改めて現状と未来を確認する、ということをしていました。

木部智之『プロジェクトのトラブル解決大全』(KADOKAWA)
木部智之『プロジェクトのトラブル解決大全』(KADOKAWA)

遠い未来についてはあまり景色は変わりませんが、近未来については1週間で景色が変わることはよくありました。

このテクニックはプロジェクトの炎上解決のみならず、プロジェクトを「炎上させない」ためのテクニックとしても有効です。

カレンダーとマスタースケジュールという「物理的な道具」を「実際に見る」ことで、未来を想像しやすくすることができるのです。

マトリクス式のPDCAを行い、カレンダーを見ながらの「未来⇔現在妄想」を実践すれば、難易度の高いプロジェクトであってもこれまで以上に効率的に進めることができると思います。

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木部 智之(きべ・ともゆき)
パナソニック システムソリューションズ ジャパン執行役員
横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年、日本IBMにSEとして入社。数々の炎上プロジェクトをサービスインに導くいわゆる「火消し屋」として活躍し、エグゼクティブ・プロジェクト・マネジャーとなる。2018年、パナソニック システムソリューションズ ジャパンに入社し、難易度の高い重要プロジェクトをリードする。2020年4月より現職。アウトオブザボックス代表。

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(パナソニック システムソリューションズ ジャパン執行役員 木部 智之)

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