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自分から机に向かえる子になる…学習意欲がどんどん湧き上がる科学的に正しいほめ方

プレジデントオンライン / 2022年3月16日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat

わが子の学習意欲を高めるにどうすればいいのか。中学受験専門塾・伸学会代表の菊池洋匡さんは「モチベーションを上げるには『自律性』『関係性』『有能感』の3つの要素が重要だ。最終的な判断は子供に任せ、できていることを褒めるといい」という――。

※本稿は、菊池洋匡『小学生の勉強は習慣が9割』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■子どもの「内発的動機付け」を引き出せているか

自分の心の内側からわき出るやる気を「内発的動機付け」と言います。

この内発的動機付けを持つためには「①自律性」「②関係性」「③有能感」の3つの要素が重要と言われています。

それぞれ、

①自律性=自分で選ぶこと
②関係性=周囲の人間関係がうまくいっていること
③有能感=やればできると思えること

くらいにザックリと考えていただければ大丈夫です。

内発的動機付けを持つために重要な3つの要素
出典=『小学生の勉強は習慣が9割』

これらが1つ、2つと満たされるほどやる気がわき、すべて満たされていると最高にやる気が出ます。この3つの要素を満たすために、親は何を心がければよいのでしょうか?

■まずは本人に任せて、うまくいかなければその都度修正

まずは、自律性の感覚を満たすために、勉強そのものへの選択権を可能な限り子どもに与えることです。「勉強を何時から始めるのか」「どの科目から始めるのか」「どんな風にやるのか」を子ども自身に選ばせましょう。

「ノートに書きなさい」「式を書きなさい」「字はていねいに書きなさい」などなど、指示・命令があればあるほど勉強がつまらなくなります。

例えば「式は書いたほうがいいよ」といったアドバイスをするときには、「なぜ式を書いたほうがいいのか」メリットをしっかり伝えつつ、最終的にどうするかは本人に任せるのがよいでしょう。

もしそのアドバイスに子どもが従わなかったとしたら、そのときではなく、「そのせいで計算ミスした」といった不利益があったときに反省会をするとよいですね。

自分で選んだ感覚があるほど、勉強自体が楽しくなります。

勉強した先にあるゴールを決める場合にも、同様に自分で選ばせるようにしましょう。

やる気を引き出すためには「本人に決定権がある」ことが重要です。

中学受験をすることを親が決めて、本人が納得しないうちに塾通いがスタートするというケースは、多数派ではないでしょうが、少なからずあると思います。そうしたケースは高確率で子どもの勉強への意欲は低くなります。

やりたいと思ってもらえるように、受験するメリットを伝えつつ、授業を体験した感想なども聞きながら、最終的にどうするかは本人に任せるのがよいでしょう。

志望校を決める場合も同じですね。文化祭などの行事に足を運ぶなど、本人が「行きたい」と思う学校に巡り合うのをサポートしましょう。

将来の夢が先に決まっている子であれば、「目の前の勉強を頑張ることが、夢の実現にどうつながるのか」を教えてあげるとよいでしょうね。

■子どもが「できていること」を褒めてあげる

次に、親子関係を良好に保つことを心がけましょう。

これまで私が見てきた教え子の中には、お父さんやお母さんがいつも「勉強しろ」と言うのがわずらわしく、「自分が勉強を頑張ると親は喜ぶ。でも、親に喜ばれると自分が負けたように感じて腹立たしいから、勉強したくない」と言う子もいました。

自分が好きな人や尊敬する人から「こうするといいよ」と勧められれば「やってみよう」という気になりますが、嫌いな人から同じことを言われると、理屈ではそれが正しいとわかっていても、やりたくなくなる――これは大人も子どもも共通の感情ですよね。

「子どもの悪いところを直してあげなきゃ……」といった気持ちが強くて、ついつい子どもができていないところを指摘しがちなお父さんやお母さんもご注意ください。「いつも粗探しをして怒るから嫌い」と思われてしまうかもしれません。

また、親ではなく、できていない自分が嫌いになって、自信を失ってしまう場合もあります。どちらに転んでも、やる気を出すためにはよくありません。

関係性をよくするためには、できていないところの指摘よりも、できているところを認めて褒めることを意識するほうがよいでしょう。

親子の関係性を良好に維持したうえで、「あなたはこういう目標を目指すとよいと思う」といったアドバイスをすると、子どもはそれを受け入れやすくなるでしょう。

■ハードルが高すぎる目標にしないよう注意

最後に、有能感を満たすために、「自分はやれている」「次もやればできそうだ」という自信を子どもに持たせましょう。目標は達成可能なものに設定して、成功体験を積み重ねるようにしましょう。

最初からチャレンジングな高いハードルを課してしまう親御さんがときどきいますが、そのやり方はうまくいかない場合のほうが多いです。

「やったらできた」という経験が増えるにしたがって、子どもは高いハードルにもチャレンジできるようになっていきます。焦らず1段ずつハードルを上げていきましょう。

以上、内発的動機付けを高める3つの要素でした。これら3つを意識しながら、お子さんの中にうまく目的意識を作ってあげてください。

菊池洋匡 『小学生の勉強は習慣が9割』(SBクリエイティブ )
菊池洋匡『小学生の勉強は習慣が9割』(SBクリエイティブ)

なお、さまざまな研究により、「なぜそれをするべきか」を考えると、「どうやってそれをするべきか」を考えるよりも、モチベーションが上がることがわかっています。

例えば、「人生にとって健康が必要な理由」を考えてもらったグループは、「健康になるための方法」を考えてもらったグループよりも、目先の誘惑に負けなくなりました。

成績を上げるために「どんな勉強をするか」を考えることは大事ですが、誘惑に負けずに勉強計画を実行する意思の強さを持つためには、「なぜ勉強をするのか」という目的意識を持つことがとても大切です。

最初の一歩を踏み出した後、二歩目、三歩目と進むことを後押ししてくれますので、目的の再確認もときどきしてくださいね。

【ポイント】
・勉強についての最終的な判断を子ども自身にさせる(親がアドバイスするのは可)
・親子の良好な関係性ができていなければ作る
・目標は子どもが実際に達成可能なレベルから始める

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菊池 洋匡(きくち・ひろただ)
中学受験「伸学会」代表、算数オリンピック銀メダリスト
開成中学校・高等学校、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。10年間の塾講師歴を経て、2014年に中学受験専門塾「伸学会」を自由が丘に開校し、現在は目黒・中野を合わせて3教室に加え、オンライン指導も展開。指導理念と指導法はメルマガ(登録者約8000人)とYouTube(登録者約46000人)でも配信。著書に『小学生の勉強は習慣が9割』(SBクリエイティブ)などがある。

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(中学受験「伸学会」代表、算数オリンピック銀メダリスト 菊池 洋匡 イラストレーション=伊藤ハムスター)

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