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「血圧が下がり、幸福度が上がる」お金の使い方vs.「不幸になる」お金の使い方8つの違い

プレジデントオンライン / 2022年3月23日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Arthit_Longwilai

宝くじで100万円が当たったら何に使うだろうか。多くの日本人は「貯金」かもしれない。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは「外国人の中には、『寄付』という方も少なくありません。自分ではなく他人のためにお金を使うことは、健康にプラスになるだけでなく、幸福度を高める効果があることが研究で明らかになっています」という――。

※本稿は、黒田尚子『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。

私はよくライフプランセミナーで、「宝くじで100万円当たったら何に使いますか?」という質問をします。何にお金を使うかが人それぞれであるように、ライフプランも十人十色だということをお伝えするためです。

やはり、老若男女問わず多いお答えが「貯金」です。貯蓄好きな日本人ならではですが、中には「好きなアーティストのグッズを買います」「旅行に行きたい」「投資をしてさらに増やします」などさまざま。あるスポーツ強豪校の教員向けセミナーをしたときには、「自分が顧問をしている部活の子どもたちに焼肉をご馳走します」という先生もいらっしゃいました。生徒さんへの想いが伝わってきますよね。

一方、外国の方にお聞きすると、回答は一変。自分のために使うのではなく、彼らの多くは「寄付します」とお答えになります。日常生活において、寄付やボランティア活動が当たり前の社会ですから、当然かもしれません。

■他人のためにお金を使うと血圧が下がり幸福度が上がる

実は、自分ではなく他人のためにお金を使うことは、健康にプラスになる上、幸福度を高める効果があることが研究で明らかになっています。カナダのブリティッシュコロンビア大学のエリザベス・ダン博士は次のような研究を行いました。

高血圧を患う高齢被験者に毎週40ドルを3週間連続で渡し、グループAには「お金を自分自身のために使ってください」、グループBには「お金を誰か他人のために使ってください」と伝えるのです。

3週間後、被験者の血圧を測定したところ、他人のためにお金を使った人は、自分のためにお金を使った人に比べて血圧が著しく減少。この時の血圧減少のインパクトは、健康的な食事や頻繁にエクササイズを行った時のそれと同じだったと言います。

■「お金の使い方」と幸福には相関関係がある

また、ダン博士の他の研究によると、お金と幸せには相関関係がほとんどなく、その代わりに、お金の使い方が関係するということで、実証研究から幸福になれる8つの使い方を提案しています。

〈幸福になれる8つのお金の使い方〉
1 モノではなく経験を買う
2 自分ではなく他人の利益のために使う
3 少数の大きな喜びではなく多数の小さな喜びに使う
4 期間の延長や保障にお金を使わない
5 支払いを先延ばしにしない
6 買ったものが生活をどう向上させたか振り返る
7 いつまでも買ったものを比較しない
8 他人の幸福に細心の注意を払う
黒田尚子『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(日本経済新聞出版)
黒田尚子『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(日本経済新聞出版)

著書『「幸せをお金で買う」5つの授業』(中経出版)でも、「他人にたくさん投資すればするほど、幸福度は増したのです」「あなたがもっとたくさんのお金を稼ぐことに焦点を合わせているなら、『お金を一部の人にあげること』が『もっとたくさん稼ぐこと』と同じくらい自分にとっての報酬になることを頭にいれておいてください」と述べています。

日本でも、大阪大学社会経済研究所が実施した「くらしの好みと満足度についてのアンケート」(2004年2月)によると、「『お金を貯めることが人生の目的だ』という人は不幸」という結果が出ています。

GDPが高くても、日本人が幸福を感じられないのは、将来の漠然とした不安にかられて、お金を貯めることばかり考える人が多いからかもしれません。お金は使わなければ、単なる「日本銀行券」。紙切れに過ぎません。どのように使うかで、意味や価値が出てくるものだということです。

■引き続き人気の「ふるさと納税」は寄付? 節約?

最近は、日本でも、震災時のボランティア活動や持続可能な開発目標(SDGs)の普及など、社会貢献の意識が高まりつつあります。

寄付文化の普及に取り組むNPO法人日本ファンドレイジング協会によると、2020年の国内の個人寄付総額は前回調査の16年比56.3%増の1兆2126億円。とくに、2020年の個人寄付者のうち、新型コロナウイルス関連で寄付をした人が全体の2割を占めるなど、コロナ禍で身近な人との助け合い意識が高まっているのだと思います。

SDGsがコンセプトの写真
写真=iStock.com/Boonyachoat
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Boonyachoat

さらに、同調査では、人気の「ふるさと納税」が過去最高を更新し、6725億円と同年比2.4倍に増えたとあります。

そもそも、この制度は、おもに首都圏等で働く地方出身者(まるで私のような!)の税金を、ご恩返し的な意味で地方に還元することを目的に2008年度に創設されたしくみです。

現在の住所地だけでなく、個人が選んだ“ふるさと”に恣意的に寄付(納税)できる点は、これまでにないユニークなしくみと言えるでしょう。

この制度のメリットは、①気軽に好きな自治体に寄付できる、②自分の税金が安くなる、③実質2000円でお礼に特産品がもらえるといった3つが挙げられます。本来の目的からすると、メリットの比重は、①>②>③のはずなのですが、創設から10年以上が経過した現状では、③>②>①になっている印象が否めません。

当初、感謝のしるし程度だった返礼品が、自治体同士の競争が過熱化した結果、「ふるさと納税=豪華な特産品をゲットできるオトクな制度」という位置づけになってしまっているのは、個人的にはちょっと残念に感じています。とはいえ、ふるさと納税が地方の活性化に貢献していることも確かです。

■ESG投資で社会貢献する企業の取り組みを評価

さらに、投資の世界でも、社会貢献の考え方は以前からあり、より進化を遂げています。

例えば、SRI(SociallyResponsibleInvestment:社会的責任)ファンドは、従来の基準に加えて社会や環境、倫理問題などへの取り組みにも着目して投資先を選定しています。リターンを追求するというよりも社会貢献の意味合いが強いものです。

また、SDGs(貧困や飢餓、環境や多様性など、持続可能な開発目標として2030年までに世界中で達成したい目標やターゲット)の関連銘柄に投資するSDGsファンドやESG投資も登場しています。

ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を考慮して行う投資方法のこと。単なる社会貢献ではなく、あくまでも、リターンやリスクの低減を目的として、環境や社会との関わり方、企業のブランドイメージの保持という要素を銘柄選定に取り入れています。

みなさんも、これからは、消費も投資も、自分のためだけでなく、誰かのためにお金を使うことを意識してみてはいかがでしょうか?

◎ 誰かのためにお金を使って健康も幸福も手に入れる
× 自分が稼いだお金は自分のためだけに使う

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黒田 尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書に『親の介護は9割逃げよ「親の老後」の悩みを解決する50代からのお金のはなし』など多数。

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(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)

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