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「羊が1匹、2匹…と数えるとむしろ眠れなくなる」うまく眠るための7つのトリビア

プレジデントオンライン / 2022年4月6日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RyanKing999

うまく眠るためには、どうすればいいのか。オックスフォード大学のチャールズ・スペンス教授の著書『センスハック』(草思社)より、うまく眠るために知っておくべき7つのトリビアを紹介する――。

■①羊の数を数えると入眠時間が遅くなるという実験結果

あなたは眠りにつこうと必死になって、羊の数を数えたことがあるだろうか?

もしあるなら、残念だが文字通り時間を無駄にしていると言わざるを得ない。少なくとも、オックスフォードの以前の同僚の一人である、アリソン・ハーヴェイ教授(カリフォルニア大学バークレー校の心理学の教授)は、ずっと以前からこの迷信が誤りだと証明している。

ハーヴェイが、不眠症のあるグループに対して、うとうとしているときに、否定的な考えを抑えるのではなく、羊の数を数えさせたところ、入眠の時間は平均10分遅くなった。

それならば代わりに何を考えるべきなのだろうか。滝や、休暇中の穏やかでくつろいだ光景を目の前に思いうかべるようにすると、入眠の時間を約20分早めるのに役立ったという研究がある。

心地よい精神的イメージを維持するには認知的に多大な努力を要するので、不眠症に苦しんでいる参加者すべてが、否定的な考えや気がかりなことを思いめぐらさずに済んだのである(*1)

■②寝る2、3時間前は人工光を見ないほうがいい

あなたはスマホを横に置いて一緒に寝ているだろうか? それはやめたほうがいい。

北米の1000人を対象とした2015年の調査によると、私たちの71%がスマホと一緒に寝ている。3%はスマホを手に持って、13%はベッドの上か中に置いて、その他の55%はすぐ手に届くところに置いている(*2)

私たちの多くが直面している、居眠りに関する問題に取り組む際に、環境の感覚的側面に一因があると考える必要がある。

最近、夜に人工光に晒されていることが非難の対象になっている。その人工光の多くは夜に画面を見ているときに生じている。

2015年の研究によると(*3)、就寝前の2、3時間、発光電子書籍リーダーで読書する人は、活字本に比べて、寝入るのに時間がかかるうえに、夜間に眠くなりにくく、メラトニンの分泌量も少ない。

また、体内時計が遅れたタイミングを示し、翌朝の目覚めも良くない。多くの人が、週に数回は就寝前の1時間以内に、何らかの電子機器を使っていることを考えると、この調査結果は特に重要だ。

実際、人々の間で、電子機器への過剰な依存に対する危険性の自覚が高まってきている。このような状況で、評論家の中には、機器製造会社自身が、ブルーライトから皆を守るために何か対策を講じる責任があるのか、疑問を投げかける者もいる──ブルーライトは私たちの脳をだまして、起きる時間だと思い込ませることがあるので特に危険だ。

■③テレビを付けたまま寝ると太りやすい

警告―─照明またはテレビを付けたまま寝ると、体重増加や肥満のリスクが増加する。

これはノースカロライナ州にある米国国立環境健康科学研究所(NIEHS)が発表した、コホート研究〔疾病の要因・特性と発症の関連を調べるため、対象集団(コホート)を決め、その要因・特性を持つ群と持たない群に分けて観察する研究手法の一つ〕によるものである。

これらの研究者たちは5年間にわたって、35歳から74歳までの4300人以上の女性を観察した。人工光無しで眠っている人と比べて、夜に光に晒されている人は体重が5キロ以上重い(*4)

人工光は体の自然な時計を混乱させ、遅らせ、正常なホルモンバランスを狂わせているように思われる。

これらの結果は、就寝前後に、できるだけ光を除去することによる潜在的利益を示唆している。たとえ視覚的刺激が、自己申告の睡眠の質に顕著な影響をまったく与えなかったとしても、また、因果関係は特定できないという事実にもかかわらずだ。

それなら、センスハッキングは、何かを加えるのと同様、不必要な環境的刺激源を取り除くことでもある。

タブレットで遊んでいる子供
写真=iStock.com/ugurhan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ugurhan

■快眠のためにやるべきこと

夜間の人工光への露出を減らすのに役立つ具体的なセンスハックの観点から、次の提案のいくつかを試してみたらどうだろうか。

最も重要なことは、就寝前の2、3時間は明るいスクリーンを見るのを避ける、いわゆる細胞の夜間外出禁止令を行使することだ。

ただし、私のように、やむなく夜にさまざまな電子機器を使う場合は、専用の眼鏡をかけるか、ブルーライトを除去するようなアプリをダウンロードすることだ。

モバイル機器の中には、太陽が沈んだら自動的に表示画面が暖色系の色に変わるような夜間設定があるものもある。もし寝室に照明が必要ならば、暗赤色の常夜灯はどうだろうか。通常他のライトの色ほどメラトニンレベルに影響しない(*5)

■④騒音で夜眠れないという人に効果的な“あるワザ”

あなたは夜にどれくらいの頻度で、不快な騒音で目が覚めるだろうか? 環境騒音被害は、多くの人にとって大きな問題であり、実際に肥満や死亡率の増加につながる。

WHO(世界保健機関)によると、憂慮すべきレベルの騒音は、西洋だけでも百万年以上の健康寿命の喪失につながっている。

原因のほとんどが、騒音性の睡眠障害や苛立ちのせいだと考えられる。騒音が問題になるのは、あなたが寝付こうとするときだけではない。すでに眠っている時でさえも問題になりうる。

夜間の騒音は日中に経験する同レベルの騒音よりも、心血管の健康に有害かもしれないという提言もある(*6)

夜間の不測の背景雑音を遮断するのに効果的な、私の好きなトリックの一つを紹介しよう。穏やかに海岸に砕け散る波のような自然の音を利用することだ。

それが利用できないなら、同期ミスのラジオからのホワイトノイズ(あらゆる周波数成分を同程度に含む雑音、「シャー」と聞こえる音)で十分間に合う(まさにこの目的でホワイトノイズ発生器を販売している会社もある)。

■ASMR動画の意外な効用

他には、オンラインで、エヴァ・ロンゴリアやマーゴット・ロビーのような女優からのASMRコンテンツにアクセスすることだ。

誰かがささやいたり、紙のカサカサという音を出すとき、一部の人が経験する首筋を走るゾクゾク感は、彼らを優しくリラックスさせて、眠りに誘うのに役立つだろう。

また、ユーチューブにも、いくつかの自然の音の8時間ループがある。

■⑤足だけでも就寝前に熱いシャワーを浴びると良い

就寝の2、3時間前に、わずか10分でも、(足でも体でも)熱いシャワーを浴びたり、お風呂に入ると、眠りにつきやすくなる(*7)

理想的な夜の入浴温度は、40〜42.5℃だ。タイミングさえ合っていれば、8.6分、あるいは36%、眠り込むのが早くなる。

温かいお風呂やシャワーを使うと、血液の循環を促進し、逆に深部体温を下げることになる。体内時計は、それを寝る時間の合図と捉える。

バスルームでシャワーを使用する女性
写真=iStock.com/Ekaterina79
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ekaterina79

私たちの体温は就寝直前に自然に下がり、そして就寝中に下がり続け、午前4時頃、最低温度に達するのだ。

だから深部体温をできれば約1℃下げるために、できることは何でもやったほうがいい。なぜなら、これが入眠の大事な要素だからだ。

横になるのも有効だ。この姿勢の変化は体の深部から四肢への熱の放散を促すからである。

■湯たんぽを使って寝るならどこに置くのが良いか

『ネイチャー』誌には「温かい足は速い入眠を促進する」というタイトルの論文がある。その論文は、足を温めると、眠りにつく時間を減少させると断言している。

この特定のセンスハックが機能する理由は、手足は頭とともに動脈血流の増加による体温調整が最も有効な肌の部位だからだ。それなら、常識的に考えれば、湯たんぽを入れて寝るのが好きだったら、それを胸に抱きしめて寝るよりも足の近くに置いたほうが早く寝入るだろう。

■⑥室内のベスト気温は16~24℃

睡眠の質の観点からは、外気温も重要だ。たとえば、外気温が30℃に上がると、睡眠の質は低下する。

寝る部屋の温度が18〜25℃に上がると、睡眠は30分少なくなると予想できる。つまり、ぐっすり眠りたいならば、静かで暗く涼しい環境が最も必要だ。

温度を程よい快適な涼しさ(16〜24℃)に保ち、そして部屋の換気に努めるべきだ。どんな雑音も耳栓か「ホワイトノイズ」で最小限に抑えたほうがいいだろう。

光は目覚めの時を知らせる感覚的合図だから、できる限り光を遮るのに役立つ重たいカーテンか、遮光カーテンか、アイマスクを利用しなさい(*8)

最近、眠りの改善が証明されている、もう一つのヒントは子供の子守歌「ロッカバイ・ベイビー」にあるように、ゆらゆら揺れることだ(*9)

■⑦ベッドサイドに置くと空気がきれいになる植物

ベッドサイドテーブルに鉢植えを置いたらどうか? ベッドサイドテーブルの鉢植えはあなたの眠りを助長する。

特にある種の観葉植物は、風邪や胸苦しさを撃退し、また不眠症との戦いにも役に立つことがある(*10)

たとえば、イングリッシュアイビー(セイヨウキヅタ)は空中のカビを捕らえ、ほんの数時間でほとんどを除去してくれる。

チャールズ・スペンス『センスハック』(草思社)
チャールズ・スペンス『センスハック』(草思社)

一方、アメリカ航空宇宙局によると、アロエは空気清浄に最適な植物の一つだという。アロエは、一晩中、酸素を放出すると同時にベンゼンやさまざまな洗剤やプラスチックの成分、多種のワニスや床材に見られるホルムアルデヒドのような大気汚染物質の吸収、分解を促進するからだ。

マダガスカルアレカヤシを見かけたら、大気汚染物質を吸収するという観点から、トップになった植物だと知っておいて損はない。それは、空気中に水蒸気を放出するため、潜在的に風邪や副鼻腔炎の人の呼吸を楽にする可能性もある(*11)

室内の空気の悪さという問題とその取り組みの重要性は、大気汚染の悪影響によりヨーロッパだけで年間最低9万9千人が死亡しているという、控えめに見積もった提言によって、強調されている(*12)

参考文献
(*1)Harvey (2003); Harvey and Payne (2002).
(*2)Huffington Post, 29 June 2015
(*3)Chang et al. (2015).
(*4)Park et al. (2019).
(*5)Guardian, 21 January 2019, “social jetlag are late nights and chaotic sleep patterns making you ill?”
(*6)Basner et al. (2014); World Health Organization (2011).
(*7)Haghayegh et al. (2019).
(*8)Chellappa et al. (2011); Czeisler et al. (1986); Lockley et al. (2006).
(*9)Perrault et al. (2019).
(*10)少なくともそれは、『エル・デコ』誌(デジタル版)とJoy of Plants社からのレポートに示唆されている。ちなみにこのレポートは『The Plantsman』園芸ジャーナルに発表された、NASAと米国アレルギー喘息免疫学会からの基礎研究に基づいている。
(*11)Wolverton et al. (1989).
(*12)Holgate (2017).

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チャールズ・スペンス オックスフォード大学教授
トヨタやICIといった多国籍企業に、知覚的な側面から見たコンサルティング(デザイン、パッケージ・ブランディングに関して)を行った。ポテトチップスを噛んだ音が大きいほど「新鮮」と感じるという画期的な研究により「イグ・ノーベル賞」を受賞。

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(オックスフォード大学教授 チャールズ・スペンス)

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