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オトナになってからの英語学習で、絶対にやってはならない「7つの悪習慣」

プレジデントオンライン / 2022年4月11日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Zinkevych

語学習得は若いほど有利、年齢を重ねてからではもう無理と諦めていないだろうか。確かに脳細胞の数は年とともに減るが、脳細胞の「成長」となると、それとは別だ。習慣を見直せば、まだ脳は育つ。オトナならではの賢い学び方、それとは逆に、やってはならない学び方とは。「プレジデント」(2022年4月29日号)の特集「『英語』レッスン革命」より、記事の一部をお届けします。

■思い立った今こそ、英語習得の適齢期

脳細胞の数は赤ちゃんの頃が最も多く、成長するに伴って減少していきます。ここから「語学学習を始めるなら若いほど有利、年齢を重ねるほど不利」という思い込みが広まったのだろうと思います。けれども、脳細胞の数の減少は“脳の衰え”ではありません。脳細胞の数が減少することで一つ一つが成長できる余地が生まれ、ネットワークを広げていくことができるのです。

では脳細胞は何歳頃まで成長できるのでしょうか。栄養が供給され続ける限り一生です。なので40〜50代の皆さんも、英語を習得するのに遅すぎることはありません。むしろ、今から英語を学ぶことでこれまで使っていなかった部分を刺激し、脳を活性化させていくことができるでしょう。「英語を学びたい」と思った皆さんは、今こそ英語習得の適齢期だと考えてください。

■自分の好きや得意をベースとして、そこから広げていく

脳細胞は一つ一つが決まった役割を担っています。そして、役割の似通った同士が集まって存在しています。私はこれを「脳番地」と呼んで分類し、MRI(磁気共鳴画像診断)で脳の使われ方を見る、という研究をしてきました。

例えば「英語を聞く」とは、ただ単に音が聞こえているのではありません。聴覚系脳番地と記憶系脳番地と理解系脳番地にある脳細胞が互いに連携することで、言語として認識・理解しているのです。日常的によく使われる脳番地の経路は太く広くなっており、高速でスムーズに処理されます。逆に、普段あまり使われない経路は細くて狭く、処理に時間と労力を使います。「英語脳をつくる」とはすなわち、英語を処理する経路を新設し、拡張していく作業にほかなりません。

モデル脳
写真=iStock.com/RapidEye
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RapidEye

さて、脳の使われ方には人それぞれにクセがあります。得意/不得意と言い換えてもいいでしょう。大人の脳はある意味出来上がっているので、何かにつけて自分の得意な経路で処理しようとするのですが、脳の伸びしろはこれまで使っていなかった部分にあります。とはいえ、不得意から入ってそこばかりを使おうとするのは、脳にとって負担でしかありませんから長続きもしないのです。

では、どうするか。自分の好きや得意をベースとして、そこから広げていくことです。脳は嗜好(好き嫌い)の影響を大きく受けます。誰しも好きなことや心地よいことは時間を忘れて打ち込めますが、嫌なことや、やらされ感のある作業はすぐに飽きてやめたくなってしまうでしょう。これは脳の仕組みがそうなっているからです。

一方で、英語習得のために、やってはいけない「悪習慣」があります。その悪習慣7つを見ていきましょう。

■やってはいけない7つの「悪習慣」

①教材の1ページ目から勉強

教材に限らず実用書の類は第1章の1ページ目から読んではいけません。おもしろくないところに遭遇したら興味が途切れ、そこから先が続かなくなってしまいます。継続が大事な学習にとって、そうした箇所は地雷と同じ。最初に全体を見渡して興味を惹かれたところ、やりたいと思ったところから手を付けるのが正解です。

②つまらない教材をやりきる

必要な知識を得たら、その教材の役割は終了。一冊全部やり終えると達成感は得られますが、それを得るために興味・関心・時間・労力が犠牲になっては元も子もありません。リスニングのために途中でおもしろくなくなった洋画や海外ドラマを最後まで見続けるのも同じ。脳が喜ばない学習は効果なしと心得ましょう。

③英文の「返り読み」をする

学生時代にやった英文読解のクセが抜けない人がいます。英文をバラバラにして日本語に変換し、日本語として正しい順序に並べ替えるわけですが、その複雑な作業に脳番地を使うのはまったく合理的ではありません。英語は英語の語順通り頭から読み(聞き)、重要なポイントを検知して理解するコツを摑むことです。

④発音を気にしすぎる

そもそも英国や米国の英語は、世界で話されている英語のごく一部。それ以外は正しくないなんてことはないのです。発音は運動系と伝達系の領域を使いますが、言語で使う脳番地のごく一部にすぎません。発音を気にしすぎることでアウトプットを躊躇して、他の脳番地の伸びる余地をスポイルしてしまうのは損失です。

⑤団体ツアーで海外旅行

脳に英語専用の回路を構築するには、ある程度「英語だけを使う期間」が欲しい。ところがそれができかけたところで日本語が聞こえると、脳は無意識に慣れた日本語の回路に戻ってしまいます。海外旅行は英語漬けになれる絶好の機会。英語習得の観点だけで言えば、1人で英語圏に行くほうがはるかに効果があるでしょう。

⑥文法を「記憶」する

言語を習得するうえで文法の理解は必要です。ですが日本の教育では文法は「覚えるもの」で記憶系脳番地に頼った学習になっています。文法に必要なのはどんな場面でどんな文法を使うのかといった、シチュエーションごとの「理解」です。文法の学習はリーディングやライティングの中に組み込んで、必要に応じて文法書や辞書を開くのが自然で実践的なやり方です。

⑦部屋が散らかったまま

日本語は語順がバラバラでも助詞(てにをは)が間違っていなければある程度通じますが、英語はそれぞれの語があるべき位置にないと意味を成しません。どこに配置したら正しく機能するかを考えるのは「部屋の片付け」と同じ。どちらも記憶系脳番地が発達している人ほど上手です。文法が苦手な人は勉強前に部屋の整理整頓をしてみては? 習慣を変えれば、あなたの脳も変わります。

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加藤 俊徳(かとう・としのり)
脳内科医
医学博士。加藤プラチナクリニック院長、「脳の学校」代表、昭和大学客員教授。『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き 「選ばれた才能」を120%生かす方法』など著書多数。

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(脳内科医 加藤 俊徳 編集・構成=渡辺一朗)

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