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開成で出題「1÷9998の小数第96位の数は?」エグい問題を解く力がつく低学年からの"アナログ遊び"

プレジデントオンライン / 2022年4月14日 11時15分

撮影=プレジデントオンライン編集部

中学受験で得点に差がつきやすいのが「算数」だ。トップ校に合格する子は何が違うのか。長年、算数を指導する四谷大塚横浜校舎校舎長の蛭田栄治さんは「小数・分数の四則演算を含む計算力など基礎をしっかり身につけることが大事です。そのために低学年のうちから親子でアナログな遊びをするといい」という――。

※本稿は『プレジデントFamily 2022 春号』の一部を再編集したものです。

■学校の勉強と何が違うのか

小学校で習う算数と中学受験に向けた算数学習の大きな違いは、カリキュラムの進度です。

計算でいえば、小学校では、3年生までに整数でのたし算・ひき算・かけ算・わり算ができるよう指導されます。続いて、小数の計算を5年生まで、分数の計算を6年生までかけて学んでいきます。

一方、中学受験のカリキュラムでは、4年生のうちに小数・分数の四則演算まで習います。

小数・分数を含めた計算力が、応用問題をやっていくための基礎となるからです。たとえば、速さの計算も、おうぎ形の面積を求めるのも、分数を理解していることが前提になります。

実際の問題を見てみよう!
解説と解答:中学入試の問題は、中学以降の範囲の先取り学習ではない。小学校で習う算数の知識を土台に、解き方を考えたり工夫をしたりすることを求められている。上の2問は、難関中学の算数試験の“大問1”で出題されたもの。桜蔭の計算問題は、小学校の教科書レベルよりもグンと難しく見えるが、一つ一つの計算を順番に、落ち着いて粘り強く解いていくことで答えが求められる。開成の問題は、まずは分数を小数に直すためにわり算をしてみる。0.0001000200040008……という答えの規則性に気がつくことができれば小数第48位が求められる。小数第56位と小数第96位はさらに繰り上がりも考える必要がある。

[答え]●桜蔭 ア:110分の27 ●開成 小数第48位:8 小数第56位:3 小数第96位:6

つまり、早いうちに計算力を身につけ、それを土台に、さまざまな応用問題の解法を学んでいくという学習カリキュラムなのです。

■割合につまずく理由は

進度だけではなく、学びの深さも違います。

たとえば速さの単元では、小学校では、速さの3公式という「速さ」「道のり」「時間」の関係を習います。「分速30mの人が5分歩くと何m進みますか」といった、二つがわかっているときに残りの一つ(この場合は道のり)を求めるところまでです。

幼児用のマグネットの数字と四則演算記号
写真=iStock.com/Michael Burrell
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Michael Burrell

中学入試では、3公式をもとにして、複雑な状況を整理していくような問題が出題されます。

「分速30mのAくんと分速50mのBくんが800m離れたところから同時に相手のほうに歩きだすと、出会うのは何分後ですか」といった問題です。

図形も同様です。三角形の内角の和や相似・合同など図形の性質を知るところまでが小学校の勉強。中学入試では、それを使った応用的な問題が出題されます。

中学受験の勉強、とくに算数は難しいというイメージがあると思います。でも、応用問題を解くために大事なのは「基礎・基本」をしっかり身につけることです。

たとえば、つまずきやすい分野として「割合」があります。

でも、つまずく原因は、割合が難しいからではありません。前段階である小数・分数のかけ算・わり算に十分習熟していない場合が多いのです。

たとえば「クラスの女子は4人で、全体の3分の1です。クラスの人数は?」という場合、4÷1/3=12と計算します。整数の計算では、かければ増えて、割ったら減るのですが、小数・分数では、かければ減って、割ったら増えることがあります。そこで頭が混乱して止まってしまう子が多いのです。

また、「12人のクラスで女子が4人のとき、女子の割合は?」というときは、4÷12=1/3となります。この場合、小さな数を大きな数で割るのですが、そこに抵抗がある子もいます。

『プレジデントFamily2022春号』
『プレジデントFamily2022春号』

数と計算に十分慣れて感覚が身についていること。整数と小数・分数の違いを理解していること。そういった基本が定着していることが大切なのです。計算力が足りないだけなのに、「割合は難しい」「算数が苦手」と思ってしまっているのです。

計算は、練習をすれば誰でもできるようになります。まずは、きちんと正しい計算の仕方を身につけること。繰り上がり、繰り下がりでの位取りがスムーズにできますか。

そして、毎日の計算練習で数に慣れることも必要です。自分の学年の計算が正確にできるようになったら、速く解けるように意識しましょう。最初は丁寧にひっ算をするのが大事ですが、慣れてきたら暗算で解けるようになってきます。

中学受験を考えるのなら、3年生の終わりまでに、2ケタのたし算・ひき算を暗算でできるようになっているのが理想です。

■センスがない子も大丈夫

算数、とくに図形などは「センス」がすべてのようにいう人もいます。でも私は、センスとは、生まれながらに持っているものではないと思います。

センスがある子というのは、実は小さいころから図形や数にたくさん触れていたとか、クイズのように楽しみながらどんどん解いてきた子なのではないかと思います。

トップ校に受かるお子さんなどが、いつもゲームをしていて全然勉強しないといった話も聞きます。そういう子は処理スピードが速いので、普通の子と同じ問題量(もしくはそれ以上)を、短時間でこなしていたという場合が多いのです。

■おすすめの遊びとは

ここまでお話ししたように、中学入試のための算数に大事なのは、計算をはじめとする基礎をしっかりと身につけることです。

では、そのために低学年のうちから家庭で準備できることはなんでしょうか。私のおすすめはアナログな遊びをすることです。個人的に一番いいと思うのはトランプの神経衰弱。算数が苦手な子は、長い文章題を読んでいるうちに、数字や条件が抜けてしまいます。

トランプのセット
写真=iStock.com/Jievani Weerasinghe
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Jievani Weerasinghe

得意な子は、頭の中で条件を整理しながら読めるので、すんなりと立式できるのです。そのときに大切なのは短期記憶。そこを神経衰弱で鍛えておくのは有効なのではないでしょうか。

あとは、人生ゲームのようなすごろく遊びもいいですね。一つ、二つ……とマスを数えていくのは、数に慣れる第一歩です。サイコロを振るのも、場合の数や確率につながる感覚が身につきます。日常の遊びに取り入れてみたらいかがでしょうか。

教える人
四谷大塚 横浜校舎校舎長 蛭田栄治先生

(プレジデントFamily編集部 構成=本誌編集部)

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