1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「黒いパンツが3本ある人はアウト」お金が貯まらない人がクローゼットに押し込んでいるもの

プレジデントオンライン / 2022年4月14日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/LuckyBusiness

クローゼットは家計の状態を表すのだろうか。『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか』(日本経済新聞出版)の著者、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは「例えば、同じような黒のパンツが3本以上あることを認識していない人は、衣類に限らず、衝動買いや浪費の傾向がある」という――。

■「クローゼットに黒いパンツが3本」の人が要注意な理由

ポカポカ陽気の続く4月、そろそろ冬物をクリーニングに出したり、衣替えしたりする人も多いだろう。衣類の入れ替えとともに、クローゼットやタンスの片付け・整理をする機会も増えるが、実は、クローゼットの見直しが家計にも意外な効果をもたらす。そんな、クローゼットの中身とお金の関係をご紹介しよう。

さまざまな衣料アイテムの中でも、年代や性別を問わず多くの人が持っているのが黒いパンツである。合わせるトップスやシューズを選ばないし、デニムやチノパンと比べると、カジュアルにもドレッシーにも着回すことができる。

下半身が気になる女性にとっては、黒いボトムスなら、引き締め効果も期待できる万能アイテム。汚れが目立たないのもありがたい限りである。

そんなオールマイティな黒いパンツだが、みなさんは自分が何本持っているか、把握できているだろうか。

秋冬用と春夏用を考えると2本はほしい。だが、クローゼットやタンスに3本以上あるという人は要注意かもしれない。それは、「お金の貯まらないクローゼット」になっている可能性がある。

多くの家計相談を受け、お金の貯まる人、貯まらない人の生活ぶりをつぶさにウオッチしてきた筆者は「2本はOKだが、3本以上はNG」という法則を見いだした。なぜなら、黒のパンツが3本以上あるなら、他にも似たようなアイテムを無駄に所有している可能性が大で、そういうタイプは家計の支出にも難があることが多いのだ。

基本的に用途が同じモノをいくつも同時期に持つ必然性はないはずだ。自分にとっての適した量を把握し、きちんと管理することが賢い「消費」であり、節約につながる。逆に、それができていないようなら、自分の「浪費」体質を疑ってみるべきかもしれない。

■同アイテムでも「使い分け」ができているか

黒田尚子『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(日本経済新聞出版)
黒田尚子『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(日本経済新聞出版)

もちろん、同じようなアイテムばかりでも、自分自身が満足しているなら問題はない。黒いパンツが3本以上でも、形や素材などが異なり、使い分けができている。最近はやりのあえて同じ服を着ることを「個性」だと考えている。仕事着として必要など、同じものを保有する理由があるならよい。

問題は、アイテムの重複に全く気づいていない人だ。クローゼットの中身を考えず、つい衝動買いをしてしまい、いつの間にかクローゼットが同じようなアイテムばかりになっている人は少なくない。

この春、クローゼットを見直してみてはいかがだろう。

整理法のポイントは、次の4つである(これは家計の支出項目をチェックする作業に似ている)。

①まず全部取り出して「見える化」し、振り分ける
②収納やハンガーをむやみに増やさない
③トップスやボトムスなどアイテム別にグループ分けして、どこに何があるか明確にする
④使用年数による劣化や流行などを踏まえて、常にチェックや循環を心がける

突き詰めると「片付け」とは、モノを適正な量まで減らして、一定の収納の枠におさめる作業のこと。自分のクローゼットの見直しができたら、次は家族の分。それから、リビングや洗面所の収納棚、キッチンの食器棚、冷蔵庫、玄関の靴箱など少しずつ、できる範囲でやってみよう。

■掃除の好き・嫌いで年収が80万円以上も違う!

片付けや掃除をすると、気持ちがスッキリする。在宅時間も快適に過ごせるようになる。おまけにお金が貯まりやすいということがデータではっきり出ている。掃除好きな人のほうが年収や貯蓄額も高いのだ。

ダスキンが、全国の20歳以上の男女計4700人を対象に行ったインターネットの意識調査(※)によると、掃除好きな人の世帯年収は平均612万円だったのに対し、掃除嫌いな人は平均529万円と83万円も差が出ている。

また、世帯貯金額についても、掃除好きな人は平均1356万円で、掃除嫌いな人は平均1301万円と55万円の開きがある。

とくに年収に関しては、80万円も違えば、20年間で約1600万円以上に広がる計算になる。無視できない金額だろう。たかが掃除と侮ってはいけない。

クローゼットの前に立ち、今日着ていく服を選ぶ女性
写真=iStock.com/kupicoo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kupicoo

そして、FPとして長年、相談を受けて痛感するのは、お金が貯まるのは、きちんと当たり前の生活ができている人だということ。掃除や片付けにしろ、家計管理にしろ、なにごとも「一事が万事」と心得ておきたい。

※株式会社ダスキン「ダスキン 掃除が好きな人・掃除が嫌いな人の生活・意識調査」(2022年3月31日)

■なぜ、同じようなアイテムを選んでしまうのか?

それにしても「クローゼットに黒いパンツが3本以上ある」「似たようなアイテムが多い」という人は、なぜそうなってしまったのだろうか。

基本的に、人は洋服を選ぶ際、「自分に似合うと思っている」あるいは「誰かに似合うとほめられた」アイテムを選ぶことが多い。わざわざ、似合わない洋服を着る人はいないだろうから、これは当たり前のこと。ただ、一度、自分の“鉄板コーデ”を見つけてしまうと、なかなか抜け出せなくなり、それ以外のアイテムは、無意識に「どうせ似合わない」と初めから排除してしまっている。

たまに、これまでとは違った洋服を選んでも、なんだかしっくりこなくて、落ち着かない。結局、クローゼットの奥にしまいこむことになる。

そうなると、結果として、クローゼットは、自分が安心できる似たような服ばかりになる。その傾向は、年齢があがるにつれて強くなり、買い物に行っても手に取るのは同じような色やデザイン、雰囲気のものが中心。どんどん冒険できなく(しなく)なるわけだ。

しかし、加齢とともに、体型は変わり、好みや流行も変わる。コロナ禍で生活様式が変わり、求められるスタイルも大きく変化した今、クローゼットの中身をいったんリセットし、“今の自分”に似合うアイテムもバージョンアップしてもいいかもしれない。

実は、「同じようなものばかりを買う」という傾向は、ファッションアイテムにとどまらない。

たくさんの1万円札が入った封筒
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Asobinin)

日用雑貨や食料品、家電製品、さらには金融商品でも考えられる。筆者はFPとして、相談者が保有する金融商品の一覧を拝見する機会も多い。例えば、投資信託の銘柄をいくつも持っているのに、すべて投資先が「日本株式型」で、正しくリスク分散できていない。

あるいは、医療保険は複数加入して、入院保障はあるのに、通院保障がまったく付帯されていないといったちぐはぐなことが少なくない。

選んだ理由を聞いてみると、「金融機関に勧められて」とか「雑誌のランキング上位にあったから何となく」とかいった漫然とした回答が返ってくるばかり。せっかくの投資や保険なのに、目的に応じて使い分けができているとは言えない状態である。

こうした状態では、お金が貯まるわけがない。

自分に必要かどうかを見極め、ちゃんとニーズに合わせて使い分けていなければ、黒いパンツも投資信託も1本で十分なのである。

----------

黒田 尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書に『親の介護は9割逃げよ「親の老後」の悩みを解決する50代からのお金のはなし』など多数。

----------

(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください