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「何でも質問してくる新人」「タバコ休憩ばかりの同僚」職場のイライラが不思議と消える"ある動作"

プレジデントオンライン / 2022年4月19日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

会社内でイライラ・モヤモヤさせられるシーンは多い。例えば、春先なら無邪気に何でも質問してくる新人、またちょくちょく仕事をさぼっている同僚……。明治大学教授の堀田秀吾さんは「科学的に証明された方法で、そうしたネガティブな感情を上手に手放すといい」という――。

※本稿は、堀田秀吾『もう無理、と思ったらやってみて モヤモヤ・クヨクヨを手放す科学的に証明された方法』(小学館)の一部を再編集したものです。

■心が狭小住宅になった自分が嫌になった(36歳)

何もかも質問してくる新入社員がウザい。そんなことググれよ!もう無理!
新入社員が、何から何まで質問してくるんです。独自な社内ルールみたいなことを質問されるのは仕方ないとして、WordやExcelの基本的な使い方や漢字の読み方、言葉の意味まで聞かれると、そんなのググれよ! って言いたくなっちゃいます。いつの間にこんなに心が狭小住宅になったのかと自分がイヤになります。(36歳 会社員 独身)

先輩が後輩の指導をするのは当たり前と言うものの、そこまで聞くかってなると、確かにウザいですね。

——最初は、教えるのも仕事のひとつと思って我慢していましたが、WordやExcelの使い方はほんとググってもらったほうがまちがいがないし、漢字や言葉の意味くらいは辞書引けよって気持ちになっちゃうんです。

自身の業務をこなしながら、後輩へ仕事を教えたり、指導するのは確かに骨が折れますよね。でも、人に教える行為は自分にもメリットがあるんですよ。

——そうなんですか? 体力吸い取られるだけかと……。

そんなことはありません。他人に説明すると、説明する側も成績や能力が向上します。これは、ワシントン大学セントルイス校のネストイコ氏らの研究で明らかになっています。実験では2つのグループに分けて、次の前提をもとに勉強してもらいました。

① あとで人に教える
② あとでテストを受ける

結果、①のグループのほうが学習内容をよく理解し、覚えていたのです。

——へえ~。人に何かを教えるって、自分にもそんなメリットがあるんだ……。そう思えば、教えることを負担には感じなくなりますね。

教えるって、改めて自分の中でも整理しなければできませんよね。そういう効果もあると思いますよ。

■雑談は「人間関係構築のために大事」という研究論文

——確かに。「教えて」と言われてよく考えてみると、自分でもあまりわかってないことに気づくこともありますね。

そうなんですよね。ところで、職場の雰囲気はいかがですか? 風通しがよい職場ですか?

——どちらかというと、みんな、必要以上のことは話さない、クールな雰囲気ですね。

明るくコミュニケーションが活発な職場は、本質的な議論がしやすく、生産性も上がる、というエビデンスがあるんです。

——でもなあ、私がどうこうしたところで明るい雰囲気の職場に変えられる自信はないかも……。

簡単ですよ。普段から日常的にコミュニケーションに雑談を取り入れるだけです。コーネル大学のハンス氏とデューク大学のヴィドマー氏のアメリカ陪審員の研究においても、雑談の重要性を認めています。

『もう無理、と思ったらやってみて モヤモヤ・クヨクヨを手放す科学的に証明された方法』(小学館
『もう無理、と思ったらやってみて モヤモヤ・クヨクヨを手放す科学的に証明された方法』(小学館

——アメリカの陪審員制度と聞くと、とても堅苦しいイメージですが?

研究によると、事件の議論はトイレで挨拶を交わした瞬間から始まると言います。そこでどんな会話をしたかによって、その後の議論の内容が変わっていくと言われるほど、雑談は人間関係を構築するために大事なのだと研究論文で述べられています。

——雑談ですか……。でも何を話せばいいんでしょうか。

天気やスポーツ、映画や音楽、話題の芸能人の話、仕事に関係するような時事ネタなどなんでもいいんです。くだけた話題を先輩からすることによって、コミュニケーションが活発になって、本来の業務の質も向上していくはずです。

——雑談のラリーを続けられるように、仕事そっちのけで話が弾み過ぎないような、よさげな話題を常に拾うようにしてみます。

雑談して人間関係を構築しながら、後輩によきアドバイスをしてあげてください。

手放し方
・「教える」ことは自分にもメリットあり。職場の風通しには雑談を                            ワシントン大学セントルイス校のネストイコ氏ら/コーネル大学のハンス氏とデューク大学のヴィドマー氏

■1時間おきにタバコ部屋へ行く同僚が許せない(48歳)

他人のふるまいが気になり、仕事をさぼっている同僚を見ると無性に腹が立つ。もう無理!
いわゆる更年期とされる年代になった頃から、他人のふるまいが気になるようになりました。私はどちらかというと几帳面でサボれない性格なのですが、職場で出社するなりコンビニへ朝食を買いに行く若い人や、1時間おきに喫煙ルームに行く同僚を見ると、とにかくイライラ。ついモノに当たってしまい、自己嫌悪に陥ります。(48歳 会社員 既婚)

自分はちゃんとやっているのに、そうでない人が周囲にいて、たいして注意もされてないのを見るとイライラする気持ちもわかります。

——これ、年齢のせいなのか、性格の問題なのか、同僚の勤務態度に原因があるのか、悩ましいところなんです。

原因が何に(どこに)あるにせよ、人の悪いところにばかり注目するのはよくないですよね。それがわかっていても、人間はポジティブなものより、ネガティブな情報に引きつけられる傾向があります。ネットニュースなどで、平和なタイトルよりも、ネガティブなタイトルをクリックしてしまう、という経験はありませんか?

——あります!

そのような傾向を「ネガティビティ・バイアス」というのですが、他人の欠点ばかりに注目してしまうのもこれに当てはまります。

車座になって議論するグループ
写真=iStock.com/g-stockstudio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/g-stockstudio

——私が悩んでいることは、人間の心理として仕方のないことなんですね。

ネガティブな情報は印象に残りやすいものですからね。ただ、その情報に引きずられてその人を評価してしまっていませんか? たとえば、本来コミュニケーション能力に長けていて、なくてはならない人材なのに、喫煙習慣があるというだけでサボり癖がある人としか思えなくなっていたり。

——そう言われてみると……。

何かを評価するときに顕著な特徴に引きずられることを、心理学では「ハロー効果」といいます。あなたの場合、ネガティブな情報にとらわれてしまい、偏った評価しかできなくなっているのかもしれません。

■怒りを感じた瞬間に、左手を強く握ってみてください

——木を見て森を見ず、ということになっていたのかも。出社後すぐコンビニに直行しようと、その日の業務を時間内に終わらせていれば、問題ないですもんね……。

長所も踏まえてその人を評価するほうが、お互いプラスになると思いますよ。ところで、ついモノに当たってしまうって、具体的にはどんなことなんですか?

——職場では絶対やらないけど、帰宅してからリビングのクッションを床に叩きつけたり、ドアを乱暴に音を立てて開け閉めしたり。ゴミ集積所で資源ごみのビンや缶を、ためておく容器に思いっきり投げ入れたり……。

なかなか闇が深いですね……。

——とりあえずスッキリできるんですけど。

本当にスッキリしてますか? 実際、モノに当たってもよい影響がないことは、科学的に実証されているんです。

オハイオ州立大学のブッシュマン氏らが行った実験では、怒りをモノにぶつけた人は、より攻撃的になり、怒りがおさまるどころか無関係な人にまで怒りをぶつけるようになったそうですよ。

——怒りを発散させて、おさめるつもりが、さらに怒ってしまったという……怒りの無限ループじゃないですか。

そう。だから、イライラしてモノに当たるのは、むしろ逆効果。ストレス発散どころか、さらなるストレスや怒りを生むことになるんです。

——簡単に怒りを抑える方法はありませんか?

怒りを感じた瞬間に、左手を強く握ってみてください。

怒りで拳に力が入る男性の手元
写真=iStock.com/Andranik Hakobyan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Andranik Hakobyan

——なぜ左手なんですか?

左の脳の前頭前野は、怒りの感情と関連しているということが最近の研究でわかってきているんです。テキサスA&M大学のピーターソン氏らの研究では、左の脳につながっている右手を握ると怒りを強く感じられ、右の脳につながっている左手を握ると怒りが抑えられたそうです。

左脳(右手)は怒りのアクセル、右脳(左手)は怒りのブレーキというわけです。

——怒りが全開な自分を想像したくないですが、もしそうなったら左こぶしをぎゅっと強く握ってみます!

手放し方
・ネガティビティ・バイアスはカット!
・イラッとしたら左こぶしを握れ 
             オハイオ州立大学のブッシュマン氏ら/テキサスA&M大学のピーターソン氏ら

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堀田 秀吾(ほった・しゅうご)
明治大学法学部教授
1968年、熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程、ヨーク大学ロースクール修士課程修了、同博士課程単位取得満期退学。言語学博士。立命館大学准教授、明治大学准教授などを経て、2010年より現職。専門は司法におけるコミュニケーション分析。脳科学、言語学、法学、社会心理学などのさまざまな分野を横断した研究を展開している。『科学的に元気が出る方法集めました』(文響社)など著書多数。コメンテーターとしても活躍中で、メディア出演も多い。

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(明治大学法学部教授 堀田 秀吾)

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