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自動車保険が年8万円は安くなる…補償と節約を両立する「保険見直し」の4つのポイント

プレジデントオンライン / 2022年4月26日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

マイカーの固定費を安くするにはどうすればいいか。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「任意の自動車保険は生活状況の変化にあわせて見直したほうがいい。たとえば子どもが運転する機会が少ない場合、1日単位の保険に切り替えれば保険料を減らすことができる」という――。

■自動車保険を節約したい時はどうするか

ガソリン代の高騰が家計を直撃しており、マイカー保有者は、せめて自動車保険だけでも安くできないかと考えるのではないでしょうか。しかし、運転中の事故で億単位の賠償責任が発生することもあるリスク。そんな巨大リスクをカバーする自動車保険を、保険料の安さだけで見直してよいものか、判断に迷うところです。

4月は転勤や退職、子どもの卒業や独立など、これまでとは家族構成が変わったり、日常生活が大きく変化する時期でもあります。車の利用スタイルにも変化があるかもしれません。自動車保険も実際の利用スタイルに応じた見直しをしておかないと、イザというときに必要な補償が得られず、生活設計が根底から狂うことになりかねません。

次のような生活シーンを事例に、なぜ見直しが必要なのか、リーズナブルな見直しや加入方法などを見ていきます。

・子どもが親の車を運転するようになった
・友人の車を借りて運転するとき
・通勤で車を使うようになった
・車を手離したいが、せっかくの等級がもったいない
・補償はあきらめず保険料は抑えたい

■補償対象外の子どもが事故を起こしたときのリスク

まずは、子どもが運転免許を取り、親の車を運転するようになったケースです。

子どもが小さいうちは、家族で買い物やドライブに出かける機会が多いものです。そんなときに運転するのは親ですから、おそらく自動車保険もそれを前提とした契約内容になっているのではないでしょうか。

もし、契約内容を見直さないまま、補償対象外の子どもが運転中に事故を起こしたとしても、自動車保険からの補償はなく、修理費や賠償金などは全額自己負担となってしまいます。

さらに、通常は保険会社が行ってくれる事故の相手方との交渉も、すべて自分で行わなくてはなりません。このような事態を避けるためにも、実態に合わせた見直しを行うことが大切です。

■運転者の補償範囲が狭ければ狭いほど安い

具体的な見直し方法に入る前に、自動車保険の補償範囲について見ていくことにします。自動車保険には、補償の対象となる運転者の範囲を決めておく「運転者限定特約」と、運転者の年齢に応じて補償を限定する「運転者年齢条件特約」があります。

「運転者限定特約」は「本人・配偶者限定」「家族限定」「運転者限定特約なし」のいずれかに分類されるのが一般的でしたが、現在は「家族限定」を廃止し、代わりに「本人限定」特約を新設する会社が増えています。「本人限定」とは、補償される運転者を記名被保険者(※)本人のみに限定する特約です。

※契約の車を主に運転する人。記名被保険者の年齢や免許証の色などで保険料が決まり、等級を持っているのも記名被保険者である。契約者と同一でなくてもよい。

補償の範囲を狭くすればするほど保険料は下がりますから、「本人限定」が最も安く、「本人・配偶者限定」「運転者限定特約なし」の順で高くなっていきます。

「運転者年齢条件特約」は、「制限なし」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「30歳以上補償」「35歳以上補償」などに分類されます(保険会社により異なる)。「本人限定」であればこの特約は不要ですが、本人とその他の運転者において年齢の低い方を基準に設定します。「制限なし」が最も高く、年齢が高くなるほど保険料は安くなっていきます。

■保険料が高くなっても補償範囲の見直しを

子どもが小さいうちは保険料を抑えるために、「運転者の範囲」を「本人限定」もしくは「本人・配偶者限定」にし、「運転者年齢条件特約」を付けて「35歳以上補償」などにしていることが多いのではないかと思われます。

子どもが運転をするようになるのなら、たとえ保険料が高くなっても、運転者限定特約を外し、運転者年齢条件特約を「21歳以上補償」など、実態に合わせたものに見直す必要があります。では、どのくらい保険料は上がるのでしょうか。

ある条件の下で試算したところ、「本人限定」「35歳以上補償」で約11万円の保険料が、「運転者限定特約なし」「21歳以上限定」にすると約19万円に跳ね上がってしまいます。あまりのアップに驚いてしまう人も多いことでしょう。

そこであきらめずに、複数社の見積もりを取ってみてください。特に現在、代理店を通して契約しているのであれば、ダイレクト型の自動車保険に変更することで、保険料のアップを抑えることができるかもしれません。

保険会社によっては、保険料設定の仕組みの違いから、保険料アップが緩やかなところもあります。年齢区分による保険料設定ではなく、運転頻度が高く事故率が低い傾向にある親の年齢にあわせた保険料を基本にし、同居の子どもを補償範囲に追加する仕組みをとっているためです。

■1000円未満で入れる1日単位の保険もある

子どもは1歳ずつ年を重ねていきます(子どもに限りませんが)。26歳になるなど、年齢条件が変わった時には忘れずに見直しをしてください。

また、年齢条件は同居の親族が対象なので、子どもが一人暮らしを始めるとか、結婚などで別居することになれば、年齢条件による制限に含まれなくなります。他に運転する人が年齢条件に引っかからないのであれば、年齢条件の区分を変更することができます。

「たまにしか運転しない子どものために保険料が上がるのは納得できない」という人もいるかもしれません。もし、子どもが運転する機会はさほど多くないというのであれば、1日単位(半日単位という会社もあり)で契約できる自動車保険を利用する方法があります。パソコンやスマートフォンから簡単に加入でき、保険料は800円程度から、いくつかのプランが用意されています。

例えば子どもを補償対象から外した場合、先ほどの試算を使うと保険料は約8万円安くなります。

親の車を借りるときだけでなく、友人の車を借りるときにも1日単位の自動車保険はお勧めです。運転中に事故を起こし、友人の自動車保険を使うことになれば、次の契約更新時に保険料が上がってしまい、迷惑をかけてしまうかもしれません。もし、友人の自動車保険が「本人限定」になっていれば、まったく補償がない状態になってしまいます。

車の衝突事故現場
写真=iStock.com/monkeybusinessimages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monkeybusinessimages

■友人の車を運転するときも保険を忘れてはいけない

事故を起こした場合、対物や対人の賠償金を支払う責任は運転者にありますし、違反点数の加算や警察への罰金・反則金の支払い等も運転者に科されます。しかし、車を貸した友人にも、被害者に対して治療費や慰謝料等を支払う責任が及ぶことになります。

つまり、対物の補償は運転者が、対人の補償は運転者と車を所有する友人が共同で責任を負うことになるわけです。もし、友人の自動車保険が「本人限定」であれば、すべて自分たちで賠償金等を支払わなくてはなりません。そして、友人が支払った対人賠償金等は運転者に請求する権利があるのです。こうなると、金銭的にも精神的にも厳しい状況に陥るのは目に見えています。

事故をきっかけに友人関係にひびが入るといったことだけは避けたいものです。たとえ友人の自動車保険が「運転者限定特約なし」で補償対象であったとしても、トラブルを避けるために、車を借りるときは1日単位の自動車保険に必ず入るようにしましょう。同じ保険料で3人まで登録できるものが多いので、複数の友人で運転を交代するケースにも安心です。

■マイカー通勤になったら使用目的は「通勤・通学」に

転勤や転職をきっかけに、あるいは新型コロナ禍で公共交通の密を避けるために、マイカー通勤になったという人もいるのではないでしょうか。

車の使用目的は「日常・レジャー」「通勤・通学」「業務」の3つから選ぶ形になっています。使用目的によって車の使用頻度が変わりますから、事故の遭いやすさも変わってきます。そのため、自動車保険の保険料は使用目的に応じたものとなっています。

今後、マイカー通勤になるのであれば、これまで「日常・レジャー」であった使用目的を「通勤・通学」に変更する必要があります。手続きしないまま、通勤中に事故を起こした場合、自動車保険からの補償はなく、すべて自己負担で解決しなくてはなりません。

ただし、業務のために車を使うことがなく、ほぼリモートワークで、月数回の出社に車を使用するといった程度では、「日常・レジャー」を選択したままでも問題はありません。保険会社によっても異なりますが、「通勤・通学」に使用するのが、年間を通じて週5日以上または月15日以上あるかどうかが判断の基準となります。

このような判断基準の基に「日常・レジャー」を選択していれば、たとえ通勤中の事故であっても補償はされます。また、使用目的が「通勤・通学」で、買い物の途中で事故を起こした場合も補償されます。

■車を手離したいが、せっかくの等級がもったいない

自動車保険には1~20の等級があり、「等級」および「事故無」「事故有」の区分に応じて保険料が割引かれたり・割増されたりします。初めて自動車保険に加入したときは6等級からのスタートです。

等級の数が大きいほど割引率が高くなる仕組みになっており、1年間無事故またはノーカウント事故(※)のみなら、次年度の等級が1等級アップします。反対に、事故を起こすと等級が下がりますが、事故の件数や種類によって等級の下がり方が異なります。

※自動車保険の補償対象となる事故で保険金を受け取ったとしても、等級が下がらない事故のこと。搭乗者傷害保険、人身傷害保険等。

自動車保険の等級は、車を買い替えた場合でも引き継ぐことが可能ですし、別の保険会社に乗り換えた場合も、一定期間内に手続きを終えることにより、前の保険会社の等級が引き継がれます。

自動車保険を解約するとこれまでの等級は失効し、次に加入するときは以前の等級と関係なく、6等級からのスタートです。車を手離すことにはなったものの、「無事故で更新を続け、長年かけて高い等級になったのにもったいない」と感じてしまう人は多いのではないでしょうか。

■「中断証明書」なら等級を10年間維持できる

今後車を持つことは一切ないというなら別ですが、いずれまた持つかもしれないという場合、「中断証明書」を取得しておくとよいでしょう。発行期限は解約日から13カ月以内が一般的です。中断証明書を入手しておくと、再度自動車保険に加入するときに等級を引き継ぐことができます。「中断証明書」は10年間有効で、加入する保険会社が異なっても大丈夫です。

等級で気を付けたいのが、保険期間途中の乗り換えです。等級ダウン事故などがない場合において、契約の途中で自動車保険を乗り換えると、新しい保険会社では同じ等級で引き継がれ、そこから1年間以前と同じ等級となります。

本来であれば、元の保険期間終了後に等級が上がりますが、乗り換え時点から1年間等級が同じになってしまうため、等級が進むスピードが遅れてしまいます。事故有係数適用期間の扱いも同様となりますので、これから説明する経過期間と解約返戻金、乗り換え後の保険料などを総合的に判断することが大切です(※)

※途中解約での乗り換えでも等級が通常どおりアップできる「保険期間通算特則」を設けている保険会社あり。

■解約のタイミングを間違えると余分な保険料がかかる

保険期間の途中で解約すると保険料が返還されます。保険会社によって「解約返戻金」といったり「解約払戻金」といったりします。自動車保険は1年超で契約することも可能ですが、1年契約で加入する人がほとんどです。年払いの場合、年の途中で解約するときは、経過期間に応じた係数(短期率)で計算された保険料を差し引いた金額が解約返戻金として戻ってきます。

経過期間のテーブルは、「7日まで:10%」「15日まで:15%」「1カ月まで:25%」の後は1カ月刻みで「12カ月まで:100%」の14段階となっているのが一般的です。1日でも過ぎてしまえば1段階進んだ短期率が適用となるので注意してください。

月払いの場合、日割り計算はしませんので、解約までの保険料を支払えばよいのですが、保険始期に応答する日、たとえば6月10日が保険始期日の場合は毎月10日までに解約手続きを終えないと、1カ月分の保険料を払わなくてはならなくなります。

■搭乗者傷害保険より範囲が広い人身傷害保険がおススメ

必要な補償を確保しながらも、なんとか保険料を抑えたいと思うのは当然のことです。保険料を抑えるには、保険会社を見直す方法以外に補償内容を見直す方法があります。他の保険と補償のダブりがないか、特約に不要なものがないかなどをチェックします。

他人への賠償責任部分は削るわけにいかないでしょうが、いくつか検討の余地がある補償もあります。人身傷害保険と搭乗者傷害保険はいずれも車の搭乗中の事故により死傷したときの補償です。両方を付けているなら、定額補償の搭乗者傷害保険を解約して、人身傷害保険のみに絞ってもいいと思います。人身傷害保険は実際の損害額に対して保険金が支払われ、搭乗者傷害保険より補償範囲が広くなっています。

車両保険の必要性も考えてみましょう。車両保険の保険金額は車の時価相当額を基に、所定の金額の範囲で決められます。古くなってくると上限でも10万円や20万円程度の保険金額しかつけられないこともあります。そのようなケースでは車両保険はつけないという選択もあります。

自動車保険の書類に赤マーク
写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yusuke Ide

■自賠責保険だけでは万が一の時に心もとない

あるいは、自身の支払能力に応じた免責金額、つまり自己負担額を設定してもよいでしょう。たとえば、事故で50万円の修理費用が掛かった場合、免責金額が10万円だと保険金として支払われるのは40万円です。免責金額を大きくするほど保険料は安くなります。

自動車保険には、法的に加入が義務付けられている自賠責保険がありますが、対人事故しか補償されず、被害者一人当たりの支払限度額も、ケガが120万円、後遺障害が4000万円、死亡が3000万円と、最低限の救済を目的としたものです。

自賠責保険の補償額を超える賠償責任に備えたり、相手方の「物」や自分のケガや死亡、「物」の損害などをカバーしようと思えば、これまで述べてきたような任意加入の自動車保険に加入せざるをえません。必要な補償はしっかり、かつリーズナブルに備えたいものです。

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内藤 眞弓(ないとう・まゆみ)
ファイナンシャルプランナー
1956年生まれ。大手生命保険会社勤務後、ファイナンシャルプランナー(FP)として独立。金融機関に属さない独立系FP会社「生活設計塾クルー」の創立メンバーで、現在は取締役として、一人ひとりの暮らしに根差したマネープラン、保障設計などの相談業務に携わる。『医療保険は入ってはいけない![新版]』(ダイヤモンド社)、『お金・仕事・家事の不安がなくなる共働き夫婦最強の教科書』(東洋経済新報社)など著書多数。

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(ファイナンシャルプランナー 内藤 眞弓)

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