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北海道移住なら最大550万円…「会社を辞めずに地方移住」で補助金を一番お得にもらう方法

プレジデントオンライン / 2022年4月28日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuhide isoe

お金の不安なく地方移住を成功させるにはどうすればいいか。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「地方移住を支援する制度は複数ある。国は2024年までの地方移住で最大300万円の移住支援金を支給している。さらに北海道上川町では住宅の新築で最大250万円がもらえる」という――。

※本稿は、荻原博子『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

■「足るを知る者は富む」豊かさの定義を見直そう

「豊かさとは、多くの富を所有することにあるのではなく、少ない欲求のみを持つことにある」
「賢者は、ないもので嘆かず、あるもので楽しむ」

これは、古代ギリシャの哲学者エピクテトスの言葉です。

じつは、同じような言葉を、中国の思想家の老子が残しています。

「足るを知る者は富む(知足者富)」。満足することを知っている者は、たとえ貧しくても精神的には豊かで幸福だということです。

今まで、会社員の多くは満員電車で会社に通い、そこで身を粉にして働き、家に帰ると疲れ切ってしまって、風呂に入って食事をしたら寝るという生活を強いられてきました。

ですから、妻に「フロ」「メシ」「ネル」しか言わない夫が増え、そんな夫が定年になって家にいるので、離婚したいという妻が急増した時期がありました。

けれど、状況はコロナ禍で、大きく変わりました。

■オランダやイギリスからの移住者が集う神山町

リモートワークで通勤時間が減り、残業もなくなりました。ストレスの原因ともなっていた、嫌いな上司や部下との接触も減りました。週休3日という企業が増えただけでなく、みずほ銀行のように、週休4日でもいいというところも出てきました。

荻原博子『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社新書)
荻原博子『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社新書)

ただ、その代わりに、収入は減っています。その収入を、どうやって補っていくかは本書で詳しく述べますが、リモートワークが、ゆとりの時間を持たせてくれたのです。

徳島県の山の中に、神山町(かみやまちょう)という小さな町があります。県庁所在地の徳島駅から、バスで約65分。人口が5000人を切る山の中の小さな町に、最先端のIT企業のサテライトオフィスが集まっています。

2004年に、ケーブルTV兼用光ファイバー網が整備され、2010年頃から、ITベンチャー企業が町の古民家をサテライトオフィスとして活用し始めました。

また、20年前から国内外のアーティストを招いて夏の2カ月ほど滞在してもらい、作品を制作してもらう試みも続けてきました。

その結果、外国人が住み着き、おしゃれなビストロやカフェができました。オランダから来て醸造所を開く人やイギリスから来て徳島市の中学校で英語を教える外国人なども移住し、小さな町なのに外国人比率が高く、国際的になりました。

■収入は減っても精神的な豊かさが手に入る時代

この町に住んでいるITのサテライトオフィスの方に聞くと、「古民家一軒月3万円で、畑付き。早朝に畑の世話をしてから歩いてオフィスに。昼食は家に帰って家族と食べ、午後の仕事が終わったら川で釣りをして、夕食は家族や友人たちとワイワイとホームパーティなんかをしています」とのこと。

やっている仕事内容は東京の本社とほぼ同じなのだそうですが、満員の電車通勤も不毛な会議もないので、ストレスがなく、子育てにも最適な環境だとのことでした。

子供と触れ合う時間、妻と会話する時間、家族で楽しむ時間、そうしたものの大切さを再認識させ、ワークライフバランスを改善し、時間の価値を高めてくれるのがリモートワークかもしれません。

今まで仕事と両立できなかった育児や介護、病気療養などが、離職しなくても可能になったのも大きなメリット。

総務省の「通信利用動向調査」(2020年)を見ると、2020年にテレワークを導入している、もしくは導入予定がある企業は58.2%。2018年が26.3%でしたから、急激に伸びていることがわかります。

収入は減っても精神的な豊かさが手に入る、そんな時代は遠くない!

そう考えれば、「今の仕事をしながらキャリアを磨き、好きなところに住もう」という目標ができて、そのために会社を徹底的に利用しようと思えるかもしれません。

本棚のある広々としたオフィス
写真=iStock.com/sihuo0860371
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sihuo0860371

■2024年までの地方移住で最大300万円も

今、東京を離れる人が増えています。

2021年の東京23区からの転出者は約38万人で、転入者の36万5174人を上回りました。転出者が転入者を上回ったのは、総務省にデータがある2014年以降では初めてのことです。

コロナ禍でリモートワークの浸透などにより、東京に住む意味が薄れてきたからでしょう。

いっぽうで、東京の郊外や神奈川県、埼玉県、千葉県などの近隣県では、転入者が増えています。さらに、関東甲信越などに移住する動きも鮮明になっています。

国も、東京都に人口が一極集中しないための政策を打ち出しています。

「移住支援金」といって、2024年度までに地方に移住すれば、最大100万円の補助金がもらえます。移住先で起業すれば、この補助金に「起業支援金」最大200万円がプラスされ、最大300万円になります。

さらに、これとは別に、移住者に補助金を用意している自治体も増えています。詳しくは、一般社団法人「移住・交流推進機構」のホームページで検索してください。

たとえば、山形県の遊佐町(ゆざまち)では、町内で販売されている建売や中古住宅を、定住目的で購入した場合には、取得費用の12%、最大120万円までを助成しています。40歳未満、もしくは移住者だと、最大140万円を助成しています。

北海道の上川町(かみかわちょう)では、町内で住宅を新築したら100万円を限度に補助金が出ますが、移住・定住するなら、最大250万円の補助金が出ます。

長崎県の東彼杵町(ひがしそのぎちょう)では、空き家バンクを利用して空き家を借りて、これを改修して住む場合、最大100万円の奨励金が出ます。

■会社は辞めようと思えばいつでも辞められる

親が高齢化していて、介護が心配だという人は、リモートワークが可能なら、親の近くに住むという選択もあるでしょう。

自治体にとっても介護は大きな問題ですから、親世帯との同居や近居を望む人には支援するというところが出てきています。近居とは日常的な行き来ができる“スープの冷めない距離”に住むことで、同居よりハードルが低いです。

たとえば、神奈川県厚木市の「親元近居・同居住宅取得等支援事業補助金制度」は、親世帯が厚木市在住で、子世帯が市外から転入する場合、同居用の住宅購入だと60万円、近居なら40万円が補助されます。リフォームは費用の1割で上限20万円。

ほかにも子世帯に中学生以下の子供がいる、子世帯の世帯主または配偶者が40歳未満など4つの条件を満たすと、それぞれ10万円ずつ加算され、最大100万円になります。

千葉県松戸市も「三世代同居等住宅取得支援」で、親世帯が松戸市在住、子世帯に中学生以下の子供がいることなどの条件をクリアすると、同居用の住宅購入には75万円、近居なら50万円の補助金が出ます。子世帯が市外から転入すると、ここに25万円が加算されて、最大100万円になります。

山梨県の鳴沢村(なるさわむら)の「三世代同居等支援事業補助金」は、親世帯と子世帯両方、もしくはどちらかの転入による同居・近居でも補助金が出ます。

条件は子世帯に中学生以下の子供がいること。補助金は住宅購入なら、同居でも近居でも費用の2分の1で、新築なら上限100万円、中古なら80万円。同居なら改修でも補助金が出ます。

会社は、辞めようと思えばいつだって辞められる。自分が会社を「クビ!」にすればいいだけ。

それに気づけば、楽しい将来の計画をいろいろと立てる気力が湧いてくるはず。

頭にネクタイを巻いて紙を破っているビジネスマン
写真=iStock.com/SunnyVMD
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SunnyVMD

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荻原 博子(おぎわら・ひろこ)
経済ジャーナリスト
大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。

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(経済ジャーナリスト 荻原 博子)

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