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「優秀だね、頭がいいね」は言ってはいけない…周囲の自己効力感を削るダメな声かけ8選

プレジデントオンライン / 2022年4月27日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

周囲の自己効力感を高めるためにはどんな声かけをすればいいか。心理学者の松村亜里さんは「声かけでは結果よりもプロセスにフォーカスしたほうがいい。このため、たとえば『優秀だね』とは言わないほうがいい」という――。

※本稿は、松村亜里『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

■「さすが、賢い! 仕事ができるね」はなぜダメか

ここでは、メンバーの自己効力感を高め、チームの心理的安全性をより確実なものにするために役立つ声かけレッスンを紹介していきましょう。

そこで最初に押さえておきたいのは、「プロセスフォーカス」。

これは、相手が行動したときに、能力や結果ではなく、そのプロセス=努力や行動に注目していく声かけです。

日頃私たちは、相手が何かよい結果を出したとき、それを褒めようと思って、

「さすが、賢い! 仕事ができるね」
「優秀だね~、頭がいいね~」

といった言葉を使ってしまいますよね。

でもこれは、相手の自己効力感を高めるのには要注意。それは、人は能力を褒められると、自分自身を評価されたと感じ、

「いつも優秀でなければいけない」
「いい仕事をしなければならない」
「失敗したら、私は価値がない」

と思ってしまうことが多いから。その結果、プレッシャーや不安に苦しめられることもあるのです。

また、「私は頭がいいからできた」と思っている人が、できないことに遭遇すると、

「私って、なんて頭が悪いんだろう」

と、極端な思いに走ったり、自分ができそうにないことは、避けるようになることがあります。

■努力や行動に注目する8つの声かけ

自己効力感は、毎日の何気ない声かけで一瞬にして高まるもの。自分の日頃の言葉を振り返りながら、次の8つの「プロセスフォーカス」を実行していきましょう。

①能力より行動にフォーカス 努力したこと、頑張ったことについて伝える

「賢いね」「天才だね」と、相手の能力評価と捉えられる言葉の代わりに、

「諦めずに、よく頑張ってきたね」
「君がずっと頑張ってきた姿、見てきたよ」

と、その能力が実るまでの行動を認めます。結果より行動することが大切だと思うと、評価されることを恐れずに、心理的安全性を感じ、新しいこと、難しいことに挑戦できます。

ニューヨークの小学5年生500名の研究でも、このひと言で、より難しいパズルを選び、成績がよくなったことがわかっています。

②結果より過程にフォーカス 集中したこと、かけた時間などについて伝える

「100点取れたね。すごいね」「君が出したあのレポート、すごく出来がよかったよ」と“結果”を褒める代わりに、

「ものすごく集中して、頑張っていたね」「長い時間をかけて、やってきたものね」と、それを達成するまでの過程を伝える。

結果より過程が大切だと思うと、「失敗を批判されないんだな」と思えて、安心して挑戦できます。

子供のダンサーはダンススタジオでレッスンを受ける
写真=iStock.com/mokuden-photos
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mokuden-photos

■「一度決めたことを変えるのって、勇気がいるよね」

③正しさより勇気にフォーカス やってみたこと、挑戦したことについて伝える

たとえば、私の息子が野球でホームランを打ったときのこと。私はそれまで、怖くてバットを振りきれなかった息子の姿を見ていたので、

「バットを思いっきり振れたんだね」

と、その勇気を伝えたことがあります。また、以前息子は、友だちと遊園地で、とても怖いアトラクションの入場の列に並んでいたとき、

「僕、やっぱりやめておく」と乗るのをやめたことがあります。そのときも、私は、「一度決めたことを変えるのって、勇気がいるよね」

「怖いことを怖いと言うのって、勇気がいるよね」

と彼の勇気を伝えました。心理的安全性にとって勇気はポイント。

この声かけで、将来、ピアプレッシャー(同調圧力)に強くなるのではないかと思っています。

④判断するより描写する「~だね」「~が好きだな」+感謝で声かけ

たとえば、メンバーや子どもが描いた絵を見て、「絵が上手に描けたね」「絵を描くのが得意だね」と、その絵に対する自分の判断、評価を言う代わりに、

「この絵のピンク、キレイだね。好きだな」
「絵に出てくる子の表情がとてもいいね。好きだなあ」

というような表現をして、よいところの感想を述べます。

職場の部下に対しても、「仕事がうまくいったね。よくできたね」ではなく、

「仕事のこの点がすごくよかったと思うよ。ありがとう」

と、中身についての感想を述べたあと、感謝をプラスして伝えます。

■具体的な表現でその人自身の過去と比較する

⑤比較より成長にフォーカス 進歩したこと、成長したことについて伝える

基本は、ほかのメンバーと比較しないこと。

「○○さんはできたのに」はもちろん、「○○さんより上手だね」も。比較すると「こちこちマインドセット」が発動し、不安感が高まります。逆に、

「以前より、文章がすごく上手になったよね」
「英会話、ずいぶん上達しているね。頑張ってるね」

と、他人でなくその人自身の過去と比較して褒めると、「しなやかマインドセット」が高まります。具体的な表現だと、なおいいですね。

⑥事柄より気持ちにフォーカス「どんな気持ちだったの?」と聞く

何かをした事実より、そのときの気持ちを聞いてみる。

「そのホームランを打ったとき、どんなふうに思った?」
「この課題をやり終えて、どんな気持ちだった?」

と、好奇心を持った質問が、相手との関係を強めていきます。またこの質問は、失敗したときに、次にどこへ行くのかを考えるのにも、役立ちますね。

ロボット デザインに取り組んでいる若い女の子
写真=iStock.com/JGalione
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JGalione

■「落ち着きがない」ではなく「好奇心がある」

⑦失敗より成功にフォーカス 「うまくいったときはいつ? それはなぜ?」と聞く

「なんで失敗したの?」「なぜ50点なんか取っちゃったの?」と、失敗の原因を追及するようなことを聞く代わりに、次のような質問が役立ちます。

松村亜里『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(WAVE出版)
松村亜里『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(WAVE出版)

「そのスピーチがうまくいったのは、いつ?」
「それが少しでもうまくいったときは、何をしたの?」

⑧弱みより強みにフォーカス 「あなたの強みを使ったらどうなる?」と聞く

「あなた、落ち着きがないからね」と、相手の弱みではなく、

「好奇心があるね」

「それ、あなたの強みの創造性を使ったら、うまくいくんじゃない?」という表現が効果的です。

ポイント:プロセスに注目したフィードバックの言葉をどんどんかけていこう

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松村 亜里(まつむら・あり)
心理学者、ニューヨークライフバランス研究所代表
医学博士・臨床心理士・認定ポジティブ心理学プラクティショナー。母子家庭で育ち中卒で大検をとり、朝晩働いて貯金をしてニューヨーク市立大学入学。首席で卒業後、コロンビア大学大学院修士課程臨床心理学、秋田大学大学院医学系研究科博士課程公衆衛生学修了。ニューヨーク市立大学、国際教養大学でカウンセリングと心理学講義を10年以上担当し、2013年からニューヨークで始めた異文化子育て心理学講座が好評で州各地に拡大。ニューヨークライフバランス研究所を設立してポジティブ心理学を広めている。

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(心理学者、ニューヨークライフバランス研究所代表 松村 亜里)

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