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「人の話をしっかり聞く人は勉強ができない」20万人を教えてきた宅建講師がそう断言するワケ

プレジデントオンライン / 2022年5月6日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

少ない勉強時間でも資格試験に合格する人は、何が違うのか。宅建試験研修「ナルミナスキャリア」代表の並木秀陸さんは「講師の話を一生懸命聞く人ほど不合格になりやすい。資格試験は『どこまで覚えるか』ではなく『どこを絞り込むか』で決まるからだ」という――。

※本稿は、並木秀陸『はぶく勉強法 20万人が証明 インプットを8割削って一発合格』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

■「時間がなくて」が口癖の人でも試験は突破できる

不動産会社に勤める2人。勉強時間を確保できるときには1日中勉強に励むAさんと、勉強時間が確保できず、なにかと「時間がなくて」が口癖のBさん。

この2人であれば、やはり合格するのはAさんだろうと思うかもしれません。

しかし、Aさんのように長時間勉強しているだけでは、合格するかはわかりません。どれだけ長い時間かけても、合格するために役立つ勉強をしているかどうかによって、その効果は違ってきます。

効果のない勉強を長時間続けても、合格率が上がるはずがありません。

さらに言えば、そもそも人間は長時間、集中し続けることができません。きっとAさんも、ボーッとする時間や、ほかのことに気を取られている時間もあるはずです。もしAさんが、勉強が好きで好きでたまらない人であれば、集中力も続くかもしれませんが。

一方、Bさんはなかなか時間が取れません。仕事さえしていれば生活できるから、勉強などしなくてもいいのではないかという考えがよぎり、じつは資格試験の勉強をやめようと思ったこともありました。それでも、会社から資格を取るように言われていたこともあって、覚悟を決めて勉強を続けることにしたのです。

■通学→通信学習に、講義は倍速で

覚悟は決めたものの、そもそもBさんは、長時間勉強し続けることはできないし、向いていません。そこまでの集中力が自分にはないと割り切り、時間がなければないなりに、どうすればいいかを考えなければと悩みました。

そこでBさんは、申し込みはしたものの、多忙のためなかなか通えていなかった予備校の講義を、通学から通信で映像を見ることができるコースに切り替えることにしました。さらに、時間がないことから、どの講義も倍速で聞くようにしたのです。講義といっても講師がしゃべっているだけですから、知識をインプットするためであれば、Bさんとしては聞き取れれば充分でした。倍速にしても問題なかったため、90分の講義を半分の時間で聞くことができました。

Bさんは、ほかにも時間を短縮することを考えました。たとえば、わからないことがあっても、悩む時間も調べる時間もないのだから、悩むよりも調べるよりも人に聞くほうが早いと割り切りました。そこで、わからないことがあったら、申し込みしている予備校の講師に質問しに行けばいいと決めたのです。

もちろん、わからないことがあるたびに聞きに行くわけではなく、わからないことをまとめておいてから聞きに行きます。

さらに、講師に質問する前には、必ず「合格するために必要ないことなら、わからないままで構いません。それだったら、教えてくれなくてもいいです。私には時間がありませんから」と断っていました。

■試験勉強は「長さ」ではなく「知識の絞り込み」で決まる

このBさんのように、限られた時間を活かす勉強をすることで、極端なくらいに知識を絞ることになります。じつは、そのほうが本当に必要な力のみを、ピンポイントに鍛えることができるようにもなるものです。

目標を決めて、それに向けて力を発揮するためには、割り切ってポイントを絞ったほうが、いい結果が出ることがけっこうあります。資格試験の勉強が、まさにそうなのです。ですから、勉強時間が長いか短いかは、試験勉強で合格するための能力アップと、必ずしも関係があるわけではありません。重要なのは、試験突破に要求される知識だけを最短距離で身につけ、合格点に至るまでの問題を解く能力を鍛えることです。

誰にとっても、1日は24時間しかありません。また、Aさんのように時間を確保すればいいというわけでもないのです。

勉強時間の長さにこだわっていると、仕事を辞めるという選択肢を選んでしまう危険性もあります。

まずは勉強時間を短縮することはできないか考えてみましょう。それがあなたの合格への時間も短縮することになりえます。

■授業内容を聞き逃さない人ほど落ちやすい理由

「よく聞いておけよ。これから言うことは試験で重要だからな」
「いいかぁ、1度しか言わないからなぁ」
「じゃあ、言いますね。○○は○○です!」

言い終わるかどうかのところで、キンコンカンコーンとチャイムが鳴り、決めゼリフでも言ったかのようなドヤ顔で教室を出ていく講師。

その背中を見ながら、うっかり聞き逃してしまった人は、慌てて「えっ、いま最後なんて言ってた?」と周囲に聞いて回ることになりますよね。

ここでも、真面目で実直なAさんは授業に集中し、講師が「1度しか言わないよ」と言えば、耳を澄まして、しっかり聞こうとします。

じつはAさんタイプの人は、人の話を聞きすぎることが問題の1つになっています。幼いときから「人の話をしっかり聞きなさい」と親に教えられ、それをいまでも変わらず守っているのです。

このタイプの人には次のような弊害があり、しかもその自覚がありません。

・真面目に人の話をすべて聞きすぎると疲れてしまう
・人の話を聞きすぎることで、自分で判断ができなくなってしまう
・人の言うことを信じすぎて、かえって不安になってしまう

このようなことが、試験に落ちる原因にもなることはあまり知られていません。ただ、よく考えてみてください。

■パフォーマンスや特徴に惑わされてはいけない

一般的な大学の講義は1コマ90分ですが、その90分間の中で、仮にこの「1度しか言わないよ」を何度も言われた場合、はたしてそのすべてを聞き逃さずに覚えておくことができるでしょうか。一般的な記憶力の方では覚えることはできないでしょう。

私からすれば、そんなに重要なことであれば、もったいぶらずに何度も何度も繰り返し言うべきだと思います。そのドヤ顔講師からすると、真剣に集中して聞いてほしいという考えだけが先行してしまい、そのスタイルになっているのでしょうが……。

さらに、もっとタチが悪いのが、滑舌の悪い講師です。どんなに集中していても、その1度の発言すら、何を言っているかわからないときがあります。その場合は最悪です。

あなたは「いま何て言ったんだろう?」とモヤモヤしたまま講義を聞き続けるはめになり、そればかりが気になってしまうことで、ほかの内容がまったく頭に入ってこなくなるケースもありえます。

このような講師や教師がいること自体、そもそも問題です。ただ、おそらく彼らも自分自身が過去にそういう講義を受けてきたからこそ、それが正しいと思い込んでしまっているのでしょう。

講義室
写真=iStock.com/taka4332
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taka4332

■効率よく覚えるためなら録音してもいい

一方のBさんは、このような講師に巡り会ったときでも、くだらないことで頭を悩まされることを避け、いつでも講義は録音すると決めています。

・必ずしも人の話を、すべて真に受ける必要はない
・自分で考えて行動することが大事である

これがBさんの主張ですが、このような対策を考えている人ほど、資格試験に受かりやすいのは事実です。

スマホには、撮影機能以外に録音機能もついています。ICレコーダーだって、いまでは安価で購入できます。その講義をすべて録音しておけば、充分に元は取れます。

たとえ講師が「1度しか言わないよ」と言ったとしても、涼しい顔でその録音のタイムコードだけをどこかにメモして、あとから録音した内容を聞き返せるようにしておけばいいでしょう。聞き返した際に、それが本当に重要だと思えば、メモするなりして覚えておけばいいのです。

さらに言えば、本当に重要なことであれば試験対策上、何度も聞いておいたほうがいいはずです。録音した音声であれば、移動時間などに何度も再生して聞くことができます。まさに一石二鳥です。

■受講生に覚えてもらいたいことは3回繰り返す

ちなみに私は、大手の資格予備校で講師になるための研修を受けましたが、試験対策上重要なことは必ず3回は言うように指導されました。その指導をいまでも守り、もちろん棒読みなんてしません。受講生にわかりやすく噛み砕くことや、覚えやすいように言い換えなどを使って、最低3回は繰り返すようにしています。

さらに、重要なことをメモに取ってほしいときには「○○に書いてください」という指定までし、ゆっくりとメモできる程度の短文にすることも教えられたものです。

並木秀陸『はぶく勉強法 20万人が証明 インプットを8割削って一発合格』(秀和システム)
並木秀陸『はぶく勉強法 20万人が証明 インプットを8割削って一発合格』(秀和システム)

ただ、そんな私の授業であれば問題ありませんが、念のため、録音することについても、写真を撮ることと同様に、事前に許可を得るようにしてください。

そう言えば、Bさんのように講義を録音している受講生の中に、私が講義の最終日、講師として、みんなに合格してほしいという気持ちをこめて激励のスピーチをした部分を、何度も繰り返し聞いていたという人がいました。

本番の試験日までモチベーションを上げるために、絶対に合格するという気持ちを高めるために利用してくれていたそうです。

その受験生はどうなったかと言うと、難関資格の合格を一発で勝ち取りました。

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並木 秀陸(なみき・ひでたか)
宅建試験研修「ナルミナスキャリア」代表
東京都生まれ。大学を卒業して大手広告会社に入社後、大手予備校講師を経て現職。現在、司法書士、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者など、さまざまな国家資格を保有。ナルミナスキャリア株式会社(宅建試験対策の研修がメイン事業)代表として経営するかたわら、講師も務める。教え子は延べ20万人を超え、講義時間は通算2万時間を超える。『捨てる勉強法 試験は参考書の3割で一発合格できる!』『脳にこじつけていつでも引き出す記憶術』『失敗を「はね返す人」と「引きずる人」の習慣』(すべて明日香出版社)、『はぶく勉強法』(秀和システム)など著書多数。

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(宅建試験研修「ナルミナスキャリア」代表 並木 秀陸)

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