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「コロナ陽性の義母が徘徊」30代妻に家事育児介護を押し付け、飲み歩く自称公務員の夫が吐いた恥知らずな言葉

プレジデントオンライン / 2022年4月30日 11時30分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/simonkr

コロナ禍にもかかわらず、外で飲み歩く夫。育児にはほぼ参加せず、同居する義父母の世話も妻に丸投げ。アルツハイマー型認知症の義母の症状は日々悪化する。30代の妻は同居解消や無償の家政婦・介護要員状態の改善を夫に訴えたが、夫は無反応。離婚を切り出すと、「養育費なんか払わない」と言いつつ、「3人目の子供がほしい」などと口にした――。
【前編のあらすじ】
8歳上の自称公務員の男性と6年間の交際期間を経て結婚し、31歳で出産した七瀬希子さん(仮名・30代・既婚)。ワンオペ育児に追われるだけでなく、同居する義父からはモラハラを受け、義母からいびられた。そんな中、68歳の義母の行動に異変が。タンスの中には、尿を漏らした下着やズボンが入れられ、財布や家の鍵など、貴重品を紛失する。診察の結果、アルツハイマー型認知症だった。

■義父のインフルエンザと2人目の妊娠・出産

2019年1月、同居する義父(67歳)がインフルエンザにかかった。再雇用で働きに行っていた義父は、しばらく家で療養生活を余儀なくされる。

家の中でゴホゴホと咳をする義父に、嫁の七瀬希子さん(仮名・30代・既婚)は再三「マスクをしてください」と頼んだが、全く聞く耳を持ってくれない。2歳になった長男が心配な七瀬さんは、毎日ハラハラさせられっぱなしだった。

ところがそんな心配もむなしく、義父が発病した数日後、長男が発熱。深夜に熱性けいれんを起こし、救急搬送された病院での診断は、インフルエンザによるもので、約一週間の入院となった。

それからまもなく七瀬さんが発熱。病院を受診すると、インフルエンザと診断された。

夜、帰宅した夫(40歳)にインフルエンザだったことを報告するも、夫は無関心。高熱が出ていてフラフラしていようと、もちろん義両親たちが気遣うはずもなく、家事も育児もワンオペで通常運転。夫はバツが悪いのか、健康なくせに「俺も体調が悪いんだ」と言い出し、そそくさと自室にこもった。

5月。七瀬さんは2人目を妊娠。8週目に入る頃、七瀬さんはひどい悪阻(つわり)に悩まされ始める。同居している義両親には2人目の妊娠を伝えていたが、義両親も夫も全く気遣う様子はなし。妊娠前から変わらず、家事のほとんどを七瀬さん一人に押しつけていた。おかげで8週目から12週目までの1カ月間で、約6キロも痩せてしまった。

しかし、さすがに悪阻で食べられず、よく眠れない日が続き、見るからにやつれてきていた七瀬さんを心配したのか、珍しく夫が、日曜日は長男を連れて公園に出かけてくれるように。せいぜい2時間程度だったが、それでも悪阻のつらい七瀬さんにとっては、かけがえのない休息時間だった。

ところが、妊娠39週目の妊婦健診で、胎児の首にへその緒が絡まっていることが発覚。さらに検査をすると、酸素不足による心拍低下が見られたため、そのまま緊急で帝王切開に。

2020年4月、急遽駆けつけた夫が立ち会う中、次男を出産した。

退院後、七瀬さんが家に戻ってくると、夫は七瀬さんが頼めば、オムツ替えやミルク作りなどをやってくれた。だが家事は、相変わらず全く手伝ってくれない。

やがて七瀬さんが退院して1週間もすると、夫は再び飲み歩き始めた。

一方、長男に言葉の遅延があるように感じた七瀬さんは、1歳半健診、3歳児健診のときに小児科医に相談したが、「発語は少なくても、理解している様子なので大丈夫」と言われていた。

しかし、3歳から幼稚園に入園したところ、幼稚園の発達専門の相談員から言語の療育を勧められ、4歳から通い始めることに。

そのことを夫や義両親に話すと、「普通の小学校に行けるのか?」「人より劣るのでは?」などと言って動揺をあらわにし、ただでさえ不安に思っている七瀬さんをさらに不安がらせる。七瀬さんは、障害の有無で人間に優劣をつけるような考え方をする人たちに、心底がっかりした。

■認知症の義母との生活

いつかからかはわからないが、義母は靴下を1日5回は履き替える。きれい好きなのかと思いきや、履いたものをタンスに戻すので、タンスの中の靴下はほぼすでに履いたもの。

ある日、七瀬さんは義母が履いていた靴下をタンスに戻しているのを目撃。「靴下を脱いだら洗濯カゴにお願いしますね」と声をかけると、ぎくっとしつつも「脱いでない」と言い返す義母。「いやいや、素足じゃないですか」と七瀬さんがやんわり突っ込むと、「靴下しか脱いでない」と真顔。

脱いだ靴下
写真=iStock.com/azgek
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/azgek

七瀬さんが、「履いた靴下をタンスに戻さないでくださいね」と低姿勢にお願いをすると、「今から履くのよ、うるさいわね」と言いながら再びタンスから汚れた靴下を取り出す。

またあるときは、ベランダが白いティッシュクズだらけになっていたため、七瀬さんは、「また義母がティッシュをポケットに入れたまま洗濯したな」と思い、義母に片付けてくれるよう声をかけた。すると、「私じゃない」とシラを切る。

七瀬さんが、「じゃあこのティッシュまみれの洗濯物は誰のですか?」と訊ねると、「知らない」。ため息交じりに、「知らない人の服なら捨てていいですか?」と七瀬さんが言った途端、「……私のです」と義母。

「こんな感じのやり取りが毎日のように繰り返され、認知症だということはわかっているのですが、日本語が通じなくてイライラしてしまいます。義母は認知症になる前から不潔でした。生乾き臭のする服を着て平気で、トイレ後も手を洗わないのに、産まれて間もない次男を抱きたがるので、本当に勘弁してほしいと思いました」

それを知ってか知らずか夫は、七瀬さんがトイレなどでいないときを見計らって、義母に次男を抱っこさせている。また、義母は好き嫌いが多く、七瀬さんが作った料理に全く手をつけないことも多い。しかし、好きなものが出されると、他の家族の分までお構いなしに食べてしまい、一人でご満悦。「いただきます」も「ごちそうさま」も言わず、後片付けもせず、さっさとリビングでテレビを大音量にして見始める。

これでは子供たちの教育にも良くない。こんな生活に、七瀬さんはうんざりだった。

■義母がコロナに

2021年2月前半、義母がデイサービスでコロナをもらってきた。デイサービスはしばらく閉鎖に。濃厚接触者となった七瀬さん一家は、急遽隔離生活に突入。

しかし認知症の義母は、事態を理解しているのかしていないのか、「なるべく自室から出ないで」「出るときはマスクをして」とお願いしているにもかかわらず、マスクなしで家の中をウロウロ。

さらにちょうどこの頃、義母の深夜徘徊が始まる。当然マスクを付けず、トイレに入っても手を洗わない義母によって、家中コロナウイルスだらけに。七瀬さんは、義母を入院施設やホテルなどに隔離してもらえないか保健所に相談したが、取り合ってもらえない。

その数日後、今度は義父がコロナ陽性に。これにより自宅療養期間が1週間伸長。

「義父はともかく、義母は認知症のせいか、高熱が出ていても元気で、毎晩のように徘徊するので大変でした。私と夫と子供たちは陰性で、全く元気なのに2週間ずっと陽性者と同じ家の中はつらすぎました……」

新型コロナのPCR検査
写真=iStock.com/show999
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/show999

ところが数日後、ついに七瀬さんまでコロナ陽性に。

「陽性者になってからというもの、こちらから連絡しても、熱や咳に苦しんでいるのに特に薬も出してもらえず、経過観察のために、指示されたサイトに入力するように言われるだけ……。なるほど、自宅療養中のコロナ患者が亡くなるわけです。『自宅療養』ではなく『自宅放置』の間違いなのでは? と思いました」

もちろん、入院やホテル療養などの案内もなく、義両親と夫、子供たちと24時間、家の中で過ごしたが、2月後半に入り、ようやく無事元の生活に戻ることができた。

「インフルエンザに続き、また義父母のせいで私たちが被害に遭うパターン。このときほど『同居は百害あって一利なし!』と思ったことはありません。同居していなければ、しなくてすんだ夫婦げんかもたくさんありました。『同居する男なんてしょせんマザコン野郎だから、親の味方は当たり前』と、できれば同居する前に教えてほしかったです。世の中、『同居=親孝行』と勘違いしている男性が多いですよね。本当に子供の幸せを願うなら、親は、子供が将来出会うであろう伴侶のためにも、同居だけはさせてはいけないと思います」

■酒乱の義父と飲み歩く夫

2022年1月。夫は、まん延防止等重点措置やオミクロン株もどこ吹く風で、前年末からの忘年会三昧に引き続き、年始も連日飲み歩く。

そんなある日、いつものように酒を飲んでいた義父が、例によって七瀬さんに喧嘩を売ってきた。泥酔してくだを巻いていた義父をたしなめた矢先のことだった。

「てめぇは嫁としてうちの家に入ったんだから、俺に従うのが当たり前だろ? 女のくせに黙れ!」

いつものようにテーブルや壁を叩きながら、七瀬さんの胸ぐらをつかんで罵倒する。

日本料理店でのテーブルや食器
写真=iStock.com/VivianG
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/VivianG

しかし、この日は珍しく夫が在宅だった。夫は七瀬さんから父親を引き剥がし、ものすごい剣幕で怒鳴る。

「何が嫁に入っただ? 何が女のくせにだ? 希子にさんざん世話になっておきながら、見下して偉そうな口をきくな! 土下座して希子に謝れ!」

今まで夫は、七瀬さんが義両親にされたことを伝えると、「俺の親のことを悪く言うな!」と言って怒るだけだった。だから七瀬さんは、しばらく目の前で何が起こったか、理解するのに時間がかかった。これまでも酔った義父が七瀬さんに暴言を吐いてきたことは何度もあったが、夫が七瀬さんをかばってくれたのは、このときが初めてだったのだ。

だが義父は、頑として謝らない。怒り心頭の七瀬さんは同居解消を訴えたが、夫は義父の代わりに謝るだけだった。

その翌日、前日にそんなことがあったにもかかわらず、また義父はリビングで酒を飲み、テレビを見て笑っている。怒りが収まらない七瀬さんは、義父を無視し続けた。

ところが3日後、義父は子供たちへのプレゼントまで用意して、七瀬さんに謝罪。突然、自分たちの洗濯や食器の後片付けなども率先してやるように。

「今さら取り入ってきても、傷ついた心はもう元には戻りません。私は同居解消を訴えましたが、夫も義父も私に謝るばかりで、頑なに首を縦には振りませんでした。そりゃあ、そうですよね。無償の家政婦兼介護要員がいなくなるのは困りますものね……」

相変わらず夫は毎晩のように飲み歩き、平日の夜はほとんど不在。七瀬さんは義両親と子供たちのために夕食を用意し、義両親と子供たちと食卓を囲まなければならない。

「私は誰と結婚したんだっけ? と思います。なぜ食卓には夫ではなく義父母? 毎日毎日毎日、大嫌いな義父母と食べる夕飯は苦痛でしかありません。夫に対する気持ちも、もう残っていません。世の中はコロナで大変なときなのに、月の半分は飲みに行くなんて、人としてどうかと思います」

月に1度の長男の療育に行く日、七瀬さんが不在にする間の次男の子守と、切れていた歯磨き粉の買い物を頼んだところ、「え? 次男いるのに? おんぶしてけって?」と夫は不満顔。「ベビーカーでもいいし。何か問題ある?」と七瀬さんが言うと、夫はブチ切れて罵詈(ばり)雑言を浴びせてくる。

夫婦げんかの度に、七瀬さんの人格を否定するようなことや、育ちが悪いなど父親や弟のことまで悪く言う夫に、七瀬さんはすっかり愛想をつかしていた。

そんなある日、同じ県内で一人暮らしをする75歳の父親から、「前立腺がんのステージ4だった」と報告があった。

七瀬さんは電話を切ったあと、崩れるように座り込んだ。

■将来の計画

現在72歳の義母は、2021年9月からショートステイを追加。最近はさらに認知症の症状が進み、下の世話まで必要になってきている。大の方を失敗し、タオルから壁から床から、トイレを汚物まみれにしてしまうことが少なくないため、七瀬さんは子供たちに触らせないように、急いで掃除をするのが日課になっていた。

「高度アルツハイマー型認知症の義母は、都合の悪いこと全てを人のせいにします。中でも私は家政婦であり、物を隠す嫌がらせをする人らしいのですが、病気だし、しょせん他人だしと、割り切れるようになるまでには私も成長しました。でも、子供たちのことを一番に考えたいのに、どうしても義母に時間を取られることがとてもつらいです」

先日は、七瀬さんがキッチンで料理をしていたら、自室から出てきた義母が、「あら、いらっしゃい」と笑顔であいさつしてきたという。

「ずっと無理して、ストレスをためながら同居して、介護や家事全般頑張ってきたのに、義母の記憶に私はいないのだと思うと、やりきれない思いでいっぱいになります」

そんな七瀬さんは、子供がもう少し大きくなって時間ができたら、仕事に出たいと考えていると話す。

「義父の行動が原因で、夫とは何度か離婚話をしています。最初の離婚話は、同居してから半年後くらいの頃でした。正直、夫のことも、もう大嫌いですし、義家族もろともサヨナラしたいと考えています。でも現実問題としてお金の問題があるのと、自分が片親育ちで寂しい思いをしたからこそ、子供たちには両親そろっていたほうがいいと思い、別れられません」

七瀬さんは子供の頃、親が参加する学校行事も一人、小学生の頃からは病院にかかるにも一人、初めて生理になったときも、ブラジャーを買うにも、たった一人だったという。

離婚届
写真=iStock.com/yuruphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yuruphoto

七瀬さんが離婚話を切り出したとき、夫は七瀬さんに暴言をまくし立てた。揚げ句、「お前がいなくなったら、俺がおふくろの介護をすることになるから、収入がなくなって養育費なんて払えなくなるからな!」と言う。そのとき七瀬さんは、「この人はなんだかんだ言い訳して、養育費を払わない人だ」と悟り、「仮面夫婦でもいいから、子供が独り立ちするまでは夫婦を続けよう」と七瀬さんから提案。夫もそれに同意した。そのくせしつこく、「3人目がほしい」などと言い寄ってくる。

「これだけ『同居がストレスだ』と言っても結局何も伝わっていない。毎日本当につらいです。結婚相手を間違えました。私自身は、子供が小さいうちは家にATMがあると思って生活するしかないと割りきっていますが、子供にとっては、仮面夫婦も片親もどちらも申し訳ない。だから子供が成人、もしくは私が自身で生計を立てられるようになったら、離婚しようと考えています」

すでに義母は、ケアマネジャーや施設のスタッフからも、「施設を検討したほうがいい」と勧められるほどの状態にもかかわらず、夫も義父も、別に暮らす義弟までもが猛反対。「食糞するくらいにならないと施設には入れない」と言い張る。

七瀬さんを取材して感じたこと。それは、夫も義両親も、まるで『アリとキリギリス』のキリギリスのように短絡的に生きているということだ。今はまだ、七瀬さん自身も30代で若くて健康だから回っているが、七瀬さんが倒れたときや、七瀬さんに見捨てられたとき、この家はたちまち立ち行かなくなるだろう。

実父のがんも心配だ。子供たちが幼く、将来が不安なのは承知の上だが、失敗した結婚に早く見切りをつけて、後悔のないように生きてほしいと願ってやまない。

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旦木 瑞穂(たんぎ・みずほ)
ライター・グラフィックデザイナー
愛知県出身。印刷会社や広告代理店でグラフィックデザイナー、アートディレクターなどを務め、2015年に独立。グルメ・イベント記事や、葬儀・お墓・介護など終活に関する連載の執筆のほか、パンフレットやガイドブックなどの企画編集、グラフィックデザイン、イラスト制作などを行う。主な執筆媒体は、東洋経済オンライン「子育てと介護 ダブルケアの現実」、毎日新聞出版『サンデー毎日「完璧な終活」』、産経新聞出版『終活読本ソナエ』、日経BP 日経ARIA「今から始める『親』のこと」、朝日新聞出版『AERA.』、鎌倉新書『月刊「仏事」』、高齢者住宅新聞社『エルダリープレス』、インプレス「シニアガイド」など。

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(ライター・グラフィックデザイナー 旦木 瑞穂)

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