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だれかと一緒のキャンプより「ソロキャンプ」が最高に楽しくて癖になる本当の理由【2021編集部セレクション】

プレジデントオンライン / 2022年5月4日 15時15分

写真=北村勇祐

2021年にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2021年8月12日)
たった1人で野外ですごす「ソロキャンプ」にハマる人が増えている。人気YouTuberのキャブヘイさんは「知人に楽しさを伝えようと思って、何から何まで手取り足取りレクチャーしたが、うまくいかなかった。ソロキャンプは、自分だけで準備して、自力で一夜を過ごすから楽しいんだと気づいた」という――。

※本稿は、キャブヘイ『準備はリュック1つ! 日本一身軽なキャブヘイのソロキャンプ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■“取り込み中”や“離席中”の日常があってもいい

キャブヘイ『準備はリュック1つ! 日本一身軽なキャブヘイのソロキャンプ』(KADOKAWA)
キャブヘイ『準備はリュック1つ! 日本一身軽なキャブヘイのソロキャンプ』(KADOKAWA)

家族で楽しむキャンプとは目的が全く異なるのが「ソロキャンプ」。誰にも邪魔されず、自分だけの時間を自由に使える。日の出とともに起きて、自然に身を任せて寝る。なんのしがらみもない、完璧な自由時間である。

SNSが発達した世の中になって、常に他人と関わっているのが通常となっている。メールがきたり、既読がついたらすぐに返信し、SNSでは一日中タイムラインを張って、いいね! の数で価値を判断したりしてしまう。だが、“取り込み中”や“離席中”があってもいいはずだ。他人軸から一旦離れて、自分の本能に素直に向き合えるのがソロキャンプである。

好きな音楽を聴いて、焚き火を眺めながら飲むビール、いつでもテントに帰って寝ていいし、行儀悪くご飯を食べたって許される、そんな贅沢な時間を味わえるのがソロキャンプである。

■リュック1つの身軽な1泊ソロキャンプに必要なもの

キャンプでハードルが高いのが道具の準備だ。だがやみくもに道具をそろえるのはハードルが高いし、不足を楽しめるのもキャンプの醍醐味と言える。ここでは1泊を前提とした、20リットルのコンパクトなビジネスリュックに収まる最低限の道具を紹介する。焚き火台、タープ、テント、ポール類、ナイフ、アルミホイル、ウォーターボトル、まな板・包丁、クッカー、ランタン、メスティン・シングルバーナー、ランタン、チェア、寝袋、エアマットなど。

ソロキャンプに必要なもの
写真=北村勇祐

■最近は100円均一ショップにもキャンプ用品がそろっている

とにかくかさばるテントと寝袋はコンパクトに収納できるものを選ぶ。

テント
写真=北村勇祐

テントは設営が簡単でポリエステル性の軽いもの。ドームタイプのテントはポールを2本入れるだけで張れるから簡単。テント設営の時間が早ければ早いほどキャンプの時間を楽しむことができる。雨風に耐えられないものもあるから注意しよう。

寝袋は非常に重要。「ナンガ」の「ミニマリズム180」の寝袋は小さく収納できる。使用温度も0℃までだから真冬以外は対応。永久保証もついているから安心して使える。

(写真左)寝袋、(写真右)ピコグリル
写真=北村勇祐
(写真左)寝袋、(写真右)ピコグリル - 写真=北村勇祐

焚火台は超薄型の「ピコグリル」。多くのキャンパーが使っている。

最近では100円均一ショップで、インスタントコンロやメスティン、固形燃料や五徳などキャンプ用品が多数そろっているのでチェックして欲しい。

■焚き火は最高の癒やし

ノルウェーで8時間流しっぱなしの「焚き火番組」が視聴率20%を取って、それを見た赤ん坊が泣き止むとまで言われている。見るたびに形を変え、パチパチと小気味いい音を立てる焚き火を見ていると不思議と浄化された気持ちになる。火というものは神秘的でずっと眺めていられるし、「焚き火しにキャンプしに行く」と言ってもいいくらい楽しめるイベントである。焚き火のルールはあるので、各キャンプ場でのルールに従って行おう。

焚火をするキャブヘイさん
写真=北村勇祐
焚火をするキャブヘイさん - 写真=北村勇祐

■前の人の足跡をなぞるようなキャンプは退屈で野暮

以前こんな実験をやってみた。

これまで全くキャンプをやったことのない知人に、身ひとつだけ用意してくれれば、あとはこっちでキャンプ場に連れていくし、道具も用意する。何から何まで手取り足取りレクチャーする、っていうものだ。結果その人に「キャンプどうだった?」って聞くと返ってきた言葉は、「多分楽しいんだろうけど……。山に連れてこられてよくわからんまま終わった……」。

その知人には本当に申し訳なかったけど、改めて自分も、「キャンプの何が楽しいんだっけ」って再確認するいい機会だった。自分で道具を選んで、目的地を決めて、自力で山での一夜を過ごす。そんな“能動的なアクティビティ”が楽しいんだと。だから、俺と同じことをしたりだとか、前の人の足跡をなぞるようなキャンプはしないでほしい。

攻略本通りにゲームをプレイすることほど、退屈で野暮なことはない。

■混じり気のない世界に囲まれて一晩を過ごす

僕たちは合理性のあるものが大好きで、良質なものを日々探求している。

でも人間が作るもの、考えつくものには感性や主観、バイアス等の混じり気が入ってしまう。その点、自然の織り成す世界ではそんな叙情的な思惑といった無駄が入る余地は全くない。

例えば、動物の体の一部や、花びらの色がビビッドなのは、別に差し色として見栄えがいいからではなく、種の繁栄というたった一つのシンプルな目的に向け、虫に花粉を運んでもらうか、もしくは外敵に捕食されないよう視覚的に警告しているから鮮やかなのだ。

フルーツが甘いのは鳥類に食べてもらい種を含んだ糞を遠くに運んでもらうためであり、ツル植物が周囲の大きい木に巻き付くのは、本来自重を支えるための茎を太くするリソースを光合成生産に回すことができるからといったように、皆、種や形は違えどそれぞれが中々にトリッキーな生存戦略を敷いている。

このように必ず全ての事象に説明がつき、ただ淡々とそこに完璧な役割と目的を持って存在している。

そんな世界に囲まれて一晩過ごす。

■生き抜く力という人間の本質部分が試される

自然界では、たとえ些細なことであっても、解決しなければ生きていけないような深刻な問題になることもある。

暗くて周りが見えない、暖を取らなければならない、道具が足りない、貴重な水等の資源を確保しなければならない――。

日没までに必要な資材を、限られたマンパワー、体力、時間を使い知恵と工夫によって最も効率の良い方法で集め活用する。

その労力によって薪木に火を灯し「暖かさ」「灯り」「食料の調理手段」が得られると今度は生み出したその膨大なエネルギーをどうすれば最も効率的に活用できるのかを、例えば空気の通りが良くなるように地面を掘ろうとか、前に薪木を置いて乾燥させながら輻射熱も得ようとか、知恵と工夫で解決していく。

他にもご飯を食べる、快適に寝る、にも同じように様々な対策や工夫が求められる。

キャブヘイさんおすすめのキャンプ飯「タコライス」
写真=北村勇祐
キャブヘイさんおすすめのキャンプ飯「タコライス」 - 写真=北村勇祐

文明を離れ「自然で生きる」というシンプルな課題のもと一晩過ごし無事朝を迎えると、現代人なりに頭を捻って、最もシステマチックだと思って必死に抗ったであろう名残が目に映る。

それは最初目も当てられないかもしれないが、自分の文字通り生き抜く能力や問題解決能力といった人間の本質部分を正しく評価できるだろう。

■“スマホ”と“財布”に人生を振り回されていたことに気づく

一部の冷えた缶ビールや薪が売っているキャンプ場を除いて、多くの場所では紙幣は火種以外の価値を持たない。もしかしたらスマホの電波が入らないかもしれない。

この令和の時代に財布もスマホも携帯せず2日過ごすなんて滅多なことがない限り無いだろう。

でもたった一晩自然の中で過ごしただけでも、たったこれら2つのアイテムに、なんと頭を悩ませ人生を振り回されていたんだろうと気付かされることになる。

豊かに生きるにはお金や他人からの評価が必要で、僕たちは漠然とそれらを失うことを恐れるが、一度キャンプバッグ一つで森に篭もれば、新たな価値観を生み出し自分の本質的な欲求に向き合うことができる。

人間の悩みなんて本来もっとシンプルなものだ。

お腹が空いたなぁ、眠たいし寝よう、日が出てきたからそろそろ活動しよう……。

こんなコスパの良いお手軽な幸福を疎かにして、時にはそれらを犠牲にしてまで他者依存によって成り立っている幸福を追求する生活って、文明的であっても決して文化的とは言えないのではないだろうか。

決して資本主義を否定しているわけではないが幸せのハードルを下げて、1匹のホモ・サピエンスとして正直に自分の本能と向き合うことで、より一層それらが担保された普段の生活に幸せを感じ人生のトータルの幸福度を底上げしてくれる。

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キャブヘイ(きゃぶへい)
YouTuber
ソロキャンプとツーリングのYouTubeチャンネル「CABHEY RIDE ON!!」を2019年5月に開始。チャンネル登録者数約98万人(2021年8月現在)。必要最低限の道具で、型にはまらない破天荒で自由なキャンプで注目を集める。トレードマークはヘルメット。重低音の心地よいボイスで繰り広げる軽快なトークが人気。

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(YouTuber キャブヘイ)

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