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「学歴が低いと困ることは、あなたが一番わかってるでしょ?」子育てに口を出す高学歴一族を見切った妻の"後悔"

プレジデントオンライン / 2022年5月12日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/HearttoHeart0225

結婚にはお互いの実家との関係が付きものだ。その人間関係が原因で離婚を決断する人もいる。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「夫婦2人だけの問題なら解決できたのにと後悔する人を見てきた。義両親との関係が原因の離婚は避けることができるものだ」という――。

■「家と家とのお付き合い」が招いた離婚

「結婚は家と家とのお付き合い」という言葉がある。夫婦になる本人同士だけでなく、お互いの親をはじめとする親族まで含めて家同士のつながりができるのが結婚という制度、ということを意味する。

ところが皮肉なことに、その「家と家とのお付き合い」が原因で離婚にいたるケースもある。「夫婦2人だけの問題だったらなんとか修復できたはず」と後悔をにじませる夫婦の実例を紹介しよう。

※プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

【CASE1】エリート一家による子育てのプレッシャーから離婚したケース

地元の不動産会社で働きながら、公立高校に通う息子と2人暮らしをしているR美さん(44歳)が、5歳年下の夫と離婚したのは10年前。離婚の経緯は、「夫の両親との折り合いが悪く、そのうち夫とも関係が悪化した」とのこと。

もともと義両親は、自分の息子の結婚相手がR美さんだったことに納得していたわけではない。当時研修医だった彼はやがて実家の病院を継ぐことになっていたこともあり、「病院経営に明るく、家柄だってふさわしい良縁はたくさんあるのに、なぜそんな女性を選ぶのか?」などと、R美さんへの不満をあからさまに示していたという。「研修先の病院の食堂でアルバイトをしていた私と知り合ってまもなく、妊娠がわかって彼の実家報告に行った時、義両親は2人とも隠しきれないほどガッカリしていた」。

■「孫を跡取りにする」と息巻く義両親、親族は全員高学歴…

子供が生まれてからは、R美さんに新たな悩みが加わった。子育てに関して、義両親が毎日のように口を出してくるようになったからだった。「夫の兄弟や親族は全員、高学歴。医師も多く、『孫を跡取りにするには、早いうちから一流の教育を受けさせなければ』と持論を押しつけてくる義両親。私が『子供の個性を生かして伸び伸び育ってくれればいいと思っている』と反論しても、『学歴が低いと社会に出てから困るということは、あなたが一番わかっているでしょう?』と真顔で諭されたこともあった」と振り返る。

そんな義両親に対する不満をぶつけても、「親の言うことも一理あると思う」とR美さんの意見に耳を貸そうともしない夫にも猛烈に腹が立ったという。「義両親への怒りが年月をかけて夫への憎しみに変わっていき、子供が小学生になる頃には取り返しのつかないところまで夫婦関係が悪化していた」。

■「あの時、夫婦で別の道を探していれば…」

冷え切った夫婦関係を修復しようとする気力もないまま、別れることを義両親に伝えたところ「離婚は止めないが、孫だけは置いていってくれ」と懇願されたのだった。

その後、親権を得て新しい生活をスタートさせたR美さんだったが、決して余裕があるとはいえない現在の状況で、過去を後悔することが増えたとのこと。「もしもあの時、夫婦で別の道を探す努力をしていたら、子供の将来も私自身も、今とは違っていたかもしれない。そう考えると、あの時の自分の決断が間違っていたのではないかと思えてならない」。

■「あんなに母親に依存しているとは思わなかった」

【CASE2】娘を溺愛する義母に鬱陶しさの限界を感じる夫のケース

「自分の家に帰っても、どこにも居場所がないのは精神的にキツい」と夫婦問題の相談に訪れたK太さん(33歳)は、1年前に友人の紹介で知り合った2歳年下の女性と結婚。新居は妻の実家の近くに35年ローンを組んで建てたとのこと。「すぐに子供をつくろうという話をしていたので、子育て中は妻の実家が近いほうが何かと便利だろうと思った」という。

ミニチュアの家とお札と電卓
写真=iStock.com/SB
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SB

ところが、実際はK太さんの思い描いた通りにはいかなかった。2人きりでスタートするはずの甘い結婚生活は、妻の母親が夫婦の間に割って入ってきたことにより崩壊したのだった。「結婚して初めて気づいたのは、妻が『マザコン嫁』だったこと。あんなに母親にベッタリ依存しているとは思わなかった」。

「子供ができるまでの妊活中はストレスフリーでのんびり過ごしたい」という本人の希望もあって、しばらくは専業主婦として家事を担うはずの妻は、毎朝K太さんが通勤で自宅を出るタイミングで近所に住む義母を呼び寄せるのが習慣になっていた。「家事が苦手な妻に料理や洗濯物をたたむコツを教えてくれるという義母を、初めはありがたいと思ったが、毎日あまりにも長時間滞在していることに鬱陶しく感じはじめたのも事実」。K太さんが帰宅すると、「おかえりなさい」と義母が出迎えることも珍しくないという。

■平気で夜遅くまで居座り、親子だけの会話をする義母

義父が外出している時などは、平気で夜遅くまで娘夫婦の自宅にいる義母。娘の夫の存在に気づいていないかのように、親子だけにしかわからない話で楽しそうにしている2人の姿を目の当たりにすると、「いい加減に帰ってほしい」とは言えないK太さんだった。

決定的だったのは、リビングでくつろいでいたK太さんが、キッチンで話している義母が妻に放った言葉を聞くとはなしに聞いてしまった時のこと。「『正直な話、ダンナさんが誰であろうとママにはまったく関心がないの。あなたがこうして近くにいてさえくれればそれで十分幸せだわ』という義母のセリフに『ありがとう。うれしい』と答える妻の明るい声を聞いた瞬間、『この結婚は失敗だった』と悟った」。

「別れるなら子供ができる前のほうがいい」という周りからのアドバイスもあって、現在K太さんは離婚を考えている。

■結婚直後に夫の両親から借金の申し入れ

【CASE3】「借金」と「介護」で離婚目前のケース

「今でも結婚生活をこのままの状態で続けていっていいのかどうか、不安でしかない」と話すY乃さん(49歳)は、35歳の時、結婚相談所から紹介された同い年の相手と結婚。子供はいないまま、夫と猫とマンション暮らしをしている。

婚姻届と結婚指輪
写真=iStock.com/shirosuna-m
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/shirosuna-m

結婚してすぐ、夫の実家から「商売が傾いた」という理由でY乃さんに対し、相当な額の借金の申し入れがあったという。義両親が自分たちの息子ではなく、息子と結婚したばかりのY乃さんにお願いをしてきたことを疑問に思い、そのことをたずねると「あんたは独身時代が長く、お金をしっかり貯めてそうだから。ウチの息子は若い頃から遊びまくっていたから貯金はほとんどゼロ。『そろそろしっかりした相手を見つけて年貢を納めるか』という理由で、あんたと結婚したんだよ」などと、聞きもしないことまでペラペラと話し出したのだった。

「その時初めて、夫が長年風俗にはまっていたことを知らされた。私との結婚がお金目当てだったこともわかり、大きなショックを受けた」。実際、貯金があったY乃さんは、「結婚したら家族は助け合わなければならないのだろう」という思いから義両親に多額のお金を貸したのだった。義両親とY乃さんの詳しいやりとりを知らない夫からは喜ばれ、親孝行をしてもらったことへの感謝もされた。

■同居したら、借金の肩代わりをさせられる

実は、それ以降Y乃さんは10年以上も義両親と会っていないとのこと。夫もそれを不審に思わないのか、「オヤジたちもようやく子離れできた、ってことだろう」と関心を示そうとしない。Y乃さんいわく、「お金を返すあてがないのか、借金そのものをなかったことにしたいのかはわからない。もちろん貸したお金は返してほしいが、それが不可能ならこのまま義両親との縁を切っても構わない」。

ところが最近になって事態が動き出したとのこと。「自分たちだけでは生活が不安な年齢になったので介護をしてほしい」と義両親がY乃さん夫婦と同居をしたいと言ってきたのだった。しかも、話をよく聞くと、義両親はY乃さんのほかにも数件分の借金がある様子だった。「義両親と同居することで、なし崩し的に私たちが借金の返済をしなければならない状況になるのではないか。それなら、離婚してひとりで暮らしていくという選択肢もあるのかもしれない」とY乃さんは迷っている。

■「義両親が原因の離婚」は避けられるもの

「義両親が原因の離婚」と聞くと、ひと昔前なら「義母のイジメに耐えかねた妻が家を出ていった」という関係に代表されるような、いわゆる「嫁姑問題」が大半だった。ところが10年以上前からその図式に変化が見られるようになった。

理由は「嫁世代」の女性の多くが社会に出て働き、自分に自信を持つようになり、美しくなれることを知ったからだ。仮に、義両親からイジメられるようなことがあっても、「じゃあ、別れます」と子供をつれてアッサリ離婚を決断するケースも増えた。

だからこそ、「義両親が原因の離婚」は避けられる時代になったともいえるだろう。別れたくないのであれば、「自分の親とは適度な距離を保って生活する」「配偶者と自分の親の利害関係は一致しないもの、と心得る」「場合によっては『卒婚』という形で義両親や夫と別居生活をするのもアリ」といった選択肢のなかから、離婚以外で自分らしく生きていかれるアンサーを見つけることもできるからだ。

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岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。

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(夫婦問題研究家 岡野 あつこ)

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