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「イモトのWiFi」を「PCR検査」にチェンジ…20代の会社員が「にしたんクリニック」から学ぶべきこと

プレジデントオンライン / 2022年5月21日 10時15分

図表=『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』

仕事のできる人とできない人はどこに違いがあるのか。営業コンサルタントの伊庭正康さんは「結果を出す人ほど『ワンソース・マルチユース』を心がけている。その好例がPCR検査事業を数カ月で立ち上げた『にしたんクリニック』だろう」という――。

※本稿は、伊庭正康『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

■仕事ができる人が絶対に言わないフレーズ

がんばれど、がんばれど、今日も残業。そんな「時間敗者」にならないために提案があります。

「今ここ」で済ませる癖を身につけておきましょう。
「また改めて」と、言いたくなるところを我慢してください。

この「また改めて」は、あなたが想像する以上に、処理すべきタスクを増殖させてしまい、あなたを時間弱者に追い込む原因になるからです。

たとえば、会議が終わったとします。こんなことを言っていませんか。

「また改めて、議事録を共有ファイルに格納しておきますね」
「また改めて、次の会議室の予約を押さえたら、連絡しますね」

この一言が「がんばれど、がんばれど、今日も残業」のきっかけになっているのです。図表1をご覧ください。この安易な「改めて」のせいで、30分ほど、余計に時間がかかっている可能性すらあるわけです。

■「今ここ」で終わらせる勇気を持つ

だからこそ、「今ここ」で済ませる勇気を持たねばならないわけです。

許されるのであれば、いちいち議事録を送らずとも、会議中にスライドを投影して、そこに発言を記載しながら会議を進行すれば、「フォルダーに共有しておきますね」と、“今ここ”で済ませることができます。

会議の日程調整もそう。アジェンダに「次回の確認」を入れておけば、“今ここ”で調整ができます。万一、手帳を持っていない、なんて人がいたとして、多少は強引にいきましょう。「あやふやでも結構ですので、“ダメなとき”を教えてもらっていいですか?」と。

仮でもいいので、“今ここ”で決めることにこだわりましょう。商談だってそう。“今ここ”で見積書を準備しておけば、その後の送る作業はなくなります。

私は、20代のときに、ラッキーにも、この「今ここ」の勇気を獲得しました。

もともとは面倒くさがりで、社会人になりたてのころは、いろいろなことを先延ばしすることが常態化していたのですが、「今ここ」の執念を習得したことで、タスクを減らせる感覚をつかめました。

「時間敗者」にならないための、防御策として、確実に有効です。

投資時間の確保を必要とする20代には、「今ここ」で済ませる執念は、不可欠な考え方ではないか、と考えています。

ポイント:「また改めて」から「今ここ」で、すべてを済ませる

■ありえない速さで「結果を出す人」の要領のよさ

短時間で、圧倒的な成果を出す人が、必ずやっている発想を紹介しましょう。それが、常に「ワンソース・マルチユース」を狙う、です。

1つの素材(ワンソース=one source)から、複数の用途(マルチユース=multi use)を考えることを言います。ベタに言うと、「使い回し」です。

「イモトのWiFi」という、海外旅行向けのレンタルWi-Fiの会社をご存じですか。加えて、PCR検査で一躍、有名になった「にしたんクリニック」をご存じですか。実は、同じ会社だと知っていました? コロナ禍の際、Wi-Fiレンタル事業が壊滅的なダメージを受けたことで、社長がスグにPCR事業に乗り出せないか、と考えたそうです。

にしたんクリニックの広告
写真提供=にしたんクリニック

このとき、社長が狙ったのも、「ワンソース・マルチユース」。レンタルWi-Fi事業で使っている、配達網、コールセンターを使い回せば、時間と資金をかけずとも、スグにできると考えたそうです。

実際、数カ月で事業を立ち上げ、たった1年で、コロナ禍前のWi-Fi事業の売上を追い抜くほどに激成長したのですから、驚くほかはありません。

これが、20代にやるべきことと、何の関係があるのか、と思われたかもしれません。しかし、考えてみてください。そう簡単に、この発想は、急に身につくものではありません。

普段から「これって、あれにも使えないかな」と、常に考えることこそが、驚くほどの短時間で成果を出せる人が、無意識にやっている習慣なので、今からやっておいたほうがいいのです。

■まずは、提案書、資料作成、メール送信から

まず、身近な作業、たとえば、提案書やレポートを作成する際、「使い回し」を前提に作成することから始めてみてください。

提案書も、メールも、使い回ししましょう。タイピングの速度を速めることより、ダントツの効果があります。では、実践技を紹介しますね。

提案書も「使い回し」を想定し作成
図表=『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』

提案書、レポートの使い回し

A社の提案書を作成する際、他社にも「使い回せる」ように作成します。

お客様が飲食店であっても、「店長」と表記せず、「管理者」と表記すれば、他業種にも流用ができます。使用する単語や文章に汎用性を持たせるといいでしょう。Windowsだと、Ctrl+Hのショートカットを使えば、一括で文字を置き換えできますので、変換の可能性がある単語は言葉を一緒にしておくのもお勧めです。

メール文章の使い回し

たとえば、あるメールを送る際、「ほかのシーン」にも送れるような文章を書き、それを定型文として登録しておけば、いくらでも「使い回し」ができます。

よく使う文章を登録しておけば メールは0秒で入力できる
図表=『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』

Gメールは定型文登録、アウトルックはクイックパーツを使います。詳しくはインターネットで検索をすれば、スグやり方を確認できるでしょう。さらに簡単なワザ。署名ひとつをとっても工夫できます。

署名を登録する際、図表3のように、文章を含めて登録しておく方法です。それだけで、文章の文字量を減らすことができますのでチェックしてみてください。

署名に文章を入れておけば 数行の文章を書くだけ
図表=『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』

まずは日常業務で、このような「使い回し」の習慣を身につけておきましょう。その繰り返しの中で、「これを使えば、あれがスグにできる」「これを有効活用できないか」と、意識をせずとも考える癖ができます。これは、短時間で圧倒的な成果を出す人が、必ずやっている発想ですので、ぜひ早い段階で身につけておきましょう。

ポイント:ワンソース・マルチユースは、生産性を極める人のアタリマエの習慣と心得よう

■「やり直し」ほど無意味なことはない

「やり直せばいい。間に合えば、とりあえずセーフ」と思っていませんか。

とんでもない。

先ほど紹介した、重要度と緊急度のマトリクスを覚えていますか。やり直しはムダの極みで、本来はする必要のない作業なので、重要度は“超絶”に低く、それでいて緊急度は“超絶”に高い。さらに、誰かを待たせるなど、迷惑をかけてしまう、それがやり直しです。

なので、「やり直し」は全力で予防しましょう。

すべてはコミュニケーションに原因がありますので、必ずできます。2つの確認を取るだけです。

1回目の確認 作業に取りかかる前に、全体像と内容(項目)を確認
2回目の確認 一部、着手したタイミングで問題がないかを確認

この2回だけです。これだけで、やり直しがなくなります。

ここまで強気に言えるのは、私の経験もあるから。私は新人のころ、求人広告の営業をやっていました。当時は、毎日30件の訪問や電話をしながら、5件の求人広告を作成し、お客様に確認をした上で入稿をする、といったタイトなスケジュールで仕事をしていました。

広告ほど、「やり直しのリスク」の多い仕事はありません。発注主の好みが加わるからです。

■残業をせずに終えるための絶対条件

先ほどの2回の確認がないと、まずこうなります。

「う~ん、悪くはないけど、この写真。男性を女性に変えてくれないかな」
「このイラスト、好みじゃないんだよね……。今流行りのヤツってないの?」

こうなると、深夜残業にまっしぐらです。「1回で済ませる」ことこそが、残業をせずに終えるための絶対条件。私の場合は、発注主に取材する時点で、やはり2回の確認をしていました。

1回目 記載すべき項目を取材時に細かく確認
・Must条件(絶対に必要)
・Want条件(あれば嬉しい条件)
・NG条件(あってはいけない条件)
を確認し、全体の広告イメージを、サンプルを使って確認
※サンプルがあると、話が早くなる

2回目 会話をしながら、その場で広告のラフ案を手書きで書く
数分で仕上げたラフ案で問題がないかを確認

いかがでしょう。かなりの確率で、やり直しをなくせそうでしょう。

■「細かく聞くのは申し訳ない」は間違っている

もちろん、広告だけでありません。上司から依頼された社内資料の作成、お客様から求められる提案書の作成も、可能な限りの確認をします。

伊庭正康『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』(秀和システム)
伊庭正康『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』(秀和システム)

やり直しをしないメリットは、ほかにもあります。「この人、わかってくれている」という信用にもつながる、ということ。逆にやってはいけないのが「多分、これでいいだろうな。細かく聞くのは申し訳ないので、先にやってから見てもらおう」と考えることです。

かなり、リスクのある判断であるとわかっていただけたのではないでしょうか。

ぜひ、やり直しを可能な限り予防する人を目指してください。

ポイント:やり直しのない人は、相手から信用される。なので、2回の確認をしよう

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伊庭 正康(いば・まさやす)
営業コンサルタント
1991年リクルートグループ入社。リクルートフロムエー、リクルートにて法人営業職として従事。プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社らしさラボを設立し、リーディングカンパニーを中心に年間200回を超える研修や講演を行っている。著書に『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる』(アスコム)、『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』(秀和システム)など多数。

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(営業コンサルタント 伊庭 正康)

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