「消極的、受け身、おとなしい」は絶対ダメ…積極的なのに嫌味のない人がやっている"センスのいい話し方"
プレジデントオンライン / 2022年5月23日 9時15分
※本稿は、伊庭正康『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』(秀和システム)の一部を再編集したものです。
■社会人が「遠慮」して評価されることはない
よく、空気を読みなさい、と言われます。
あなたは、どうですか。
空気を読んで、発言や質問を控えることはないでしょうか。
でも、これだけは覚えておいてください。
遠慮が、ビジネスにおいて、評価されることは、絶対にありません。「消極的」「受け身」「おとなしい」と低い評価につながる、それが「遠慮」です。
研修講師として、各社で研修をしていて実感するのは、経営者や人事から評価が高い人物の多くは、例外なく積極的に発言や質問をする人です。
こう考えるといいでしょう。会社のミーティングでも、就活のグループディスカッションでも、積極性が評価されるのは一緒だ、と。なので、これからは、こう考えてください。一目置かれる人は、「遠慮」をして行動を控える人ではなく、「配慮」をして“行動をする人”。
「遠慮」とは、行動を起こさない様を指し、「配慮」とは行動を起こす様のこと。まったく異なります。
たとえば、会議で上司の口から、聞き慣れない言葉が出てきたとしましょう。あなたは、ここで少し疑問を抱きます。一目置かれる人を目指すなら、「あえて遠慮」をせずに、尋ねてみましょう。
「すみません。先ほどの件ですが伺ってもよろしいでしょうか? 皆さんがご存じでしたらすみません。先ほどおっしゃった、フィジビリティとはどういった意味でしょうか?」と。知らないことは恥ではありません。
むしろ、うやむやにせずに聞く姿勢は、自信があるようにも見えますし、周囲からすると信頼されます。
■「クッション言葉」をつければ、配慮できる人になる
とはいえ、最初は聞く際に、ちょっとした勇気がいるのも確かです。でも、大丈夫です。実は、クッション言葉をつければ、すべてが許されます。クッション言葉とは、文頭に差し込むセリフのこと。
「差し支えなければ、伺ってもよろしいでしょうか?」
「知識不足で、申し訳ございません。念のためにお聞きしたいのですが」
「恐縮ですが、伺ってもろしいでしょうか?」
「もし、お時間があれば、質問してもよろしいでしょうか?」
このようにクッション言葉をつければ、それだけで「配慮したセリフ」になります。対人センスのよさも出ますので、ぜひ使ってみてください。
一方で、こんな人は損をします。
「なんでですか?」「どうしてですか?」と聞きすぎる人。
学生のうちはいいでしょう。でも「ちょっとは、自分で考えろよ」と思われます。社会人は、「答えを求める前」に、「自分なりに考えるのが先」。これが、ルール。対策は簡単。
質問の仕方をパターンで覚えておくだけです。
「○○○といった認識で合っていますでしょうか」と、先に自分の見解を示せばOK。これも、センスのよさ。相手に配慮した会話です。
■誤解されやすい人の話し方にある共通点
「遠慮」をせずに「配慮」しましょう、と言いました。ちょっと難しそうに思われたかもしれませんが、話し方を少し変えるだけで、随分と印象は変わります。
今のうちから、好感度の高い人がやっている話し方を知るといいでしょう。少し説明をさせてください。まず、私たちが使っているコミュニケーションには、3つのパターンがあります。
①アグレッシブ型
②ノンアグレッシブ型
③アサーティブ型
では、先に、選択すべきではない、2つの話法の解説をしておきましょう。
主張を押し通す攻撃的なコミュニケーションのことを指します。「私は、残業をすべきではないと思います。会社の方針を考えると、理屈に合いません。なので、せっかくですが、私は残業をしません」といった感じ。間違ったことを言っているわけではないので、意見は通るかもしれませんが、相手を無視しているので、嫌われやすい対話になってしまいます。
【②報われにくい「ノンアグレッシブ型」】
言いたいことを我慢するコミュニケーションです。遠回しに伝えてしまうことや、「わかってもらえるとありがたい」と思い、発言すらしないことも含まれます。「他人に振り回される」「わかってくれない」といったストレスを抱えたり、仕事をお願いできず1人で抱えてしまったり、誤解されやすい対話とも言えます。
■まずは「嫌われない人」の話し方を目指そう
では、あなたが選択すべき「アサーティブ型」を説明しましょう。
自分の考えや気持ちを正直に伝えつつ、相手の想いも素直に受け止めるコミュニケーション、これが「アサーティブ型」です。
まず「DESC法(デスク法)」を知っておくといいでしょう。新人であっても、スグに飛躍的にセンスのいい対話ができるようになる話法なのでお勧めです。私の研修でも紹介しています。
DESC法とは、「Describe:事実を描写する」「Explain:意見を述べる」「Specify:提案・相談する」「Choose:選択を求める」の流れで主張する方法です。
言いにくいときや、場の空気を読んだほうがよさそうなときなどに、遠慮をせずに、配慮をしながら主張できるようになります。たとえば、こんな感じ。
「急ぎで、この資料をまとめてくれないかな?」と頼まれて……
〔事実を描写(語る)〕かしこまりました。実は、取引先との約束があり、
〔意見を述べる〕こちらを優先すると、今日の作業が難しい状況なのです。
〔提案・相談する〕差し支えなければ、明日の対応でもよろしいでしょうか?
〔選択を求める〕とはいえ、ご事情もあるかと存じます。いかがなものでしょうか?
ポイントは、いきなり主張するのではなく、まず「事実(描写)」から話して、その上で「自分なりの意見(説明)」を説明し、状況を理解した上で、「相談(提案)」をする流れで、配慮のある主張を示している点です。
事実や意見を言う前に、いきなり「明日の対応でも……」と返事をすると、アグレッシブ型の対話(嫌われる対話)になりかねません。言いにくいことの主張や、お願いごとをしたい際は、さりげなくDESC法を使えるようにしておきましょう。
■説明や質問をする際は「結論から」がルール
DESC法と合わせて覚えておきたい話法が、PREP(プレップ)法です。
PREP法とは、単刀直入に、言いたいことから話す話し方で、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(実例・具体)」「Point(結論)」の順で話します。
先ほどのDESC法は、相手の「感情をケアする際」に用いるのですが、このPREP法は、説明や連絡、時には質問をする際などに用いる方法です。
まず、こう考えてください。
仕事での会話の基本は、PREP法で統一する。ただし、感情にケアをする必要があると思えば、前述のDESC法に切り替える。では、このPREP法をやってみましょう。こんな感じです。
「お宅のサービスは、何が違うの?」と質問を受けて……
〔結論〕我々の特徴は、特にアフターフォローで好評をいただいています。
〔理由〕と言いますのも、フォローの専門チームを抱えているからです。
〔具体〕使っているうちに、ちょっとした困りごとが、出ないとも限りません。そのため、弊社では、専門のチームが“些細なお困りごと”がないかを確認させていただき、その場で専門的なアドイスをすることに努めております。98%のお客様からリピート購入いただけるのは、このサービスによるものと自負いたしております。
〔結論〕ですので、製品力はもちろんのこと、アフターフォローにおいても、とりわけ好評いただいているのが、弊社の特徴になります。
このようにPREP法で話すと、余計な前置きを省き、一気に端的に理解しやすい説明になります。
あなたの職場に、話の長い人はいませんか? きっと〔結論〕ではなく、前置きのように〔実例〕から話していることがわかるはずです。
■仕事がデキる人は、うまく説明を「省く」
話の長い人が、やりがちなことは、まだあります。
よかれと思って、丁寧に説明をしすぎてしまう傾向です。こんな感じ。
「この本のよいところは、1時間で本格的なスキルを学べることです。と言いますのも、図版がふんだんに盛り込まれているからです。たとえば1章では、コミュニケーションにおける、仕事上での悩ましいシーンが描かれており、たとえば敬語やマナーといった箇所は、若手の方に人気があります。4コママンガで描かれているため、理解しやすいとの声も多いです。次の2章は、ミーティングにおける発言について触れています。たとえば……」
ちょっとしんどいと思いませんでしたか。詳細を丁寧に伝えるより、大事なことを端的に伝える、具体的には「あえて、言わない」ことで、相手は理解しやすくなることを知っておきましょう。
先ほどの線を引いた箇所を省くと、こうなります。
「この本のよいところは、1時間で本格的なスキルを学べることです。と言いますのも、図版がふんだんに盛り込まれているからです。実際、仕事上での悩ましいシーンが描かれており、4コママンガで描かれているため、理解しやすいとの声も多いのです。なので、わずか1時間で、大事なポイントを理解できる、と好評を得ています」
どうでしょう。これで充分ではないでしょうか。そう理解しておきましょう。
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営業コンサルタント
1991年リクルートグループ入社。リクルートフロムエー、リクルートにて法人営業職として従事。プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社らしさラボを設立し、リーディングカンパニーを中心に年間200回を超える研修や講演を行っている。著書に『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる』(アスコム)、『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』(秀和システム)など多数。
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(営業コンサルタント 伊庭 正康)
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