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「お酒を飲むと人は痩せます」医者が勧める"グラス2杯のある飲み物"

プレジデントオンライン / 2022年5月28日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/petrenkod

『医者が教える最強の解毒術』などのベストセラーで知られる医師の牧田善二さんは、「カロリーが高いものを食べると太ると思っている人は、アルコールを制限します。でも、これからの常識は『お酒を飲むと痩せる』です」と語る。本当なのか。医者が教える「太らない食事の新常識」、その仕組みとは──。

■お酒が太るのは「糖質のせい」

肥満を解消したいなら、あるいは太りたくないなら、血糖値を上げない食事を心がけることが大事です。そして、そのために必要なのは「糖質摂取量を控えること」のみです。

脂質を控える必要も、タンパク質を控える必要もありません。脂肪たっぷりのステーキをいくら食べても太りません。

同様に、アルコールは太りません。糖質の多いビールや紹興酒をたくさん飲めば太りますが、それは糖質のせいであって、アルコール成分によるものではありません。

■見るべきは「カロリーではなく糖質含有量」

ところが、「カロリーが高いものを摂取すると太る」と思っている人たちは、アルコールを制限します。

食品成分表を見ると、たとえばウイスキーは100グラムで237キロカロリーあります。対して、茶碗一杯のご飯(150グラム)がおよそ240キロカロリーです。だから、カロリーで考えたら、どちらも同じように太るはずです。

しかし、そうはなりません。ご飯が糖質の塊(かたまり)であるのに対し、ウイスキーは糖質ゼロだからです。

糖質を含まないウイスキーをいくら飲んでも太りません。見なければならないのは、カロリーではなく糖質含有量です。

■「白ワインを飲むと痩せる」という報告

ウイスキーや焼酎のような蒸留酒には糖質は含まれません。一方、醸造酒でも、ワインや日本酒に含まれる糖質はさほど多くないので気にすることはないでしょう。

それどころか、「白ワインを飲むと痩せる」という報告が2004年にドイツでなされています。

なぜ、ポリフェノールたっぷりの赤ワインでなく、白ワインなのでしょう。おそらく、白ワインに含まれる「酒石酸」という成分が血糖値を下げるのではないかと推測されます。

■血糖値の変化を見よう

一口に白ワインと言っても、甘口のものは糖質が多いので除きますが、辛口の白ワインはたしかに痩せる効果があるようです。

私は「リブレ」という血糖値自己測定器機を装着し、いろいろ食べたり飲んだりしては血糖値の変化を見ています。すると、辛口の白ワインを飲んだ翌朝の血糖値がかなり低く抑えられているのです。

血糖値が上がらなければ太ることはありません。おかげで私は、理想体重をキープしています。

一方で、ビールは思いのほか血糖値を上げます。私の場合、140くらいまで上がりました。ビールは糖質が多いだけでなく、ガブガブ飲む傾向にあるため一気に血糖値が上がってしまうのではないかと思われます。

■アルコールは、血糖値を下げる方向に働く可能性

それでも、「ビールであっても飲まないよりは飲んだほうがいい」という、酒飲みを喜ばせる報告が、アメリカの医学誌に寄せられた論文でなされています。

その論文で紹介された実験では、「パンだけを食べたとき」「パンと一緒にビールを飲んだとき」「パンと一緒にワインを飲んだとき」「パンと一緒にジンを飲んだとき」の血糖値の変化が調べられました。

すると、パンだけを食べたときが最も血糖値が上がり、ビールを一緒に飲んだときが続いて血糖値を上げました。ところが、ワインやジンを一緒に飲んだケースでは、ほとんど血糖値は上がりませんでした。

つまり、アルコールは、血糖値を下げる方向に働くわけです。

■「アルコール性低血糖」という症状

実際に「アルコール性低血糖」という症状があり、生化学の教科書である『デブリン生化学7版』にその事例が載っています。

39歳の女性が、バーでお酒を飲んでいたら意識朦朧(もうろう)となって救急外来に運ばれました。

診察してみると、酔っ払ったことが原因ではありませんでした。朝から忙しく働いて空腹でいたところにお酒を飲んだら、血糖値が下がりすぎてしまったのです。

治療法としては、オレンジジュースを飲ませることでした。それで血糖値が上がったら、その女性は回復しました。

■糖質ゼロのお酒は飲んでいい

私のクリニックを初めて訪れる糖尿病の患者さんたちには、「お酒は好きだけど、血糖値を上げるから我慢しています」という人が大勢います。

牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)
牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)

それまでかかっていた医療機関でそのように言われたのでしょう。

とんでもない間違いです。

私は彼らに、「飲んでください。むしろアルコールは血糖値を下げますよ」とアドバイスしています。

ビールが好きな患者さんには、最初の1缶だけは普通のビールにして、その後は糖質ゼロタイプに変えてもらっています。もちろん、最初から糖質ゼロタイプにできればそれが一番です。

■日本人が危ないのはむしろ「アルコールに弱い体質」

とはいえ、摂取していい「適量」はあります。日本人はもともと、体質的にアルコールに弱いので、欧米人と同じように飲んでいたら肝硬変などの罹患(りかん)率が上がってしまいます。

お酒に強い人と弱い人がいるのは、その分解能力に差があるからです。

アルコールが体に入ると、まず肝臓で「アセトアルデヒド」という中間物質に分解されます。この物質は毒性が強く、心臓がドキドキしたり、顔が赤くなったり、吐き気や頭痛を呼び起こす原因となります。

このアセトアルデヒドを分解するのが、「ALDH」という酵素です。

■アルコール分解酵素ALDHが欧米人より少ない…

アジア人の場合、ALDHがまったく働かない人が4%の割合で存在します。アセトアルデヒドを分解できないわけですから、奈良漬けを食べただけで顔が真っ赤になってしまいます。無理してアルコールを飲めば命を落としかねません。

40%は、ALDHの働きが弱い人です。ある程度は飲めるけれど、顔は赤くなり、すぐに気分が悪くなり吐いてしまったりします。

残りの56%は、ALDHがちゃんと働きます。しかし、その働きは欧米人ほどではありません。

欧米人はワインを1本くらい飲んでもほとんど酔わず、食後にグラッパのような強いアルコールを摂取するのが当たり前になっていますが、それと同じことを日本人はできません。

■ベストは「白ワインをグラス2杯」

そんな日本人にとって最適な量は、ワインだったらグラス2杯というところでしょう。

お酒と健康に関していろいろな研究がなされており、まったく飲まないよりもグラス2杯のワインを飲むと、死亡率が下がることがわかっています。そして、それ以上飲むと、また死亡率が上がっていきます。

結論として、夕食を摂るときには、痩せる効果がある辛口の白ワインをグラスに2杯楽しむのがベスト、ということになるでしょう。

なお、アルコールを摂取するときには、ミネラルウォーターも飲んでください。それによって血中アルコール濃度が上がりすぎず、悪酔いすることもありません。

■糖質の含まれる飲料はやめる

アルコール以外の飲み物について、砂糖の入っていないお茶やコーヒーのほかは、ミネラルウォーターだけにするくらいのつもりでいるといいでしょう。

これを機会に、肥満の元凶である清涼飲料水はきっぱりやめましょう。清涼飲料水は、血糖値を急上昇させ、肥満のみならずあらゆる病気を引き寄せる悪魔の飲み物です。

第二次世界大戦が終わって10年ほど経った1955年、第34代アメリカ大統領だったドワイト・アイゼンハワー氏が、心筋梗塞の発作を起こしました。一命は取り留めたものの、現職大統領が倒れたことでアメリカ中が大騒ぎとなりました。

実は、アイゼンハワー大統領は若い頃から大のコカ・コーラ好きで、従軍していたときに、ジョージ・マーシャル陸軍参謀総長に対し、「コカ・コーラを300万本送ってくれ」と要請したという逸話が残っています。

カフェで差し出された砂糖を断る女性
写真=iStock.com/frantic00
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/frantic00

当時からアメリカでは心筋梗塞で命を落とす人が多く、その原因について議論がなされていました。「糖質の過剰摂取が肥満を呼び、心筋梗塞を増やしている」という正しい理論を展開している人もいたのですが、「脂質摂取が原因だ」と主張する人たちが、アイゼンハワー大統領の件を巧みに利用し、脂質を悪者にすることに成功しました。

そして、糖質の害は多くの人たちの耳には届きませんでした。こうした間違いが、今日のアメリカを肥満大国としてしまったのかもしれません。

■脂質やアルコールより、糖質の過剰摂取が問題

繰り返します。悪いのは脂質でもアルコールでもありません。糖質の過剰摂取こそが問題なのです。

アルコールと糖質との関係のように、今、世の中には多くの間違った医療情報が発信されてしまっている現実があります。そこで、データをもとに、より信憑性の高い健康情報を詳しく解説すべく、YouTubeチャンネル「AGE牧田クリニックチャンネル」を開設しました。

老化の原因であるAGE研究のスペシャリストである私が、今日から実践できる具体的な方法と最新情報を語りますので、ご興味のある方はぜひこちらもご高覧ください。

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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。 2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。 著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。

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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)

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