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能力や性格のせいではない…「働いても働いてもお金が貯まらない人と1億円貯まる人」の決定的な違い

プレジデントオンライン / 2022年5月24日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Feodora Chiosea

「働いても働いてもお金が貯まらない」「人付き合いがうまくいかない」……。その原因は「ブレインロック(社会的洗脳)」かもしれない、と指摘するのは、経済評論家の勝間和代さんだ。私たちが知らずにハマる“見えない落とし穴”の正体を解き明かした新著『できないのはあなたのせいじゃない』より、人生を好転させるためのヒントを紹介する──。(第1回/全5回)

※本稿は、勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■「インデックス投資」も10年前はギャンブル扱い

今から10年ほど前までは、「株や投資は素人が手を出してはいけない危険なもの」「株を買うのはギャンブルと同じ」という意識が強かったと思います。

そのため、2007年に私が『お金は銀行に預けるな』を上梓したときは、金融リテラシーと併せてインデックス投資を勧める同書に対して、疑いの目を向ける人が多くいました。

しかし、金融庁は2014年になって「NISA(Nippon Individual Savings Account)」という個人投資家のための税制優遇制度をスタート。つまり、国が「貯金だけじゃなくて、もっと投資にお金を回してね」というメッセージを発したのです。

2016年には、未成年者を対象とした少額投資非課税制度である「ジュニアNISA」、2018年には少額からの長期・積立・分散投資を支援する「つみたてNISA」などを立て続けにスタートさせ、国民の投資を懸命に後押ししていきました。

■「老後2000万円問題」で状況が一変…

この流れをさらに推し進めたのが、「老後2000万円問題」です。

2019年6月に金融庁の市場ワーキング・グループが公表した報告書によると、「老後30年間で約2000万円が不足する」という試算が出されたと、マスコミが一斉に報じました。

これをきっかけに、多くの人々が年金だけに頼り切ることのない、より効果的な資産形成を進めることを模索するようになりました。

それでも、資産運用に対して保守的な層が現在も大半を占めている状況は変わりません。

■アメリカの家計金融資産が3倍になる間に、日本はたった1.52倍…

日本の家計の金融資産の54.3%は「現金・預金」、27.4%は「保険・年金・定型保証」であり、株式や投資信託、債務証券といった投資は全部合わせても15.7%に過ぎません。

対して、アメリカは家計の55.2%が、株式その他の投資に回されています(2020年度日本銀行調査統計局調べ)。

結果はどうでしょう。アメリカの金融資産が過去20年で3倍以上になっているのに対して、日本は1.52倍に留まっています。

■インデックス投資で「億り人」になった人々

NISAができるよりも前に、私のアドバイスを受けてインデックス投資を始めた方たちの中には、現在いわゆる「億り人」になった方が少なからずいます。複利の威力はすごいもので、10年以上コツコツと貯金感覚で投資を続けた結果、億単位の資産を築きました。

この方たちは、特別アグレッシブな投資家ではありません。ただ、貯金に回していたお金をインデックス投資の口座へ移し変え、コツコツと積み上げることを15~20年ほど続けてきただけです。

一方で、お金は銀行に預けているだけでは増えないこと、お金がお金を稼ぐインデックス投資の有用性とその仕組みを説明しても、頑として「銀行預金+現金」というポートフォリオを変えなかった方たちもいます。資産を、ただ銀行の普通預金や定期預金に入れて、寝かせたままにしていました。

当たり前ですが、近年の銀行の低金利では、お金は少しも増えることはありません。それは、先に示した日本とアメリカの金融資産の推移を見れば、明らかです。

■「性能」ではなく「脳の境界線」の差

この二者の違いは、いったいどこからくるのでしょうか?

人間はその性能においては、特別大きな違いはありません。一部の天才たちを除けば、知能も身体能力も、もともとさほどの違いはないのです。それでも得る結果に大きな違いが出るのは、「脳の境界線」の差からくると私は考えています。

「この先は危険地帯だから、入ってはいけない」
「この線の内側にいれば安全だから、ずっとここにいよう」

これが脳の境界線です。脳が勝手に自分の限界を作り、ロックしてしまうことで、思考や行動に様々な制限が生まれてしまうことになるのです。

■脳があなたの可能性を限定する

私は、脳内に存在する境界線を越えるのを阻む、こうした無意識の働きを「ブレインロック」と呼んでいます。

勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)
勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)

たとえば「投資は危険」というブレインロックがあるために、先に挙げたデータのような実際の情報を読み取り、理解し、安全な範囲でチャレンジしてみるという行動がとれなくなってしまうのです。

対して、インデックス投資を始めたグループは、そのような根拠の薄いブレインロックがかかっていなかったために、私の話を聞いたあと、ほかの書籍やインターネット上にある情報を集め、ほかの人の話も参考に聞いて回るという行動をとりました。

その結果、「この程度のリスクで済むなら自分にも安全な形で投資ができる」と判断し、投資をスタートして資産を積み上げることができたのです。

■重要な機会を損失する事態に

ブレインロックとしてありがちな例に、次のようなものがあります。

「勉強をしないとよい大学に入れないし、よい会社にも入れない」
「大人は結婚して一人前、結婚したら子どもを作るのが当たり前」
「女の子は女らしく、男の子は男らしく」
「起業は危険。会社に勤めたほうが安全だ」
「持ち家がないと一人前とはいえない」
「生命保険はできるだけ入っておいたほうが家族のため」
「嫌なことも我慢して頑張るのが一人前の社会人」
「一度決めたことは最後まで変えずにやり通すべき」

挙げればきりがありませんが、誰もが家庭や社会の中で、日常的に浴びてきた言葉ではないでしょうか。

そして、ブレインロックにかかっていると、どんなに優秀な人でも、人格的に優れた人でも、あっさりとパフォーマンスを落としたり、不合理な判断をしたり、重要な機会を損失したりしてしまいます

先のインデックス投資がなかなかできない人はその典型的な例ですが、ほかにも、うつ病になるまで働いたり、住宅ローンが苦しくてギリギリまで切り詰めた生活を送っていたり、モラハラやパワハラをしてくる人とも我慢して付き合い続けたり……枚挙にいとまがありません。

■「自分にはできない」と、やらない理由を探し始める

なぜそうなるのか。ブレインロックは事実とは関係なく、無意識に「自分にはできない」と自分の選択や能力を制限してしまうからです。

その状態に陥ると、次に何が起こるのでしょうか。まず、「やらない理由」になる情報を探し始めます。「時間がないから」「お金がないから」「家族が反対するから」といった具合に、自分にとって都合のよい情報を優先的に集めてきて、最も正しいこととして認知してしまうのです。これを「選択的認知」といいます。

そして、それらの理由を大切に握りしめたまま、現状維持を続けてしまうのです。

誰もブレインロックから逃れることはできません。なぜなら、幼少期からの親の教育や社会的なメッセージによって、知らないうちに自分の中に形作られてしまうものだからです。

つまり、ブレインロックはいい換えれば、「社会的洗脳」なのです。

■家庭や社会が「ロック」の原因に

幼少期から家庭や社会と断絶して成長してきたという人はほぼいないでしょうから、全員に何かしらのブレインロックがかかっていると考えてよいでしょう。

そこで、無意識のうちに備わってしまったブレインロックの存在にまずは気付き、次いで、その呪縛を解く方法をお伝えするべく、今回『できないのはあなたのせいじゃない』を書きました。

ブレインロックという一種の洗脳を解除することで、これまで見えなかった情報や選択肢、機会が視界にどんどん飛び込んでくるように働きかけていきます。

その結果、あなたの人生の可能性は格段に広がり始めます。それこそが、ブレインロックを外す最大のメリットです。

■変化の時代はロックを外すべき

ブレインロックがかかったまま、自分が限界と決めた範囲の中に、「安全安心」と思い込んで留まっている状態は、現代社会においては安全の真逆……非常に危険な行為です。なぜなら、これまでにないほど、現代社会の変化のスピードが加速しているからです。

そして、2020年以降の新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、変化の速度はさらに増しています。

ただ立ち止まっていただけのつもりが、気が付いたらあっという間に後退し、周囲に大きく後れをとることになっていた……という事態になってしまうのです。

早急にブレインロックを外して視界を広げ、変化の波の中でチャンスをつかんで前へ進んでいかなければなりません。

■ブレインロックを外すことが「私」の本業

なぜ、私がそう勧めるのか。それは、私の本業がまさしく「人の目からウロコ(ブレインロック)をバリバリとはがすこと」だからです。

私は、業界大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタントをしていた当時、様々な企業の事業変革を担当しました。硬直状態に陥った企業に対して、業界の外にいるからこそ気が付く問題点や改善点をあぶり出し、改革後に想定される数字と改革案を提出するのが主な仕事でした。

業界内にいると、無意識のうちにその専門内の前提知識や忖度(そんたく)でブレインロックがかかり、当たり前のことが見えなくなることがよくあります。

壁を壊す前に立つビジネスウーマン
写真=iStock.com/gremlin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gremlin

その何重にもなったブレインロックというウロコをバリバリとはがし、クライアントの視界をよくすることが、私の仕事だったといえます。

■「勝間塾」でロックを解除する人々

現在においても、主宰している学びのためのコミュニティサロン「勝間塾」で同じことを続けています。

仕事のスキルアップや起業を目標として入塾してくる人たちも、入塾当初は信じられないほどたくさんのウロコで目がふさがり、前がすっかり見えなくなっている人がほとんどです。

しかし、数カ月から数年かけて、セミナーやイベントを通して多様な人と出会い、多様な情報を得ていくことで、ボロボロとウロコがはがれて、ブレインロックがみるみる解除されていくのです。

最近は、YouTubeの個人チャンネルでも毎日1、2本の動画をアップして、“ミニ勝間塾セミナー”のような活動をしています。

■ロック解除のキーは「新しい情報」

ブレインロックを解除する要素は何かというと、適切な新しい情報です。自分とは異なる価値観や意識の外にあった情報に触れることで、自分の思い込みや古い常識に対して、初めて疑いの気持ちを持つことができるようになります。

「なぜか仕事がうまくいかない」
「間違った選択や行動をしてしまうことがよくある」
「気が付いたら周りに人がいなくなっていた」
「働いても、働いても、お金が貯まらない」
「人付き合いがうまくできない」

こんなことが頻繁に起こったり、強く感じるようであれば、ブレインロックの存在を疑ってください。

自分でも訳が分からないまま、不合理な行動をとってしまうのは、あなたの能力が足りないわけでも、性格に問題があるわけでもありません。いつの間にかあなたの脳にかかってしまった、社会的洗脳のせいなのです。

まずは、自分にブレインロックがかかっていると認めることが、洗脳解除の第1段階です。そして、それがどんなたぐいのものかを探っていくのが、第2段階ということになります。

■人生をアップデートしよう

私自身、過去には数え切れないほどのブレインロックがかかっていました。ロックを解除してくれたのは、これまで出会ってきた多様な人たちとの意見交換や、そこから得た情報でした。

10代から今までに手にしてきた、たくさんの書物にも大いに助けられました。それは偶然だったり、自ら求めて歩み寄ったりして得た情報です。

今も無意識のうちに社会的洗脳が残っているかもしれないし、現在進行形で洗脳が進んでいるのかもしれません。しかし、勝間塾のたくさんの塾生、友人、仕事仲間、SNSでつながるたくさんの方々との間で情報の流通が途切れない限り、私はこれからもその都度、自らのブレインロックの存在に気付いてそれらを解除しながら人生をアップデートできると信じています。

ブレインロックを解く旅へ、ともに出発いたしましょう。

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勝間 和代(かつま・かずよ)
経済評論家/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授
1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。著書に『勝間式食事ハック』(宝島社)、『勝間式超ロジカル家事』、『勝間式超コントロール思考』『ラクして おいしく、太らない! 勝間式超ロジカル料理』(以上、アチーブメント出版)などがある。

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(経済評論家/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授 勝間 和代)

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