緑色のマーカーは絶対NG…東大生がノート作りで「オレンジのペンと赤の下敷き」を最強と呼ぶワケ
プレジデントオンライン / 2022年6月1日 15時15分
※本稿は、東大カルペ・ディエム『東大大全』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
■話が「行ったり来たり」する先生のノートの取り方
授業のノートを取るのって難しいですよね。
それが、話が「行ったり来たり」するタイプの先生の授業ならなおさら、それをノートの上で再現することは至難の技です。「もうちょっとまとめてから話してほしい」と思うかもしれませんが、その先生が悪いとも言えません。
なぜなら、話が「行ったり来たり」するというのは先生なりの工夫であることが多いからです。
文系・理系科目にかかわらず、1つの物事を説明するときにはさまざまな知識と関連づけて理解する必要があります。その方がより深い理解につながるので、みなさんの成績アップのためには必要不可欠なのです。
だからこそ授業のノートを取るときに重要なことは、線や矢印などの記号をうまく使って、ネットワークとして情報を理解することです。これさえできれば、先生の話の「行ったり来たり」に対応できるようになり、授業の理解度が上がります。
■線や矢印を使って情報の関係性を4つに分ける
具体的な方法としては、ノートを取りながら、関連する情報を線で結んだり、情報同士の関係性に応じて、「=、↔、→、―」などの記号を使い分けたりして活用する方法です。
「線を引いてノート取っているよ」と言う人もいるかもしれませんが、ただ線を引くだけでは、見直したときに書いた線や矢印が果たして何を意味しているのかが分からなくなり、結局本末転倒になってしまいます。
そこで、線や矢印の種類を変えて、情報の関係性を「同値」「対立」「因果」「補足」の4つに分けて使ってみましょう。
1.同値 使う記号「=」
文字通り、同じことを表します。国語や英語など、文章内で同じ内容を言い換えていることを示すときによく使います。つなげたい言葉が遠いときは、「○○= → △△」のように工夫してみましょう。
2.対立 使う記号「↔」
矢印で結んだ2つが反対の関係にあることを表します。どの科目でもよく使う記号です。
3.因果 使う記号「→」
原因と結果の関係にあることを表します。歴史科目や数学など、原因と結果の関係が分かりやすく、かつ重要な科目でよく使われます。
4.補足 使う記号「―」
付け足しの情報であることを表し、どの科目でも使えます。そのまま線で結んで表現しましょう。
■書き加えた線や矢印が正しいか確認し、声に出す
さらに詳しくやり方を説明していきます。
まずは授業中、関連情報を見つけたらすぐに線を書き込みましょう。そのとき、情報の関係性が同値、対立などどれに当てはまるかが授業中に分からなければ、とりあえず線だけ引っ張り、授業後に内容を追加しましょう。
「補足」を使う場合は定義があいまいな分、かなりの頻度で使われやすいですが、使いすぎるとどういう意味でつないだのかが結局分からなくなってしまいます。なるべく「補足」は使いすぎず、=、↔︎、→、
そして復習のときは、矢印を追いかけるようにして情報の関連を見ながら、その関係性が本当に正しいのかチェックしましょう。特に、対立関係は分かりやすいですが、同値関係や補足関係は違いが分かりにくいので注意が必要です。
そして、引いた線や矢印が何を意味しているのかを「言葉にする」ことが大切です。「A=B」「A↔︎B」「A→B」「A―B」という線や矢印を見るだけで終わらせるのではなく、「AとBは同じ意味を持つ」「AとBは対立する」「AだからBになる」「AについてはBとも言える」のように、言葉に変換しましょう。
復習中に線や矢印をぼーっと見つめているだけでは、関係性を覚えにくいからです。復習するときはノートを見ながら声に出して、授業内容を再現してみてください。
■ノートは書き込みすぎずに「ワープゾーン」を作る
しかし、あまりに線や矢印を書き込みすぎると、ノートがごちゃごちゃしてしまい読みにくいノートになってしまいます。その場合は、ノート上に「ワープゾーン」を作りましょう。
「ワープゾーン」とは、ノートの空いているスペースに、関連する情報や教科書・参考書のページ番号だけを書き、そこへ線を結ぶ方法のことです。線や矢印の先に必ずしもすべての情報が書いてなくとも、そのメモ書きを見れば該当するページにワープすることができるのです。
また、文章をスッキリさせるために、線を応用することもできます。1文が長くなると、何が言いたいのかが分かりにくいですし、文を書いているうちに授業から置いていかれることもあります。
だいたい1文が目分量で60字を超えたと感じたら文を閉じ、ノートの別の場所に線を引いて、そこに続きを書き足しましょう。こうするとノートを取るのが格段に楽になりますし、後で復習するときに見やすいノートになります。
最後に、数学や英語など、「覚えたこと」よりも「覚えたことの使い方」が重要な教科については、公式・文法など「いつその公式が使われるか」「どの場面でその文法が出てくるか」を注意しておかなければなりません。
英語であれば「“be used to~”=~に慣れている」と書くだけでなく、“Japanese people are used to earthquakes.”と例文で書くことで、使い方まで覚えられるようにしましょう。
授業はすべての勉強の基礎であり、授業ノートも最優先でしっかり作るべきものです。ここで紹介したルールを使いつつ、自分が一番分かりやすいノート作りを目指しましょう。
■まとめノートを「作るだけで満足」してしまわないために
歴史や生物などの暗記科目で必要なのは、後から見返したときに使えるノートです。
そのためにはまとめノートを作っていく必要があるでしょう。英単語をまとめたり、近代史の重要事項をまとめたり、東大に合格した人たちもこのようなまとめノートを作って勉強してきました。
しかし、まとめノートというのはただ漠然と作ればいいものではありません。
なぜなら、作るのに時間と労力がかかってしまうからです。ただでさえ時間が足りないなかで、まとめノートを何となく作るのは徒労に終わってしまうかもしれないのです。
そして、これはありがちなのですが、ノートを作るとそれだけで勉強をした気分になって満足してしまいます。しかし、実際はそのノートを使って何をするのか、何をしたいのかが大切なのです。せっかく作ったノートは必ず活用すること、そのためにどうやって使うのかを考えながらノートを作りましょう。
ここでは、暗記科目用のノートの作り方と、その活用方法について紹介します。
■暗記のためのノートには「オレンジ色のペン」を使う
こうした状況を回避するために必要なのは、「これを覚えたいから、こうまとめよう!」と考えておく目的意識が大切です。
東大生も完全なまとめノートを作るときは、時間のある時期に取り組んでいたパターンか、本当に覚えられない苦手分野だけに絞って取り組んでいたパターンかのどちらかが多いです。逆に、時間が限られている状況下で、何の目的意識もなくまとめノートを作っていた東大生は一人もいませんでした。
つまり、情報を整理するためだけにまとめノートを大量に作るのは、少なくとも効率がいいとはいえません。それであれば参考書で事足りるからです。本当に必要なのは、「自分が覚えられるようになるノート」なのです。
その点を踏まえた上で、暗記科目を覚えられるようになるためのノート術というのが1つあります。それは、色ペンを使ったノート作りです。
暗記系科目で覚えたい部分を、オレンジ色のペンで書いていくというシンプルな方法です。
赤ではなくオレンジ色のペンを使うのは、赤シートを使って隠したときに、オレンジ色の方がより消えやすいからです。赤シートで隠したくない情報について記入するときは、黒色やほかの色のペンを使いましょう。
こうすることで、ただのノートが「問題集」に早変わりします。これであれば後からノートを見返したとしても、問題を解くかのように復習することができるわけです。
■オレンジ色のペンの使い過ぎにも注意
まとめノートを作るときには注意すべきことがあります。
1.オレンジ色のペンを使いすぎない
赤シートで文字を隠したとき、見えなくなる文字が多すぎると参考にならないので、1文あたり空欄は2個までなど上限を決めて、穴埋め問題集を作るようにノートを取りましょう。
2.分からなかったところは記録をつけていく
ノートにオレンジ色のペンで書いたところが分かったのかどうか、しっかり記録しておきましょう。
分かった単語はその言葉の右上にチェックをつけ、2周目以降はチェックがついていない箇所のみを解き直します。これを何度も繰り返していきながら、すべての覚えたい単語にチェックがついたらその分野は完璧です。
3.確認するときは「覚えた」ところも復習する
これは当たり前のことですが、人間は一度覚えたこともすぐに忘れてしまいます。
2でチェックをつけた単語も、復習するときは必ず見直して確認しましょう。覚えたつもりで記憶から抜け落ちることが一番危険です。
4.緑色のマーカーペンはなるべく使わない
赤シートで内容を隠すための文房具で、緑色のマーカーペンを使う人がいます。実はこれはあまりオススメできません。
教科書やプリントにマーキングし、赤シートで隠せば穴埋め問題として解ける優れものかもしれませんが、個人的には東大生でも使っている人は多くない印象です。
■緑色のマーカーは見づらいので避けるべき
緑色マーカーをオススメしない理由は2つあります。
1.文字が見えにくくなる
赤シートで情報を隠すには、かなり濃い緑色のマーカーを使わなければいけません。そのため、赤シートで隠していない場合でもかなり可読性が悪く、せっかくのまとめノートがパッと見て分かりづらくなります。
2.修正がしにくい
オレンジ色のペンであれば、例えば消せるボールペンなどを使えば加筆・修正が簡単にできます。しかし、ノートにシャーペンなどで書いた文字の上から引いたマーカーを消そうとすると、その下のシャーペンで書いた文字まで擦れてしまい見栄えが悪くなります。
私も、この本を執筆するにあたり、自分なりに試してみましたが、結論は「緑色のペンでノートを作るより、オレンジ色のペンを使った方が早い」ということでした。
みなさんもぜひ、オレンジ色のペンを使う方式でノートを作ってみてください。
暗記科目はとにかく大量の暗記事項をいかに効率よくさばいていくかが勝負になります。
覚えなくてもいいことは覚えない、覚えるべきことは上手にまとめる。これらのスキルの有無が受験の結果に大きく影響すると言っても過言ではありません。
みなさんもここに書いた内容を参考に、まとめノートを作ってみてください。
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2020年6月、西岡壱誠が代表として株式会社カルペ・ディエムを設立。西岡を中心に、貧困家庭で週3日バイトしながら合格した東大生や地方公立高校で東大模試1位になった東大生など、多くの「逆転合格」をした現役東大生が集い、日々教育業界の革新のために活動している。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)の編集、TBSドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』の監修などを務めるほか、東大生300人以上を調査し、多くの画期的な勉強法を創出した。そのほか「リアルドラゴン桜プロジェクト」と題した教育プログラムを中心に、全国20校以上でワークショップや講演会を実施。年間1000人以上の学生に勉強法を教えている。
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(東大生集団 東大カルペ・ディエム)
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