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「早く買わないとマンション価格はもっと上がる」今が家賃地獄から抜け出す最後のチャンスと言えるワケ

プレジデントオンライン / 2022年5月26日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GoranQ

首都圏のマンション価格が上がり続けている。当面、住宅購入は先送りしたほうがいいのだろうか。スタイルアクト代表の沖有人さんは「これからマンション価格がさらに上がることは間違いない。今が家賃地獄から抜け出す最後のチャンスになるだろう」という――。

■首都圏新築マンションの市場は縮小している

ウクライナ侵攻で世界的な平和が保たれないことが現実となった。世界情勢は不安定になり、エネルギー価格の高騰やサプライチェーンが不安定になっている。日本以外の先進国はインフレ率が7%以上に跳ね上がり、インフレを抑えるために金利を上げ始めている。日米の金利差から為替は円安になった。

しかし、日銀は金利を維持して円安を容認している。低金利政策の継続である。この金融緩和政策はデフレ脱却のために始まっている。しかし、日本ではなかなかインフレ率が上がらない。こうなると、世界の情勢の中で日本の不動産価格にも大きな局面転換が訪れることになる。

低金利の資金は不動産業に流れ、仕入れる用地価格を上げ、建築単価も上昇を続けている。通常の分譲マンションマーケットでは、分譲価格が1割上がると、供給戸数は1割減るもので、買い手の減少が見込まれる。ちなみに、2021年の首都圏の新築マンションの供給戸数は3万3636戸だったが、2001年は9万8217戸とざっと3倍もあった(不動産経済研究所調べ)。既に市場は1/3に縮小している。しかし、今年はコロナ禍でもっと広く、部屋数の多い家を求めるコロナ特需が終了しており、2022年は3万戸割れすると筆者は予測する。

■マンション価格が上がるほど、分譲より賃貸が増える

というのも、ここ数カ月の住宅着工戸数では、賃貸マンションの供給が増え、分譲マンションがその分減っている。この10年で首都圏の年間の着工戸数ベースで分譲は7万戸から5万戸に減ってきており、賃貸マンションは4万戸から5万戸に増えてきている。

マンション開発を行うデベロッパーの考えからすると、仕入れた土地を分譲するか、賃貸にするかは変わることがある。そもそも土地を購入する際にいろんなケースで事業収支をはじいているが、開発までには時間がかかるので、情勢によってどちらにするかは流動的なのだ。

賃貸マンションが増える背景に世界的な金余りがある。お金は稼げる場所に流れていくものだ。賃貸不動産で稼ぐには利回りと借入金利の差が重要な指標になる。これをイールドスプレッドと言うが、世界的に日本はこれが大きく、お金を呼び込める状況にある。ここで冒頭に書いた日米の金利差が重要になってくる。米国で金利が上がると、イールドスプレッドは低くなるが、日本で金利が上がらないので、利回りが今の水準より低くなっても許容できるようになる。利回りが低くなるとは、賃料はほぼ一定なので物件価格が高くなるということだ。

賃貸マンション1棟の売却価格が高くなると分譲よりも採算が良くなる可能性が高くなる。つまり、マンション用地は自宅を買いたい人のためではなく、ファンドのために開発されていくのである。不動産は稀少になればなるほど、購買力のある買い手が持っていくものだ。

■2025年の新築分譲マンション価格は高くなる運命

新築分譲マンションの供給が減少すると、中古マンションの需給バランスはひっ迫し、その取り合いで価格が高騰することは容易に予想できる。こうなると、新築価格の稀少性はさらに上がり、もっと高嶺の花になる。

そんなシナリオを設定しなくても、今後の分譲価格は4年程度先まで値上がりする可能性が非常に高い。なぜなら、値上がりしているのは単純に金融緩和しており、貸出先が不動産になっているからだ。この金融緩和は2023年の黒田日銀総裁の任期まで続く可能性が高い。2023年時点で仕入れた用地はその2年後に新築分譲される。つまり2025年の新築分譲マンション価格は高くなることが運命づけられているのだ。

日銀総裁が代わっても金融緩和は異次元に緩和してしまっているので、手仕舞いするのには少なからず年月がかかる。だから4年以上先までマンション価格は上がるのだ。

■「持ち家VS賃貸論争」の結果は明らか

その値上がり幅は2割とした場合の、賃貸と持ち家の損得を計算してみよう。

家賃と住宅ローンはほぼ同額になるので、持ち家がキャピタルゲインをすると持ち家が有利になる。なぜなら、価格が上昇していて売ると値上がり分が戻ってくるからだ。

ミニチュアの木造家屋と赤い上昇の矢印
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi

では計算をしてみよう。分譲価格に対する年間家賃を3.5%とする。分かりやすい数字にするために分譲価格を1億円としよう。

賃貸は10年間で35%、3500万円の家賃の支払いとなる。

分譲は10年間で同じ35%、3500万円の住宅ローンの支払いとなる。住宅ローン控除の減税で金利は全額相殺されるので、3500万円はすべて元本返済に相当する。この間、物件価格は1.2倍に上がるので、2000万円の含み益が発生している。売買の仲介手数料やローンの事務手数料で8%、800万円かかったとして、売却時に戻ってくるお金は2000+3500−800=4700万円になる。トータルの収支は元本が全額返ってきているので、2000−800=1200万円のキャッシュの増加になる。賃貸は3500万円のキャッシュアウトに対して、持ち家は1200万円のキャッシュインになり、両者の差は4700万円に及ぶ。

10年間の持ち家と賃貸の収支を見たように、今後4年は分譲が値上がりするなら、収支は賃貸よりも有利になる可能性が高い。というか、もし価格が下がり始めたら、そのタイミングで売ればこの自宅の住居費削減(それ以上に儲ける)ゲームに終止符を打てばいい。このシナリオの中では、ノーリスクで住居費を大幅に減らすことができる。

■「これはバブルではない」といえる下支えがある

このシナリオが信じられず、今の価格はバブルであると考える人もいるかもしれない。「バブルはいずれはじける」とか「実需に基づかない価格は長続きしない」とかもっともらしいことを言う人はいるが、これはバブルではない。

なぜなら、書いてきたように、分譲マンションより賃貸マンションが儲かるという下支えがあるからだ。賃貸マンションも利回りに準拠した購入判断であり、将来の値上がりを想定した危うい発想ではない。

引っ越し
写真=iStock.com/onurdongel
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/onurdongel

バブルというのは、こうした不動産の利回りを無視したキャピタルゲイン頼みだったからこそ終わったのだ。バブルの当時の利回りは2%で借入金利は8%だったりした。マイナス6%の利回りなので、キャピタルゲインがそれ以上に起こらない限り儲からないが、それだけ地価が暴騰していたので、お金の貸し手も借り手も楽観的に行っていたからこそ起きたのだ。今は世界的に相対的に高いイールドスプレッドだからこそ、正常な取引の範囲と言えるのである。

■「インナー東京」なら値下がりで損をすることはない

会社員は「高くて買えない」などと嘆いている場合ではない。だからこそ、現実的な購入戦略を伝えておこう。既に書いたように、毎月の家賃と住宅ローンの返済はほぼ同額になる。35年の住宅ローンを組むとして、支払っている家賃の420倍、家賃20万円なら8400万円の物件を購入することができる。

その際、都区部の中でも「インナー東京(内側の都心部)」に家を買おう。そうすれば値下がりで損をすることはないことは過去のデータから立証済みだからだ。インナー東京は環七と荒川の内側である。その立地だと単価が高いので面積が小さくなりがちだ。面積は最低40m2あればマイホームとして購入する層がいる。住宅ローン控除は2022年から40m2以上が対象に拡大されているからだ。できれば、50m2、60m2あればいいが、70m2以上などとこだわらなくていい。

こう考えれば、多くの人が家賃地獄から抜け出すことができるだろう。あとは信じて思い切りよく買うだけだ。信じられないなら、私の書いたものを読みあさるなり、無料会員制サイトの「住まいサーフィン」で公開している「沖レク」という動画を見てもらうといいだろう。

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沖 有人(おき・ゆうじん)
スタイルアクト代表
1988年、慶應義塾大学経済学部卒業。監査法人トーマツ系列のコンサルティング会社、不動産コンサルティング会社を経て、1998年にアトラクターズ・ラボ株式会社(現在のスタイルアクト株式会社)を設立、代表取締役に就任。著書に『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(朝日新聞出版)など多数。分譲マンション情報サイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/)、独身の住まい探し情報サイト「家活」(https://iekatu.com/)を運営している。

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(スタイルアクト代表 沖 有人)

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