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いつの間にか「終わった人」になる人、いつも最前線を走る人を分ける"0.2%の習慣"

プレジデントオンライン / 2022年6月1日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/piranka

周囲の良いアドバイスや成功ノウハウを得ても、「無理」「そんなことできない」と頭から否定するタイプがいる。「現状維持が安心安全という価値観に縛られ、“やらない理由”を探す癖がついているんです」と指摘するのは、経済評論家の勝間和代さんだ。新著『できないのはあなたのせいじゃない』より、“変わりたくない病”に対処するコツを紹介する──。(第4回/全5回)

※本稿は、勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■ブレインロックを固定化する「現状維持バイアス」

人の成功や新しい挑戦の体験談を聞いたときに「自分には無理!」「そんなことできないよ」と、すぐに否定から入ってしまう人がいます。逆に、「自分もやってみたい!」「私にもできるかも」と考える人がいます。

その違いはいったいどこにあるのでしょうか?

ブレインロックがなかなか外れない原因に、「現状維持バイアス」があります。否定タイプの方はまさしくこのバイアスの持ち主です。

「現状維持が安心安全!」という価値観に縛られ、新しいことを始めない理由を常に探してしまう癖がついているのです。

■現状維持は「ゆるやかな後退」

現状維持バイアスのデメリットには、行動の過度なパターン化に陥りやすいということもあります。1つの環境に特化して過度に最適化すると、逆に柔軟性を失い、ちょっとしたトラブルにも脆弱(ぜいじゃく)となります。

金融業界でよく使う用語に「カーブ・フィッティング」があります。これは、トレーディングシステムを過去の相場に最適化することを意味しています。

当たり前ですが、現在の相場は過去にあったパターンの通りに動くことはなく、常に変動しているため、実際にはこのシステムを使ってもよい結果を得ることは難しくなります。変化が激しくなるほど、カーブ・フィッティングを用いた投資の実績は悪くなる、というわけです。

同じように、1つの企業に数十年勤め、企業文化や独特のやり方に染まり過ぎてしまうと、異動や転職で環境が変わったときにパフォーマンスを落とす確率が高くなってしまいます。今いる企業の常識ややり方がほかの企業では非常識だったり、時代遅れのスキルでしかなかったりすることもありえます。

いずれにせよ、現状維持は「安定」ではなく、「ゆるやかな後退」「少しずつ高リスクになる状態」という認識を持っておくことが大切です。

■日常の行動を少しだけ広げてみる

現状維持バイアスを外すトレーニングとして有効なのが、「自分で無意識に枠を作ってしまっている日常の行動範囲をちょっぴり広げる」というものです。

最初は、本当にとるに足らない日常のひとコマ、そして自分が無理なく背負えるリスクの範囲内でよいので、まずはいつもと違う体験を積み重ねていくといいでしょう。

次のような形で、ブレインロックの枠の外へ小さく一歩足を踏み出してみてください。

・いつもランチで行くお店を変えて、新しいお店を開拓してみる
・前から興味はあったけれど話したことのない社内の人に話しかけてみる
・着たことのない色の服を買ってみる
・行ってみたかった街へ出かける
・好きな作家や文化人の講演会や交流会、イベントに参加してみる
・いつもとは違うルートで通勤してみる
・ピアノや書道など、子どものころにやってみたかった習いごとを始めてみる

積極的にこうした機会を作ること以外に、生活の中で毎回同じものを選んでいるパターンを変えることもいい方法です。「いつも使っているシャンプーを、違うブランドのものに変えてみる」といった小さな変化でかまいません。

■迷ったときは「いちばん新しいもの」を選ぶ

何を選ぶにしても、迷ったときにはいちばん新しいものを取り入れて、古いものをやめるようにすれば大きな失敗はありません。

「最も新しいもの」は、これまで足りなかったことを足し、いらなかったことを削って、最新の技術が使われていることが多いからです。

私は、こうした小さく日常を変化させていくことを「0.2%の改善」と呼んでいます。

どんなに微細な変化でも、毎日コツコツ続けていれば徐々に遠くに移動していて、気が付いたときにはブレインロックの枠の外にいる……ということが起きます。もし失敗や不都合があった場合でも、0.2%であれば、元に戻してもさほどの損失にはなりません。

そして、一度外に出た経験があれば、そうした行動が当たり前(デフォルト)になります。その当たり前の範囲を広げることが重要なのです。

■仕事環境も毎日「0.2%」改善する

最近の私自身の「0.2%の改善」は、自宅のパソコンスタンドを1台から2台に変えたことです。

ノートパソコンをスタンドに立てて作業をしていたのですが、どうもグラグラするのが気になっていました。ちょうどそのときに、友人が小さなスマホスタンドを2台合わせてタブレットスタンドにしているのを発見。

たまたまパソコンスタンドを別に1台持っていたため、左右2カ所で支えるようにパソコンを設置したところ、ピタリと安定するようになりました。

ほかにも、パソコンやスマホのスクリーンをナイトモードに変えて目の負担を減らしたり、フットスイッチを導入して音声入力の切り替えをスムーズにしたり、毎日のようにパソコン周辺の環境改善を実践しています。

■上手な改善のコツは、日々改善すること

友人たちからは、「よくそんなに毎日毎日改善することが見つかるね」といわれますが、コツは次の通りです。

①ちょっとした不快、不便を我慢しない
②「我慢しなくてもいい方法はないか」「もっと楽にできないか」「改善できるところはどこか」をいくつか考える
③上記2で考え付いた中で、最もお金と時間がかからないものからやってみる

一度アンテナを立てると、課題はどんどん見つかりますし、その解決法を考えること自体が楽しい脳トレのようになってきます。ぜひ試してみてください。

■テクノロジーの進化にも強くなる

「0.2%の改善」を習慣にすると、世の中のテクノロジーの進化にも何とか食らいついていくことができるようになります。

勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)
勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)

新しいテクノロジーが登場し、それが社会の中で使われることが当たり前に広がってきても、「自分にはできない……」「難しいから無理!」と敬遠する人がいます。しかし、現代はほんの2、3年技術進化をスルーするだけで、社会的に大きなハンデを負ってしまい、結果、生活水準を落とすことにもつながります。

これは決して大げさな話ではありません。

たとえば、新型コロナウイルスのワクチン接種がスタートした際を思い出してください。オンラインであれば難なく予約することができました。

ところが、スマホやパソコンの操作が分からない高齢者は、何時間もつながらない電話をかけ続けたり、子どもに頼んだりと苦労をする方が多かったようです。

■自身を「情報弱者」に追い込む選択は避ける

また、行政や民間が行う様々なサービスの予約や申し込みも、続々とオンラインに移行しています。スマホもパソコンもまったく使えない状態でいると、今後、必要なサービスの情報や恩恵を取り逃してしまうケースが増えてくることでしょう。

ネットリテラシーの低さを放置していると、自身を「情報弱者」に追い込むことになってしまうのです。

ビジネスの現場は、特に技術の入れ替わりのスピードが速く、最低限のアプリやデバイスに適応していることを前提に仕事は進んでいきます。

「それは使ったことがありません」「対応していません」「自分はできません」とスルーし続けていると、いつの間にか社内でもプライベートでも「遅れた人」「面倒な人」と思われてしまうことにもなりかねません。

■「できない人」は「やる気のない人」と認定…

というのも、万人に間口を広げていて、誰でも使えるテクノロジーを使わないというのは個人の選択であるため、「できない人」ではなくて「やる気のない人」と認定されてしまうからです。

やる気がない人は、使う気のないテクノロジーの穴を、誰かに代わりに埋めてもらう状況を作ってしまいます。だから、使っている人にとっては関わること自体が面倒になるのです。これが仕事の場合なら、全体のパフォーマンスを悪化させる要因にもなってしまうでしょう。

人間は皆、基本的な能力にはさほど大きな違いはありません。「10人の人間にできていることは、自分にもできるかもしれない」「100人にできることなら自分にも絶対できる」と認識をスイッチして、新しいことに挑戦できる日々を楽しんでください。

■0.2%の改善は、お金や時間を浪費しない小さな方法を

「0.2%の改善」を実践する際には、注意点が2つあります。

1つは、くれぐれも「お金」がたくさん必要になるようなことには手を出さないこと。「自分を変えたい」と行動していると、いつの間にか近寄ってくるのが高額セミナービジネスです。

高いお金を払うと、大きな投資をしたこと自体に満足してしまい、実際には何も行動しないことにもなりがちです。また、あまりにも高額なものは負担が大きく、何回も続けることが難しくなります。

できるだけ、お金や時間などのリソースを浪費しない“小さな方法”を、複数回行うことをお勧めします。

■過去の成功パターンを捨てる

もう1つは、「前例に縛られない」ことです。ビジネスの場でも、「昔はこうだった」「これでうまくいった」という成功パターンに縛られ、そこから外れることが許されなくなるケースがよくあります。

しかし、当時と今とでは、当たり前ですが環境やタイミング、技術力や関わる人、資本がまったく違います。その成功が10年前のものだとしたら、当時と今とで世の中の経済状況やテクノロジーが大きく変わっているため、成功パターンとして適用すること自体に無理が生じます。

参考になるのは、せいぜい2、3年前まででしょう。

そもそも、お手本にしている成功パターンが1、2例なら、それはたまたまうまくいっただけである可能性さえあります。

こうした過去の成功パターンをなぞる文化があると、その企業はどうしても縮小均衡になって、新しい大きな成功が得られなくなります。

古い方法または新しい方法
写真=iStock.com/olaser
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/olaser

■古い価値観はどんどん壊していくべき

逆に、「昔ダメだったから今も当然ダメ」という前例に縛られるパターンもあります。

人も企業も技術も日々進化しているので、当然ながらそれも当てはまりません。特に、技術的なことが関わってくると、2、3年たてばガラリと様変わりしているものです。

昔のままの価値観を持ち続けていると、新しく登場したり、改善されたりしたことを見逃してしまうということを常に意識するようにしてください。

小さなことから始めればよいのです。

いつもと違う店、いつもと違う道、いつもと違う人、いつもと違う道具……古い価値観は、いつもの日常から少しずらした行動で得る新鮮さで壊す、これを習慣にしていきましょう。

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勝間 和代(かつま・かずよ)
経済評論家/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授
1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。著書に『勝間式食事ハック』(宝島社)、『勝間式超ロジカル家事』、『勝間式超コントロール思考』『ラクして おいしく、太らない! 勝間式超ロジカル料理』(以上、アチーブメント出版)などがある。

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(経済評論家/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授 勝間 和代)

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