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だから子供の能力がどんどん高まる…シリコンバレーのエリート親子が休日に3時間かけて徹底的に話すこと

プレジデントオンライン / 2022年5月26日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/skynesher

シリコンバレーのエリートたちは、わが子にどのように接しているのか。シリコンバレーに長年暮らすライフコーチの宮崎直子さんは「シリコンバレーでは男性も積極的に子育てに関わる。エリートであればあるほど、成功していればいるほど、家族との時間を大切にしている。とりわけ大事にしているのが、親子でゆっくり話す時間だ」という――。

※本稿は、宮崎直子『鋼の自己肯定感 「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された“二度と下がらない”方法』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■短い労働時間でも圧倒的な結果を出せる理由

世界中から優秀な人材が集まってくるシリコンバレーは、アメリカでも極めて特殊な場所だ。

宮崎直子『鋼の自己肯定感 「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された“二度と下がらない”方法』
宮崎直子『鋼の自己肯定感 「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された“二度と下がらない”方法』(かんき出版)

私が大切な概念として考えている「成長マインドセット」もここシリコンバレーで生まれている。そしてシリコンバレーの北にあるサンフランシスコはツイッターやウーバーの本社があるとともに、ゲイ、レズビアンの聖地というリベラルな街でもある。

シリコンバレーに仕事も家も何もなく、わずかな貯金を頼りに引っ越してきてもう20年以上になる。シリコンバレーで最初に勤めたベンチャー企業の上司の名前はボブ。アイビーリーグを卒業した背の高い優秀なエリートだった。

ボブはいつも誰よりも先に帰った。4時半頃になると「次の仕事の時間だ」と言うのが彼の口癖で、いそいそと帰っていく。次の仕事というのは、子どものお迎えのこと。

シリコンバレーでは男性も積極的に子育てに関わる。男性の同僚だったノライアは毎晩欠かさず、子どもたちに絵本を読んであげるのだと言っていた。全員ではないけれど一般にエリートであればあるほど、成功していればいるほど、家族との時間を大切にしている。

製品のリリース前など例外はあるが、夕方5時、6時になると男性女性問わず、ほとんどの人が家に帰る。だらだら無駄に長い会議もないし、長時間会社にいることはない。やることはさっさとやって、さっさと帰る。

グーグル、アップル、フェイスブック(現メタ)。次から次へと世界を変える新しいものを生み出していくシリコンバレー。私が見た限り、その成功の秘密は我慢や自己犠牲、血のにじむような努力ではない。

みんな、家族で話す時間、本を読み聞かせする時間が子どもの教育にとって、大事であることを理解しているのだ。

そしてそのように、はっきりと仕事と家庭の時間を分けて、ゆったり家族や友人と過ごす時間を持つことが自分にとっても大切で、短い労働時間でも圧倒的な結果を出せることも知っているのだ。

■1週間ほど休暇を取って家族が一堂に集まり、徹底的に休む

20年以上結婚していた元夫の家族と休暇を楽しむ機会が何度もあったが、時間の使い方が私の日本の家族とは明らかに異なる。1週間ほど休暇を取って一堂に集まり、仕事は一切しない。

映画を観たり、美術館に行ったり、ハイキングをしたりといったアクティビティも行うのだけれど、メインは互いに話すことだ。次はこれをして、それからあれをしてとあくせくすることなく、時間がゆっくりと流れていく。

放っておけば一度に2時間でも3時間でも続けてにこにこ笑いながら家族で話し続ける。男性、女性は関係ない。お料理さえしない。レストランで食べたり、テイクアウトしたり、とにかく徹底的に休むのだ。

私の日本の家族とは、このようなゆったりした時間を過ごしたことがほとんどない。出かけたとしても、次はどこに行って、今度はこうしてと時間に追われていた。

わずかにあった会話は、「明日は何時に帰る?」「お弁当箱は片付けた?」「テストは?」と言った業務連絡が多かったように思う。両親は1年中土日返上で働いていた。

週末みんなで一緒に黙ってテレビを観るというのが唯一の休暇だった。ただひたすら家族と2時間、3時間笑いながら話した記憶がない。

■賢い親たちは子どもをジャッジしない

対してアメリカでは、学校や会社であったことを親子がお互いに話す。自分が夢中になっていること、興味があること、政治のこと、歴史のこと、世界情勢のこと、スポーツ、食べ物、とにかくなんでも徹底的に話す。

キッチンでランチを作りながら楽しんで幸せな家族
写真=iStock.com/skynesher
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/skynesher

賢い親たちは子どもをジャッジしない。ジャッジせずに信頼して一人の対等な人間として尊敬して話を聞いてあげることが、子どもの能力を最大限に引き出すために何より大事だと知っているのだ。

元夫と私の両方がほぼ同時期にレイオフされて二人で会社を立ち上げた時も、元夫の両親は一切心配な素振りは見せなかった。実際、本当に全く心配していなかったのだと思う。

この二人ならなんとかなると思ってくれていることが伝わってきていた。ネガティブに捉えれば隠そうと思うような状況でも、ポジティブに捉えて親戚中に自慢げに二人で会社を立ち上げたと言いふらしていた。

このジャッジ抜きの家族内マラソン会話を毎日続けることで、「調子が良い時も悪い時も、ありのままの自分は受け入れてもらえる、愛してもらえる、自分は自分のままで大丈夫」という徹底した自己肯定感が育っていく。

■「常識がぶっこさわれる」本当のダイバーシティを実践

インド、パキスタン、インドネシア、タイ、台湾、中国、韓国、シンガポールほか、シリコンバレーには世界各国からさまざまな人々が集まっている。

キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教、その他の宗教、そしてそれぞれの宗教に属す無数の宗派。また宗教とは別に、それぞれの文化がある。これだけ多様な人種、宗教、文化を持った人々が集まると「常識」というのがぶっ壊される。

オフィスワークステーションで同僚と会話
写真=iStock.com/Edwin Tan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Edwin Tan

私は日本の田舎町で、しつけにかなり厳しい家庭、そして学校で育った。真面目な私は、大学に入るまではお化粧をしたこともなければ、マニキュアもパーマも未経験だった。

アメリカの大学院に行くことになった時、母に「ピアスするのは絶対止めてね」と見送りの成田空港で言われたことを覚えている。

反抗期が遅かった私が22歳にして勇気を出して実行したことは、アメリカに留学して早速ピアスをすることだった。

ところが、娘の保育園の友達のインド人の子どもたちは、3、4歳だというのに、ピアスをしているではないか! それは宗教上の理由や、風習なのだという。

娘が4、5歳の誕生日には子ども用のマニキュアをプレゼントされるようになった。子どもがマニキュアなんてと思ったが、みんな塗っているので、娘も自然と塗るようになった。

娘が小学校に入ってカリフォルニア州の学力テストを受ける時には、先生が子どもたち全員にチューインガムを配り、ガムを噛みながらテストを受けるようにと指導していたので腰を抜かした。

ガムを噛んだほうが集中力が高まるからという理由らしいが、日本の学校で授業中にガムを噛もうものなら、校長室行きぐらいの重めの罰を受ける。

日本も変わりつつあるが、少なくとも数年前に娘が体験入学でお世話になった日本の小学校では、給食は残さず食べるものと指導されていて、給食の時間が憂鬱だったと娘は言っていた。

私のシリコンバレーの友人たちは食習慣も本当に様々だ。ベジタリアン、ビーガン、豚肉はダメなど多種多様。給食を残さず食べろなんてルールは、当然押し付けられない。

■「違って当たり前」が自己肯定感を育む

これだけ多種多様な人々が一堂に集まって生活すると、いわゆる「常識」というものがなくなる。そして、「自分らしく人生を謳歌する」という人生の本質に照らし合わせると、自分が「常識」だと思っていたことがいかにつまらない、どちらでもいいことだったのだと分かる。

違っていて当たり前の世界では、とても自然に自分が自分のままでいられる。こうでなければいけないという基準もないし、その基準に合っているかどうか意地悪く人を観察してジャッジしてくる人も少ないからだ。

同じアメリカでも、移民が少ない地域、黒人がたくさん集まっている地域、白人が多い地域などもある。ちょっと変わった日本人の私が私らしく暮らすには、多種多様な人種が集まるシリコンバレーはちょうどいい。

世界中から優秀なエンジニアたちが集まってくるシリコンバレー。個性、自由な発想、そして行動力が重んじられるこの場所には、「自分は自分のままで大丈夫」という鋼の自己肯定感を持った人々が集まっている。

実は、その陰には無数の「失敗」があるのだけれど、誰も「失敗」を責めないし、「失敗」を「失敗」と思っていない人々が、次の時代を担う新しい製品、サービスを次から次へと生み出していく。

鋼の自己肯定感を育てるシリコンバレーの習慣は、私たちの参考になる部分も多い。実践できそうなものがあれば、取り入れてみてはいかがだろうか。

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宮崎 直子(みやざき・なおこ)
ライフコーチ
シリコンバレー在住&勤務歴22年。アラン・コーエン氏のもとでホリスティックライフコーチのトレーニングを受けた認定ライフコーチ。津田塾大学英文学科卒業後、イリノイ大学で日本語教授法や言語学を学んで修士号を取得。日本で米国のコンピュータ関連会社に勤めた後、再び渡米。IT企業でマーケティング職に携わる。ソフトウエア、アパレル会社などを起業。法律事務所勤務、プロの通訳、翻訳者としての経験も持つ。

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(ライフコーチ 宮崎 直子)

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