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なぜ「UFO」と「魔法」を並べて取り上げるのか…ムー編集長が考える「オカルト雑誌」が存在する意味

プレジデントオンライン / 2022年5月31日 17時15分

写真提供=学研プラス

超常現象や怪奇現象などを扱う雑誌・月刊『ムー』。UFOから魔法まで、古今東西のあやしい話題の深掘りを続けているのは、なぜなのか。30年以上、『ムー』の編集を続けている三上丈晴編集長は「およそ学校では教えることのない世界を扱うのが『ムー』なのである」という――。(第1回)

※本稿は、三上丈晴『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』(学研プラス)の一部を再編集したものです。

■ムーはあくまでもノンフィクションミステリーである

雑誌には、それぞれモットーがある。どんなテーマを扱う雑誌なのか。基本方針は何なのか。それを端的に示す文言が必ずある。

『ムー』の場合、表紙に書いてある「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリー・マガジン」。これがマガジン・アイデンティティである。

注目してほしいのは「スーパーミステリー」という言葉である。ただの「ミステリー」ではない。一般的にミステリーというと、推理小説を意味することが多い。

あえて強調するために「ミステリ」と表記している雑誌もある。

もちろん『ムー』は小説雑誌ではない。ミステリーはミステリーでも、フィクションではなく、あくまでもノンフィクションである。

しかも、摩訶(まか)不思議な現象や事象、思想などを扱うノンフィクションミステリー。そこをあえて強調するために「スーパーミステリー」という言葉を使った。当時、中高生を読者対象としていたので、なじみやすい「スーパー」という表現になったのである。

ただし、小説ではないものの、推理の部分はある。何しろ、世界の謎と不思議に挑戦するのだ。挑戦して何をするのか。いうまでもなく「解明」するのだ。完全解明できるかは別にして、謎解きをする。謎解きにあたっては、いろいろな仮説を立てて、大胆に推理する。ここが『ムー』の醍醐味(だいごみ)である。ウリといってもいいだろう。

何しろ対象とするのは現代科学では解明できない超常現象や怪奇現象、心霊、超能力、魔術といったノンフィクションミステリーである。謎を解明するにあたっては、まずは何がミステリーなのかをきちんと提示しておかなければならない。

■「あやしい話にはウソが多い」

特に文章量の多い総力特集においては、最初に、どこが謎で、どうして科学では説明できないのかという部分を丁寧に説明しなければならない。

意外に、ここが難しい。とかく、あやしい話にはウソが多い。謎といいながらも、トリックなどで説明できる場合もある。故意ではないにしろ、超常現象だと誤認し、当事者が思い込んでいる可能性もある。

UFOや超能力、心霊にしても、これらに接して人間が最初に抱くのは疑念である。思わず「ウソ‼」と口にしてしまうのは、その証拠である。不可解な現象に対する恐怖のような感情が防衛本能を呼び覚まし、反射的に身構えてしまうのである。もっとも、これが病みつきになるのではあるのだが。

しかるに、納得させなければならない。一般の人間が抱く疑問をひとつひとつ丁寧に検証していく。

■現代科学ではなく、未来科学なら説明できるかも

例えばUFO写真。まずはトリックの可能性はないか。鳥や飛行機などの誤認ではないか。光学的なレンズフレアやゴーストで説明できないか。考えられる可能性を一通りつぶしていき、どうしてもわからない部分を浮き彫りにしていく。

UFO
写真=iStock.com/Max2611
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Max2611

常識的な仮説をもって解明できない謎を特定したうえで、いよいよ推理に入る。

現代科学では説明できないのなら、未来科学なら説明できるかもしれない。昔の錬金術の一部は現在の化学で解明されている。魔術的な新しい物質の創成は、化学反応によって説明は可能である。

同様に、未来において発見されるかもしれない法則を想定するのだ。ある意味、これはSF小説の設定に近い。UFOでいうならば、まさしく反重力だ。まだ発見されていない反重力を想定すれば、UFOの不可解な飛行は説明できるのだ。このあたりの推理は大胆でいい。むしろ、どこまで飛躍できるかが勝負である。学校の先生や学者の方々が思いもつかないような仮説、そう、突拍子もない発想による異説を展開するのだ。

■研究結果よりも大事なのはストーリー

ただし『ムー』は学術誌ではない。科学論文を載せているわけではない。あくまでも知的エンターテインメント雑誌である。超仮説ともいうべき論説を語るときに、もっとも大事なのはストーリーである。

かつての偉人、アルキメデスには風呂、ソクラテスには悪妻と監獄、そしてニュートンにはリンゴがあった。彼らの研究は非常に革新的ではあるが、それよりも大事なのは、発見にまつわる物語なのだ。

ドラマティックなエピソードの中に偉大なる発見の鍵がある。超常現象の謎解きにあたっても、ここがもっとも重要だ。『ムー』の総力特集では、筆者の方に一番、力を入れてもらっているのが、大胆な推理に至るドラマ性なのである。

■なぜ非科学的なオカルトを扱うのか

月刊『ムー』はとかく「オカルト雑誌」と紹介されることが多い。世間的にも、「オカルト雑誌」という認識があることは事実だ。何しろ類誌がない。日本では唯一無二の雑誌であるがゆえ、「オカルト雑誌」という響きは、かなりのインパクトがある。

確かに『ムー』はオカルトを扱う。オカルトとは本来、「隠されたもの」という意味である。秘教という意味でのエソテリズムや神秘主義に近い。狭義では魔術を指す。さまざまな儀式を通して、見えない存在、例えば神々や天使、悪魔、そして精霊を召喚して、超自然的な現象を引き起こす。魔術というとトリックを使った手品のイメージがあるので、研究家によっては、あえて魔法という言葉を使う場合が多い。

召喚する相手が人間の霊ならば、これは心霊現象である。死んだ人の霊、すなわち亡霊を呼びだしてコンタクトすることを交霊会と呼ぶ。出現した霊はエクトプラズムによって物体を動かしたり、見えない力を使って瞬間移動や物質化現象を引き起こすこともある。物理現象をともなう霊は、しばしば騒がしい霊という意味でポルターガイストと称されることもある。

生きた人間の霊は生霊であり、肉体から離れれば、幽体離脱だ。霊体と幽体の違いについては議論があるので、最近では体外離脱という言葉が使われることが多い。死に直面すると、霊は肉体を離れる。暗いトンネルを通って、まぶしい世界に出ると、そこには三途の川がある。対岸は美しいお花畑で、しばしばすでに亡くなった親戚がいて、こっちに来るなといわれ、気がつくとベッドの上で蘇生したという話はよくある。いわゆる臨死体験である。

生き返ればいいが、そのまま彼岸へ至れば、行きつく先は死後の世界である。宗教によっては天国や地獄があり、神の審判を受けるとも。人は死んだ後、神様や仏様になると説く宗教もある一方で、輪廻(りんね)転生して、再び人間として生まれ変わるとも。ときどき前世を覚えている人間もいる。

霊体は時空を超えて、過去や未来に行くことも可能だ。体外離脱で見た未来を語れば、それは未来予知である。体外離脱をしなくても、未来を見る人間は予知能力者であり、肉眼で見えないものを見れば、透視能力者だ。人が考えていることがわかれば、テレパシー能力者である。こうした五感以外の感覚器官で情報を得ることを超感覚的知覚ESPと呼ぶ。いわゆる超能力である。やや古いいい方でいえば、第六感や千里眼である。

超能力は、だれもがもっている潜在能力であり、開発することができる。専門のESPカードもある。透視の訓練ならトランプでもいい。トランプの起源はタロットにあるともいい、占いにも使う。占いは統計学だともいわれるが、本人の能力も不可欠だ。易占や四柱推命術、占星術なども、みなオカルトである。

■宗教学、民俗学においては不可欠な要素

オカルトというと、あまりいいイメージがないため、今では「スピリチュアル」という言葉が使われる。少しおしゃれな響きがあるからだろうが、少し前は「心霊」と翻訳されていた言葉である。

超能力には、もう一分野あり、こちらは念力(サイコキネシス)だ。思念の力で物体を動かし、また発火させることもある。スプーン曲げや念写、テレポーテーションなども含まれる。超能力を扱う学問は超心理学と呼ばれる。

ごく大まかにいえば、以上がオカルトである。教義では魔術を意味するオカルトであるが、実際は、こうした心霊や超能力を含めて語られることが多い。オカルトは非科学的であるとして、学問の場では、しばしば排除される傾向があるが、宗教学や民俗学においては、重要な研究対象である。神話を語るうえで、オカルトは不可欠な要素なのである。

■巨大ピラミッドは誰が作ったのか

古代において、神々の存在はリアルである。古代人は神々や精霊が実在すると信じていた。オカルトの世界観で儀式を行い、聖なる神殿を建設した。エジプトの大ピラミッドなど、まさに、その典型だ。

古代エジプトのピラミッド建設
写真=iStock.com/duncan1890
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/duncan1890

果たして、どうやって巨石遺構を作ることができたのか。時代的に場違いな工芸品「オーパーツ」の存在を考えるとき、失われた高度な建造技術は超古代文明に遡るとも。今から1万2000年前、大西洋に沈んだアトランティス大陸や太平洋上にあったとされるムー大陸には、全世界の文明の元になった超古代文明が栄えていたという。

古代文明のルーツに関しては、異星人の関与があったのではないかという説もある。神話における神々の正体はエイリアンだったのではないかというのだ。原始的な状態にあった人類の祖先に遺伝子操作を行ってホモ・サピエンスを作りだしたとか、そもそも異星人が祖先なのではないかという説もある。

人類発祥に深く関わっているからこそ、異星人は今も地球を訪れて、地球人を監視している。

彼らが搭乗しているのがUFOだ。UFOに乗っている異星人とテレパシーで交流しているという人もいる。通称、コンタクティだ。彼らによれば、もっとも進化した異星人は肉体をもっていないとか。地球人も、やがて霊的進化を遂げるときがやってくる。

実は、太古の昔から、こうした事実を知っている人たちがいる。彼らは秘密結社を組織し、やがて全人類を支配しようとしている。フリーメーソンやイルミナティ、最近ではディープ・ステイトだ。メンバーの中には人間に成りすましている悪い異星人がいる。爬虫(はちゅう)類型人類レプティリアンだ。

■学校では教えないことを扱う

こうした陰謀論の行きつく先が人類滅亡である。『聖書』の終末預言からノストラダムスの大予言まで、やがて人類は大戦争によって滅ぶと語る。この世の終わり、富士山はもちろん、世界中の火山が噴火し、巨大地震が各地を襲う。彗星(すいせい)や小惑星が激突し、地球環境が一変。地軸が変化するポールシフトが起こり、人類は大混乱の中、恐怖のどん底に落とされる。恐怖心は猜疑(さいぎ)を生み、やがて戦争を引き起こす。

三上丈晴『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』(学研プラス)
三上丈晴『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』(学研プラス)

愚かな戦争によって人類が滅亡の淵に立たされた最後の瞬間、天からメシアが降臨する。それがキリスト教でいうイエス・キリストなのか、仏教の弥勒菩薩なのか、はたまたUFOに乗った異星人なのか。一説には、地球内部に存在する理想世界シャンバラから地底人が姿を現すという説もある。

と、このようにオカルトのすそ野は広い。魔法とUFOなど、一見するとまったく関係のない事象が、実は根底で深く結びついているのである。

およそ学校では教えることのない世界を扱うのが『ムー』なのである。したがって、『ムー』は、まぎれもなく「オカルト雑誌」なのだ。これは否定できない事実である。

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三上 丈晴(みかみ・たけはる)
『ムー』編集長
1968年生まれ、青森県弘前市出身。筑波大学自然学類卒業。1991年、学習研究社(学研)入社。『歴史群像』編集部に配属されたのち、入社半年目から『ムー』編集部。2005年に5代目編集長就任。2021年6月24日より、福島市の「国際未確認飛行物体研究所」所長に就任。CS放送エンタメ~テレ『超ムーの世界R』などメディア出演多数。

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(『ムー』編集長 三上 丈晴)

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