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仕事のできない人ほどメールがダラダラと長い…説明上手の人が「文章」ではなく「図解」を活用するワケ

プレジデントオンライン / 2022年6月2日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

ビジネスでのコミュニケーションを円滑に進めるポイントとはなにか。プロジェクトマネージャーとして、数々のシステム開発をリードしてきた木部智之さんは「人間の脳は、読んだり聞いたりした言語情報を頭の中でイメージ(画像)に変換して理解している。文章では発信者と受信者の間で変換ギャップが生まれやすい。変換ギャップを減らすには図解を活用するといい」という――。

※本稿は、木部智之『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■相手のアクションが得られないのは「伝わっていない」証拠

仕事におけるコミュニケーション(情報伝達)は、相手にきちんと意図が伝わらないと意味がありません。

この「伝わる」とはどういうことか、考えてみましょう。

ビジネスでのコミュニケーションには、必ず目的があります。その目的とは、「相手に何かをしてもらう」ことです。

すなわち、「資料をつくってもらいたい」「報告を理解して、対策を打ってもらいたい」「3つの案のどれでいくか、判断してもらいたい」など、相手に何らかのアクションを期待して、コミュケーションをとるのです。

コミュニケーションが成立したという状態は、相手がこちらの望むアクションを実行してくれること。逆に、「伝えた」けれどもアクションしてくれなかったならば、それは「伝わっていない」ということなのです。

よく職場で、「メールしたのにやってくれない」「説明会を実施したのに理解していない」「指示したものと全然違うものが出てきた」といったグチを聞くことがあります。

当人からすれば、動いてくれない相手が悪いと思いがちですが、実は自分のコミュニケーションスキル不足を露呈しているにすぎません。

よくよく聞いてみると、メールがとても読みきれないような長文になっていたり、誰が聞いても要領を得ないようなグダグダの説明会だったりということがほとんどです。

もちろん、コミュニケーションの受け取り手に問題があることも多々あります。しかし、そのことで不利益を被るのは、結局、発信者であるあなた自身です。それも含めて、発信者がコミュニケーションの結果責任を負うべきなのです。

■必要以上の時間をかけない、最適な「ツール」を選ぶ

情報を確実に伝えるためには、まずは最適なツールを選ぶことが大切です。コミュニケーションのツールとは、口頭、電話、メール、チャット、資料、プレゼンなどです。

同じフロアにいるから、メールやチャットでなく口頭で伝えたほうが早いとか、逆に、依頼した作業を忘れられないようにメールやチャットで連絡するなど、状況や目的に応じた最適なツールを選びましょう。

【図表1】相手に「伝わる」ための適切なコミュニケーションツールを選ぶ
出典=『入社1年目のビジネススキル大全』

最適というのは、コミュニケーションの目的を果たし、かつ、必要以上に時間をかけすぎないということです。

以前、5分の口頭説明で理解できる内容を、10枚もの資料で30分もかけて説明されたことがあります。内容はわかりましたが、これではお互いに時間のムダ遣いです。その時間はほかの仕事に費やしたほうがいいでしょう。

■アピールのために専門用語を使うのは逆効果

最適なコミュニケーションツールを決めたら、次は「言葉」も選びましょう。

例えば、あなたは次の言葉の意味がわかるでしょうか。

「対外IF部分については、既存機能の踏襲なので、ソースをマイグレーションして、現新処理のアウトプットのコンペアでUTとしての品質を担保します」

私はシステム開発の仕事をしているのでわかりますが、そうでない人には全く伝わらないでしょう。

このように、コミュニケーションでは相手に合わせた言葉選びをしなければいけません。専門用語は、知らない人にとっては外国語と同じです。自分の専門領域の用語で説明しても、必ずしも相手には伝わらないのです。

自分がいかにその道のエキスパートであるかをアピールするために、わざと専門用語を使いまくる人がいますが、それは間違いです。難しい専門的なことを平易な言葉で説明できるほうが専門性を評価され、信頼を得ることができるのです。

以前、知り合った会社経営者は、「自分の仕事について専門用語を使わずに説明するために、専門的なことを知らない奥さんを相手に練習をした」と言っていました。

しかし、逆の場合もあります。

私が携わったシステム開発プロジェクトでは、お客様の部長がシステムに非常に詳しい人でした。その人に報告する際は、私はかなり突っ込んだ技術的なことまで報告していました。それが、その方から信頼を得る方法だったからです。

■「視線」を意識して、相手の「反応」をキャッチする

また、こちらが説明をしているときに、相手が内容を理解できていないようなそぶりを見せることがあります。

その反応は、しっかりとキャッチしなければいけません。

キャッチした上で、「どこか説明が至らないところはありますか?」「ここまでで何かご不明な点はございますか?」などと、その場で相手の反応に合わせて対応するのです。それに気づかずにプレゼンをやりきったとしても、そのプレゼンには何の価値もありません。

私は説明を受ける立場になることもたくさんあります。そのとき、相手がこちらの目を見ていないとすごく気になります。目を合わせないというのは、どことなく自信がないように見えますし、印象もよくありません。

相手の目をずっと見続けることは、相手にとっても負担となりますが、要所要所で、相手の目を見ることを意識しましょう。相手の目を見て話すのは、コミュニケーションの基本です。相手の目を見るからこそ、その反応も敏感に感じ取れるのです。

【図表2】相手に合わせたコミュニケーションを心がけよう
出典=『入社1年目のビジネススキル大全』

■「百聞は一見に如かず」図を使って脳内変換をゼロに

人間の脳は、読んだり聞いたりした言語情報を頭の中でイメージ(画像)に変換して理解します。逆に自ら発信するときは、頭の中の記憶や思考のイメージを言語情報に変換して説明しています。

この「イメージ」と「言語」の変換作業には人によるバラツキがあり、同じ言葉を聞いても違うイメージを描くことがあります。

「丸を3つ書いてください」という指示を受けても、3つの丸の書き方は人によって違うでしょう。この変換ギャップがコミュニケーションミスになるのです。仕事でのコミュニケーションは、もっと複雑で難しいものばかりです。

込み入った議論をしていると、少し上のほうを見ながら考え込むことがあると思います。そのとき、私たちは脳内で言語とイメージの変換作業をしています。

ここで、発信者と受信者の間で変換ギャップが生じることで、大きな認識齟齬(そご)となってしまうのです。

正確なコミュニケーションをするためには、この変換ギャップをゼロにすることをめざしましょう。そのためには、言葉や文章で伝えるよりも図(イメージ)で伝えたほうが、より速く、より確実に伝わります。まさに、「百聞は一見に如かず」です。

■文字ではなく、イメージで伝えると理解が早い

さて、図表3のニュース原稿を読んでみてください。理解するのにどれくらい時間がかかるでしょうか。

【図表3】ニュース原稿
出典=『入社1年目のビジネススキル大全』

これをグラフにすると、図表4のようになります。

【図表4】グラフで表したニュース原稿
出典=『入社1年目のビジネススキル大全』

いかがでしょうか。文字原稿で読むよりも、イメージでとらえるほうが理解が早かったのではないでしょうか。

私が図を使ってコミュニケーションをするようになったのは、海外の現地メンバーと仕事をしたことがきっかけです。母国語が違う者同士でのコミュニケーションミスを防ぐため、図を使ったのです。

しかしあるとき、この方法は日本人同士でも有効なことに気づきました。

図は、言語の壁を超えた「世界共通のコミュニケーションツール」です。すべての情報は、表やグラフ、イラストなどの図に変換できれば、言語がなくても理解することができます。

そのため、私は職場では、コピー用紙とペンを常備し、メンバーと会話する際、いつでも図解できるようにしています。

■情報伝達は「鮮度」「濃度」「精度」が命

組織の中では、至るところで情報伝達が発生します。

その際、自分が最初の情報源となって発信することもあれば、中継ポイントとして発信することもあるでしょう。どのような場合であれ、情報発信には重要なポイントが3つあります。

・ポイント① 鮮度
・ポイント② 濃度
・ポイント③ 精度

です。順を追って説明しましょう。

ポイント①「鮮度」:情報の新鮮さ、速報性

どんなに重要な情報でも、必要なタイミングに間に合わない情報は意味がありません。また、間に合ったとしてもギリギリになっては、その情報はほとんど役に立たないこともあります。

例えば、あなたが情報の中継ポイントで、その情報を得てから次の人に伝えるまでに、3日かけてしまったら、次の人の動きだしは3日遅くなります。

これは、役職が上がるほど、チームに大きな影響を与えます。なぜなら、メンバー全員の動きだしが丸3日、遅れることになるからです。情報は新鮮であればあるほど、価値が高いのです。できるだけ早く伝えるべきです。

■レベルアップするほどコミュニケーションの質が重要

ポイント②「濃度」:情報の密度、量

情報における濃度とは、そこにどれくらいの情報量が詰め込まれているかという「密度」を意味します。

濃度は、高いほうがいいというわけではありません。情報量が多すぎると、理解するのに時間と労力を要してしまいます。逆に、情報濃度が低すぎると、そもそも何を言いたいのか伝わらず、意味をなさなくなります。

情報を発信するときは、相手や目的を考慮し、適切な情報量に調整するようにしましょう。

ポイント③「精度」:情報の正確性、信用度
木部智之『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)
木部智之『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)

当たり前ですが、情報は正しくなければいけません。

間違った情報から正しい判断や結果を生みだすことはできません。

しかし、その当たり前のことを確実に実行するのが、意外に難しいのです。ちょっとしたニュアンスの違いで、情報が間違って伝わってしまった、ということはあなたにも経験があるでしょう。

仕事で関わる人が多くなったり、組織が大きくなればなるほど、「情報伝達」の質がカギを握ります。あなたが近い将来、リーダーになったとき、その重要性を実感する場面が出てくるに違いありません。

来るべきその日のために、今から、「鮮度」「濃度」「精度」の質を高めるコミュニケーションのトレーニングをはじめましょう。そうすれば、リーダーになったときも困ることはありません。

質の高いコミュニケーションで、すばらしいチームをつくることができるはずです。

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木部 智之(きべ・ともゆき)
パナソニック コネクト 現場ソリューションカンパニー カンパニー役員
横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年、日本IBMにSEとして入社。数々の炎上プロジェクトをサービスインに導くいわゆる「火消し屋」として活躍し、エグゼクティブ・プロジェクト・マネジャーとなる。2018年、パナソニック システムソリューションズ ジャパンに入社し、難易度の高い重要プロジェクトをリードする。2020年4月より現職。アウトオブザボックス代表。近著に『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)がある。

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(パナソニック コネクト 現場ソリューションカンパニー カンパニー役員 木部 智之)

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