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鎌田實「1日たった3分のズボラ筋トレ」で糖尿病の数値も高血圧も改善するワケ

プレジデントオンライン / 2022年6月5日 12時15分

「ズボラ筋トレ」を実践する鎌田實先生 - 写真提供=エクスナレッジ

「何歳になっても自分の足で行きたいところへ自由に行ける体を手に入れるには、“筋肉”がなにより大事です」と語るのは、諏訪中央病院に赴任し、長野県を日本一の長寿県へと導いたことで知られる医師の鎌田實さん。自身、心房細動の治療で入院するなどし、「老い」との付き合い方を考えた結果、73歳にしてたどり着いた“ズボラ筋トレ”とは──。

※本稿は、鎌田實『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。

■現在70歳の人は90歳以上まで生きる現実…

あるデータによると、現在70歳前後の男性で、4分の1の元気グループに入る人は93歳まで生きるとのこと。女性はなんと99歳まで生きるそうです。

そんなに生きたくないと思われる方も、多いのではないかと思いますが、好むと好まざるに関係なく、長生きの時代になったということでしょう。

2020年発表の資料によると、日本人の平均寿命は、女性が87.74歳、男性が81.64歳です。命の長さにこだわりませんが、死ぬギリギリまでピンピンして、ヒラリと逝(い)きたいというのが僕の目標です。

■中高年以降は「貯筋」が大事

そのために、大事なのが筋肉です。

新型コロナの巣ごもり生活などで運動不足になっても、みなさんは今のところ、それほど不便を感じないかもしれません。

しかし、筋肉は40歳を過ぎると毎年1~1.2%ずつ減少しますから、中高年は意識して筋肉を鍛えて「貯筋」しないと、だんだん筋肉が少なくなって、やがて介護保険のお世話になることになります。

僕はその影響があらわれるのが、70歳ではないかと思っています。

■貯金よりも貯筋

僕は講演会で、「貯金よりも貯筋」と繰り返しいっています。

いくらお金を貯めても、自力でレストランにも、旅行にも行かれなくなったら楽しくありません。そうならないために大事なのは、お金よりも筋肉。

鎌田先生がすすめる20種の運動のひとつ「フロント・ランジ」/『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』より
鎌田先生がすすめる20種の運動のひとつ「フロント・ランジ」/『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』より(提供=エクスナレッジ)

健康についても、いろいろ心配だと思いますが、まず一番に考えてほしいのが筋肉。生きている限り、ピンピンしていられるかどうかのカギは貯筋にあるといっても過言ではありません。

そのために必要なのが、僕がおすすめしている20種の運動です。

貯筋のための筋活運動が中心ですが、骨粗鬆症を防ぐ骨活運動、認知症を予防するコグニサイズ運動、しゃべることや飲み込むための筋肉など口腔フレイルを予防する運動も含まれています。

詳しくは『60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』を参照してください。

■ズボラでも続けられる3分運動

メインとなる筋活運動は、歩くための足腰の筋肉はもちろん、背中が丸くならないための背筋や腹筋、転びにくくするためのインナーマッスルといわれる体幹筋、寿命にも影響するといわれる握力を強化する筋肉など、大事な筋肉はほぼ網羅しています。

また、ウォーキング以外の筋活はほとんど3分以内に終わります。

ズボラな僕が長く続けられているのは、たった3分ですむからです。

■運動を継続するには「目標」が必要

読者の中には、若い頃は運動していたという人も多いと思います。ところが、仕事などで忙しくなると、運動しなくなるものです。

僕の50歳代の知り合いで、学生の頃は部活をやっていたが、大学を卒業してから、まったく運動していない、という男性がいました。こういう人はあんがい多いのではないかと思います。

もちろん、本人も何か機会があれば、運動を始めたいと思っているようです。でもなかなかきっかけがつかめません。そんな人は、目標を持つとやり始めるものです。

■筋肉運動で若返りホルモンが出る

僕の目標は、80歳、90歳になっても、映画を観に行ったり、旅行に行ったりすることです。運動を始めるにあたっては、遠い将来の目標です。まず運動を始めようという人には、もうちょっと近い将来の目標が必要かもしれません。

鎌田實『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』(エクスナレッジ)
鎌田實『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』(エクスナレッジ)

体重が増えてメタボぎみで、血圧や血糖値が高くなっている人は、運動するとこれらの数値が下がってくるので、これを目標にしてもよいでしょう。たとえば、スクワット(ワイド・スクワットやスロー・スクワット)は高血糖の改善にとてもよい運動です。

そのメカニズムも明らかになっています。筋肉運動をすると、マイオカインという若返りホルモンが出て、血糖値やヘモグロビンA1cなど糖尿病の数値が下がることがわかっています。

また、メタボが改善すればお腹まわりもすっきりして、見た目もよくなります。体が引き締まってかっこよく見えるようになります。

ダイヤゴナル・エクササイズ(手足の2点支え)やブリッジは、女性がやるとお尻の脂肪が減って筋肉が少し増えて美尻になります。腹筋や背筋も鍛えられるので、背中が丸くなるのも予防できるでしょう。

■運動音痴で運動苦手な人が、コロナ禍で数値が悪化

若い頃は運動の習慣があった人は、きっかけがあれば始められます。ところが世の中には運動が苦手、いわゆる「運動音痴」の人がいます。

僕の知り合いの63歳の男性は、子どもの頃から運動が苦手で、体育の成績が悪く、部活の経験もありません。

ただ、歩くのだけは苦にならないということで、コロナ前は仕事で出かけるついでに1~2時間の街歩きを楽しんでいたといいます。

しかし、コロナ禍(か)で仕事のほとんどがテレワークになってしまい、一気に運動不足におちいったということです。彼は高血圧の投薬治療を受けており、まだ薬は飲んでいませんが糖尿病の数値も高めです。そのため、唯一の運動である街歩きができなくなったことをとても心配していました。

■スクワットだけでみるみる数値改善

そこでこの男性は、僕のアドバイスにしたがって、スクワットを始めることにしました。

スクワットにはびっくりするほどの効果が/『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』より
スクワットにはびっくりするほどの効果が/『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』より(提供=エクスナレッジ)

最初は5回もできなかったそうですが、だんだん標準の1セットである10回ができるようになったということです。

糖尿病の数値も改善し、ヘモグロビンA1cの値が6.4%から5.7%に改善しました。

メタボ健診の基準値は5.6%未満ですから、基準値にだいぶ近づいたといえます。

また、降圧剤を飲んで上が130/85mmHg台だった血圧も、110/70mmHg台になり、ときには100/60mmHg台になることもあるそうです。

僕は主治医に減薬をお願いしてもよいのではないかとアドバイスしています。

■運動嫌いも「数値改善効果」で継続できる

運動音痴の彼が半信半疑で始めたスクワットですが、数値が改善されたことではげみになり、今も続けているということです。

このように運動が苦手な人も、結果が出ると続けようという気持ちになるのです。

これには理由があります。運動するとテストステロンというチャレンジングホルモンが出てくるからです。まったく運動音痴な人でも、達成感があると、もっと高いレベルに挑戦するようになるのです。

多様な人々が集う公園での幸せな時間
写真=iStock.com/Rawpixel
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rawpixel

■ズボラ筋トレで認知症予防を

巣ごもり生活が続いたことで、心配なのは認知症です。家にこもりがちな生活をしていると、脳への刺激が少なくなって、認知機能が低下する危険性があるからといわれているからです。

これからその影響が現れてくる可能性があります。

だからこそ、ズボラ筋トレを始めてほしいのです。認知症の予防に運動がよいことは改めていうまでもありません。運動が認知症に効果的であることは、世界中のさまざまな論文で発表されています。

とくに認知機能の向上には、筋活運動とウォーキングなどの有酸素運動が効果的といわれています。

■脳は楽しい体験で活性化する

といっても、イヤイヤ続けるのであれば、脳にとってはあまりよくありません。脳は楽しいことや好きなことをすると、活性化するという特徴があるからです。

もちろん、日常生活においても、楽しいことをするのが大事。とくに、人と楽しみを分かち合うとか、社会とかかわって自分の能力を発揮する喜びは、脳を活性化させるだけでなく、人生を前向きに生きる原動力になります。

コロナ禍では人とかかわることがむずかしくなったため、この大事なことを忘れている人も多いのではないかと思います。

■「昨日よりも今日のほうが少しいい」毎日を

僕自身が実践している筋トレレシピ20のうち、1日いくつかやるだけで、徐々に大きな効果を生み出してくるはずです。90歳になってもピンピン元気でいるために、ぜひ実践してみてください。

長い人生にはいろいろな困難があります。コロナ禍で経験したように、したいことが自由にできなくなることもあるでしょう。そんなにときにつぶやいてほしい言葉があります「昨日よりも今日のほうが少しいい」です。この言葉は、未来への希望へとつながります。

ゆっくりとした歩みでも、自分が少しずつ進化していると感じることが、人生を楽しくしてくれるはずです。きっと。

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鎌田 實(かまた・みのる)
医師・作家
1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県茅野市の諏訪中央病院医師として、患者の心のケアまで含めた地域一体型の医療に携わり、長野県を健康長寿県に導いた。1988年に同病院院長に、2005年から名誉院長に就任。また1991年からチェルノブイリ事故被災者の救援活動を開始し、2004年からはイラクへの医療支援も開始。4つの小児病院へ毎月400万円分の薬を送り続けている。著書に『がんばらない』『あきらめない』『なげださない』ほか多数。新著『だまされない』(KADOKAWA)が刊行中。

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(医師・作家 鎌田 實)

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