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なぜ眞子さまは小室圭さんへの愛を貫いたのか…本質的な問題は結婚相手ではなく「皇室制度」にある

プレジデントオンライン / 2022年6月2日 15時15分

秋篠宮ご夫妻に見守られ、次女佳子さまと抱き合われる長女眞子さま=2021年10月26日午前、東京都港区の宮邸[代表撮影] - 写真=時事通信フォト

■母親へのバッシングに切り込んだ佳子さま

秋篠宮家の次女佳子さまのファンだ。自分の意見を堂々と表明するところが好きなのだ。

きっかけは、佳子さまが成人を迎えるにあたって開いた2014年の記者会見だった。「ご家族について、性格やどんな存在か」と尋ねられ、紀子さまについてこう答えた。「母は、週刊誌などでは様々な取り上げ方をされているようですが、娘の私から見ると、非常に優しく前向きで明るい人だと感じることが多くございます」。

紀子さまバッシングが始まっていた。無難な回答で済まさず、そこにあえて切り込んだ佳子さまが凛々しく、新しい女性皇族像を見た思いがした。

国際基督教大学を卒業した2019年には、記者の質問に文書で答えた。小室眞子さんの結婚について「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と答えたことが有名だが、私のイチオシは別なところだ。

■お相手の有無は「お答えするつもりはありません」

それは、「理想の男性像については、以前もお答えしていますが、一緒にいて落ち着ける方が良いと考えております。相手がいるかについてですが、このような事柄に関する質問は、今後も含めお答えするつもりはございません」という答え。「結婚」を念頭にした質問への素っ気なさがカッコよかった。

若い皇族に「理想の男性(女性)」や「お相手の有無」などを聞くのは、記者のお約束。現在の天皇陛下も繰り返し「理想の女性像」を聞かれている。佳子さまの素っ気なさは、プライバシーは守るという意思表示。力強い。ますますファンになった。

さて、ここからが本題。『週刊新潮』5月26日号に、こんな記事が掲載された。<“公務嫌い”「佳子さま」を指導できない「秋篠宮」>。佳子さまファンとして見過ごせず、早速読んだ。

要旨を列挙するなら、①佳子さまの「お出ましを伴う公務」が少なく、三笠宮家の長女彬子さまの方がずっと外出している、②仕事(「全日本ろうあ連盟」非常勤嘱託職員)もリモートワークで週3日ほど、③このような“迷走”は「皇室を出たい」からで、秋篠宮さまも考えを正すことができない——というものだった。

■「お出まし」は少ないがオンライン公務が多い

一つずつ反論するつもりはないが、①の「お出まし」については検証してみた。朝日新聞デジタルの「皇室7days」に毎週、皇族方の予定がアップされる。それを1年分(2021年5月14日〜2022年5月29日)チェックした。外出を伴う公務(宮中祭祀を除く)を数えると、彬子さま12回、佳子さま1回。確かに佳子さまの「お出まし」は彬子さまより少なかった。

が、予定された日程全部を数えると、彬子さま39回、佳子さま35回。そこから宮中祭祀や儀式を除くと、彬子さま23回、佳子さま18回でさほど差がない。わかるのは佳子さまがオンラインでこなす公務が多いということで、「お出まし」数の差はコロナ禍への対応の違いが大きいと思われる。

そして、公務は回数だけでなく内容も見るべきだろう。個人的見解だが、佳子さまの公務は「山椒」のようだ。「小粒でもぴりりと辛い」のだ。何が言いたいかというと、さほど多くなくとも無難にまとめず、まっすぐに意見を述べるのだ。

例えば2021年10月10日、佳子さまは「国際ガールズメッセ100周年記念式典および表彰式」をオンライン視聴し、そこにビデオメッセージを送っている。そこで佳子さまは、ジェンダーギャップ指数が120位という日本の現状を「とても残念なことです」とし、こう述べた。

「今後、ジェンダー平等が達成され、誰もがより幅広い人生の選択肢を持てるようになることを、自らの可能性を最大限生かす道を選べるようになることを、そしてそれが当たり前の社会になることを切に願います」

■皇族の立場からジェンダー平等を訴える「大胆さ」

ジェンダー平等に納得してない人が多いことは、「本音を吐露→炎上→謝罪」が後を絶たないことからもよくわかる。が、佳子さまはためらわず、ジェンダー平等に舵を切る。今を生きる女性なら当然のことだが、皇族という立場からはたやすいことではないと想像する。

こういう佳子さまの「大胆さ」をファッションで見たのが5月7日、「森と花の祭典『みどりの感謝祭』」だった。秋篠宮さま、眞子さんと継いできた名誉総裁に佳子さまが就任、この日が初めての挨拶だった。

男女平等の概念
写真=iStock.com/oatawa
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/oatawa

週刊新潮は「皇居以外での公的な行事にお出ましになるのは、2020年1月以来、実に1年半ぶり」と書いていたが、私が驚いたのは佳子さまのいでたちだった。大きな花柄の上下に薄いピンクのジャケットだった。

ちなみに3年前、眞子さんはこの式典で、淡いグリーンのワンピースを着ていた。以前、秋篠宮さまと共に参加していた紀子さまのファッションも、グリーンが基調だった。だが、佳子さまはピンク基調の花柄。着るものにも、己を打ち出す。そういう人なのだと思う。

■和服で外国訪問を続けた優等生の眞子さま

以上が「佳子さまの公務=山椒」説だが、もう一つ週刊新潮③についても考えたい。「佳子さまの迷走を正すべき」を前提に、そうできないのは秋篠宮さまの指導力不足、というのが週刊新潮の言い分だ。が、私は声を大にして、言いたい。万が一正すべきだとしても、できないのは秋篠宮さまのせいじゃない、皇室制度のせいだ、と。

説明のため、仮に「女性皇族は、外出を伴う公務をすればするほどよい」と置いてみる。それが正解だとするなら、眞子さんはとても優等生だった。

初めての単独公務は2008年4月、上野動物園の野間馬贈呈式で、まだ高校2年生だった。2015年9月にレスター大大学院を修了、その年の12月にエルサルバドルとホンジュラスを公式訪問、これが初めての外国公式訪問だった。

以後、眞子さんはパラグアイ(2016年)、ブータン(2017年)、ブラジル(2018年)、ペルー・ボリビア(2019年)と1年に1度は必ず外国を訪問している。ブータンを除くと、すべて中南米。遠い彼の地で眞子さんは必ず和服に着替え、挨拶したりパーティーに出席したりしている。

■皇室にとって女性皇族は「結婚したら出ていく」だけの存在

このような公務への取り組みは、叔母である黒田清子さんがつくったものだ。1985年、高校1年で清子さんは、皇太子さま(現在の上皇陛下)と美智子さまと共に高校総体に出席。初の単独公務は1988年、大学1年の時だった。外国への初の公式訪問は大学卒業の3年後(1995年)で、行き先はブラジル。それ以来、結婚の2年前にあたる2005年まで、合計14カ国を公式訪問した。

叔母が歩んだ「内親王の公務」という道に、眞子さんは忠実だった。叔母の時代より皇室の構成員は減っているから、エース級の働きだったろう。そんな眞子さんだったが、学生時代から結婚を強く望み、出会った小室圭さんへの愛を貫いた。「皇室の外に出たい」という思いが根底にあったのは、今となっては明らかだ。

皇室典範12条は、「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と定めている。女性皇族を規定するものは、これ以外にない。結婚したら出ていくことだけが決まっている存在。それが女性皇族で、別な表現をすれば、皇室典範は女性皇族に興味がないのだ。

私は長く組織で働いてきたので、「女性皇族が働く職場」という観点から皇室を見る。すると、眞子さんが一生懸命公務に励みつつも最初から「退職」を志向していた気持ちがよくわかる。自分に興味を持たない組織に、帰属意識など持てるはずがない。管理職になりたがる女性が少ないのと同じだ。

皇居内の二重橋
写真=iStock.com/troikken
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/troikken

■秋篠宮さまという良い上司がいても「退職」を選択

ところで、『秋篠宮』(江森敬治著)が話題だ。37回のインタビューから、秋篠宮さまの本音や苦悩が見える本だが、秋篠宮さまがジェンダー問題にとても理解ある男性だということも教えてくれる。例えば皇嗣になって侍従、女官という男女別の職種をやめ、宮務官に統一し、江森氏には「これからは、女性の皇嗣職大夫や女性の宮務官長も十分にありえます」と語ったそうだ。

「職場」としての皇室で、眞子さんの直属の上司は秋篠宮さまだ。働きやすい上司だったと想像する。それでも、眞子さんが「退職」を志向したのは、組織の構造そのものが問題だからだ。男系男子でつなぐ。それが皇室の核心である以上、女性はあくまでも「男子でない」存在だ。結果、嫁いできた人は「出産」が一番の仕事となるし、そこで生まれた人には「結婚退職」しか決まりがない。これではどんなに良い上司がいたとしても、あまりに働きがいがない。

というわけで、仮に佳子さまが「考えを正すべき」だったとしても、それを妨げているのは秋篠宮さまではなく、組織そのものだということはわかっていただけたと思う。最後に佳子さまのこれからのことを、少し書く。

■佳子さま、愛子さまが働きやすい環境を

佳子さまも姉のように、皇室を出たいと考えている。週刊新潮も書いていたが、そういう見立ては十分可能だと思う。退職の規定しかない職場からの「転職」を考えるのは、普通のことだからだ。が、転職するには「結婚」しか方法がない。しかも「結婚」がどんなに困難か、佳子さまは姉の様子を間近に見ている。なんというしんどさだろう。

そして、皇室には愛子さまもいる。2021年に20歳になり、この4月には大学3年になったが、儀式以外の公務はせず、「学業中心」という方針だという。天皇陛下と雅子さまの考えもあってのことで、それには雅子さまが皇太子妃時代、「適応障害」という病から公務が困難だった時期があったことも関係しているのではないかと想像している。

どんな人でも、仕事は楽しい方がいい。そして、人生はハッピーな方がいい。佳子さま、そして愛子さまのためにも、皇位継承資格の議論は避けて通れないと思う。

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矢部 万紀子(やべ・まきこ)
コラムニスト
1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長。著書に『笑顔の雅子さま 生きづらさを超えて』『美智子さまという奇跡』『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』がある。

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(コラムニスト 矢部 万紀子)

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