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「部下を何人もつぶしてきた上司」に当たってしまった時に絶対やってはいけないこと

プレジデントオンライン / 2022年6月14日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ra2studio

上司との人間関係がうまくいくとは限らない。もし「部下を何人もつぶしてきた上司」に当たったらどうすればいいのか。元官僚で現在は静岡県掛川市長の久保田崇さんは「付き合い方を変えるしかない。対処法は3つある」という――。

※本稿は、久保田崇『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

■「あの上司の下なんだ、君も大変だね」

観察するのも嫌になるくらい、あるいは「あの上司の下なんだ、君も大変だね」のように噂になっている人物の下で働くことになった場合、「今日もあの人と仕事をするなんて……」「顔を見るのもうんざり」となっても不思議ではありません。私にも経験がありますので、どんなに日々の仕事が憂鬱であるかは想像できます。

まず確認しておきますが、その上司が不正行為(法に触れる行為)やパワハラ、セクハラタイプの場合には、本書で述べたように記録を取ることをおすすめします。

ここで紹介する事例は、明確にパワハラかどうかは断定できないものの、部下を何人もつぶしてきたようなケースです。その上司は、異常に理屈っぽいタイプでした。持論は「前例どおりに仕事をすることを許さない」で、議論となると一歩も引かないので、その上司の了解を得ることに課員全員が疲弊していました。

役所は前例にないことはやりたがらないのが欠点なので、「前例どおりを許さない」のは良いことではないか、と思う方もいることでしょう。私も、安易な前例踏襲主義は慎むべきだと考えていますが、いつなんどきでも前例に従うことを許さないのは、逆に問題を生じさせます。

■心を病みそうになって相談してきた同僚

例えば、何十年も続いている事業や施策は、少しずつ改善を繰り返しながら現在まで続いています。一定の効果を生み出しているからこそ、現在の形で続いていると言えるのです。それを、思いつきのような形で廃止したり改革したりすることは、関係団体や関係者に大きな混乱と迷惑を生じさせます。その上司の指示通りに物事を進めたならば、そのような混乱が生じることが明白だったのです。

特に気の毒だったのが私の同僚の課長補佐で、やや小心なところがある彼は、その上司からの度重なる指示に、心が病みそうになって私にも相談してきました。40代半ばのその男性は、私の前で涙も流さんばかりに、どうしたら良いかわからない、もう心が折れそうだと訴えるのです。私もその上司の特性は十分に認識していましたので、その男性が上司に了解を得る必要がある案件の相談のときには同席し、何かと助け舟を出すなどフォローしました。

このようなタイプは、残念ながら変わることはありません。部下として付き合い方を変えるしかないのです。以下に3つの対処法を示します。

■理屈っぽい上司には「議論しない」「第三者を使う」

(1)議論しない

一つ目は、その上司との議論をできるだけ避けることです。聞く耳をもつ上司であれば議論することに意味がありますが、聞く耳を持たず、一歩も引かない相手とは議論しても言い負かされてしまうだけです。このため、議論せずに上司の主張を見極めることだけにとどめ、「わかりました。再検討します。」と言ってまずは引き下がりましょう。

相手の主張を確認したら、その主張どおりに物事を進めて良いか具体的に検討します。例えば、大枠はその指示の通りに進めながらも、細部をおさえることで問題なく進められる場合もあります。先ほどの事例の上司も、大枠にはこだわるが細部には興味がない人だったので、細部をこちら側でコントロールすることで乗り切れたことが何度かありました。

細部のコントロールでは乗り切れない場合は、「具体的に」「どのような不都合が」生じるのかを数字(ファクト)で説明できるように用意します。そして、次の相談の際に、「ご指示の通りに検討したら、次の問題が生じましたが、どのようにしたら良いでしょうか」と判断を仰ぎます。勿論担当者としては、「その指示が不適切である」ことを言いたいのですが、そこは黙って飲み込み、あくまで上司を立てながら、判断を求めます。賢明な上司であれば、そこで考えを改めてくれることもあるかと思います。もしそれでも不都合に構わず自説にこだわるようなら、もはや正攻法では無理と判断し、次に進みます。

ビジネスにおける分析と戦略
写真=iStock.com/Business
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Business
(2)第三者を使う

上司は、部下に対しては言いたい放題でも、外部の関係者に対しては愛想を言う場合も多いものです。また、同じ主張であっても、それが部下の口から出たものであれば聞く耳を持たなくとも、特定の関係者からのものであれば、素直に聞き入れることもあるかと思います。

そのような場合には、関係者とも十分に段取りを打ち合わせて、関係者から上司を説得してもらうのが有効です。もちろん、上司との打ち合わせの名目は説得ではなく、間接的な案件またはダミーの他の案件(近況報告、またはご提案など)としておくことは必要でしょう。お気付きの方も多いと思いますが、これは本書の第2章P54で解説している空中戦スキルです。上司に対しても有効なのです。

■リスクの少ない方法から試していくのが良い

(3)(いざというときは)その上司の上司を使う

それでもダメな場合、上司の上司を使いましょう。これも既に解説した「上から落とす方法」です。例えば上司である課長に問題がある場合、その上司である部長や局長に案件と状況を理解してもらい、部長や局長の口から課長に指示を出してもらいます。とはいえ、唐突に部局長から指示があれば、課長も何があったか気づくでしょうから、指示を出してもらう方法については、なるべく自然な形でしてもらえるよう、十分に作戦を練る必要があります。

久保田崇『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)
久保田崇『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)

例えば、次回の別案件の部局長との会議の場で、そういえばと言う形で発言してもらうなど。当然のことながら、その部局長が常識的な判断ができる方であることが前提ですし、課長と部局長との関係も、(趣味を通じて仲が良いなどの関係があるかどうかなども含め)十分にリサーチしておく必要があるでしょう。

なお、先にこの方法を使うのが良いのではないか、と思う方はそれでも構いません。要は、今後の影響が少ない、リスクの少ない方から採用するということです。この方法を使うと、段取りが悪いと一足跳びに相談したことが課長に露見するリスクがあります。そうなると、あなたを信用してくれなくなるばかりか、人事異動等で報復される可能性もありますので、くれぐれも十分に気をつけてください。

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久保田 崇(くぼた・たかし)
静岡県掛川市長
1976年静岡県生まれ。京都大学総合人間学部卒業後、2001年内閣府入り。ニート対策を内容とする「子ども・若者育成支援推進法」の制定などに携わる。東日本大震災後のボランティア活動を契機として、11年より岩手県陸前高田市副市長を務める。16年立命館大学公務研究科教授、19 年より掛川市副市長に就任、21年より現職。主な著書に『官僚に学ぶ仕事術』『官僚に学ぶ勉強術』(共にマイナビ 新書)など。

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(静岡県掛川市長 久保田 崇)

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