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「この資料作成をお願いします」だけでは全然ダメ…若手に慕われる上司の"天才的な仕事の振り方"

プレジデントオンライン / 2022年6月21日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/chachamal

若手の部下の意欲を引き出すには、どうすればいいのか。元官僚で現在は静岡県掛川市長の久保田崇さんは「今の若者には3つの特徴がある。それを踏まえて指導をするのがいい」という――。

※本稿は、久保田崇『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

■できる上司は先手先手で「根回し」をする

課長になったら、組織にもよりますが部下は10人前後、あるいはそれ以上はいることでしょう。課長の最も大切な仕事は、実務責任者として課の方針に関する意思決定とリソース(財源、人員)の割り振り、外部への対応です。とりわけ、組織の外の関係者(ステークホルダー)に対する根回しと調整が重要な役割であると思います。できる課長は、先手先手でそうした関係者へ早期にかつ効果的に根回しを行うことによって、将来起こりうるトラブルの芽を摘み取ります。

私が支えた課長の中にも、先手で根回しに取り組む人がいました。日中にふらっといなくなったかと思えば、主だった国会議員の事務所にさっと回って、世間話も交えた根回しを行っていたのです。

当時私はその課が抱える最大のプロジェクトについて、各省協議や幹部への報告のために多忙を極めており、国会議員への根回しはそれらが終わってからその準備に速やかに着手しようと考えていました。ですから、外から戻った課長から、「議連の○○会長(議員)と○○副会長には報告しといたよ」と聞いたときには驚きましたし、私の知らないところでそうした調整を済まされたと聞いて「さすがだ」と尊敬の念を抱きました。

それ以外の多数の議員への根回しはローラー作戦よろしく、漏れがないように後日1件ずつ回ることになったのですが、とりわけ発言力が大きい議連の会長にまず一報を入れていただいたおかげで、その後の根回しもとてもスムーズにいったのです。

■大学教員時代に感じた「最近の若者の特性」

入社3年で3割が辞める、入社1年で15%が辞めるなど、若者の早期辞職はもはや珍しくもありません。あなたの周辺でも聞いたことがあるのではないでしょうか。もちろん転職自体を否定するものではないのですが、会社の魅力ややりがいを十分に部下に伝えきれないまま辞めていかれるのを黙って見るのは辛いものです。特に最近は、直属の上司や課長に相談もないままある日突然辞職願が届くというケースが多いと聞きます。

私にも残念ながら部下の若者が辞めてしまった経験もあります。そこで、前職の大学教員時代に学生と付き合う中で感じた彼らの特徴をお伝えしたいと思います。

■固定電話をほとんど使った経験がない世代

(1)電話やメールにストレスを感じる可能性

彼らは中学生や高校生の時代からスマホを持っていた世代ですから、LINEなどでコミュニケーションすることが多く、電話やメールに慣れていません。特に知らない相手と電話すること、堅苦しい文章を必要とするメールの送付などが苦手です。

ここで押さえておきたいことは、今の若者は固定電話をほとんど使った経験がないということです(高校生の頃に異性の同級生宅にドキドキしながら電話をかけ、親御さんと緊張しながら会話した経験などもないのです! LINEで直接連絡すれば済むことですからね)。

メールのように形式的な文章を必要とする(少なくとも若者はそう思っている)ツールに慣れていないのです。

・人生の中で「電話」経験が非常に少ないこと
・メールよりLINE等を使っている世代である

以上のことから、20代の若者は仕事で電話やメールを使うことを30代以上の人が想像するよりもストレスに感じている可能性があることを覚えておきましょう。逆に、LINEの使い方に近い「Teams」「Chatwork」「Slack」などのビジネスチャットツールは上手に使いこなせる可能性が高いです。

スマートフォンを使用する人の手元
写真=iStock.com/loveshiba
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/loveshiba

■年上世代との関わり方に戸惑いやすい

(2)異なる世代と交わる経験に乏しい

コミュニケーションの多くが同世代とのSNSによることから派生するもう一つの問題として、異なる世代との交流に慣れていないことが挙げられます。学生時代にバイトなどをしていれば同世代以外との接点がいくらかはあるかと思いますが、特に年上世代との距離感の取り方に戸惑うことが多いようです。積極的に話しかけない、疑問があっても質問しない、不満があっても伝えないといった例が目立ちます。職場の人間関係がドライになってきたことに加えてコロナ禍の影響もあって以前のような飲みニケーションが減っていることから、コミュニケーションが不足しがちな点にも配慮する必要があるでしょう。

■「業務の理由」「仕事の意味づけ」を細かく伝える

(3)堅実で安定志向だが社会貢献意欲が高い
久保田崇『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)
久保田崇『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)

若者はもっと大きな夢を持つべきとかもっと冒険をなどと上の世代は考えがちなのですが、新卒就職ランキングの上位に有名な大企業がズラリと並ぶことにも現れているように、いまどきの若者はもっと堅実で安定志向です。希望する具体的な業務についても、前例のない大きな責任を伴うチャレンジングな業務は敬遠する傾向にあります。とはいえ、大学生を引率して東北の被災地ボランティアに連れて行った経験からも、いまの若者の社会貢献意欲は高いので、担当させる業務の社会的意義やどんな役に立つのかといった点を丁寧に伝える必要があるでしょう。

これらを踏まえ、若者には「きめ細かく」指導する必要があるでしょう。具体的には、「電話ぐらいできるだろう」などと安易に考えずに、電話する際の注意点などを事前に教えることや、単に業務の指示を出すのではなく、その業務の意味・理由(A)やその業務の結果がキャリア形成にどのような意味があるのか(仕事の意味づけ)(B)についても話すと良いでしょう。具体例は下記の通りです。

×「この資料作成をお願いします」
○「この資料作成をお願いします。この仕事は、取引先との交渉に使うかもしれない重要な仕事です(A)。さらに、ここで資料作成ができるようになれば、次に君が○○といった部署に異動して顧客を直接担当する際の大きな武器になるからね(B)」

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久保田 崇(くぼた・たかし)
静岡県掛川市長
1976年静岡県生まれ。京都大学総合人間学部卒業後、2001年内閣府入り。ニート対策を内容とする「子ども・若者育成支援推進法」の制定などに携わる。東日本大震災後のボランティア活動を契機として、11年より岩手県陸前高田市副市長を務める。16年立命館大学公務研究科教授、19 年より掛川市副市長に就任、21年より現職。主な著書に『官僚に学ぶ仕事術』『官僚に学ぶ勉強術』(共にマイナビ 新書)など。

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(静岡県掛川市長 久保田 崇)

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