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いい歯医者と悪い歯医者はこれで見分ける…歯科クリニックの約2割が掲げている"ある表記"

プレジデントオンライン / 2022年6月25日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

いい歯医者を選ぶにはどうすればいいのか。認知症治療に口腔ケアを取り入れている認知症専門医の長谷川嘉哉さんは「予防歯科に積極的な歯科医を選んだほうがいい。たとえば『医療法人になっているか』はひとつの基準になる」という――。

※本稿は、長谷川嘉哉『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■脳の老化を防ぎたければ、歯の専門家の協力が必要な理由

毎日、適切な歯みがきを積み重ねていけば、あなたの口の中は確実にキレイになり、脳もキレイになって活性化していきます。

ただし、注意していただきたいのが、しっかり歯みがきができているかどうかは、歯医者さんや歯科衛生士さんでなければ確認できないということです。

長谷川嘉哉『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!』(かんき出版)
長谷川嘉哉『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!』(かんき出版)

プラークは黄白色で、歯に近い色をしているため、専門家でない人が肉眼で見てもよくわかりません。プラークが固まった歯石になるともっとわかりにくいので、日ごろ自分で行っている歯みがきが適切かどうか、プロにチェックしてもらう必要があります。

どんなに丁寧にみがいても、歯並びやみがき方の癖の関係で、みがき残す箇所が出てくることもあります。

プラークは食後4~8時間程度で発生し、そのまま放置すると、24時間程度で硬い歯石になると言われています。一度歯についてしまった歯石は歯みがきで取ることが難しく、歯医者さんや歯科衛生士さんが用いる器具でしか取ることができません。

ですから、本気で脳の老化を防ぎたいのであれば、定期的に歯科医に通い、日々自分で行っている歯みがきを、プロに評価してもらう必要があります。

評価の結果、歯みがきの効果がきちんと出ていればそのままのケアを継続、みがき残しがあるなら歯石を取ってもらい、さらにケアの問題点を指摘してもらって、みがき方を改善しなければなりません。

■アメリカは歯1本につき20~30万円の治療費

中には、「歯医者」と聞いただけで、ドリルで歯を削るキュイーンという音を思い出して、「嫌だなぁ、怖いから歯医者にだけは行きたくない」と思う人もいるかもしれません。

ですが近年、「治療」よりも、「予防」に力を入れる歯科医も増えています。例えば、歯周病患者の場合、初期段階ではほとんど自覚症状がなく、違和感に気づいたときには歯茎や歯根が弱りきっていて抜歯するしかないということが多々あります。

そうなる前に予防することが、私たちのQOL(生活の質)を高め、健康寿命を延ばして、脳の老化を防ぐことにつながります。

意識の高い歯科医院では、早いうちからこのことに気づいていて、治療だけでなく、メンテナンス(口腔ケア)を非常に重要視しています。

時代は「治療歯科」から「予防歯科」へと、移り変わろうとしているのです。

例えば、国民皆保険制度が存在しないアメリカでは、無保険の人がむし歯になって歯科医にかかると、1本につき20~30万円程度の治療費がかかると言われています。

ここまで高額だと、一般の人々はなかなか治療することができません。

そのため、予防歯科のシステムが非常に発達しています。その一環で、歯科衛生士さんは独立開業し、メンテナンスを中心としたケアを提供することができます(日本では、歯科医がいなければ開業できないシステムです)。

このような予防システムを活用しているため、アメリカ人が歯周病やむし歯で歯を失う確率はとても低くなっています。

日本の歯科診療所における歯科治療のイメージ
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

■歯科を定期受診すると、生涯医療費が安くなる

定期的な歯科受診で、生涯医療費が大幅に下がるという報告もあります。

トヨタ関連部品健康保険組合と豊田加茂歯科医師会が共同で、組合員の医療費と歯科受診歴のデータを分析。

その結果、定期的に歯科受診をしてプラーク除去をしている人は、28歳までは総医療費が平均よりやや高かったものの、49歳を過ぎると平均を下回るようになることがわかりました。また、この金額差は、年齢を重ねるごとに大きくなることもわかっています。

定期検診を受けている人の医療費が安くなるのは、定期的に歯科医に歯をケアしてもらうことで、糖尿病などの生活習慣病をはじめとする全身疾患リスクが抑えられているためだと考えられています。

歯科の定期受診は、あなたの健康寿命や脳の寿命を延ばしてくれるだけでなく、家計も助けてくれるのです。

例えば、北欧では、最低年2回、歯科でプラーク除去をしない限り保険適用ができない国もあるそうです。それほどまでに、歯と全身の健康状態の関連が認知されて、プロによるチェックとケアの有効性が重要視されているということでしょう。

神奈川歯科大学の山本龍生教授らのグループが、65歳以上の日本人4425人を4年間追跡調査した研究によると、かかりつけの歯科医院のない人は、かかりつけの歯科医院で定期検診を受けている人と比べて、平均1.44倍認知症になりやすい傾向が見られたそうです。

最先端の情報に誰よりも詳しく、実行力にも秀でているホリエモンこと堀江貴文さんは、こうしたことをよく知っていて、どこへ行くにも歯ブラシとフロスを持ち歩き、定期的に歯科でプラークを取ってもらっているそうです。

■「認知症になりにくい」予防歯科の見分け方

では、定期受診のために通うとしたら、どんな歯科を選べばよいのでしょう?

日本でも、メンテナンス重視の歯科は年々増えていますが、まだ歯科全体の2~3割ほどしかありません。その2~3割の中にも、高度なメンテナンスをしてくれるところと、そうでないところがあります。

病院でのアジアの医師の健康診断
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

歯周病に対する知識が浅い歯医者さんや、あまり腕のよくない歯科衛生士さんに当たると、プラークは取ってくれても歯石はまったく取れていなかったり、まだ抜く段階ではなかった歯を抜かれてしまったり……ということもあるようです。

次に、きちんとメンテナンスをしてくれる歯科医を見つけるためのポイントを記しました。

歯科医を探す際は、次の5つの項目を満たしているかチェックしてみてください。

①ホームページが充実している

今の時代、患者さんへの丁寧な説明は必須です。そのためには、ホームページで、自身が経営する歯科クリニックの理念・取り組みを情報発信することは、患者さんへの最低限の義務だと思います。ホームページがない、あっても丁寧な情報発信をしていない歯科クリニックは論外です。

②歯科衛生士さんがいる

歯科衛生士さんは、メンテナンスに力を入れている歯科クリニックに集まります。

平成28年の調査によると、約10万人程度の歯科衛生士さんがクリニックで働いていると言われています。クリニックの数は全国で7万軒程度。つまり、クリニック1軒当たりの歯科衛生士さんの数は平均1.5人程度です。

しかし、これはあくまで平均値。腕のよい歯科衛生士さんほど、自分を積極的に登用してくれるメンテナンスに力を入れている歯科クリニックに集まります。

ちなみに、歯科衛生士さんがいない歯科クリニックは問題外。「歯が痛くなったら治療する」という昔のスタイルを通しているレベルの歯科クリニックには、そもそも歯科衛生士さんは不要です。

③歯科用チェアユニットの数が多い

できれば歯科クリニックの歯科用チェアユニット数は、5台以上あると安心です。

実は歯科クリニックの歯科用チェアユニット数の平均は3台。しかし、3台ではどうしても治療が中心になってしまい、メンテナンスが十分に行えません。

近年、メンテナンスに力を入れる優秀な全国の歯科医院を中心に、歯科衛生士さんが活躍するようになり、歯科用チェアユニットを10台以上備えるような歯科クリニックも登場してきています。

④医療法人である

メンテナンスを積極的に行うには、それなりの設備・人の雇用が必要になります。

そのためには、歯科クリニックの経営的基盤が不可欠です。

一般的には、多くの患者さんに支持されて年商が1億円を超えると、個人から医療法人になることが多いようです。2016年10月の資料によると、歯科クリニック68940軒のうち、医療法人は13393軒。全体の約19.4%です。

私は、認知症専門医でありながら、歯医者さんや歯科衛生士さんと協力して包括的な治療を行う「医科歯科連携」を実践していますが、彼らと仕事をするようになって、積極的にメンテナンスをしてくれる歯科医院は全体の2~3割だと感じるようになりました。

歯科の医療法人の19.4%という割合は、不思議とこの数字に近いのです。医療法人であるかどうかは、ホームページや看板に記載されています。

⑤保険外診療のメリットを説明してくれる

歯科治療において、保険診療で行われるのは必要最低限の医療です。ゆえに、保険診療で使われる材料には、健康上のデメリットがある場合もあります。例えば、「歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金」。いわゆる「銀歯」ですが、これにはアレルギーの原因となる可能性がある「パラジウム」が含まれています。

このパラジウムは、ドイツでは安全性に問題があるとして使用禁止になりました。また、銀歯の場合、詰め物や被せ物の下がむし歯になる「二次むし歯」のデメリットもあります。治療の際に、保険診療のデメリットを説明してくれるかどうかも、信頼できる歯科医選びのポイントです。

お恥ずかしい話ですが、実は私は最近まで「歯科の保険外診療はお金儲けのため」と勘違いして、保険でまかなえる銀歯を使用していました。しかし、実際に調べてみたところ、本当に患者にとって安全で効果的な治療は保険外診療なのです。

例えば、保険外診療の金歯であれば、金属アレルギーを引き起こしにくく、二次むし歯にもなりにくくなります。私自身、お願いして詰め物をすべて金歯に変更してもらいました。費用はかかりましたが、健康には代えられません。

なるべく通いやすいところで、この5つを満たしている歯科医を見つけるのがよいでしょう。一生お付き合いをするつもりで、定期受診のためのクリニックを選んでください。

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長谷川 嘉哉(はせがわ・よしや)
脳神経内科医、認知症の専門医
1966年、名古屋市生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。医学博士、日本神経学会専門医、日本内科学会専門医、日本老年医学会専門医。祖父が認知症であった経験から2000年に、認知症専門外来および在宅医療のためのクリニックを岐阜県土岐市に開業。認知症専門医として毎月1000人の認知症患者を診察している。する、日本有数の脳神経内科、認知症の専門医。祖父が認知症であった経験から2000年に、認知症専門外来および在宅医療のためのクリニックを岐阜県土岐市に開業。これまでに、20万人以上の認知症患者を診てきて、いち早く認知症と歯と口腔環境の関連性に気づく。現在、訪問診療の際には、積極的に歯科医・歯科衛生士による口腔ケアを導入している。さらに自らのクリニックにも歯科衛生士を常勤させるなどし、認知症の改善、予防を行い、成果を挙げている。「医科歯科連携」の第一人者として、各界から注目を集めるている医師である。

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(脳神経内科医、認知症の専門医 長谷川 嘉哉)

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